オイシックス・ラ・大地のニュース
【QAあり】オイシックス・ラ・大地、上期売上高・EBITDAは前年比から約倍増 「Oisix」の収益性改善やシダックスの連結効果等が寄与
2025年3月期上期決算説明
髙島宏平氏(以下、髙島):みなさま、こんにちは。代表取締役社長の髙島です。本日はお時間をいただきありがとうございます。
1月にシダックスとオイシックス・ラ・大地グループが一緒になって10ヶ月が経つため、特に主にシダックスが経営していたBtoBサブスク(給食)事業の部分を詳しく説明しながら、事業全体の上期報告と下期戦略についてお話ししたいと思います。よろしくお願いします。
目次
今日は、上期の全体的な業績サマリの後に下期についてご説明します。下期のBtoBサブスク(給食)事業の部分では、基本戦略についてお話しした上で、下期のアクションについてご説明します。
エグゼクティブサマリ
上期の業績についてです。売上高は1,257億円で、シダックスが一緒になったことで2倍強の規模の会社に事業成長することができました。
EBITDAは61.8億円で、こちらも約2倍です。これは、シダックスが加わったことと、スライドには一部BtoCサブスクと記載していますが、旧オイシックス・ラ・大地側の「Oisix」「大地を守る会」「らでぃっしゅぼーや」の収益性向上によるものです。
下期の戦略については後ほどご説明します。
2025.3上期 全社業績サマリ
先ほどご説明した上期の全社業績サマリです。売上高は1,257億円、EBITDAは約2倍の61.8億円です。営業利益は33.3億円で、のれん等があるためEBITDAと差がありますが、前年同期比61パーセント増となっています。親会社株主に帰属する中間純利益は73パーセント増の24.1億円となりました。
EBITDA・営業利益増減 (前年同期比)
利益推移はスライドのとおりです。後ほどご説明しますが、BtoCサブスク事業の旧オイシックス・ラ・大地の部分は収益性を重視した半年間だったこともあり、売上がやや減っている分、利益も若干減少しています。
しかし収益性の改善部分が大きく、BtoCサブスク事業における収益性向上に加え、BtoBサブスク(給食)事業の収益性も追加したことで、EBITDAは61.8億円となり、前年同期比で30億円程度伸びました。
2025.3上期 セグメント別業績
セグメント別業績です。今後、事業領域においてはスライドのようなセグメント別にご説明します。
BtoCサブスク事業に該当するのは、通期業績予想で売上高1,000億円の「Oisix」「大地を守る会」「らでぃっしゅぼーや」アメリカの「Purple Carrot」の4つの事業です。4事業を合計した上期の売上高は481.7億円、セグメント利益は42.7億円となりました。売上が少し減り、セグメント利益に関しては増益となっています。
BtoBサブスク(給食)事業は売上高が304.3億円、セグメント利益が8.9億円、社会サービス事業は売上高が257.4億円、セグメント利益が11.9億円、車両運行サービス事業は売上高が133.8億円、セグメント利益が13.8億円となっています。
主にこの4つがメインの事業領域カテゴリとなりますので、これに沿ってご説明します。特に、食の事業においては、BtoCサブスク事業とBtoBサブスク(給食)事業の2つを中心にご報告したいと思います。
Oisix -主要KPI
上期の業績を事業ごとにご説明します。まず、BtoCサブスク事業です。BtoCサブスク事業においては「Oisix」「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」についてご説明します。
「Oisix」の上期の売上高は290.3億円となりました。後ほどご説明しますが、プロモーションに関しては、効率性を非常に重視している期間になりますので、定期購入者数が少し減少していますが、これは想定の範囲内です。
ARPUについてです。ARPUは「単価×稼働受注数」で、購入頻度のようなものです。ほぼ横ばいですが、内訳はかなり変わっており、単価が非常に伸び、購入頻度が減少しています。購入頻度が下がりすぎると、購入習慣がなくなってしまうという課題はある一方で、やはり単価が高いほうが収益を取りやすいため、収益向上に寄与しています。
単価の上昇原因としては、インフレもありますが、配送料の改定、商品開発の部分も大きくなっています。昨年に比べて単価が非常に高止まりし、その分収益が良くなっている状況です。
Oisix -会員数詳細
「Oisix」の会員数の詳細です。昨年のプロモーションへの大規模投資による影響を脱却しようと考えています。
昨年は、大規模にプロモーションした結果、非常に多くのライトユーザーを獲得してしまいました。その結果、2023年度の終わり頃から2024年度の第3四半期頃にわたって解約率が高くなってしまいました。その影響から脱却し、適切なプロモーションにもう一度チャレンジしているところです。
スライド左側のグラフのとおり、解約率はかなり減少しており、大規模なプロモーションを行う前の状態よりもさらに低い解約率に抑えられています。また、プロモーションに関してもリーズナブルな価格でのプロモーション方法に絞って行っているということもあり、収益性は良くなってきていますが、この効率でどのように拡大していくかが課題です。現在、拡大していく方法を試行錯誤しており、いくつか兆しが見えてきている状況です。
Oisix -ARPU詳細
上半期はかなり多くのコラボを実施しました。特に女優の杏さんやポケモンとは今回初めてのコラボでしたが、SNS上でも非常に話題となり、売れ行きも好調でした。コラボ領域が拡大してきたというのが、上半期の実績です。
Oisix -利益率良化
利益については対前年同期と比べて2.5ポイント向上し、収益性は1.2倍強となっています。
「Oisix」事業に関しては、30.5億円の利益を作っています。プロモーションコストの効率化だけではなく、仕入れの改善や、多くの自社製造品をヒットさせること、さらなる物流効率の向上など、コツコツ努力しており、「Oisix」の収益性はかなり良くなってきています。
大地を守る会 -主要KPI
「大地を守る会」についてです。上半期は売上が53億円、利益が7.2億円という結果です。会員数はわずかに純増しています。新型コロナウイルス流行期以外は会員が減少する一方だった「大地を守る会」ですが、横ばいから少しずつ増え始めているというのは、良い状況かと思っています。
らでぃっしゅぼーや -主要KPI
「らでぃっしゅぼーや」についてです。上期の売上は81.9億円、利益は7.4億円でした。会員数は第1四半期に比べて季節要因で少し減少していますが、基本的には増加傾向です。
「ふぞろいRadish」などの新しいサービスがかなり好感触のため、少しずつ収益は成長曲線になっていると思います。一方で、成長曲線に乗っているところはライトユーザーがやや増加するため、ARPUは若干下がるかたちとなっています。
ただし、利益率的には悪化しておらず、少しではありますが、むしろ良くなっている状況です。
BtoBサブスク(給食)‐上期実績
BtoBサブスク(給食)事業です。売上は304.3億円、利益は8.9億円で着地しました。営業受託件数も社員食堂・保育園で1,044ヶ所、病院・高齢者施設で792ヶ所と増加しています。これとは別に、受託ではなく食材の卸を行っている事業があり、保育園だけでも約1,000ヶ所は行っていますが、スライドに記載しているのは受託件数になります。
BtoBサブスク(給食)‐新規契約獲得
BtoBサブスク(給食)事業は今年4月からシダックスが一緒に行っています。いくつか兆しが見えてきており、今まで取れなかったような営業でいくつか成功事例が出てきています。
大きな要因としては、給食用ミールキットのような少人数で給食を作れるサービスや、社員食堂で「Oisix」のサラダが食べられる等のサービスを開始したことで、新規受注の確定は前年同期比で3割増え、コンペ勝率も上がってきています。
まだこれは兆し程度のものではありますが、今までよりも営業が上手くいきそうな兆しが出ています。
BtoBサブスク(給食) ‐収益力改善
一方で、もともと業界全体として人手不足と、原材料や労務費高騰の課題があります。2024年度も問題の難易度はさらに高くなっています。これは我々だけでなく、業界全体の共通課題です。
課題に対して我々が上期に行ったことの1つは給与アップです。高騰する労務費をコントロールしようと、時給を抑えることで離職率が高止まりし、社員が残業しながら運営しているという状態が長く続いていましたが、その状況を脱却するためには、やはりベースの給料を上げる必要があると判断し、数年ぶりに給与アップを行いました。
同時に、店舗別あるいは契約形態別でパフォーマンスの見える化を行いました。収益性の悪い店舗に関しては、価格交渉などを行っています。また、仕入れや物流において、当社とシダックスがさらに一丸になって収益改善を進めることを上期に行いました。
社会事業(社会サービス・車両運行サービス)
社会サービス事業は売上が257.4億円、利益が11.9億円となっています。内容は、地方自治体のさまざまなサービスのアウトソーシング受託です。最も大きな学童保育の運営受託は約2,000ヶ所あり、全国最大手です。それ以外にも地域の図書館や公園の運営受託を行っています。
車両運行サービス事業は売上133.8億円、利益13.8億円と、増収増益で着地しています。こちらは、スライド左側の写真にあるような役員車両や、地域のスクールバスなど、移動手段の受託を行っている事業です。
以上が、上期の結果になります。
下期に注力する新商品・新サービス
下期についてご説明します。下期は、BtoCサブスク事業とBtoBサブスク(給食)事業について、食品の話に絞ってお話ししたいと思います。
BtoCサブスク事業はさらに「Oisix」だけに絞ってお話しします。下半期には、今発表できないことも含めて、いくつかコラボを予定しています。映画、ドラマとのタイアップ等も決まっていますので、お客さまに喜んでいただきたいと思います。
また、新しくスタートするのが「機能性Kit」です。すでに腸活をテーマに展開を始めていますが、食事を通じて体の状態がより良くなるようなサービスを進めていきます。
さらに「デリOisix」という出来合いの商品に関しては、サービスの改善がかなり進んでいますので、下半期中には新しいコースとしてローンチできると考えています。
その他の下期の取り組みについて
その他の下期の取り組みについてです。スーパーマーケットの中でミールキットが置いてあるのをご覧になったことがある方も多いと思いますが、ポケモンとのコラボキット等のコラボ商品が非常によくヒットしています。下半期も、そのような「スーパーマーケット×コラボ」の商品を拡大していきたいと思います。
ARPUについては、今まで「Oisix」ではほとんど食品のみを売っていたのですが、領域を拡大しようと思っています。下半期からサプリメントやホーム&キッチンのような領域もスタートする予定です。
給食マーケットの概況
BtoBサブスク(給食)事業です。冒頭でお伝えしたように、ベースの戦略からご説明したいと思います。
給食市場は約4.8兆円と非常に大きなマーケットです。社員食堂、病院、高齢者施設、小・中学校、保育園と大きなマーケットではありますが、一方で寡占化は進んでおらず、上位10社でも全体の4分の1程度です。
シダックスはこの上位10社の中の一角に食い込んでいる状況です。今後、業界は寡占化、つまり再編が進むだろうと考えており、そこで我々もしっかりと勝ち切りたいと考えています。
給食事業の収益構造について
給食事業の収益構造に関しては、原材料費と人件費が売上の8割から9割と大半を占めている状況で、原材料費、人件費ともに大きな課題があります。そもそも人は採れず、採用できたとしても人件費が高く、そして原材料もどんどん上がっています。
一方で、給食の場合、病院給食が典型的ですが、法律によって価格が決められているため、すぐに値上げできるものではありません。レストランのように自社で値付けができないこともあり、給食業者の業績がかなり悪化していたり、破綻が顕在化したりしている状況です。
BtoCサブスクとの共通点
このような状況は、我々にとってはピンチでもありチャンスでもあると捉えており、「Oisix」で培ったスキルをBtoBサブスク(給食)事業でも活用したいと思っています。
宅配と給食はやはり似ているところが多く、スライドの右側に記載したように、最大の共通点は、特定のお客さまに対して毎日異なるメニューを提供することです。
例えばレストランの場合は、同じメニューを異なるお客さまに提供します。「今月のメニューはこうです」といったように、決まったメニューを不特定多数のお客さまに提供し、スーパーマーケットもそれに近いと思います。
我々はそれとは大きく異なり、同じお客さまに向けて毎日違うものをお届けすることが前提となっています。それを実現するサプライチェーンを組んでいるということで、給食とはかなり共通項が多いと言えます。
BtoCサブスクノウハウの横展開
共通項が多いことに注目し、BtoCサブスク事業で培った強みを活かして横展開していこうということで、ポイントを3つほど挙げています。
1つ目は、プレミアムな価値を時短で提供するようなミールキットの開発です。これが1つの武器になると考えています。
2つ目は、我々が直接生産地ネットワークを持っていることによる調達力です。
3つ目は、eコマースで磨き上げた食品流通DXです。我々はDX化を前提として食品流通を作り上げてきましたので、その部分をBtoBの給食事業にも当てはめていきたいと考えています。
BtoCサブスクノウハウの横展開 -1.“プレミアム”と“時短”を両立させるミールキット開発
3つのポイントの詳細をご説明します。まず、1つ目のプレミアムな価値と時短を両立するミールキットについてです。
実験的に保育園などでミールキットを使ってみていますが、労働時間がかなり減り、その分、人件費が下がっています。原材料費は上がりますが、人件費が下がるため、トータルでは収益性向上、あるいは今までよりも少人数での運用につながることが見えてきています。また、保育園での実績ですが、完食率が向上しています。
ミールキットのほうが少ない人数で作ることができ、食べる方々の満足度もより上げることができているというのが、1つ目のポイントです。
BtoCサブスクノウハウの横展開 -2.高品質原料の一元調達ネットワーク、3.食品流通DX
2つ目は調達力です。言うまでもなく、我々の仕入れネットワークを使うということです。
3つ目の食品流通DXも同様に、我々のシステムで作ってきたAIを使って需要予測するなどの機能をBtoBサブスク(給食)事業においても反映させることを考えています。
タイパ給食モデルの構築
以上のことを通して、現在約600億円の売上を、2030年に1,000億円にする目標を実現していきたいと考えています。「タイパ給食モデル」と呼んでいるモデルの導入によって、変化が激しく起こりつつある給食業界において、存在感を出していきたいというのが基本戦略です。
給食セグメントと下期アクション方針
基本戦略の中で行っている内容についてお話しします。BtoBサブスク(給食)事業は社員食堂、病院、高齢者施設、保育園の4領域で行っています。学校給食も行っていますが別セグメントのため、この4つのセグメントについてお話しします。
4つのセグメントに対して、5つの下期アクション方針があり、そのうち「原材料コストの削減」「給食現場のDX推進」の2つは業態に共通したことだと思います。そして、「労務コストの最適化」「Oisixノウハウ・ブランド活用によるサービス差別化」「営業体制の強化」というかたちで取り組んでいきたいと思っています。
下期アクション ‐全セグメント共通
全セグメントの共通項として、原材料コストの削減のところは、「Oisix」の納入、調達力も使いながら行っていき、DXも進めます。
下期アクション ‐社員食堂
社員食堂についてです。社員食堂のメニューは野菜不足になりがちですが、従業員の方に喜んでいただきたいということで、「Oisix」野菜を使ったサラダバーなどを1つの売り物として、さまざまな社員食堂に導入を始めています。メニュー提案などをテコにコンペ勝率がかなり上がってきており、営業を強化していくのが社員食堂の下期の戦略になります。
下期アクション ‐病院
病院に関しては、攻めるよりも前に、まず守らなければいけないという状況で、人手不足が一番の問題です。24時間365日運用が必要で、かつミスの許されない環境ですので、人員の補充が最重要だと思っています。業務量をDX化したり、しっかりと人の教育をしたりすることで、人手不足を解消します。
人手不足が解消されると社員の残業代が削減されるため、しっかりと人手不足を解消したほうが、むしろ収益性が良くなると考えています。
下期アクション ‐高齢者施設
高齢者施設も病院に似ているところはありますが、病院に比べれば、人手不足の状況はまだ良い状況です。こちらもすでにベネッセの給食施設で「Oisix」野菜のサラダの導入などの取り組みが始まっており、非常に高い満足度で召し上がっていただいているようです。さらに、付加価値型高齢者施設において、付加価値の高い食材を提供していく営業方法を展開していきます。
下期アクション ‐保育園
保育園は社員食堂と同様に1日1食のため、人手不足という問題はありません。一方で、少子化が進む中で、保育園同士の差別化が非常に重要だということで、食の観点で他の保育園と差別化するためのお手伝いを行っていきます。
経営体制の変更
経営体制についてです。10月よりオイシックス・ラ・大地の役員である堤が、シダックスフードサービスの責任者となりました。タイパ給食モデルの構築・導入に向けて、アクションスピードをさらに加速していきたいと考えています。
以上が、下期の戦略のご説明です。
能登半島震災・豪雨 被災地支援
最後に、サステナブルトピックスについてお話しします。
能登半島震災被災地支援に関しては継続的にコミットしており、1月にシダックスの炊き出し部隊の派遣や、水や物品の輸送を行いました。また、移動スーパー「とくし丸」では、避難所ではない場所に避難している方々に対して物資をお届けし、非常に喜んでいただきました。9月にも豪雨があり、その時にも物資の支援やボランティアなどを行っています。
今後は、復旧から復興のフェーズに入ってくるタイミングです。能登半島には非常においしい水産品や、水産加工品、日本酒、さらに白米千枚田などの米がかなりあります。復興のフェーズにおいては、そのあたりの支援をしっかり行い、良い商品を作っていきたいと思っています。
サステナブル商品の販路拡大 ‐プラントベースミート
10月末から、ナチュラルローソンでプラントベースの商品が展開されています。「P肉」というプラントベースミートを使った肉まんです。こちらは肉まんですが、肉は使っていない商品で、ぜひ召し上がっていただきたいです。普通の肉まん以上に味がしみていて、かなりの新体験を味わっていただけるかと思います。
サステナブル商品の販路拡大 ‐アップサイクル
11月12日から、関西・東海エリアのファミリーマートで、規格外の焼き芋を使ったチップスの販売をスタートしています。「Oisix」ではこのようなアップサイクルの商品を作ってきましたが、それを他の流通業者にも取り上げていただくケースがかなり増えてきています。
WeSupport Family
子どもたちの応援もずっと続けています。「WeSupport Family」は、子ども食堂やフードパントリーの事務局機能を我々が担い、食品をお届けする活動です。おそらく日本で最大規模となっており、現在3万世帯弱の方々に継続的に食品を届けています。
私からのご説明は以上です。ありがとうございました。
質疑応答:上期業績が好調だった要因と「Oisix」の再成長について
質問者:通期で営業利益70億円、EBITDA110億円という計画に対して、上期は計画を上回って進捗したとのことですが、その要因をあらためて教えてください。「Oisix」の収益性の改善が大きいのか、シダックスの連結効果が想定以上だったのでしょうか?
また、「Oisix」事業について、通期計画では6,300名ほど会員数が増える予定とのことですか、こちらの進捗もうかがいたいです。収益性の改善に向けた体制作りがいつ頃まで続く想定なのか、あるいは再成長はいつ頃から見えてくるのか、お考えをお聞かせください。
髙島:関係性が非常に高い2問だと思います。1問目については、やはり「Oisix」の収益性改善が想定より良かったことが大きいです。特に単価の成長は我々が期待していた以上でした。お届けする1箱あたりの金額が高いと利益率が上がるビジネスですので、単価によって利益率自体が変わることもあり、そこが大きかったと思っています。
一方で、これ以上に収益性を上げていくためにはトップラインが伸びないといけません。今年の第2四半期には、無事に次の冷凍センターへの移転も終わり、安定稼働ができるようになりました。売上が増えても収益性を担保できる状態への準備が冷蔵・冷凍ともに整いましたので、今後の収益性改善に向けて、トップラインの伸びに大きく期待しています。
トップラインを伸ばすために、まずは会員数が底を打つように、再成長に向けて試行錯誤を続けているところです。焦ってプロモーションコストを投下し、ライトユーザーを大量に増やして、すぐに辞められてしまうようなことを繰り返さないためにも慎重に行っています。
我々の業態で新規獲得が一番多いのは新生活のタイミングです。3月、4月は引っ越したり、復職したり、あるいはお子さんの保育園や小学校への入園・入学があったりと、そのような暮らしが変わったタイミングで食の供給方法も変わるという方が多くいます。そこで新規入会する方が多いため、今、一番照準を合わせているのは来年の3月、4月あたりです。ここでしっかりと会員数を増やしていきます。
また、1月も「今年こそ料理をがんばるぞ」「今年は健康に暮らそう」「今年はダイエットをしよう」といった誓いを新たにする方々が多い時期です。そのため、1月にも少しキャンペーンを行っていきたいと思っています。そのタイミングからは安定的に会員数を純増に持っていく考えです。
質疑応答:給食事業の材料費上昇の影響について
質問者:BtoBサブスク(給食)事業について、人件費と材料費が上がっているというお話がありましたが、材料費の上昇はなかなか止めがたく、この部分に関しては中期的に影響を受け続けると理解してよろしいでしょうか?
髙島:材料費の上昇影響は受け続けることが考えられます。特に現在は米の値上がりが続いているため、その対応が必要です。
先ほどのご質問で「収益性が良くなったのは『Oisix』ですか? シダックスですか?」というお話がありましたが、「Oisix」は良くなった一方、シダックスはネガティブな状況が多くあります。
人件費も上がっていますし、材料費に関してもかなり上がっています。それに対して、さまざまな施策をした結果、横ばいで済んでいるのが現状かと思っています。ただし、施策もまだ実行しきれていませんので、下半期もさまざまな施策を取り組んでいく予定です。
業態にもよりますが、社員食堂は値上げや原材料の見直しもクライアントと交渉しながら進めやすいと思っています。今のところ、営業のコンペ勝率が上がっているのも社員食堂の領域ですので、しっかりと収益の取れる社員食堂を増やしていくことが基本的な方針になるかと考えています。
高齢者施設も比較的値上げはしやすいのですが、一番難易度が高いのは、実際のところは病院給食です。食事の量も栄養士の計算によって定められていますし、基本的には保険診療の範囲内ですので、クライアントと価格交渉をすれば済む話ではなく、国に対するロビイングも必要となってきます。
本日は4つのセグメントに分けてご説明しましたが、下半期は攻めるところと守るところに分けて、メリハリをつけながら取り組んでいきたいと思っています。いずれにしても、人件費および材料費の上昇影響を受け続けることは間違いありません。ただし、これは我々だけでなく、業界全体の話ですので、ここで解決策を見つけた企業が生き残るのだろうと考えています。
質疑応答:シダックスとのシナジー効果と収益目標について
司会者:「シダックスとのシナジー効果が業績に表れてくるのはいつ頃になる見込みでしょうか? また、シダックスの収益面での数値目標は設定していますか?」というご質問です。
髙島:本来ならば利益率が大きく下がってもおかしくないところを、この上半期で十分に収益性を保ってはいるため、シダックスとの収益効果はすでに出ているかと思います。下半期も難しいことは多いのですが、それに対するソリューションはたくさんありますし、物流や調達などやるべきことはたくさんありますので、これからもシナジー効果を発揮できるかと思っています。
このように収益性においてはすでに数字に表れていますが、構造としてはBtoCサブスク事業に近く、年度が変わるタイミングが営業の好機になります。来年の3月、4月が業者を切り替える大きなタイミングです。今から積極的に営業をかけて、下半期中にどこまで獲得できるかが売上面においては大きいかと思っています。
併せて、シダックスとオイシックス・ラ・大地で1つのモデルを作ることができれば、おそらく今のように比較的小さな給食業者が地域ごとにたくさん存在する時代から、集約化が進んでいくと思います。そうなれば、来年度の営業もどんどんかけられますし、積極的にM&Aを展開していくこともできると思っていますので、下半期はそのようなモデル作りに注力していきます。
売上高は2030年に1,000億円を目標にしていますが、もっと前倒しで実現するべくM&Aも含めて取り組んでいきたいと思っています。利益率に関しては、BtoCサブスク事業、BtoBサブスク(給食)事業ともにEBITDA10パーセントを1つの目標として考えていますので、BtoCサブスク事業と同水準の収益性を狙っていきたいと思います。
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