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■会社概要
1. 会社概要
HAPiNS<7577>は各種雑貨を扱う専門店チェーンである。全国の駅ビルやショッピングセンター、路面に165店舗の直営店と14店舗のフランチャイズ店を展開している(2018年9月末現在)。商品は、経営理念の「ハッピー創造カンパニー」のままに、癒しやカワイイをテーマに毎日の生活を彩るインテリア雑貨や生活雑貨などである。値段も手ごろなため女性を中心に、部屋に置いたりギフトにしたりと人気が高い。資本業務提携したRIZAPグループ及びRIZAPグループ子会社とコラボレーションし、2018年3月期には長らくの業績低迷から抜け出している。
PASSPORTからHAPiNSへ
2. 沿革
同社は1969年に株式会社パスポートとして設立され、PASSPORTという店名で輸入雑貨商品の販売を開始した。単品管理や物流管理、データマーチャンダイジングなどシステム化で先駆しており、徐々に業容を拡大、1997年には日本証券業協会に店頭登録、2004年にはジャスダック証券取引所に上場した。その後も自動発注システムの導入や物流機能の向上など、日本の小売業には珍しく「科学的」な経営を推進してきた。しかし、業界環境の変化などにより業績が低迷、2016年に健康コーポレーション(株)(現RIZAPグループ)と資本業務提携契約を締結して子会社となり、HAPiNS業態の開発など新たな成長戦略を展開しているところである。社名も2018年8月1日よりパスポートから株式会社HAPiNSへと変更した。
RIZAPグループ提携は再生に大きく貢献
3. 業界環境と資本業務提携の必要性
同社は2013年2月期から売上高が急激に低下し、営業利益が大きく減少し始めた。成長拡大戦略により2012年3月から大量出店を計画し、商品調達方法を、店舗がメーカーカタログを使って直接発注する方法から、すべての商品を本部で一括仕入するセントラルバイイング方式へと変更した。大量出店とセントラルバイイングによる粗利益率の上昇や店舗運営作業の軽減など経営の効率改善が目的だったが、品ぞろえの画一化により客層など立地環境を無視したことになって売上不振を招いてしまった。また、オリジナル商品を始め取扱商品の大半が輸入品だったことから、急激な円安を背景とする仕入原価の上昇によって粗利益率が低下し、2014年2月期には当期純損失を計上した。
加えて、同社が出店を開始した当初は雑貨専門店自体が珍しく競合も少なかったのだが、今やインターネット通販の隆盛に加え、100円ショップや北欧系雑貨ショップ、カテゴリーを特化した雑貨専門店、ライフスタイル提案のツールとして雑貨を導入するアパレルなど雑貨を扱う店舗が非常に多くなり、競合環境が急速に厳しくなったことも損失計上の大きな要因だと思われる。
そこで、「MDリフォーム(品ぞろえ改修)」をスローガンに、店舗仕入の復活や品ぞろえ・売り方の改善に取り組んだ。しかし、消費税増税による消費環境の悪化やオリジナル商品の開発力不足、円安の継続により、2015年2月期はさらに損失が拡大した。その後も、企画力やデザイン力が伴わず、顧客に感動を与えられるような新商品も商品量もそろわずに滞留在庫ばかりが増え、また、資金面から店舗のリニューアルが進まずに店舗の陳腐化も進行した。このため滞留在庫の処分や減損対象の店舗が増加することになる。2016年3月期には3期連続で当期純損失を計上することになり、自己資本比率が9.6%まで下がって債務超過や資金繰り難に陥る懸念が増した。このため、2016年4月におけるRIZAPグループとの資本業務提携に活路を見出すことになった。
RIZAPグループは2006年5月に札幌証券取引所アンビシャス市場へ株式上場した後、健康食品事業から自己投資産業全般※1へと段階的に業容を拡大した。その一方で、健康関連各社との資本業務提携を含めた事業展開の可能性を模索するようになり、美容・健康やアパレル、住関連ライフスタイル、エンタテイメントなどに関連する企業を子会社化してきた。RIZAPグループは、RIZAPグループと連結子会社75社(2018年3月末)で構成され、「自己投資産業グローバルNo.1」※2をグループビジョンに掲げ、美容・健康関連事業、アパレル関連事業、住関連ライフスタイル事業、エンタテイメント事業を展開している。近年、美容・健康関連事業内のパーソナルトレーニングジム「RIZAP」や独自メソッドを活用した「RIZAP GOLF」、「RIZAP ENGLISH」などの新規事業を含めた「RIZAP関連事業」がRIZAPグループの業績をけん引する一方、子会社化した企業についても上場子会社8社のうち6社で、2018年3月期第2四半期の営業利益が黒字化(前年比21億円増)するなど、グループ全体で成長を続けている。
※1 自己投資産業全般:ボディメイク・フィットネス、医療連携、化粧品・美容器具、アパレル、雑貨、エンタテイメントなど、「生活必需品産業」ではなく、すべての人がより「健康」に、より「輝く」人生を送るための事業全般を言う。具体例には、1)RIZAPにおいて、通常プログラムを終了した顧客向けに継続プログラムを提案し、徹底した行動管理で生活習慣の改善などにコミットする。2)2020年度までに1,000万人以上の顧客にRIZAPメソッドを体験してもらい、健康で輝く人生をサポートする「RIZAP1,000万人健康宣言」のもと、大学や医療機関、自治体との連携を進める。
※2 自己投資産業グローバルNo.1:医療分野への進出、海外への本格進出及び成長基盤の一層の強化等の個別戦略を通して、「生活必需品産業」ではなく、すべての人がより「健康」に、より「輝く」人生を送るための「自己投資産業」で世界No.1ブランドをつくるとのビジョン。
RIZAPグループからの出資を受け入れるに当たり、資本増強による財務体質の改善に加え、RIZAPグループの広告やプロモーション展開などマーケティング能力による同社ブランド力向上、RIZAPグループ子会社でデザイン家電や企画雑貨に強いイデアインターナショナル<3140>や夢展望<3185>などとのコラボレーションによる収益改善が期待された。2017年3月期は試行錯誤のなか構造改革を優先したため再び損失が拡大したが、2018年3月期にはシナジーが実って見事黒字転換を果たした。さらに、RIZAPグループのM&A戦略により、ジーンズメイト<7448>やワンダーコーポレーション<3344>など、組んで妙味のある企業が続々グループインしており、同社のRIZAPグループとのシナジーは広がりを見せている。なお、HAPiNSはこの試行錯誤から生まれた業態である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<MH>
1. 会社概要
HAPiNS<7577>は各種雑貨を扱う専門店チェーンである。全国の駅ビルやショッピングセンター、路面に165店舗の直営店と14店舗のフランチャイズ店を展開している(2018年9月末現在)。商品は、経営理念の「ハッピー創造カンパニー」のままに、癒しやカワイイをテーマに毎日の生活を彩るインテリア雑貨や生活雑貨などである。値段も手ごろなため女性を中心に、部屋に置いたりギフトにしたりと人気が高い。資本業務提携したRIZAPグループ及びRIZAPグループ子会社とコラボレーションし、2018年3月期には長らくの業績低迷から抜け出している。
PASSPORTからHAPiNSへ
2. 沿革
同社は1969年に株式会社パスポートとして設立され、PASSPORTという店名で輸入雑貨商品の販売を開始した。単品管理や物流管理、データマーチャンダイジングなどシステム化で先駆しており、徐々に業容を拡大、1997年には日本証券業協会に店頭登録、2004年にはジャスダック証券取引所に上場した。その後も自動発注システムの導入や物流機能の向上など、日本の小売業には珍しく「科学的」な経営を推進してきた。しかし、業界環境の変化などにより業績が低迷、2016年に健康コーポレーション(株)(現RIZAPグループ)と資本業務提携契約を締結して子会社となり、HAPiNS業態の開発など新たな成長戦略を展開しているところである。社名も2018年8月1日よりパスポートから株式会社HAPiNSへと変更した。
RIZAPグループ提携は再生に大きく貢献
3. 業界環境と資本業務提携の必要性
同社は2013年2月期から売上高が急激に低下し、営業利益が大きく減少し始めた。成長拡大戦略により2012年3月から大量出店を計画し、商品調達方法を、店舗がメーカーカタログを使って直接発注する方法から、すべての商品を本部で一括仕入するセントラルバイイング方式へと変更した。大量出店とセントラルバイイングによる粗利益率の上昇や店舗運営作業の軽減など経営の効率改善が目的だったが、品ぞろえの画一化により客層など立地環境を無視したことになって売上不振を招いてしまった。また、オリジナル商品を始め取扱商品の大半が輸入品だったことから、急激な円安を背景とする仕入原価の上昇によって粗利益率が低下し、2014年2月期には当期純損失を計上した。
加えて、同社が出店を開始した当初は雑貨専門店自体が珍しく競合も少なかったのだが、今やインターネット通販の隆盛に加え、100円ショップや北欧系雑貨ショップ、カテゴリーを特化した雑貨専門店、ライフスタイル提案のツールとして雑貨を導入するアパレルなど雑貨を扱う店舗が非常に多くなり、競合環境が急速に厳しくなったことも損失計上の大きな要因だと思われる。
そこで、「MDリフォーム(品ぞろえ改修)」をスローガンに、店舗仕入の復活や品ぞろえ・売り方の改善に取り組んだ。しかし、消費税増税による消費環境の悪化やオリジナル商品の開発力不足、円安の継続により、2015年2月期はさらに損失が拡大した。その後も、企画力やデザイン力が伴わず、顧客に感動を与えられるような新商品も商品量もそろわずに滞留在庫ばかりが増え、また、資金面から店舗のリニューアルが進まずに店舗の陳腐化も進行した。このため滞留在庫の処分や減損対象の店舗が増加することになる。2016年3月期には3期連続で当期純損失を計上することになり、自己資本比率が9.6%まで下がって債務超過や資金繰り難に陥る懸念が増した。このため、2016年4月におけるRIZAPグループとの資本業務提携に活路を見出すことになった。
RIZAPグループは2006年5月に札幌証券取引所アンビシャス市場へ株式上場した後、健康食品事業から自己投資産業全般※1へと段階的に業容を拡大した。その一方で、健康関連各社との資本業務提携を含めた事業展開の可能性を模索するようになり、美容・健康やアパレル、住関連ライフスタイル、エンタテイメントなどに関連する企業を子会社化してきた。RIZAPグループは、RIZAPグループと連結子会社75社(2018年3月末)で構成され、「自己投資産業グローバルNo.1」※2をグループビジョンに掲げ、美容・健康関連事業、アパレル関連事業、住関連ライフスタイル事業、エンタテイメント事業を展開している。近年、美容・健康関連事業内のパーソナルトレーニングジム「RIZAP」や独自メソッドを活用した「RIZAP GOLF」、「RIZAP ENGLISH」などの新規事業を含めた「RIZAP関連事業」がRIZAPグループの業績をけん引する一方、子会社化した企業についても上場子会社8社のうち6社で、2018年3月期第2四半期の営業利益が黒字化(前年比21億円増)するなど、グループ全体で成長を続けている。
※1 自己投資産業全般:ボディメイク・フィットネス、医療連携、化粧品・美容器具、アパレル、雑貨、エンタテイメントなど、「生活必需品産業」ではなく、すべての人がより「健康」に、より「輝く」人生を送るための事業全般を言う。具体例には、1)RIZAPにおいて、通常プログラムを終了した顧客向けに継続プログラムを提案し、徹底した行動管理で生活習慣の改善などにコミットする。2)2020年度までに1,000万人以上の顧客にRIZAPメソッドを体験してもらい、健康で輝く人生をサポートする「RIZAP1,000万人健康宣言」のもと、大学や医療機関、自治体との連携を進める。
※2 自己投資産業グローバルNo.1:医療分野への進出、海外への本格進出及び成長基盤の一層の強化等の個別戦略を通して、「生活必需品産業」ではなく、すべての人がより「健康」に、より「輝く」人生を送るための「自己投資産業」で世界No.1ブランドをつくるとのビジョン。
RIZAPグループからの出資を受け入れるに当たり、資本増強による財務体質の改善に加え、RIZAPグループの広告やプロモーション展開などマーケティング能力による同社ブランド力向上、RIZAPグループ子会社でデザイン家電や企画雑貨に強いイデアインターナショナル<3140>や夢展望<3185>などとのコラボレーションによる収益改善が期待された。2017年3月期は試行錯誤のなか構造改革を優先したため再び損失が拡大したが、2018年3月期にはシナジーが実って見事黒字転換を果たした。さらに、RIZAPグループのM&A戦略により、ジーンズメイト<7448>やワンダーコーポレーション<3344>など、組んで妙味のある企業が続々グループインしており、同社のRIZAPグループとのシナジーは広がりを見せている。なお、HAPiNSはこの試行錯誤から生まれた業態である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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