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マーケットエンタープライズのニュース
■業績動向
1. 2020年6月期の業績
マーケットエンタープライズ<3135>の2020年6月期の業績は、売上高10,904百万円(前期比28.7%増)、営業利益655百万円(同45.0%増)、経常利益664百万円(同45.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益291百万円(同43.1%増)となった。2020年に入って新型コロナウイルス感染症が発生・拡大し、インバウンド需要の減少や緊急事態宣言発令による外出自粛など、経済環境に大きな影響を及ぼすこととなった。依然として、感染拡大の収束時期や国内外経済に与える影響の大きさを見通せず、引き続き国内外経済の下振れリスクとなっている。そのような環境下ではあったが、同社は計画を上回る大幅な増収増益を達成することができた。
近年の個人の消費行動については、長年続く節約志向や低価格志向の一方で、個人の価値観や嗜好性に応じた多様性のある消費スタイルも徐々に浸透してきた。ネット型リユース事業を核とし「持続可能な社会を実現する最適化商社」を目指す同社は、そうした個人の消費行動に対し、また一部法人にまで拡張して、インターネットを通じて最適な消費スタイルを提供している。そのため2020年6月期は、新たな仕入・販売チャネルの開拓やメディアの運営、Webマーケティングなどサービスの拡充、2019年6月期に引き続き業務効率の継続的改善などを図った。この結果、コロナ禍で広がる巣ごもり需要の拡大を的確に捉え、同社は計画を上回って大幅な増収増益を達成することができた。加えて、IT開発力の更なる強化を目的にベトナムにオフショア開発拠点を設置し、また近年注力している農機具関連の事業を買収するなど、今後の成長へ向けて積極的な投資も実施した。
順調なネット型リユース事業に加えて巣ごもり・テレワーク特需がオン
2. セグメント別業績動向
2020年6月期のセグメント別業績は、ネット型リユース事業が売上高6,702百万円、セグメント利益547百万円、メディア事業が売上高696百万円、セグメント利益481百万円、モバイル通信事業が売上高3,873百万円、セグメント利益390百万円となった。以下でセグメントごとの詳細を見ていくが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響があるなか、ネット型リユース事業が第4四半期において当初想定を下回ったものの、メディア事業とモバイル通信事業では巣ごもり需要やテレワーク需要を的確に捉えたことで売上が大きく伸び、当初想定を上回る実績となった。
ネット型リユース事業では、引き続きWebマーケティングの精度向上や業務プロセスのIT化・標準化を通じ、業務の効率化を推進した。近年注力している法人向け大型商材である農機具においては、2020年5月にMEトレーディングを設立して事業買収を実施、国内における中古農機具の買取・販売や越境ECの機能を獲得した。さらに、「おいくら」ではマッチング精度向上に向けて継続的にシステム開発を行っており、2020年7月の本格送客の開始に目途を立てることができた。商材別では、強化中の農機具等の大型機械が前期比67.8%増と大きく伸長、ほかに巣ごもり需要を反映して楽器やPC、鉄道模型などホビー系商材が増加、新品市況の悪化や卒業式・入学式などイベント自粛の影響からカメラが不振だった。新型コロナウイルス感染症拡大の影響による緊急事態宣言発令後、営業時間の短縮や買取方法の一部自粛、広告抑制などにより買取依頼が一時的に減少した。しかし、平均販売単価3.2万円(前期並み)、年間買取依頼件数47.9万件(前期比2.8%増)、2020年6月期末のリユース品在庫384百万円を確保しており、2021年6月期の回復へ向けた態勢は整いつつある。
メディア事業では、新たに「SIMCHANGE」、「最安修理ドットコム」、「中古農機市場UMM」を事業買収で取得し、運営メディアは合計8メディア・プラットフォームとなった。なかでもモバイル通信に関するメディアでは、2019年9月と2020年5月に発売された新型iPhoneや、テレワーク導入企業の増加を背景とした通信環境の向上・改善に関する情報需要などが高まり、PV(ページビュー)数が大きく伸びた。また、巣ごもり生活による在宅時間の増加を狙って、趣味と出会うメディア「ビギナーズ」で動画配信や書籍アプリなど余暇需要の情報配信を行ったこともあり、2020年4月には同社全メディア合計PV数が1,448万と過去最高を記録した。このため、同社メディアからグループ内外の販売サイトなどへの送客が伸び、成果報酬型の広告収入が増加した。
モバイル通信事業では、メディア事業からの送客などセグメント間シナジーが効果を発揮し、新型iPhoneの発売に伴う買替需要を取り込んだ。また、新型コロナウイルス感染症拡大を背景にテレワークを導入する企業が増えたことで、通信環境の整備・強化が家庭内の喫緊の課題に浮上したことから、工事不要・最短即日発送が可能である同社サービスへの需要が高まった。このため、2020年6月期第4四半期の新規回線契約数は過去最高を記録した。
好業績の背景となる財務指標の改善
3. 財務分析
2020年6月期のROE(自己資本当期純利益率)は22.5%で、分解すると当期利益率2.7%、総資産回転率3.3回転、レバレッジ2.6倍である。ヒストリカルには総資産回転率とレバレッジが安定的で、利益率の改善がROEを押し上げる形となっており、結果、拡大投資を行いながらも2020年6月期のROEは高水準となった。同社は株式市場でも業態的にも小売りに分類されるが、インターネットをフルに利用したビジネスモデルが高いROEの要因と言えるだろう。このほか、増収率や営業増益率など成長性、自己資本比率や流動比率など安全性の指標も特に問題ないことから、経営戦略を着実に実行し、環境変化に対応しつつユーザーニーズを捉えていけば、拡大が予測されているリユース市場において、2021年6月期以降も継続的に好業績を収めることができると考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<NB>
1. 2020年6月期の業績
マーケットエンタープライズ<3135>の2020年6月期の業績は、売上高10,904百万円(前期比28.7%増)、営業利益655百万円(同45.0%増)、経常利益664百万円(同45.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益291百万円(同43.1%増)となった。2020年に入って新型コロナウイルス感染症が発生・拡大し、インバウンド需要の減少や緊急事態宣言発令による外出自粛など、経済環境に大きな影響を及ぼすこととなった。依然として、感染拡大の収束時期や国内外経済に与える影響の大きさを見通せず、引き続き国内外経済の下振れリスクとなっている。そのような環境下ではあったが、同社は計画を上回る大幅な増収増益を達成することができた。
近年の個人の消費行動については、長年続く節約志向や低価格志向の一方で、個人の価値観や嗜好性に応じた多様性のある消費スタイルも徐々に浸透してきた。ネット型リユース事業を核とし「持続可能な社会を実現する最適化商社」を目指す同社は、そうした個人の消費行動に対し、また一部法人にまで拡張して、インターネットを通じて最適な消費スタイルを提供している。そのため2020年6月期は、新たな仕入・販売チャネルの開拓やメディアの運営、Webマーケティングなどサービスの拡充、2019年6月期に引き続き業務効率の継続的改善などを図った。この結果、コロナ禍で広がる巣ごもり需要の拡大を的確に捉え、同社は計画を上回って大幅な増収増益を達成することができた。加えて、IT開発力の更なる強化を目的にベトナムにオフショア開発拠点を設置し、また近年注力している農機具関連の事業を買収するなど、今後の成長へ向けて積極的な投資も実施した。
順調なネット型リユース事業に加えて巣ごもり・テレワーク特需がオン
2. セグメント別業績動向
2020年6月期のセグメント別業績は、ネット型リユース事業が売上高6,702百万円、セグメント利益547百万円、メディア事業が売上高696百万円、セグメント利益481百万円、モバイル通信事業が売上高3,873百万円、セグメント利益390百万円となった。以下でセグメントごとの詳細を見ていくが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響があるなか、ネット型リユース事業が第4四半期において当初想定を下回ったものの、メディア事業とモバイル通信事業では巣ごもり需要やテレワーク需要を的確に捉えたことで売上が大きく伸び、当初想定を上回る実績となった。
ネット型リユース事業では、引き続きWebマーケティングの精度向上や業務プロセスのIT化・標準化を通じ、業務の効率化を推進した。近年注力している法人向け大型商材である農機具においては、2020年5月にMEトレーディングを設立して事業買収を実施、国内における中古農機具の買取・販売や越境ECの機能を獲得した。さらに、「おいくら」ではマッチング精度向上に向けて継続的にシステム開発を行っており、2020年7月の本格送客の開始に目途を立てることができた。商材別では、強化中の農機具等の大型機械が前期比67.8%増と大きく伸長、ほかに巣ごもり需要を反映して楽器やPC、鉄道模型などホビー系商材が増加、新品市況の悪化や卒業式・入学式などイベント自粛の影響からカメラが不振だった。新型コロナウイルス感染症拡大の影響による緊急事態宣言発令後、営業時間の短縮や買取方法の一部自粛、広告抑制などにより買取依頼が一時的に減少した。しかし、平均販売単価3.2万円(前期並み)、年間買取依頼件数47.9万件(前期比2.8%増)、2020年6月期末のリユース品在庫384百万円を確保しており、2021年6月期の回復へ向けた態勢は整いつつある。
メディア事業では、新たに「SIMCHANGE」、「最安修理ドットコム」、「中古農機市場UMM」を事業買収で取得し、運営メディアは合計8メディア・プラットフォームとなった。なかでもモバイル通信に関するメディアでは、2019年9月と2020年5月に発売された新型iPhoneや、テレワーク導入企業の増加を背景とした通信環境の向上・改善に関する情報需要などが高まり、PV(ページビュー)数が大きく伸びた。また、巣ごもり生活による在宅時間の増加を狙って、趣味と出会うメディア「ビギナーズ」で動画配信や書籍アプリなど余暇需要の情報配信を行ったこともあり、2020年4月には同社全メディア合計PV数が1,448万と過去最高を記録した。このため、同社メディアからグループ内外の販売サイトなどへの送客が伸び、成果報酬型の広告収入が増加した。
モバイル通信事業では、メディア事業からの送客などセグメント間シナジーが効果を発揮し、新型iPhoneの発売に伴う買替需要を取り込んだ。また、新型コロナウイルス感染症拡大を背景にテレワークを導入する企業が増えたことで、通信環境の整備・強化が家庭内の喫緊の課題に浮上したことから、工事不要・最短即日発送が可能である同社サービスへの需要が高まった。このため、2020年6月期第4四半期の新規回線契約数は過去最高を記録した。
好業績の背景となる財務指標の改善
3. 財務分析
2020年6月期のROE(自己資本当期純利益率)は22.5%で、分解すると当期利益率2.7%、総資産回転率3.3回転、レバレッジ2.6倍である。ヒストリカルには総資産回転率とレバレッジが安定的で、利益率の改善がROEを押し上げる形となっており、結果、拡大投資を行いながらも2020年6月期のROEは高水準となった。同社は株式市場でも業態的にも小売りに分類されるが、インターネットをフルに利用したビジネスモデルが高いROEの要因と言えるだろう。このほか、増収率や営業増益率など成長性、自己資本比率や流動比率など安全性の指標も特に問題ないことから、経営戦略を着実に実行し、環境変化に対応しつつユーザーニーズを捉えていけば、拡大が予測されているリユース市場において、2021年6月期以降も継続的に好業績を収めることができると考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<NB>
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