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きちり Research Memo(5):2019年6月期も新規出店効果で2ケタ増益が続く見通し

配信元:フィスコ
投稿:2018/09/19 15:28
■今後の見通し

1. 2019年6月期の業績見通し
きちり<3082>の2019年6月期の業績は売上高が前期比6.0%増の9,800百万円、営業利益が同11.7%増の400百万円、経常利益が同12.5%増の400百万円、当期純利益が同62.5%増の240百万円となる見通し。計画の前提となる既存店売上高は前期比2%減、新規出店店舗数は10店舗程度を見込んでいる。新規出店については、2018年7月にビビンバ専門店「VEGEGO(ベジゴー)」(東京都新宿区)、ミルクティー専門店「CHAVATY(チャバティ)」(東京都渋谷区)をオープンしており順調な立ち上がりを見せている。また、PFS事業についても着実な成長を見込んでいる。新たに開始したフランチャイズ事業では2018年8月に「ゆめタウン徳島店」(徳島県)がFC1号店としてオープンしているが、同社の業績計画には織り込んでいない。

売上原価率は前期比0.7ポイント上昇の27.9%を見込んでいる。食材コストの上昇が続くほか、業態の構成変化(レストラン業態の増加)も上昇要因となっている。一方、販管費率は同0.9ポイント低下の68.1%と改善傾向が続く見通し。引き続き人件費を除いた固定費率の低下が見込まれる。営業利益率は増収効果による販管費率の低下により、同0.2ポイント上昇することになる。

直近の同社の月次売上動向を見ると、2018年7月は全店ベースで前年同月比4.4%増、既存店ベースで同4.8%減となった。猛暑や豪雨災害の影響が一部であったことを考えれば、順調な滑り出しとなっている。また、外食業界全体の動向としては2017年以降、前年比で1ケタ台前半のプラス成長が続いており、同社は業界平均を上回る成長を続けていることがうかがえる。


フランチャイズ事業やグローサラント事業の開始で成長が加速化する可能性
2. 次世代型ビジネスモデルの成長戦略
同社は外食業界が現在抱える課題は、「ライフスタイルの多様化への対応」「市場規模の縮小」「人材不足」の3点にあると考えており、これら課題を克服する次世代型ビジネスモデルに取り組んでいくことで更なる成長を目指して行く戦略となっている。

(1) 「ライフスタイルの多様化への対応」
「ライフスタイルの多様化への対応」では、消費者のニーズに対応する業態を積極的に開発し、首都圏や関西圏を中心に出店していく従来の戦略に加えて、新たにフランチャイズ事業を開始することによって、自社開発した有望な業態について全国展開を進めていく戦略を打ち出している。前述したように第1弾として「いしがまやハンバーグ」のFC契約をイズミ・フード・サービスと締結し、今後は同グループが西日本エリアで展開するショッピングセンター「ゆめタウン」や「ゆめマート」(合計61店舗)での出店が期待される。また、その他にも地域に顧客基盤を持つ流通・外食企業などを対象にFC契約を締結していく考えで、2021年6月までにFC店舗で50店舗の体制を目標としている。直営店舗も含めると今後3年間で店舗数は1.6倍以上に拡大することになる。

なお、フランチャイズ事業では店舗運営指導なども行うフランチャイズ展開型(加盟金、ロイヤリティ、食材供給等が収益の柱)とブランド名を貸し出すライセンス展開型(ライセンス料、食材供給等が収益の柱)の2通りで進めていく。実際にライセンス契約での引き合いもあるようだ。ライセンス展開型に関しては海外事業会社との提携によって展開していく可能性もある。

(2) 「市場規模の縮小」
外食業界の市場規模縮小への対応としては、新たな店舗スタイルとして欧米で数年前より市場が立ち上がっている「グローサラント※」スタイルの店舗事業を展開し、拡大が続いている中食需要も取り込みながら、新市場を業界に先駆けて創出していく戦略となっている。グローサラントとは食料品店とレストランを融合したフードマーケットで、商業施設等で見かけるフードコートやイート・インとはまったく違うコンセプトとなる。

※グローサラントとはグローサリー(食料品店)とレストランを掛け合わせた造語。


同社では第1弾として、2018年4月に「ルクア大阪」にイタリアンフードマーケットの「Merca」を出店、国内で初めての本格的なグローサラントとなっている。「Merca」では各種食材の販売店のほか、9つの業態の飲食店が混在しており、子どもから大人まで幅広い年齢層の顧客がオールタイムで楽しめるフードテーマパークのようになっており、オープン直後から好評を得ている。グローサラントに関しては規模が大きくなるため、出店地域も大型商業施設に限定されるものの既に検討を進めているデベロッパーもあり、今後の動向が注目される。

(3) 「人材不足」
「人材不足」への対応としては、従来、正社員の積極採用によりアルバイトの人材不足をカバーしてきたが、新たにITを活用することで人材育成にかかるコストの効率化を進めていく。前述したようにピーシーフェーズとの資本業務提携によって、動画コンテンツを用いた人材育成サービス「shouhin」の共同開発を行い、自社の新人研修プログラムとして活用していくほか、外部企業への販売・導入コンサルティングなども進めていく計画となっている。同サービスを導入することで、従来は新人研修のために費やしていた講師スタッフ(社内人材)の時間が大幅に削減できるほか、AIなどの先進技術を活用することによって接客レベルの更なる向上につながる仕組みを作り上げていくことも可能となる。動画コンテンツでは接客の基本動作から調理方法に至るまで様々なコンテンツを取り入れることが可能だが、動画制作については自社で行うためどの範囲までをコンテンツ化するかも含めて試行錯誤しながら導入を進めていく予定になっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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配信元: フィスコ
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