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クオールホールディングスのニュース
■業績の動向
1. 2021年3月期第2四半期累計業績の概要
クオールホールディングス<3034>の2021年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比2.7%減の79,090百万円、営業利益で同39.4%減の2,080百万円、経常利益で同41.7%減の2,109百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同65.6%減の630百万円と減収減益となった。医療関連事業についてはCSO事業や医薬品製造販売事業を中心に2ケタ増収増益と順調に推移したものの、主力の保険薬局事業が新型コロナウイルス感染症拡大の影響で減収減益となったことが要因だ。感染リスクを避けるため医療機関への受診を控える動きや、処方期間を長期化する動きによって処方箋応需枚数が減少し、収益減につながった。
ただ、期初計画からは売上高、各利益ともに上振れて着地した。当初は2020年9月頃まで医療機関への受診控えの影響が続くと見ていたが、7月以降に外来診療件数が徐々に回復し、処方箋応需枚数が計画を上回った。また、薬局の人員配置を見直すなどコスト適正化プロジェクトに取り組んだことも利益の上振れ要因となった。
事業セグメント別の業績を見ると、保険薬局事業は売上高で前年同期比4.4%減の72,336百万円、経営管理料控除前のセグメント利益で同37.0%減の2,402百万円となった。処方箋単価は処方期間の長期化を主因として前年同期比8.3%上昇したものの、処方箋応需枚数が同11.4%減と落ち込んだ結果、調剤売上高は同4.1%減の66,752百万円となった。特に、処方箋単価の2割程度を占めると見られる技術料収入については、店舗ごとに枚数当たり単価が決まっているため、枚数の増減が利益に直結する構造となっている。技術料単価についてもGE医薬品取扱比率の向上などによって上昇したものの、枚数減の影響をカバーするまでには至らなかった。また、費用面では第1四半期に薬剤師など医療関連従事者に対してコロナ禍での勤務に対する感謝金として1人当たり数万円を支給したことも減益要因となっている。
一方、医療関連事業は売上高で前年同期比20.4%増の6,754百万円、経営管理料控除前のセグメント利益で同20.0%増の935百万円となった。新型コロナウイルス感染症拡大の影響はあったものの、CSO事業において業界トップクラスの取引先を持つ強みを生かして、安定的な需要を確保できたことや、2019年8月にグループ化した医薬品製造販売事業がフル寄与したことなどが増収増益要因となった。
調剤薬局店舗数はM&Aと自力出店で前期末比14店舗増の819店舗に拡大
2. 保険薬局事業の動向
(1) 調剤売上高の状況
保険薬局事業の売上高は、調剤薬局の調剤売上高と売店等の商品売上高で構成されている。このうち、2021年3月期第2四半期の調剤売上高は前年同期比4.1%減の66,752百万円となった。出店期・タイプ別内訳を見ると、自力出店店舗のうち、既存店については前年同期比2.7%減、金額ベースで563百万円の減収となり、新店については前期の期中に出店した店舗がフルに寄与したこと、並びに2021年3月期第2四半期累計期間に出店した店舗の貢献により同1.3%増、金額ベースで7百万円の増収となった。一方、M&A等で取得した店舗については、既存店と新店を分けていないため解りにくい面もあるが、前年同期比4.7%減、金額ベースで2,279百万円の減収となっている。
調剤売上高を処方箋応需枚数と処方箋単価に分解すると、2021年3月期第2四半期累計の処方箋応需枚数は前年同期比11.4%減の6,510千枚、処方箋単価は同8.3%増の10,253円となった。これらも出店期やM&Aなどの要因による影響を受けているため、以下ではそれぞれについてもう少し詳細に見る。
処方箋応需枚数の総数は前年同期比11.4%減となったが、実態に近いと考えられる既存店の処方箋応需枚数は同11.8%減となっている。前述したように、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、感染リスクを避けるために医療機関への受診を控える動きや、処方期間も長期化する動きが出たことが要因だ。
一方、処方箋単価は全体で前年同期比8.3%の上昇となったが、より実態に近い既存店に限れば同10.3%増となり、前年同期の2.5%増から大きく上昇したことになる。上昇要因としては、処方期間の長期化に伴って1枚当たりの薬剤料が上昇したことが大きい。例えば、処方期間を1週間から2週間と2倍にすれば単純に薬剤料も2倍に増加することになり、2021年3月期第2四半期累計の処方箋1枚当たりの薬剤料は10%以上の上昇となったものと見られる。
一方、調剤技術料単価についても数%程度上昇したものと見られる。調剤技術料に関しては調剤基本料や地域支援体制加算、後発医薬品調剤体制加算などの取り組みを推進するなど、自助努力で引き上げることが可能だ。特に、後発医薬品の取扱比率(数量ベース)についてはグループ全体で2019年4月時点の79.1%から2020年9月時点では82.9%まで上昇し、厚生労働省が目指しているGE比率8割の水準をクリアしている。最高点数となる28点(取扱比率85%以上の店舗)を取得した店舗の構成比も2019年4月末時点の30.8%から、2020年4月末には47.8%、同年9月末には51.2%と過半を占めるまでになっており、調剤技術料単価の上昇要因となっている。調剤技術料についてはかかりつけ薬局としての機能充実や、薬剤コスト低減に対する取り組みの成果に対して付けられる評価点、つまり店舗の付加価値分に相当するため、技術料単価をどの程度引き上げることができるかが、店舗の収益性を左右すると言っても過言ではない。
(2) 出退店とM&Aの状況
2021年3月期第2四半期末の店舗数は819店舗となり、前期末比で14店舗増加した。21店舗を新規出店し、7店舗を退店した。新規出店21店舗の内訳は、14店舗が自力出店、7店舗がM&Aによる取得となっている。
店舗タイプとしては、自力出店14店舗のうち9店舗が通常の(マンツーマン型の)クオール薬局で、4店舗が新業態(ローソン4店舗)、残り1店が売店となっている。M&Aについては、2020年7月と8月に茨城県で6店舗、8月に大阪府で1店舗を取得した。いずれも同社の注力エリアであり、ドミナント戦略を推進するなかでの取得となっている。
同社は年間50~70店舗のM&Aも含めた新規出店を進めていく方針となっているが、2021年3月期においては新型コロナウイルスの影響もあってM&A交渉が遅延するなど、全体的にスローな滑り出しとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
1. 2021年3月期第2四半期累計業績の概要
クオールホールディングス<3034>の2021年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比2.7%減の79,090百万円、営業利益で同39.4%減の2,080百万円、経常利益で同41.7%減の2,109百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同65.6%減の630百万円と減収減益となった。医療関連事業についてはCSO事業や医薬品製造販売事業を中心に2ケタ増収増益と順調に推移したものの、主力の保険薬局事業が新型コロナウイルス感染症拡大の影響で減収減益となったことが要因だ。感染リスクを避けるため医療機関への受診を控える動きや、処方期間を長期化する動きによって処方箋応需枚数が減少し、収益減につながった。
ただ、期初計画からは売上高、各利益ともに上振れて着地した。当初は2020年9月頃まで医療機関への受診控えの影響が続くと見ていたが、7月以降に外来診療件数が徐々に回復し、処方箋応需枚数が計画を上回った。また、薬局の人員配置を見直すなどコスト適正化プロジェクトに取り組んだことも利益の上振れ要因となった。
事業セグメント別の業績を見ると、保険薬局事業は売上高で前年同期比4.4%減の72,336百万円、経営管理料控除前のセグメント利益で同37.0%減の2,402百万円となった。処方箋単価は処方期間の長期化を主因として前年同期比8.3%上昇したものの、処方箋応需枚数が同11.4%減と落ち込んだ結果、調剤売上高は同4.1%減の66,752百万円となった。特に、処方箋単価の2割程度を占めると見られる技術料収入については、店舗ごとに枚数当たり単価が決まっているため、枚数の増減が利益に直結する構造となっている。技術料単価についてもGE医薬品取扱比率の向上などによって上昇したものの、枚数減の影響をカバーするまでには至らなかった。また、費用面では第1四半期に薬剤師など医療関連従事者に対してコロナ禍での勤務に対する感謝金として1人当たり数万円を支給したことも減益要因となっている。
一方、医療関連事業は売上高で前年同期比20.4%増の6,754百万円、経営管理料控除前のセグメント利益で同20.0%増の935百万円となった。新型コロナウイルス感染症拡大の影響はあったものの、CSO事業において業界トップクラスの取引先を持つ強みを生かして、安定的な需要を確保できたことや、2019年8月にグループ化した医薬品製造販売事業がフル寄与したことなどが増収増益要因となった。
調剤薬局店舗数はM&Aと自力出店で前期末比14店舗増の819店舗に拡大
2. 保険薬局事業の動向
(1) 調剤売上高の状況
保険薬局事業の売上高は、調剤薬局の調剤売上高と売店等の商品売上高で構成されている。このうち、2021年3月期第2四半期の調剤売上高は前年同期比4.1%減の66,752百万円となった。出店期・タイプ別内訳を見ると、自力出店店舗のうち、既存店については前年同期比2.7%減、金額ベースで563百万円の減収となり、新店については前期の期中に出店した店舗がフルに寄与したこと、並びに2021年3月期第2四半期累計期間に出店した店舗の貢献により同1.3%増、金額ベースで7百万円の増収となった。一方、M&A等で取得した店舗については、既存店と新店を分けていないため解りにくい面もあるが、前年同期比4.7%減、金額ベースで2,279百万円の減収となっている。
調剤売上高を処方箋応需枚数と処方箋単価に分解すると、2021年3月期第2四半期累計の処方箋応需枚数は前年同期比11.4%減の6,510千枚、処方箋単価は同8.3%増の10,253円となった。これらも出店期やM&Aなどの要因による影響を受けているため、以下ではそれぞれについてもう少し詳細に見る。
処方箋応需枚数の総数は前年同期比11.4%減となったが、実態に近いと考えられる既存店の処方箋応需枚数は同11.8%減となっている。前述したように、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、感染リスクを避けるために医療機関への受診を控える動きや、処方期間も長期化する動きが出たことが要因だ。
一方、処方箋単価は全体で前年同期比8.3%の上昇となったが、より実態に近い既存店に限れば同10.3%増となり、前年同期の2.5%増から大きく上昇したことになる。上昇要因としては、処方期間の長期化に伴って1枚当たりの薬剤料が上昇したことが大きい。例えば、処方期間を1週間から2週間と2倍にすれば単純に薬剤料も2倍に増加することになり、2021年3月期第2四半期累計の処方箋1枚当たりの薬剤料は10%以上の上昇となったものと見られる。
一方、調剤技術料単価についても数%程度上昇したものと見られる。調剤技術料に関しては調剤基本料や地域支援体制加算、後発医薬品調剤体制加算などの取り組みを推進するなど、自助努力で引き上げることが可能だ。特に、後発医薬品の取扱比率(数量ベース)についてはグループ全体で2019年4月時点の79.1%から2020年9月時点では82.9%まで上昇し、厚生労働省が目指しているGE比率8割の水準をクリアしている。最高点数となる28点(取扱比率85%以上の店舗)を取得した店舗の構成比も2019年4月末時点の30.8%から、2020年4月末には47.8%、同年9月末には51.2%と過半を占めるまでになっており、調剤技術料単価の上昇要因となっている。調剤技術料についてはかかりつけ薬局としての機能充実や、薬剤コスト低減に対する取り組みの成果に対して付けられる評価点、つまり店舗の付加価値分に相当するため、技術料単価をどの程度引き上げることができるかが、店舗の収益性を左右すると言っても過言ではない。
(2) 出退店とM&Aの状況
2021年3月期第2四半期末の店舗数は819店舗となり、前期末比で14店舗増加した。21店舗を新規出店し、7店舗を退店した。新規出店21店舗の内訳は、14店舗が自力出店、7店舗がM&Aによる取得となっている。
店舗タイプとしては、自力出店14店舗のうち9店舗が通常の(マンツーマン型の)クオール薬局で、4店舗が新業態(ローソン4店舗)、残り1店が売店となっている。M&Aについては、2020年7月と8月に茨城県で6店舗、8月に大阪府で1店舗を取得した。いずれも同社の注力エリアであり、ドミナント戦略を推進するなかでの取得となっている。
同社は年間50~70店舗のM&Aも含めた新規出店を進めていく方針となっているが、2021年3月期においては新型コロナウイルスの影響もあってM&A交渉が遅延するなど、全体的にスローな滑り出しとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
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