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STIフードホールディングスのニュース
■成長戦略
1. 生産能力の拡大
惣菜の市場が伸びており、中でもチルド惣菜がけん引していることはここまでも述べてきた。セブン-イレブンがニューノーマルに向けて店舗レイアウトを変更、その中でチルド惣菜の売場を大きく拡充していることも述べた。良品を理解してくれる小売にもSTIフードホールディングス<2932>は製品を供給したい。このため、2020年もヤマトミを子会社化するなど、同社は2016年以来M&Aにより生産能力の拡充を図ってきた。それでも、近年、セブン-イレブンの加盟店が欲するほどには同社の製品が行き渡らないこともあるようだ。このため、同社は中期的にも生産能力の増強を加速する方針である。
業績見通しの中で述べたように、2021年12月期に新設する予定の関西圏の工場で、おおむね全国の生産拠点のネットワークは確立する見通しである。これにより中期的に、売上高拡大やスケールメリットはもちろんのこと、配送体制の最適化や外注していた仕分けの内製化など物流費を大きく効率化できる見込みだ。しかしながら、その後も能力増強は必須と思われ、2023年には東京で新工場の建設を検討している。各工場での稼働率も引き上げる方針のようだ。これで、2023年12月期の生産能力は、2020年12月期の日産54.5万食から、日産97万食に達する計画である。なお、投資額は償却を上回るが事業譲受を前提にしているため、また、稼働率は各工場で年々向上していくことが想定されているため、過大な負担となるリスクは小さいといえる。
加えて2023年までに、セブン-イレブンのアジアの店舗への供給体制も整えたい意向である。台湾や韓国に、まずは全国生産体制の構築で生産能力に余裕のできる福岡工場から製品を送る考えのようだ。さらに、2025年の米国進出へ向けて準備をしていく方針である。セブン&アイホールディングスの子会社で、日本のセブン-イレブンの兄弟会社にあたる米国のセブン-イレブンは、M&Aによって積極拡大しており、成長力もグループ内で突出して高い。2021年12月期も、Speedwayの買収によって売上高が2兆円~3兆円上乗せされる見込みである。業績も好調で、すでに国内コンビニエンスストア2番手グループを上回る利益をあげている。こうした成長に乗れることは魅力だが、さらに、米国で魚食が定着しつつある割にほとんど商品化されていない模様である。このため将来的に米国進出を検討しているのだが、工場の新設など同社としては大きな勝負となりそうで、それまでに十分な力を蓄えていく方針である。
2023年12月期には売上高500億円も視野入り
2. 成長イメージ
このように、国内のセブン-イレブン向け生産能力だけ見ても、2020年12月期から2023年12月期に向けて1.8倍に拡大する見込みである。稼働率を考慮すると30万食から60万食に倍増ということになり、売上高は500億円が視野に入ってくる。加えてアジアや米国への進出を弾みに、売上高で500億円~1,000億円以上を狙っていく考えである。非常に大きな目標だが、チルド惣菜の伸びや世界的な魚食の広がりを考えると、腹に落ちない数字ではない。さらに、同社の高い技術力と一貫生産体制を背景に、カルディなど良品を理解するセブン-イレブン以外の小売との提携が広がっていくことも予想される。また、厚手のギンダラ西京漬けやのどぐろなど、一般の小売店では扱えないサイズや厚さの魚を、魚好きな人に向けてECで販売することも考えているようだ。セブン-イレブンとの取引に加えて、こうした新規販売チャネルの開拓や新製品を「創る力」の最大化も、同社の中長期的成長を押し上げることになるだろう。
海の豊かさを守る
3. SDGsへの取り組み
魚食の世界的拡大により調達のリスクが増しているが、現状、同社の販売力から商社や水産会社の協力は十分得られているようだ。しかしリスクはそれだけでなく、地球温暖化による海水温の上昇によって漁場が変わるなど、漁業自体の持続可能性が危機にさらされている。同社の原料が魚であることを考えると、それだけ同社のSDGsへの取り組みは切実である。このため同社は、持続可能性を考慮した原材料調達を実践しているのである。アラスカ・ブリストル湾の紅鮭漁に関しては漁業委員会が定めた管理区域内で、チリの銀鮭に関しては条件を満たした生簀で獲れた魚を原材料としている。このように海の豊かさを守る方針に加え、つくる側の責任としてロングライフ化によるフードロスの削減、そして窒素凍結機の導入による気候変動のそもそもの原因であるフロンガスの削減も進めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<ST>
1. 生産能力の拡大
惣菜の市場が伸びており、中でもチルド惣菜がけん引していることはここまでも述べてきた。セブン-イレブンがニューノーマルに向けて店舗レイアウトを変更、その中でチルド惣菜の売場を大きく拡充していることも述べた。良品を理解してくれる小売にもSTIフードホールディングス<2932>は製品を供給したい。このため、2020年もヤマトミを子会社化するなど、同社は2016年以来M&Aにより生産能力の拡充を図ってきた。それでも、近年、セブン-イレブンの加盟店が欲するほどには同社の製品が行き渡らないこともあるようだ。このため、同社は中期的にも生産能力の増強を加速する方針である。
業績見通しの中で述べたように、2021年12月期に新設する予定の関西圏の工場で、おおむね全国の生産拠点のネットワークは確立する見通しである。これにより中期的に、売上高拡大やスケールメリットはもちろんのこと、配送体制の最適化や外注していた仕分けの内製化など物流費を大きく効率化できる見込みだ。しかしながら、その後も能力増強は必須と思われ、2023年には東京で新工場の建設を検討している。各工場での稼働率も引き上げる方針のようだ。これで、2023年12月期の生産能力は、2020年12月期の日産54.5万食から、日産97万食に達する計画である。なお、投資額は償却を上回るが事業譲受を前提にしているため、また、稼働率は各工場で年々向上していくことが想定されているため、過大な負担となるリスクは小さいといえる。
加えて2023年までに、セブン-イレブンのアジアの店舗への供給体制も整えたい意向である。台湾や韓国に、まずは全国生産体制の構築で生産能力に余裕のできる福岡工場から製品を送る考えのようだ。さらに、2025年の米国進出へ向けて準備をしていく方針である。セブン&アイホールディングスの子会社で、日本のセブン-イレブンの兄弟会社にあたる米国のセブン-イレブンは、M&Aによって積極拡大しており、成長力もグループ内で突出して高い。2021年12月期も、Speedwayの買収によって売上高が2兆円~3兆円上乗せされる見込みである。業績も好調で、すでに国内コンビニエンスストア2番手グループを上回る利益をあげている。こうした成長に乗れることは魅力だが、さらに、米国で魚食が定着しつつある割にほとんど商品化されていない模様である。このため将来的に米国進出を検討しているのだが、工場の新設など同社としては大きな勝負となりそうで、それまでに十分な力を蓄えていく方針である。
2023年12月期には売上高500億円も視野入り
2. 成長イメージ
このように、国内のセブン-イレブン向け生産能力だけ見ても、2020年12月期から2023年12月期に向けて1.8倍に拡大する見込みである。稼働率を考慮すると30万食から60万食に倍増ということになり、売上高は500億円が視野に入ってくる。加えてアジアや米国への進出を弾みに、売上高で500億円~1,000億円以上を狙っていく考えである。非常に大きな目標だが、チルド惣菜の伸びや世界的な魚食の広がりを考えると、腹に落ちない数字ではない。さらに、同社の高い技術力と一貫生産体制を背景に、カルディなど良品を理解するセブン-イレブン以外の小売との提携が広がっていくことも予想される。また、厚手のギンダラ西京漬けやのどぐろなど、一般の小売店では扱えないサイズや厚さの魚を、魚好きな人に向けてECで販売することも考えているようだ。セブン-イレブンとの取引に加えて、こうした新規販売チャネルの開拓や新製品を「創る力」の最大化も、同社の中長期的成長を押し上げることになるだろう。
海の豊かさを守る
3. SDGsへの取り組み
魚食の世界的拡大により調達のリスクが増しているが、現状、同社の販売力から商社や水産会社の協力は十分得られているようだ。しかしリスクはそれだけでなく、地球温暖化による海水温の上昇によって漁場が変わるなど、漁業自体の持続可能性が危機にさらされている。同社の原料が魚であることを考えると、それだけ同社のSDGsへの取り組みは切実である。このため同社は、持続可能性を考慮した原材料調達を実践しているのである。アラスカ・ブリストル湾の紅鮭漁に関しては漁業委員会が定めた管理区域内で、チリの銀鮭に関しては条件を満たした生簀で獲れた魚を原材料としている。このように海の豊かさを守る方針に加え、つくる側の責任としてロングライフ化によるフードロスの削減、そして窒素凍結機の導入による気候変動のそもそもの原因であるフロンガスの削減も進めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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