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ミューチュアルのニュース
―コロナ対応で食品売り場は様変わり、関連銘柄を追う―
新型コロナウイルス の感染拡大の影響で、スーパーマーケット の売れ行きが伸びている。3月初旬から全国の小・中・高校が一斉臨時休校となったことや政府・自治体の外出自粛要請で自宅で過ごす人が増加し、食品や生活必需品を買い込む「巣ごもり」需要が発生。食料品については一部カテゴリーの商品供給に支障をきたすほどだったという。
全国スーパーマーケット協会、日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会の食品スーパー 業界3団体が4月21日に発表した3月の全国の食品スーパー売上高(速報値)で、既存店売上高は前年同月比7.4%増と前年実績を2ヵ月連続で上回った。なかでも冷凍食品 などの日配分野やカップめんなど一般食品分野が好調に推移。全店の売上高は同8.8%増の9638億円だった。
●裸売りが姿消し個包装が増える
好調な売れ行きを見せる食品スーパーで最近、新型コロナウイルスの感染拡大前と比べて様相が変わった売り場がある。総菜売り場やインストアベーカリーなどで、これまでの顧客がトングなどで商品を選ぶブュッフェスタイルを中止し、個別にパック入りする動きが広がっている。また、トングを使用することが一般的なベーカリーでは、パンを個包装する形で陳列する対応を取り始めている。このほか、ふた付きのデリカバットやショーケースでの陳列に切り替えた店舗もある。
スーパー2強の一角であるイオン <8267> は、3月から全国の店舗でこれまで利用客がトングを使用して選んでいた総菜やパン、鮮魚などの食料品を個包装に切り替えた。また、ライフコーポレーション <8194> も2月以降、総菜をふた付きのプラスチック製フードパックに入れて販売する方式に切り替え、ベーカリーコーナーではパンも袋詰めで販売するようになった。2社以外でも同様の対策をとるスーパーは多く、また多くの店舗ではトングを定期的に消毒するなどの対策もとっている。
こうした対策に伴い、プラスチック容器や軟包装材の使用量が増えている。また、前述のように冷凍食品やカップめんなどの売れ行きも好調であり、食品容器や包装に対する需要が増えつつある。
●食品容器・包装材などの需要が増加
スーパー側の動きに、いち早く対応したのは食品プラ容器最大手のエフピコ <7947> だ。同社では2月後半以降、総菜などに利用され、耐熱性を有したOPET(2軸延伸PET)製のフードパックの増産に乗り出した。また、冷蔵・冷凍することで日持ちのする精肉の売れ行きが良いことから、これらに利用されるPSP(発泡スチロール)トレーについても増産に乗り出した。更に、弁当や総菜を入れる密着できるタイプのオリジナル容器や冷凍食品内容物を乗せるトレーなども需要が増えているという。
グンゼ <3002> は、野菜など生鮮食品に使用される抗菌タイプのOPP(2軸延伸ポリプロピレン)フィルムの引き合いが増えている。食品包装プラスチックを製造する守山工場(滋賀県守山市)や子会社の福島プラスチックス(福島県本宮市)では既に増産に乗り出している。同じく食品包装フィルムを手掛けている住友ベークライト <4203> も「P-プラス」などの引き合いが増加しているようだ。
●新型コロナ関連としていまだ注目余地
食品容器や包装材を手掛ける企業は、総菜や冷凍食品など中食分野以外にも、外食分野の食品保存用向けにも製品を提供している企業が多いことから、プラスの影響ばかりではない。ただ、マスク、テレワーク、遠隔医療などに広がってきた新型コロナウイルス対策関連としてはいまだ注目余地がある。前出の3銘柄以外にも食品容器や包装に関する銘柄は多く、関連銘柄には注目が必要だろう。
中央化学 <7895> [JQ]は、スーパーやコンビニエンスストアなどで使われるプラスチック製食品包装容器のパイオニア的存在。足もとでは環境負荷低減材料を使用した環境対応製品の拡販に注力しており、第3四半期累計(19年4-12月)連結営業利益40%増に貢献した。
MICS化学 <7899> [JQ]は食品包装材を主力とする多層チューブフィルムメーカー。製品は畜産物や水産物、漬物・野菜などに使用されているが、営業減益に終わった第3四半期累計(19年5月-20年1月)連結決算では、畜産用途が減少した一方、総菜用途が増加した。
藤森工業 <7917> は、食品向けの包材や、詰め替えパウチなど日用品向けの包装材料や情報関連機器用材を製造・販売している。食品用ではレトルトパウチなどを手掛けているが、レトルト自動化充填システムなどの提案もあわせて行うことが強みとなり実績を伸ばしている。
●包装機械などにも注目
ミューチュアル <2773> [JQ]は製薬・化粧品・食品業界向け包装関連機械の中堅企業。メーカーとして機械設備製品を開発・製造しているほか、技術商社として国内外のメーカー商品の販売も手掛けている。第3四半期累計(19年4-12月)連結決算では、主力の医薬品業界向けが伸長したほか、食品業界向けが大幅増となっており、業績拡大に貢献した。
中本パックス <7811> は、食品関連の容器や包装資材など薄手のフィルムへの印刷を強みとする加工メーカー。4月13日に発表した21年2月期連結業績予想で営業利益は前期比6.2%増の16億2900万円を見込む。総菜・冷凍食品、ヨーグルト、デザート向け包材、食肉、魚用印刷付きトレーで好調を見込むことが貢献する見通しとしている。
株探ニュース
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