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ティア Research Memo(7):中期経営計画では店舗数の拡大と人財投資に取り組み、安定成長を目指す

配信元:フィスコ
投稿:2020/05/29 15:07
■今後の見通し

2. 中期経営計画
ティア<2485>は中長期目標として、「200店舗体制の実現とその後の持続的な成長を目指す」方針を掲げ、重点戦略として、1)直営会館と葬儀相談サロンの出店加速及びFCにおける計画的な出店、2)既存会館のユーザビリティ向上とWebマーケティングの強化、3)葬儀付帯業務の更なる内製化とM&Aにかかる基準の明確化、4)計画的な人財確保と教育体制の強化、の4点を挙げている。中期経営計画については毎年見直しを行っており、今回は積極的な人財投資による出店加速を打ち出していたが、新型コロナウイルスの影響が長引くようであれば、いったん、加速スピードを落として足場を固めていくことも想定しているようだ。

(1) 出店戦略及び営業戦略
2022年9月期までの年間の出店ペースは直営会館(家族葬専用ホール含む)で7店舗(2022年9月期は6店舗)、サロンで2~3店舗、FC店舗で8店舗を計画している。前回の中期経営計画との比較ではFC店舗の出店が7店舗から8店舗に上積みされている。

地区別の施策について見ると、中部地区については名古屋を中心とした愛知県内で年間5~7店舗の出店を行っていく計画で、店舗形態も家族葬専用ホールで出店していくことを基本戦略としている。核家族化を背景とした家族葬や小規模葬の需要増加に対応していくためで、家族葬専用ホールは規模も小さくて済むため出店が容易となるだけでなく、早期収益化が可能となるといったメリットもある。同社は出店を加速することで2020年9月期に名古屋市内でのトップシェア獲得も目指している。なお、既存会館についてもユーザビリティの向上を目的に年間2店舗ペースで改修工事を進め、店舗当たり収益力の向上に取り組んでいく。

一方、関西地区では2020年9月期と2021年9月期に1店舗ずつ出店し、経営基盤の強化と収益力の拡大を目指している。関東地区では、2022年9月期に埼玉県で3店舗目の出店を行う可能性がある。埼玉県では2012年9月期に1号店として越谷店を出店し順調に葬儀件数を伸ばしており、店舗の増設が必要となってきたためだ。また、東京都内については、23区内の北東部エリアを中心に年間2~3店舗ペースで葬儀相談サロンをドミナント出店していく。都内のサロン型店舗は現在、9店舗を出店し、正社員2人と非常勤社員を配置する運営体制を敷いているが、営業体制を強化すべく正社員の増員を進めていきたい考えで、2019年からは首都圏での新卒採用も開始した。関東地区については直営会館、サロン、FC店舗合わせて2020年3月末時点の14店舗(うち、サロン9店舗)から、2022年9月期には22店舗(うち、サロン16店舗)を目標としている。

FC戦略については、新規・既存クライアントの計画的な出店を推進するとともに、スーパーバイジング機能の向上とFC本部のバックアップ体制の充実を図ることで、FC店舗の収益拡大をサポートしていく方針となっている。また、マーケティング戦略としてはWebサイトからの会員獲得や葬儀受注の増加を目的に、Webマーケティングの強化に取り組んでいくほか、各店舗におけるイベント開催やチラシ広告、フリーペーパー等の活用も継続的に推進していく。

(2) 人財採用・育成戦略
人財投資については、3年間で約80人の新卒採用を計画し(初年度実績29人)、2021年春は30人の採用を計画していたが、こちらも現在の市場環境に鑑みて絞る予定となっている。教育研修については、2019年4月に新設した「THRC」で6ヶ月間の新卒教育プログラムを実施し、新入社員の離職防止と早期育成の実現を目指していく。3年前より研修期間を3ヶ月間から6ヶ月間に拡大し、葬儀業への理解度を深める研修を実施したことで離職率が50%から30%に低下したが、「THRC」でのロールプレイングとマンツーマン指導により、更なる離職率の低下が期待される。これら新卒社員の早期戦力化によって出店を迅速に進めていくことが可能となる。なお、中期経営計画における新卒採用予定数は離職率50%でも出店計画を維持できる水準となっており、離職率を同水準以下に抑制することができれば、2年目以降の採用計画を抑えることも可能となる(採用費、教育費等の軽減に寄与)。

(3) コスト低減施策とM&A戦略
コスト低減施策として、葬儀付帯業務の更なる内製化の推進に加えて、葬儀付帯品を会館へ配送するトラックについても、家族葬や小規模葬儀の増加に合わせて小型トラックを活用するなど、物流業務の効率化も推進していく。

M&A戦略については、引き続き第3の成長エンジンにできるよう、買収候補案件に対する検討プロセスの迅速化や定量的な基準を明確にし、検討を進めていく。葬儀業界では中小零細の葬儀事業者が多く※、経営者の高齢化も進んでいる。このため、M&A案件も継続的に出てきているが、古くからの葬儀社は葬儀会館の立地場所が不便なところも多く、成約に至っていない。とはいえ、今後も同社の条件にかなう案件が出てくれば、前向きに検討していく方針に変わりない。

※経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」によれば、2019年度は9,092社の事業所数(個人経営含む)に対して、資本金500万円未満の事業所が3,021社、500万円以上~5千万円未満の事業所が4,149社となっている。


(4) 経営数値目標
3ヶ年中期経営計画の経営数値目標として、2022年9月期に売上高15,350百万円、経常利益1,410百万円、親会社株主に帰属する当期純利益950百万円を掲げている。2019年9月期は先行投資費用の増加により減益となったものの、2021年9月期以降は再び増益基調に転じ、2021年9月期に過去最高益を更新する見込みとなっている。

売上計画の前提として、2020年9月期業績予想の前提条件を計画初年度とし、2年目以降は既存店伸び率を横ばいとし、新店稼働に伴う増収効果のみを見込む前提となっている。直営店における葬儀件数の3年間平均成長率8.4%増に対して、売上高は6.3%増と若干低めとなっている。家族葬の比率が上昇することで平均葬儀単価が2.0%程度下落する前提になっているものと思われる。経費見通しについては、2020年9月期業績予想の前提条件を計画初年度とし、2年目以降の計画は既存店を同額とした上で、新店稼働に伴う経費の増加及び新卒の採用計画、広告宣伝費の増額等を積み上げた数字となっている。


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配信元: フィスコ
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