436円
ティアのニュース
■事業概要
3. 顧客内訳と会員数の推移
ティア<2485>の顧客は主に個人で、直営の葬儀会館のほか自宅、寺院、公民館などを会場とした葬儀の施行全般を請け負っている。また、葬儀終了後のアフターフォローとして忌明け法要や年忌法要の請負なども行っている。2019年9月期第2四半期累計における葬儀売上高の顧客別構成比を見ると、「ティアの会」に加入する個人会員が69.2%、提携団体が25.6%、フリー客が3.4%、その他が1.8%となっており、「ティアの会」会員及び提携団体で90%以上を占めている。
「ティアの会」は入会金を支払うことにより、会員特別価格で葬儀や葬儀後の法要、香典返しなどを利用できるほか、全国2万ヶ所以上の施設(ホテル、飲食店、レジャー施設等)において利用できる「会員優待サービス」や「生き方応援ポイント」「保険サービス」「ラストメッセンジャーサービス」といった各種特典や割引サービスを受けられる同社独自の会員システムとなる。会員数は2019年3月末で延べ363,519人となり、年間約3万人のペースで会員数が拡大している。会員は将来の見込み顧客となるため、今後の収益動向を示す重要な先行指標と言える。また、提携団体とは「ティアの会」と同等のサービスが受けられる法人、施設との団体契約を指す。提携団体数についても2019年3月末時点で867団体と増加傾向が続いている。
適正な料金プランと高品質なサービス、ドミナント出店により成長を継続、「THRC」の新設により人財教育の更なる強化に取り組む
4. 同社の特徴と強み
(1) 同社の特徴
同社の最大の特徴は、「葬儀価格の完全開示化」と「適正な葬儀費用の提示」を行い、旧来の葬儀社の慣習を打ち破ったことにある。このため、葬儀単価についても全国平均が130~140万円であるのに対して、同社は約100万円と業界平均を下回る価格でサービス提供を行っている。なお、2015年9月期以降、同社の葬儀単価が下落しているが、2015年9月期については送迎バス費用の計上方法を変更したことが主因となっている(従来、葬儀費用の中に含めていたが、委託手数料分のみを費用計上)。また、2016年9月期以降は葬儀ニーズの変化(家族葬の増加)による祭壇単価や葬儀付帯品等の下落が低下要因となっている。
出店戦略ではドミナント出店により会館の相互補完性を高め、効率的に認知度向上を図りながら営業エリアを広げていく戦略を推進している。1会館の商圏は直径3km、稼働率は約80%を目安としている。会館の基本フォーマットは、建坪150~200坪(平屋1階建て~2階建て)で収容人員100~150名の式場1室(最近は規模に応じて間仕切りできるよう改修する店舗も増えている)に会食ルーム、親族控室がついたタイプで、設備投資額は150~200百万円、投資回収期間は9~10年が目安となっている。また、家族葬のニーズが増えていることに対応し、家族葬専用ホールも2018年9月より出店を開始している(名古屋市「ティア千代田橋」)。基本フォーマットは建坪60坪(平屋1階建て)で収容人員30人規模の式場1室と会食ルーム、親族控室がついたタイプとなり、設備投資額は70百万円、投資回収期間は9年を目安としている。家族葬専用ホールは既存ホールの商圏の隙間を埋めていく格好となる。敷地面積も小さいため(コンビニエンスストア程度)、従来よりも出店候補地が見つかりやすいといったメリットがある。そのほか、東京都内では葬儀会館ではなく葬儀相談サロンでの展開を進めている。東京都内では土地や家賃が高い一方で、葬儀単価が全国平均を下回る水準であること、火葬場と併設する貸式場が多いことなどから、式場を自社で用意するよりも貸式場を活用した方が効率的に事業を拡大できると考えたためだ。
(2) 同社の強み
同社の強みとしては、他社に真似のできない人財教育システムが挙げられる。「ティアアカデミー」と呼ばれる人財教育システムでは、新卒入社の新人社員は入社後6ヶ月間、中途入社の社員でも1~2ヶ月間は新人研修期間として葬祭・宗教知識、葬儀施行技術などの専門分野に加え、徳育的観点から「命」や「心」に関しての教育を実施している。現場配属後もOJTだけでなく、3ヶ月に1度は社長セミナーを受講しており、葬儀業である前に「究極のサービス業」であることを認識し、「遺族に対して最高のおもてなし」をし、感動を与えられる社員になれるよう心の教育を行っている。また、客観的な判断基準として社内検定試験を等級別に7段階に分けて実施しており、個々の社員の能力を把握できるようにしている。こうした人財教育システムが同社の質の高いサービスを作り上げており、競争力を支える源泉となっている。
なお、同社は人財教育の充実を図るべく教育専用施設「THRC」を本社隣接地に2019年4月に開設した(設備投資額は約3億円)。同施設は5階建てで1階は業務車両の駐車場スペース、2階はコンタクトセンター及び夜勤専門職等事務所、3~4階が研修施設となっている(5階の用途は未定)。3階にモデル葬儀式場を整備し、研修で模擬体験を繰り返し行うことが可能となったことで、葬儀施行技術の習得や短縮できるほかサービス品質の向上が期待できることになる。従来は、主に各店舗でのOJTで技術習得を行っていたため、一度に育成できる人数が限られるほか時間もかかっていた。「THRC」の開設によって多数の人材育成が短期間で可能となり(=新規出店余力の増大)、葬儀業の理解度をより深めることで退職率を低下させる効果も期待されている。なお、4階は大研修室(最大100名収容)と小研修室(最大40名収容)が整備されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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3. 顧客内訳と会員数の推移
ティア<2485>の顧客は主に個人で、直営の葬儀会館のほか自宅、寺院、公民館などを会場とした葬儀の施行全般を請け負っている。また、葬儀終了後のアフターフォローとして忌明け法要や年忌法要の請負なども行っている。2019年9月期第2四半期累計における葬儀売上高の顧客別構成比を見ると、「ティアの会」に加入する個人会員が69.2%、提携団体が25.6%、フリー客が3.4%、その他が1.8%となっており、「ティアの会」会員及び提携団体で90%以上を占めている。
「ティアの会」は入会金を支払うことにより、会員特別価格で葬儀や葬儀後の法要、香典返しなどを利用できるほか、全国2万ヶ所以上の施設(ホテル、飲食店、レジャー施設等)において利用できる「会員優待サービス」や「生き方応援ポイント」「保険サービス」「ラストメッセンジャーサービス」といった各種特典や割引サービスを受けられる同社独自の会員システムとなる。会員数は2019年3月末で延べ363,519人となり、年間約3万人のペースで会員数が拡大している。会員は将来の見込み顧客となるため、今後の収益動向を示す重要な先行指標と言える。また、提携団体とは「ティアの会」と同等のサービスが受けられる法人、施設との団体契約を指す。提携団体数についても2019年3月末時点で867団体と増加傾向が続いている。
適正な料金プランと高品質なサービス、ドミナント出店により成長を継続、「THRC」の新設により人財教育の更なる強化に取り組む
4. 同社の特徴と強み
(1) 同社の特徴
同社の最大の特徴は、「葬儀価格の完全開示化」と「適正な葬儀費用の提示」を行い、旧来の葬儀社の慣習を打ち破ったことにある。このため、葬儀単価についても全国平均が130~140万円であるのに対して、同社は約100万円と業界平均を下回る価格でサービス提供を行っている。なお、2015年9月期以降、同社の葬儀単価が下落しているが、2015年9月期については送迎バス費用の計上方法を変更したことが主因となっている(従来、葬儀費用の中に含めていたが、委託手数料分のみを費用計上)。また、2016年9月期以降は葬儀ニーズの変化(家族葬の増加)による祭壇単価や葬儀付帯品等の下落が低下要因となっている。
出店戦略ではドミナント出店により会館の相互補完性を高め、効率的に認知度向上を図りながら営業エリアを広げていく戦略を推進している。1会館の商圏は直径3km、稼働率は約80%を目安としている。会館の基本フォーマットは、建坪150~200坪(平屋1階建て~2階建て)で収容人員100~150名の式場1室(最近は規模に応じて間仕切りできるよう改修する店舗も増えている)に会食ルーム、親族控室がついたタイプで、設備投資額は150~200百万円、投資回収期間は9~10年が目安となっている。また、家族葬のニーズが増えていることに対応し、家族葬専用ホールも2018年9月より出店を開始している(名古屋市「ティア千代田橋」)。基本フォーマットは建坪60坪(平屋1階建て)で収容人員30人規模の式場1室と会食ルーム、親族控室がついたタイプとなり、設備投資額は70百万円、投資回収期間は9年を目安としている。家族葬専用ホールは既存ホールの商圏の隙間を埋めていく格好となる。敷地面積も小さいため(コンビニエンスストア程度)、従来よりも出店候補地が見つかりやすいといったメリットがある。そのほか、東京都内では葬儀会館ではなく葬儀相談サロンでの展開を進めている。東京都内では土地や家賃が高い一方で、葬儀単価が全国平均を下回る水準であること、火葬場と併設する貸式場が多いことなどから、式場を自社で用意するよりも貸式場を活用した方が効率的に事業を拡大できると考えたためだ。
(2) 同社の強み
同社の強みとしては、他社に真似のできない人財教育システムが挙げられる。「ティアアカデミー」と呼ばれる人財教育システムでは、新卒入社の新人社員は入社後6ヶ月間、中途入社の社員でも1~2ヶ月間は新人研修期間として葬祭・宗教知識、葬儀施行技術などの専門分野に加え、徳育的観点から「命」や「心」に関しての教育を実施している。現場配属後もOJTだけでなく、3ヶ月に1度は社長セミナーを受講しており、葬儀業である前に「究極のサービス業」であることを認識し、「遺族に対して最高のおもてなし」をし、感動を与えられる社員になれるよう心の教育を行っている。また、客観的な判断基準として社内検定試験を等級別に7段階に分けて実施しており、個々の社員の能力を把握できるようにしている。こうした人財教育システムが同社の質の高いサービスを作り上げており、競争力を支える源泉となっている。
なお、同社は人財教育の充実を図るべく教育専用施設「THRC」を本社隣接地に2019年4月に開設した(設備投資額は約3億円)。同施設は5階建てで1階は業務車両の駐車場スペース、2階はコンタクトセンター及び夜勤専門職等事務所、3~4階が研修施設となっている(5階の用途は未定)。3階にモデル葬儀式場を整備し、研修で模擬体験を繰り返し行うことが可能となったことで、葬儀施行技術の習得や短縮できるほかサービス品質の向上が期待できることになる。従来は、主に各店舗でのOJTで技術習得を行っていたため、一度に育成できる人数が限られるほか時間もかかっていた。「THRC」の開設によって多数の人材育成が短期間で可能となり(=新規出店余力の増大)、葬儀業の理解度をより深めることで退職率を低下させる効果も期待されている。なお、4階は大研修室(最大100名収容)と小研修室(最大40名収容)が整備されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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