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ベネフィット・ワンのニュース
■事業概要
1. 企業概要
ベネフィット・ワン<2412>は、1996年の設立当初から日本発のビジネスモデルによる世界的な企業を目指し、「サービスの流通創造」というビジョンを掲げている。同社自身はサービスを提供する事業者ではなく、福利厚生会員とサービス提供事業者の間に位置し、サービスをマッチングするサイトとして機能する。
サービス業では、時期による繁閑の差が大きく、利用者とサービス提供企業との間に需給ギャップが起こりやすいため、お互いに多くの機会ロスを抱えている。同社は、ユーザー課金型の有料インターネットサイトを通して、利用者(顧客)の割引ニーズ(需要)と、サービス提供企業の集客ニーズ(供給)をマッチングさせ、新たな「サービスの流通」市場を創造していくことを役割とする。
技術の進歩により在庫情報がデジタル化され、紙媒体からネット上へ移行することで、在庫情報の共有化が可能になるマーケットプレイスが誕生した。需給バランスに応じて価格を変動させるダイナミックプライシングを採用することは、機会ロスを解消し、繁閑の平準化を促進するため、供給側にも需要側にも「ムダ」がない好循環をもたらす。サービス流通のリアルタイムマッチングは、ホテルや航空券から始まったが、スマートフォンの利用機会がパソコンを上回るようになり、より日常的なグルメ、エンタメ、ヘルスケアなどに広がる環境が整ってきた。
同社は、ユーザー課金のストック収益モデルを定額制サブスクリプションモデルとして展開している。法人向け福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」は、上場企業や官公庁にも広く採用されており、業界のリーディングブランドとしての確固たるポジションを築いた。会員制優待サービスとして、宿泊施設や飲食店、レジャー施設、介護・育児サービス等、140万件以上のサービスを優待価格で利用することができる。
2004年12月にJASDAQ市場に公開した。2006年3月に東証2部に上場を果たし、2018年11月に東証1部へ指定替えした。
2. 会員数の推移
近年、企業においては、人手不足感の高まりを背景に、採用や人材の定着、エンゲージメント向上などの観点から「福利厚生」の重要性が高まっている。2020年4月の総会員数は、前年同月比73万人増の834万人であった。1年後に1,000万人の大台が見えてきた。ユーザー課金型ストックビジネスモデルであることから、会員数が積み上がるにつれて業績も拡大する。サービス提供に当たってのインフラ機能が整備されているため、会員数の増加、サービスメニューの拡大などに連動するコストの上昇は限定的になる。
働き方改革により、会員増加にフォローの風が吹く。働き方改革法により、同一労働同一賃金が大企業において2020年4月から、中小企業は2021年4月から適用される。同一労働同一賃金は、賃金だけでなく、福利厚生、キャリア形成・能力開発などが対象となり、非正規労働者に対しても従業員並みの福利厚生を提供することが求められる。約 2,000 万人の非正規労働者が潜在需要となる。
2020年4月より、日本郵政<6178>グループに所属する約43万人の従業員を対象に、福利厚生として、会員制優待サービス「ベネフィット・ステーション」の提供を開始した。対象者は、正規社員だけでなく、契約社員やパート・アルバイトを含む。
3. 事業概要
同社は、国内において福利厚生事業、パーソナル事業、CRM事業、インセンティブ事業、ヘルスケア事業、購買・精算代行事業等を手掛ける。このうち、福利厚生事業、パーソナル事業及びCRM事業が、ユーザー課金型サービスマッチングサイトである「ベネフィット・ステーション」を共通した経営資源とする。ユーザー課金制であるため、サービス提供企業から他サイトのように広告料を徴収せず、その分を割引価格という形でユーザーに還元する。ユーザーは、利用すればするほど、割引メリットを得られることになる。
2020年3月期の連結売上高37,271百万円の事業別構成比は、福利厚生事業が47.5%、パーソナル事業が6.7%、CRM事業が1.3%、インセンティブ事業が9.9%、ヘルスケア事業が28.4%、購買・精算代行事業が2.0%、海外事業が2.3%であった。2020年3月期までの3期間の年平均成長率は、福利厚生事業が7.4%の安定成長を遂げ、ヘルスケア事業が健康経営・予防医療を後押しする国策を追い風とし、28.6%の高伸長を見せた。パーソナル事業は、大口協業先の営業方針変更等が響き、-15.5%となった。インセンティブ事業は-0.5%と微減であった。
営業利益は、BtoBの福利厚生事業、BtoCのパーソナル事業とCRM事業が、「ベネフィット・ステーション」を共有していることから、合算された区分となる。同区分は、2020年3月期の営業利益8,394百万円の80%弱を占め、売上高営業利益率は全体の22.5%を上回る33.2%を達成している。法人会員増による会費収入の増加と、経費コントロールの徹底により、収益改善に成功している。インセンティブ事業は、主要顧客のポイント付与・交換が順調に進み、売上高営業利益率が21.4%に上昇した。ヘルスケア事業は、健康経営への意識の高まりにより健診・指導ともに順調に拡大し、業務改善やICT面談促進により、利益率が前期比3.6ポイント増の10.7%となった。利益率は、健康診断料が売上高に含まれることもあり、他事業より低く表示される。購買・精算代行事業は、事業規模が小さいものの、顧客基盤の拡大で運用が安定してきた。システムの開発負担等もあり、利益の寄与はまだ小さい。海外事業は、先行投資期にあるが、売上高拡大により損失が縮小するフェーズにある。シンガポールや中国において取引が伸びてきており、現地採用営業マネージャーを中心としたローカル営業体制の強化により新規獲得を加速する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<EY>
1. 企業概要
ベネフィット・ワン<2412>は、1996年の設立当初から日本発のビジネスモデルによる世界的な企業を目指し、「サービスの流通創造」というビジョンを掲げている。同社自身はサービスを提供する事業者ではなく、福利厚生会員とサービス提供事業者の間に位置し、サービスをマッチングするサイトとして機能する。
サービス業では、時期による繁閑の差が大きく、利用者とサービス提供企業との間に需給ギャップが起こりやすいため、お互いに多くの機会ロスを抱えている。同社は、ユーザー課金型の有料インターネットサイトを通して、利用者(顧客)の割引ニーズ(需要)と、サービス提供企業の集客ニーズ(供給)をマッチングさせ、新たな「サービスの流通」市場を創造していくことを役割とする。
技術の進歩により在庫情報がデジタル化され、紙媒体からネット上へ移行することで、在庫情報の共有化が可能になるマーケットプレイスが誕生した。需給バランスに応じて価格を変動させるダイナミックプライシングを採用することは、機会ロスを解消し、繁閑の平準化を促進するため、供給側にも需要側にも「ムダ」がない好循環をもたらす。サービス流通のリアルタイムマッチングは、ホテルや航空券から始まったが、スマートフォンの利用機会がパソコンを上回るようになり、より日常的なグルメ、エンタメ、ヘルスケアなどに広がる環境が整ってきた。
同社は、ユーザー課金のストック収益モデルを定額制サブスクリプションモデルとして展開している。法人向け福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」は、上場企業や官公庁にも広く採用されており、業界のリーディングブランドとしての確固たるポジションを築いた。会員制優待サービスとして、宿泊施設や飲食店、レジャー施設、介護・育児サービス等、140万件以上のサービスを優待価格で利用することができる。
2004年12月にJASDAQ市場に公開した。2006年3月に東証2部に上場を果たし、2018年11月に東証1部へ指定替えした。
2. 会員数の推移
近年、企業においては、人手不足感の高まりを背景に、採用や人材の定着、エンゲージメント向上などの観点から「福利厚生」の重要性が高まっている。2020年4月の総会員数は、前年同月比73万人増の834万人であった。1年後に1,000万人の大台が見えてきた。ユーザー課金型ストックビジネスモデルであることから、会員数が積み上がるにつれて業績も拡大する。サービス提供に当たってのインフラ機能が整備されているため、会員数の増加、サービスメニューの拡大などに連動するコストの上昇は限定的になる。
働き方改革により、会員増加にフォローの風が吹く。働き方改革法により、同一労働同一賃金が大企業において2020年4月から、中小企業は2021年4月から適用される。同一労働同一賃金は、賃金だけでなく、福利厚生、キャリア形成・能力開発などが対象となり、非正規労働者に対しても従業員並みの福利厚生を提供することが求められる。約 2,000 万人の非正規労働者が潜在需要となる。
2020年4月より、日本郵政<6178>グループに所属する約43万人の従業員を対象に、福利厚生として、会員制優待サービス「ベネフィット・ステーション」の提供を開始した。対象者は、正規社員だけでなく、契約社員やパート・アルバイトを含む。
3. 事業概要
同社は、国内において福利厚生事業、パーソナル事業、CRM事業、インセンティブ事業、ヘルスケア事業、購買・精算代行事業等を手掛ける。このうち、福利厚生事業、パーソナル事業及びCRM事業が、ユーザー課金型サービスマッチングサイトである「ベネフィット・ステーション」を共通した経営資源とする。ユーザー課金制であるため、サービス提供企業から他サイトのように広告料を徴収せず、その分を割引価格という形でユーザーに還元する。ユーザーは、利用すればするほど、割引メリットを得られることになる。
2020年3月期の連結売上高37,271百万円の事業別構成比は、福利厚生事業が47.5%、パーソナル事業が6.7%、CRM事業が1.3%、インセンティブ事業が9.9%、ヘルスケア事業が28.4%、購買・精算代行事業が2.0%、海外事業が2.3%であった。2020年3月期までの3期間の年平均成長率は、福利厚生事業が7.4%の安定成長を遂げ、ヘルスケア事業が健康経営・予防医療を後押しする国策を追い風とし、28.6%の高伸長を見せた。パーソナル事業は、大口協業先の営業方針変更等が響き、-15.5%となった。インセンティブ事業は-0.5%と微減であった。
営業利益は、BtoBの福利厚生事業、BtoCのパーソナル事業とCRM事業が、「ベネフィット・ステーション」を共有していることから、合算された区分となる。同区分は、2020年3月期の営業利益8,394百万円の80%弱を占め、売上高営業利益率は全体の22.5%を上回る33.2%を達成している。法人会員増による会費収入の増加と、経費コントロールの徹底により、収益改善に成功している。インセンティブ事業は、主要顧客のポイント付与・交換が順調に進み、売上高営業利益率が21.4%に上昇した。ヘルスケア事業は、健康経営への意識の高まりにより健診・指導ともに順調に拡大し、業務改善やICT面談促進により、利益率が前期比3.6ポイント増の10.7%となった。利益率は、健康診断料が売上高に含まれることもあり、他事業より低く表示される。購買・精算代行事業は、事業規模が小さいものの、顧客基盤の拡大で運用が安定してきた。システムの開発負担等もあり、利益の寄与はまだ小さい。海外事業は、先行投資期にあるが、売上高拡大により損失が縮小するフェーズにある。シンガポールや中国において取引が伸びてきており、現地採用営業マネージャーを中心としたローカル営業体制の強化により新規獲得を加速する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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