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SBSホールディングスのニュース
■今後の見通し
2. 今後の成長戦略
SBSホールディングス<2384>は「非連続的な成長戦略」(M&A及びPMI)と「自律的な成長戦略」(EC物流の拡大、「IT×LT」導入、物流施設の開発)を組み合わせることでシナジーを創出し、持続的な成長を目指していく方針だ。
(1) M&Aの実績とPMIの成果
同社はM&A戦略として、大型M&A案件に取り組む一方で中堅企業のM&Aや「スモールM&A」にも注力している。2021年のM&A実績としては6社(関連会社の日本物流未来投資(株)の出資先である1社を含む)となった。中規模案件として2021年12月に古河電工グループの物流会社であるSBS古河物流を子会社化した。年間売上規模は約160億円で、光ファイバーやワイヤーハーネス等の物流を手掛けている。リソース不足により売上規模は伸び悩んでいたが、グループ会社との連携を図ることで、古河電工グループとの今後の取引拡大が期待される。
東洋運輸倉庫については売上規模が24億円と小さいものの、東京臨海部に物流拠点を2拠点(延床面積18,000坪)展開しており、首都圏での物流能力拡大に貢献する。旭新運輸開発、日ノ丸急送については西日本エリアの物流ネットワーク強化を目的に子会社化した。両社の保有車両を活用することで庸車代の抑制効果が見込まれる。2021年7月に子会社化した福島県に本社を置くジャスは、東北地域での企業・個人向け小口配送や量販店向け物流を手掛けており、ラストワンマイルのEC物流強化に加えて、関東圏への幹線網拡大を目的に子会社化した。
そのほか、同社と(株)日本政策投資銀行の合弁会社である日本物流未来投資が2020年11月に出資した第1号案件である(株)アイアンドアイを2021年10月に子会社化した。日本物流未来投資では中小零細の物流会社に出資し、経営内容を改善したうえで同社がグループ化するスキームで設立した投資運用会社であり、出資実績としては2社(2021年3月に(株)創友に出資)となっている。今後もさらに出資先を増やし、ラストワンマイルの物流強化に取り組んでいく戦略となっている。
一方、大型M&A案件のPMI後の効果も期待される。M&A後は2~3年かけて既存の経営情報システムの離脱・統合プロセスを行う必要があり、その後にシナジー効果が顕在化することになる。2018年8月に子会社化したSBSリコーロジスティクスの事例で見れば、2021年12月期中にシステムの統合がほぼ完了し、グループ各社との協働、グループ横断プロジェクトにも取り組んできた効果が2021年12月期に顕在化した格好となっている。具体的には、2018年12月期から3年間で売上高が23%増加し、増加分の大半は旧親会社以外の業務・顧客開拓で伸ばしたことになる。旧親会社以外の顧客の売上比率は2018年12月期の38%から2021年12月期は49%に上昇し、2022年12月期に50%を超えるのは確実な情勢だ。SBS即配サポートとの連携によるラストワンマイルプロジェクトにおいて、SBSリコーロジスティクスが全国に持つ配送ネットワークを活用し、首都圏で受託していた大手EC企業の配送エリアを全国に拡大していることは、シナジーの一例である。
そのほか、グループ横断プロジェクトでは、「IT×LT」導入プロジェクトについて、SBSリコーロジスティクスの企画開発メンバーとSBSロジコムの3PL分析チームで構成する「LT企画部」を設置し、現場へのLT実装が順次進行中となっている。SBSリコーロジスティクスだけでなくSBS東芝ロジスティクスでもLT分野に深い知見を持つ人材が多く、LT分野への取り組みについては業界でも先頭グループに立っているものと考えられる。
SBS東芝ロジスティクスでのPMIスケジュールについては、経営システムの離脱・統合を2023年までに完了する予定だ。また、グループ間での「IT×LT」のナレッジ共有や海外拠点の統合なども進めていく。2022年2月に本社機能を西新宿に移転したことにより、グループ間の相互交流が活発化しさらなる連携強化が促進されるものと期待される。
(2) EC物流の強化
EC市場の拡大が続くなか、同社グループでも同市場の成長を取り込むべくEC物流の強化に取り組んでいく。具体的には、EC物流のサービス開発に向けてグループ各社から専門知識を有する若手リーダーを集め、グループ横断プロジェクトを発足している。「IT×LT」、宅配、物流施設、3PL、フルフィルメント、ラストワンマイル等の観点から、同社の強みを有するサービスを開発・提供していく予定で、顧客は大手EC企業だけでなく中小EC事業者も含めて開拓していく方針だ。EC物流の売上高は現状で年間300億円規模となっているが、2030年までに1,000億円に拡大することを目指している。
なお、宅配サービスの取り組みとして2019年より読売新聞グループ本社と提携し、読売新聞販売店(YC)を活用したサービス「YCお届け便」を東京23区内で開始したが、その後順調にエリアの拡大と荷主の獲得(1社から複数社へ)が進み、2021年12月期には都内全域(島しょ部除く)にサービスエリアを拡大している。今後も神奈川、埼玉、千葉と順次エリアを拡大していく予定となっている。
(3) 「IT×LT」の導入推進
物流サービスの競争力強化を図るため、「IT×LT」の導入プロジェクトを2021年からグループ各社で順次進めている。「IT×LT」の物流現場への導入によって業務効率化による生産性向上を図り、競争力を強化していくことでさらなる事業規模の拡大を図っていく戦略となっている。実際に、棚搬送ロボットシステムや画像一括検品システム等の導入により、従来よりも生産性が2~3倍に向上した現場も出てきており、これらをグループ間で横展開していくことで全体の競争力向上が見込まれる。同社の3PL事業の収益率は5%前後と見られるが、「IT×LT」の導入推進によって将来的には7~8%まで引き上げていくことを目指している。
なお、2021年10月にSBSリコーロジスティクスの物流センターとして稼働を開始した「物流センター横浜金沢」は、省力化や自動化による生産性の飛躍的向上を目指すことを目的に開発された物流センターで、国内最大規模のオートストア(自動倉庫システム)のほか、最新鋭のマテハン搬送設備やAIツールを導入している。首都圏に複数分散している大塚商会のオフィスサプライ通販「たのめーる」の中核物流拠点としていく予定で、今後段階的に取扱量を増やしていく計画だ。生産性向上の効果がどの程度得られるか注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 今後の成長戦略
SBSホールディングス<2384>は「非連続的な成長戦略」(M&A及びPMI)と「自律的な成長戦略」(EC物流の拡大、「IT×LT」導入、物流施設の開発)を組み合わせることでシナジーを創出し、持続的な成長を目指していく方針だ。
(1) M&Aの実績とPMIの成果
同社はM&A戦略として、大型M&A案件に取り組む一方で中堅企業のM&Aや「スモールM&A」にも注力している。2021年のM&A実績としては6社(関連会社の日本物流未来投資(株)の出資先である1社を含む)となった。中規模案件として2021年12月に古河電工グループの物流会社であるSBS古河物流を子会社化した。年間売上規模は約160億円で、光ファイバーやワイヤーハーネス等の物流を手掛けている。リソース不足により売上規模は伸び悩んでいたが、グループ会社との連携を図ることで、古河電工グループとの今後の取引拡大が期待される。
東洋運輸倉庫については売上規模が24億円と小さいものの、東京臨海部に物流拠点を2拠点(延床面積18,000坪)展開しており、首都圏での物流能力拡大に貢献する。旭新運輸開発、日ノ丸急送については西日本エリアの物流ネットワーク強化を目的に子会社化した。両社の保有車両を活用することで庸車代の抑制効果が見込まれる。2021年7月に子会社化した福島県に本社を置くジャスは、東北地域での企業・個人向け小口配送や量販店向け物流を手掛けており、ラストワンマイルのEC物流強化に加えて、関東圏への幹線網拡大を目的に子会社化した。
そのほか、同社と(株)日本政策投資銀行の合弁会社である日本物流未来投資が2020年11月に出資した第1号案件である(株)アイアンドアイを2021年10月に子会社化した。日本物流未来投資では中小零細の物流会社に出資し、経営内容を改善したうえで同社がグループ化するスキームで設立した投資運用会社であり、出資実績としては2社(2021年3月に(株)創友に出資)となっている。今後もさらに出資先を増やし、ラストワンマイルの物流強化に取り組んでいく戦略となっている。
一方、大型M&A案件のPMI後の効果も期待される。M&A後は2~3年かけて既存の経営情報システムの離脱・統合プロセスを行う必要があり、その後にシナジー効果が顕在化することになる。2018年8月に子会社化したSBSリコーロジスティクスの事例で見れば、2021年12月期中にシステムの統合がほぼ完了し、グループ各社との協働、グループ横断プロジェクトにも取り組んできた効果が2021年12月期に顕在化した格好となっている。具体的には、2018年12月期から3年間で売上高が23%増加し、増加分の大半は旧親会社以外の業務・顧客開拓で伸ばしたことになる。旧親会社以外の顧客の売上比率は2018年12月期の38%から2021年12月期は49%に上昇し、2022年12月期に50%を超えるのは確実な情勢だ。SBS即配サポートとの連携によるラストワンマイルプロジェクトにおいて、SBSリコーロジスティクスが全国に持つ配送ネットワークを活用し、首都圏で受託していた大手EC企業の配送エリアを全国に拡大していることは、シナジーの一例である。
そのほか、グループ横断プロジェクトでは、「IT×LT」導入プロジェクトについて、SBSリコーロジスティクスの企画開発メンバーとSBSロジコムの3PL分析チームで構成する「LT企画部」を設置し、現場へのLT実装が順次進行中となっている。SBSリコーロジスティクスだけでなくSBS東芝ロジスティクスでもLT分野に深い知見を持つ人材が多く、LT分野への取り組みについては業界でも先頭グループに立っているものと考えられる。
SBS東芝ロジスティクスでのPMIスケジュールについては、経営システムの離脱・統合を2023年までに完了する予定だ。また、グループ間での「IT×LT」のナレッジ共有や海外拠点の統合なども進めていく。2022年2月に本社機能を西新宿に移転したことにより、グループ間の相互交流が活発化しさらなる連携強化が促進されるものと期待される。
(2) EC物流の強化
EC市場の拡大が続くなか、同社グループでも同市場の成長を取り込むべくEC物流の強化に取り組んでいく。具体的には、EC物流のサービス開発に向けてグループ各社から専門知識を有する若手リーダーを集め、グループ横断プロジェクトを発足している。「IT×LT」、宅配、物流施設、3PL、フルフィルメント、ラストワンマイル等の観点から、同社の強みを有するサービスを開発・提供していく予定で、顧客は大手EC企業だけでなく中小EC事業者も含めて開拓していく方針だ。EC物流の売上高は現状で年間300億円規模となっているが、2030年までに1,000億円に拡大することを目指している。
なお、宅配サービスの取り組みとして2019年より読売新聞グループ本社と提携し、読売新聞販売店(YC)を活用したサービス「YCお届け便」を東京23区内で開始したが、その後順調にエリアの拡大と荷主の獲得(1社から複数社へ)が進み、2021年12月期には都内全域(島しょ部除く)にサービスエリアを拡大している。今後も神奈川、埼玉、千葉と順次エリアを拡大していく予定となっている。
(3) 「IT×LT」の導入推進
物流サービスの競争力強化を図るため、「IT×LT」の導入プロジェクトを2021年からグループ各社で順次進めている。「IT×LT」の物流現場への導入によって業務効率化による生産性向上を図り、競争力を強化していくことでさらなる事業規模の拡大を図っていく戦略となっている。実際に、棚搬送ロボットシステムや画像一括検品システム等の導入により、従来よりも生産性が2~3倍に向上した現場も出てきており、これらをグループ間で横展開していくことで全体の競争力向上が見込まれる。同社の3PL事業の収益率は5%前後と見られるが、「IT×LT」の導入推進によって将来的には7~8%まで引き上げていくことを目指している。
なお、2021年10月にSBSリコーロジスティクスの物流センターとして稼働を開始した「物流センター横浜金沢」は、省力化や自動化による生産性の飛躍的向上を目指すことを目的に開発された物流センターで、国内最大規模のオートストア(自動倉庫システム)のほか、最新鋭のマテハン搬送設備やAIツールを導入している。首都圏に複数分散している大塚商会のオフィスサプライ通販「たのめーる」の中核物流拠点としていく予定で、今後段階的に取扱量を増やしていく計画だ。生産性向上の効果がどの程度得られるか注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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