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ディップのニュース
―最低賃金引き上げで経済活性化、リモートワーク時代の流れにも乗る「働く」とは―
菅首相は今月14日の経済財政諮問会議で、最低賃金について「より早期に全国平均1000円とすることを目指し、本年の引き上げに取り組む」と明言した。これは、都市部に偏在する人材の地方への移住を促すことで地方経済の活性化を目指すものだ。新型コロナウイルス感染症拡大の長期化は、産業構造の変化やビジネスモデルに不可逆な変化をもたらすものになる可能性が高いといわれている。コロナ禍で企業における業務の明確化がより顕著なものとなり、「ジョブ型雇用」の導入や「副業」を認める動きも活発化している。また、新型コロナを契機に企業の導入が加速した リモートワークは、企業のみならず、人材ビジネス業界にも地殻変動を生じさせることになった。そんななか、収益機会拡大が見込まれる人材の マッチングに関連したテーマ株が市場の関心を集めている。
●緊急事態宣言発令も転職求人倍率上昇傾向
総合人材サービスのパーソルホールディングス <2181> が運営する転職サービス「doda(デューダ)」が発表した2021年4月の転職求人倍率は1.88倍だった。転職求人倍率とは、ホワイトカラー層を中心とした転職マーケットにおける需給バランスを表すもので、同社ではdodaエージェントサービス登録者(転職希望者)1人に対して、中途採用の求人が何件あるかを算出している。4月は東京都などに対して緊急事態宣言が発令されたにもかかわらず、求人数、転職希望者数はともに前月から増え、求人倍率が前月から0.02ポイント上昇した。新年度の募集が始まったことに加え、昨年新型コロナウイルスの感染拡大の影響で抑制していた採用を回復させる動きが反映された。特に、転職希望者数は20年6月以来、過去最高値を更新した。これに対して同社は「新型コロナの影響で、未来のキャリアについて検討する意識が高まり、登録が増えた」としている。
●労働市場のミスマッチ解消目指すクラウドW
人材マッチング事業が主力のクラウドワークス <3900> [東証M]に注目したい。同社は業界最大級の副業マッチングサービス「CrowdLinks(クラウドリンクス)」を運営しており、労働市場のミスマッチをなくすことを目標として事業に取り組んでいる。足もとはマッチング事業への集中投資による順調な成長と生産性向上への取り組みが奏功し、今21年9月期単独営業利益予想を1億円から3億円へ上方修正した。また、今期に連結子会社を吸収合併して単独決算に移行したため、前期との比較はないものの、生産性の向上により収益性が改善し実質営業利益の黒字転換を果たすとしている。
●「エニークラッチリモート」手掛けるfonfun
電子メールを携帯電話などに転送するサービスを手がけるfonfun <2323> [JQ]にも注目。同社が運営する「フォンファン エニークラッチリモート」は、会社にあるパソコンを自宅のパソコンやタブレット端末などから遠隔操作することができるサービスで、リモートワーク浸透の恩恵を受けている。21年3月期連結営業利益は前の期比7.7倍の4300万円と計画から上振れして着地したが、続く22年3月期も前期比57.4%増の6900万円と高水準の利益成長を見込んでいる。
●最悪期から脱却しつつあるジェイエイシ
ジェイエイシーリクルートメント <2124> は人材紹介大手で、高単価案件や外資系に強みを持っている。20年5月以降、業界全体の求人掲載数が前年同期比でほぼ半減する状況が続くなか、21年1-3月期の連結営業利益は17億9900万円(前年同期比2.8%減)と、上期計画の28億400万円に対する進捗率が64%と順調だった。前期の業績悪から脱却しつつある。
●利益改善で注目されるランサーズ、ディップ
ランサーズ <4484> [東証M]は企業とフリーランスをマッチングさせるプラットフォーム事業を運営している。19年12月に東証マザーズに新規上場してまだ1年半程度だが、インターネットを通じて単発で仕事を請け負う「ギグワーク」関連株として注目度は高い。同社は、コロナ禍による影響はあったものの、21年3月期営業利益は3600万円(前の期3億700万円の赤字)と計画の1000万円に対して若干上振れて着地。22年3月期は、事業の新規カテゴリー拡大やマッチングの多様化などに対応した開発とマーケティングを中心に投資を行い、営業損益は一時的に悪化すると見込んでいる。しかし、直近1~3月期は、取引単価のアップによって営業損益は5000万円の黒字(前年同期1億3700万円の赤字)と業績は好転している。
求人情報サイト「バイトル」や「はたらこねっと」を主力に展開するディップ <2379> は、22年2月期の連結営業利益が77億~118億円(前期比5.3%~61.4%増)と増益を計画している。アルバイト求人を主力とする人材サービス事業で、営業力を強化し、下期に20年2月期並みの利益率水準に回復すると想定している。更に、通期配当予想についても61~79円と前期実績の56円に対して増配するとしており、これも評価ポイントになる。
●クラウドワーカー活用するうるる
クラウドワーカーの活用により、官公庁などの入札案件情報を収集し提供するサービスに注力するうるる <3979> [東証M]にも目を配っておきたい。同社は、主力の入札情報速報サービス「NJSS(エヌジェス)」が好調で売り上げを伸ばしている。中長期的な成長に向けた投資によって22年3月期連結営業損益は3億4000万円の赤字を見込む。しかし、トップラインは前期比21.2%増の39億円と大幅成長トレンドが続く見通し。
株探ニュース
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