202円
nms ホールディングスのニュース
■今後の見通し
1. 2022年3月期の業績予想
nmsホールディングス<2162>の2022年3月期の業績予想は、売上高が69,000百万円(前期比25.8%増)、営業利益が1,200百万円(同74.1%増)、経常利益が1,200百万円(同655.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が600百万円(前期は735百万円の損失)となっている。先行き不透明な事業環境は続いているものの、各事業とも需要は旺盛な状況が続いている。部材不足による顧客企業の一時的な生産減や計画の後ろ倒しなどがあるものの、受注の勢いは衰えておらず受注残が積み上がっており、各事業とも部材不足解消後の時期や2023年3月期につながる取り組みを進めている。
前述のとおり、受注残が伸びていることから、今後の業績成長のポテンシャルは大きい。ただ、目先は新型コロナウイルスの新種が蔓延する可能性があるなど、事業環境の不透明感は残る。2022年3月期下期にどれだけコロナ禍による影響が緩和されるかは見通しづらいものの、旺盛な需要が確認できている分、成長期待は株式市場でも高いと弊社は考える。
なお、同社は2021年12月6日に兼松<8020>との資本提携を解消すると発表した。両社は2015年に資本・業務提携契約を締結し、EMS事業の拡大や海外事業展開における協業など、様々な取り組みを進めてきた。今回、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行を可能とする体制の確保が必要との判断に至り、資本提携を解消する。なお、業務提携は継続するとしている。
2. セグメント別業績概要
(1) HS事業
需要は引き続き高水準を維持しており、製造業の人手不足も継続するなど、HS事業の市場状況は良好である。こうしたなか、同事業ではグループ内製造受託インフラ・ノウハウを顧客ニーズに合わせて提案・提供するほか、製造業のファブレス化への即応、「人材+ものづくり」ビジネスモデルを横展開するなど、請負・受託の事業規模拡大を図るとしている。また、製造業の海外進出・製造支援サービス事業については、住友商事<8053>との業務提携をきっかけに、ベトナム・タンロン工業団地でワンストップサービスを提供するほか、「人材ソリューション+製造支援」に則り顧客の安定した生産をサポートするなど、事業の拡大を図っていく。さらに、エンジニア採用・育成プログラムの強化、ジョブグレードアップ制度の高度化、タイ・レムチャバン工科大学と「職業教育訓練制度」協力に合意したことなどを通じて、人材育成も推進する計画だ。
目先は部材価格の高騰などネガティブな要素もあるものの、こうした積極的な取り組みを通じ、同社はアフターコロナを見据えた訴求力の高いデジタルプラットフォームを構築する。具体的には、人材ビジネスノウハウをベースとした製造業のファブレス化、ものづくり高度化に貢献する独自のデジタルプラットフォーム「製造DX」を構築していく考えである。
(2) EMS事業
EMS事業では、2022年3月期は部材不足やコロナ禍による影響を受けているものの、2023年3月期から新規受注・生産拡大が活発化する見通しである。こうしたなか、同社はベトナム拠点とメキシコ拠点において各種活動に注力していく。2021年6月に新規品生産立ち上げを開始したベトナム拠点では、車載用ワイヤレス充電器関連やAV・音響機器関連など、プレス技術を核に完成品まで生産できる特長を生かし、ベトナムへの生産移管を進める日系企業のニーズに合わせた対応を進めていく。メキシコ拠点では生産計画が後ろ倒しになっていた顧客からの受注が再開され、2023年3月期からの生産立ち上げに向け準備を開始している。主軸の車載関連部品に加え、家電や工具、産業機器など、幅広い分野における基板実装ビジネスを北中米で展開していく計画である。
市場規模の大きい車載関連市場を中心に、足元では海外事業での事業体制が整いつつあり着実に成長基盤は強まっている。加えて日本基準の高品質な商材・サービスを提供できることも強みであり、価格高騰の安定化が進むにつれて、収益は長期安定的に伸びると弊社は見ている。
(3) PS事業
PS事業では、高圧電源、マグネットロールを中心に安定した収益体質への足掛かりを構築するほか、マグネットロールではASEANにおける販売に着手するなど、主軸製品の収益基盤を強化していく。また、産業機器市場への製品展開、新規顧客の獲得・拡販も進めていく。さらに、部材調達難・部材価格高騰といった厳しい事業環境ではあるものの、省人化・自動化ニーズのよるロボティクス市場の拡大や、コロナ禍を背景とした殺菌・滅菌機器市場への製品展開を実行するなど、新たな市場を開拓していく考えだ。加えて、電池パック技術を横展開し、新分野需要に対応していく。具体的には、安心安全の電源設計技術と蓄電・充電技術・ノウハウを生かしてターゲット分野を拡大するほか、建機・農機の電動化ニーズによる販売拡大を推進していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
<EY>
1. 2022年3月期の業績予想
nmsホールディングス<2162>の2022年3月期の業績予想は、売上高が69,000百万円(前期比25.8%増)、営業利益が1,200百万円(同74.1%増)、経常利益が1,200百万円(同655.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が600百万円(前期は735百万円の損失)となっている。先行き不透明な事業環境は続いているものの、各事業とも需要は旺盛な状況が続いている。部材不足による顧客企業の一時的な生産減や計画の後ろ倒しなどがあるものの、受注の勢いは衰えておらず受注残が積み上がっており、各事業とも部材不足解消後の時期や2023年3月期につながる取り組みを進めている。
前述のとおり、受注残が伸びていることから、今後の業績成長のポテンシャルは大きい。ただ、目先は新型コロナウイルスの新種が蔓延する可能性があるなど、事業環境の不透明感は残る。2022年3月期下期にどれだけコロナ禍による影響が緩和されるかは見通しづらいものの、旺盛な需要が確認できている分、成長期待は株式市場でも高いと弊社は考える。
なお、同社は2021年12月6日に兼松<8020>との資本提携を解消すると発表した。両社は2015年に資本・業務提携契約を締結し、EMS事業の拡大や海外事業展開における協業など、様々な取り組みを進めてきた。今回、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行を可能とする体制の確保が必要との判断に至り、資本提携を解消する。なお、業務提携は継続するとしている。
2. セグメント別業績概要
(1) HS事業
需要は引き続き高水準を維持しており、製造業の人手不足も継続するなど、HS事業の市場状況は良好である。こうしたなか、同事業ではグループ内製造受託インフラ・ノウハウを顧客ニーズに合わせて提案・提供するほか、製造業のファブレス化への即応、「人材+ものづくり」ビジネスモデルを横展開するなど、請負・受託の事業規模拡大を図るとしている。また、製造業の海外進出・製造支援サービス事業については、住友商事<8053>との業務提携をきっかけに、ベトナム・タンロン工業団地でワンストップサービスを提供するほか、「人材ソリューション+製造支援」に則り顧客の安定した生産をサポートするなど、事業の拡大を図っていく。さらに、エンジニア採用・育成プログラムの強化、ジョブグレードアップ制度の高度化、タイ・レムチャバン工科大学と「職業教育訓練制度」協力に合意したことなどを通じて、人材育成も推進する計画だ。
目先は部材価格の高騰などネガティブな要素もあるものの、こうした積極的な取り組みを通じ、同社はアフターコロナを見据えた訴求力の高いデジタルプラットフォームを構築する。具体的には、人材ビジネスノウハウをベースとした製造業のファブレス化、ものづくり高度化に貢献する独自のデジタルプラットフォーム「製造DX」を構築していく考えである。
(2) EMS事業
EMS事業では、2022年3月期は部材不足やコロナ禍による影響を受けているものの、2023年3月期から新規受注・生産拡大が活発化する見通しである。こうしたなか、同社はベトナム拠点とメキシコ拠点において各種活動に注力していく。2021年6月に新規品生産立ち上げを開始したベトナム拠点では、車載用ワイヤレス充電器関連やAV・音響機器関連など、プレス技術を核に完成品まで生産できる特長を生かし、ベトナムへの生産移管を進める日系企業のニーズに合わせた対応を進めていく。メキシコ拠点では生産計画が後ろ倒しになっていた顧客からの受注が再開され、2023年3月期からの生産立ち上げに向け準備を開始している。主軸の車載関連部品に加え、家電や工具、産業機器など、幅広い分野における基板実装ビジネスを北中米で展開していく計画である。
市場規模の大きい車載関連市場を中心に、足元では海外事業での事業体制が整いつつあり着実に成長基盤は強まっている。加えて日本基準の高品質な商材・サービスを提供できることも強みであり、価格高騰の安定化が進むにつれて、収益は長期安定的に伸びると弊社は見ている。
(3) PS事業
PS事業では、高圧電源、マグネットロールを中心に安定した収益体質への足掛かりを構築するほか、マグネットロールではASEANにおける販売に着手するなど、主軸製品の収益基盤を強化していく。また、産業機器市場への製品展開、新規顧客の獲得・拡販も進めていく。さらに、部材調達難・部材価格高騰といった厳しい事業環境ではあるものの、省人化・自動化ニーズのよるロボティクス市場の拡大や、コロナ禍を背景とした殺菌・滅菌機器市場への製品展開を実行するなど、新たな市場を開拓していく考えだ。加えて、電池パック技術を横展開し、新分野需要に対応していく。具体的には、安心安全の電源設計技術と蓄電・充電技術・ノウハウを生かしてターゲット分野を拡大するほか、建機・農機の電動化ニーズによる販売拡大を推進していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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