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ケアネット Research Memo(6):業容拡大により強固な財務基盤を実現。短期・中長期の双方において懸念なし

配信元:フィスコ
投稿:2023/03/22 15:06
*15:06JST ケアネット Research Memo(6):業容拡大により強固な財務基盤を実現。短期・中長期の双方において懸念なし ■業績動向

2. 財務状況と経営指標
ケアネット<2150>の2022年12月期末の総資産は前期末比2,328百万円増加の13,071百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現金及び預金が480百万円、売上債権が644百万円増加した。固定資産ではのれんが902百万円、繰延税金資産が119百万円増加した一方で、投資有価証券が180百万円減少した。

負債合計は前期末比447百万円増加の3,051百万円となった。主な変動要因を見ると、流動負債ではポイント引当金が237百万円、未払金が95百万円増加した一方で、役員賞与引当金が98百万円減少した。固定負債では長期借入金が97百万円、役員株式給付引当金が21百万円増加した。純資産は同1,881百万円増加の10,020百万円となった。主な変動要因として、利益剰余金1,509百万円の増加が挙げられる。

経営指標を見ると、収益拡大や増資による純資産の増加によって自己資本比率が前期末の75.6%から76.4%に上昇した。純資産の増加に応じた収益を確保できない場合、ROEが低下するという側面が見られるが、足元の業績は引き続き増収増益基調で、中期経営計画の進捗状況も好調であることから懸念はないと考える。また、現金及び預金も80億円に迫る水準まで積み上がるなど、収益拡大に伴って財務基盤も強化された。有利子負債比率は1.3%と実質無借金経営であり、財務の健全性は高いと弊社では考える。


医薬DX事業の好調を背景に成長継続。2023年12月期も増収増益を見込む
3. 2023年12月期の業績見通し
2023年12月期の連結業績は、売上高で前期比17.9%増の11,000百万円、営業利益で同5.2%増の3,000百万円、経常利益で同3.7%増の3,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同8.3%増の2,000百万円を見込んでいる。同社の主要顧客である製薬企業のMR人員の大幅な削減、足元の円安の影響等により業績の見通しが立ちにくいため、前期末時点で確度の高い数値のみを開示している。足元の受注状況は引き続き好調なことから、計画が実現する可能性は高いと弊社では見ている。

主力事業である医薬DX事業については、既存サービスの販売拡充、各製薬企業に合わせたより付加価値の高いサービス提供、製薬企業向けオウンドサイト支援の新規参画に注力することで増収を見込んでいる。「MRPlus」、Web講演会等のeプロモーションサービスに対する需要は引き続き旺盛である。同セグメントの売上高は、前述のとおり製薬企業の予算消化の動きに合わせ、第4四半期にピークを迎えるという季節性が見られることから、2023年12月期においても第4四半期に大きく売上高が伸びるものと弊社では見ている。

メディカルプラットフォーム事業では、「キャリア」及び「CareNeTV」ともに医療コンテンツの質の向上、生涯学習コンテンツの拡充により、新規会員を獲得し増収につなげる。「キャリア」では、キャリア支援サービスに加えて、医業承継支援サービスのニーズも増えつつある。ここ数年クリニックを中心に医療機関で後継者不在の問題が顕在化しはじめており、こうした医療機関と新規開業を希望する医師をマッチングさせるサービスで、今後の成長が期待される。「CareNeTV」では、専門医試験対策シリーズの拡張や人気講師によるライブセミナー等、魅力的なコンテンツを揃えることで有料会員数のさらなる積み上げを図る。

売上原価項目を含む費用面においては、前期に引き続きスペシャリティ医薬品に適したサービス・新規事業の開発投資及び人員強化を積極的に行う。M&Aで取得した各子会社のシナジーを発揮するため事業開発を本格的に推進するほか、データの分析ビジネスに関わる人材を別途採用する計画だ。既存事業の営業利益率、プロジェクト単価・クロスマージンに関しては引き続き一定水準を確保できている。新規事業開発に向けたコストがアロケーションされることで全体の営業利益率は前期比では下がるものの、新規事業開発に関連する売上が実現することで改善されるものと弊社では考える。

また、最先端の技術を持ったベンチャー企業・医療機器・データサイエンス・デジタルヘルスケアを対象にした事業に対しては、企業買収や戦略的提携、資本参加を積極的に進め、事業規模の拡大につなげる。同社の企業買収や戦略的提携は、すべて中期経営計画の達成に向けた施策であり高いレベルで関連している。急激な市場環境の変化に伴い機会と課題が表裏一体となるなか、市販前の臨床試験から市販後の安全性調査まで支援サービスの幅を拡大する方針だ。同社では前期に実施したM&Aにより、治験施設を支援するSMO企業、製薬会社を支援するCRO企業を取り込んでおり、治験計画策定~施設契約~患者組み入れまでのプロセスを革新するサービスモデルの下準備が整った。2023年12月期は新規事業開発の1年であり、2024年12月期、2025年12月期の飛躍的成長に向けた重要な仕込みの時期であると弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)

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配信元: フィスコ
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