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三機工業 Research Memo(3):主要セグメントは4つ。主力は建築設備

配信元:フィスコ
投稿:2021/06/25 16:03
■事業概要

1. 事業セグメントの概要
三機工業<1961>の主要事業は、建築設備、機械システム、環境システムの3設備事業、及び不動産事業の4つのセグメントに分けられている。以下は各事業部門の概要である。

(1) 建築設備
建築設備事業は、オフィスビル・学校・病院・ショッピングセンター・工場・研究施設などの設備の企画・設計・施工・保守・改修などを行う。当部門で扱う内容は多岐にわたっており、さらに細かく以下のような営業種目(サブセグメント)に分かれている。

a) ビル空調衛生
オフィスビルや学校・病院・デパート・ホテル・倉庫などの一般建築物や施設向けの空調設備、給排水・衛生設備、地域冷暖房施設、さらに厨房設備、防災設備などを提供する。

b) 産業空調
工場・研究施設向け産業空調設備全般、特に同社が強みを有している半導体業界や医薬・食品業界工場向けのクリーンルーム設備や化学メーカー、医療機器メーカー向けなどの特殊な空調設備及び付帯設備、さらに自動車メーカー向けの環境制御装置などを提供する。

c) 電気
電気設備、情報・通信関連設備、電気土木などを提供する。

d) ファシリティシステム
金融機関等の事務所やディーリングルームの構築、移転に伴うプロジェクトマネジメントサービスなどの提供、大型ビルの中央監視・自動制御システム、IPソリューション、ネットワークソリューション、BCPソリューションなどを提供する。

(2) 機械システム
工場や自動倉庫向けに各種の搬送機器(コンベヤ、仕分け機器など)や搬送システム、いわゆる「マテハンシステム」などを提供する。

(3) 環境システム
水処理施設(上下水処理設備、産業排水処理設備、汚泥処理設備、汚泥焼却設備など)、廃棄物処理施設(ごみ焼却施設、ごみ埋立汚水処理施設)などを提供する。

(4) 不動産事業
工場跡地などの遊休地を利用して、不動産賃貸業務と建物管理業務を行っている。

以上のように同社は主たる事業として各種の設備やソリューションなどを提供している。受注形態は施主から直接受注する場合とゼネコン経由の間接受注があるが、比率的にはほぼ半々となっている。

受注金額は案件次第であり、数百万円から数十億円と幅が広い。工期(受注から売上まで)も同様で、数週間から長いものは数年に及ぶ。利益率も案件ごとに異なるが、労務費や資材コスト、工程管理等の影響により、売上時の利益率が当初の計画から変動する場合がある(悪化する場合もあれば改善する場合もある)。

2. 特色と強み、競合
(1) 幅広い事業領域とワンストップでの問題解決
国内に同社と同様の建築設備を提供する企業は、無数にあると言っても過言ではない。そのような業界のなかで、同社の強みはビル空調衛生、産業空調、電気、ファシリティシステム、ビル制御システム、搬送、水処理など、幅広い事業領域を持っていることである。多くの設備やソリューションを企画・設計から施工・保守メンテナンス・改修・建替まで、建物のライフサイクルに応じて一括で提供することが可能であり、顧客はワンストップでの問題解決、発注が可能となる。また幅広い事業を横断的に融合した「総合エンジニアリング」と「ライフサイクルエンジニアリング」で、最適で付加価値の高いシステムを提供できることが同社の強みである。

(2) トップクラスの技術力と優良な顧客基盤
戦前から培われた高い技術力も同社の強みと言える。そのレベルは国内トップクラスと言え、さらにその磨かれた技術力は幅広い分野に及ぶ。また長い歴史のなかで積み重ねた実績が信頼につながっており、この信頼関係に基づいた豊富で優良な顧客基盤も同社の強みだろう。戦前の実績は言うに及ばず、戦後高度成長期の東京オリンピックも含めた数多くの実績が、「あべのハルカス」や「東京ミッドタウン日比谷」などの大型プロジェクトでの受注につながったとも言える。

3. 主な競合企業
正確には競合する企業は事業領域ごとに異なるが、大手総合建築設備の中での主な競合企業は、大手である高砂熱学工業<1969>、新菱冷熱工業(株)、ダイダン<1980>大気社<1979>などである。これらの大手各社と比較した場合の同社の強みは、事業領域が幅広いことと、産業空調(クリーンルーム等の工場系空調)に強いことだろう。

4. 受注高推移と経済環境
以上のような同社の事業内容から、業績を左右するうえで最も重要なのは受注高である。毎年の受注高は市場全体、つまりマクロ経済の影響が大きいと言えるだろう。同社の主たる事業は建築設備であるので、マクロ経済指標の「民間非住宅建設投資」に影響されると言える。同社の受注高と民間非住宅建設投資は、かなり連動性が高いと言えそうだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)


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配信元: フィスコ
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