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三機工業のニュース
■要約
三機工業<1961>の主要事業は、オフィスビル、学校、病院、ショッピングセンター、工場、研究施設などの建築設備及びプラント設備の企画・設計・製作・監理・施工・販売・コンサルティングなどである。同社の強みは、多岐にわたる事業を横断的に融合させる総合エンジニアリングと100年近い実績から培われた高い技術力や信用力である。
1. 2021年3月期:売上高は前期比8.5%減ながら受注高は同0.8%増
2021年3月期の業績は、受注高195,580百万円(前期比0.8%増)、次期繰越高141,676百万円(前期末比4.0%増)、売上高190,067百万円(前期比8.5%減)、営業利益7,498百万円(同29.7%減)、経常利益8,196百万円(同27.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益5,901百万円(同22.1%減)となった。減収ながら手持工事受注は豊富である。原価管理の徹底、現場サポート体制の強化などを継続したことから売上総利益率は15.1%となり前期比では0.4ポイント低下したが、依然として高水準(15%台)を維持している。新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ禍)の影響は大型・長期工事に対しては軽微であったが、小規模営繕工事の受注などは影響を受けた。
2. 2022年3月期の業績見通し:営業利益は前期比26.7%増を予想
2022年3月期については、現時点では受注高200,000百万円(前期比2.3%増)、売上高200,000百万円(同5.2%増)、営業利益9,500百万円(同26.7%増)、経常利益10,000百万円(同22.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7,000百万円(同18.6%増)と予想している。これらの予想数値は足元の受注状況等を積み上げたものだが、中期経営計画“Century 2025”Phase2の3年目=最終年度の計画値でもある。同社は「今後のコロナ禍の影響は不透明であり、業績に影響を及ぼす可能性があるものの、“Century 2025”Phase2計画を粛々と推進し、目標を達成する」と述べた。
3. 中期経営計画“Century 2025”Phase2を推進中
同社は創業100周年に向けた10年間の目標として2016年3月に長期ビジョン“Century 2025”を発表している。この計画の最初の3年間を“Century 2025”Phase1とし、その定量的目標を最終年度の2019年3月期に売上高1,950億円、営業利益75億円とし、既にこの目標は達成された。これに続き同Phase2を発表し、Phase1からの継続的な3つの重点施策に加え、「財務・資本政策」と「ESG方針」の開示、「情報発信力の強化」が追加された。また定量的な目標に業績目標だけでなく経営目標も掲げており、2022年3月期に経常利益率5.0%以上、年間配当金60円以上、自己株式の取得500万株程度(2020年3月期から3年間)、総還元性向70%以上、ROE8.0%以上としている。今後、コロナ禍の影響がどこまで長引くかは不透明であるが、現時点においてはこの目標は変えておらず、引き続きこれらの計画を推進していく方針だ。
4. 株主還元にも前向き:過去8年間の総還元性向(加重平均)は85.7%
同社は、これまでの安定配当や近年の増配に加え、自社株買いなど積極的な株主還元を実施している。年間配当は、2019年3月期60円、2020年3月期95円(うち特別配当25円)、2021年3月期80円(同10円)の配当を行った。2022年3月期は普通配当70円を予定している。自己株式については、2020年8月に1,000千株の自己株式消却を実施、さらに2020年10月末までに1,000千株の自己株式を取得済みだ。この結果、2021年3月期を含めた過去8年間の総還元性向(加重平均)は85.7%となった。このような同社の積極的な株主還元策は大いに評価すべきだろう。
■Key Points
・三井系の国内トップクラスの建築設備会社。利益率改善策を実行中
・2022年3月期は前期比26.7%の営業増益予想。中期経営計画も順調に進行中
・株主還元に前向き。2022年3月期は年間配当70円予定。過去8年間の総還元性向は85.7%
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<EY>
三機工業<1961>の主要事業は、オフィスビル、学校、病院、ショッピングセンター、工場、研究施設などの建築設備及びプラント設備の企画・設計・製作・監理・施工・販売・コンサルティングなどである。同社の強みは、多岐にわたる事業を横断的に融合させる総合エンジニアリングと100年近い実績から培われた高い技術力や信用力である。
1. 2021年3月期:売上高は前期比8.5%減ながら受注高は同0.8%増
2021年3月期の業績は、受注高195,580百万円(前期比0.8%増)、次期繰越高141,676百万円(前期末比4.0%増)、売上高190,067百万円(前期比8.5%減)、営業利益7,498百万円(同29.7%減)、経常利益8,196百万円(同27.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益5,901百万円(同22.1%減)となった。減収ながら手持工事受注は豊富である。原価管理の徹底、現場サポート体制の強化などを継続したことから売上総利益率は15.1%となり前期比では0.4ポイント低下したが、依然として高水準(15%台)を維持している。新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ禍)の影響は大型・長期工事に対しては軽微であったが、小規模営繕工事の受注などは影響を受けた。
2. 2022年3月期の業績見通し:営業利益は前期比26.7%増を予想
2022年3月期については、現時点では受注高200,000百万円(前期比2.3%増)、売上高200,000百万円(同5.2%増)、営業利益9,500百万円(同26.7%増)、経常利益10,000百万円(同22.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7,000百万円(同18.6%増)と予想している。これらの予想数値は足元の受注状況等を積み上げたものだが、中期経営計画“Century 2025”Phase2の3年目=最終年度の計画値でもある。同社は「今後のコロナ禍の影響は不透明であり、業績に影響を及ぼす可能性があるものの、“Century 2025”Phase2計画を粛々と推進し、目標を達成する」と述べた。
3. 中期経営計画“Century 2025”Phase2を推進中
同社は創業100周年に向けた10年間の目標として2016年3月に長期ビジョン“Century 2025”を発表している。この計画の最初の3年間を“Century 2025”Phase1とし、その定量的目標を最終年度の2019年3月期に売上高1,950億円、営業利益75億円とし、既にこの目標は達成された。これに続き同Phase2を発表し、Phase1からの継続的な3つの重点施策に加え、「財務・資本政策」と「ESG方針」の開示、「情報発信力の強化」が追加された。また定量的な目標に業績目標だけでなく経営目標も掲げており、2022年3月期に経常利益率5.0%以上、年間配当金60円以上、自己株式の取得500万株程度(2020年3月期から3年間)、総還元性向70%以上、ROE8.0%以上としている。今後、コロナ禍の影響がどこまで長引くかは不透明であるが、現時点においてはこの目標は変えておらず、引き続きこれらの計画を推進していく方針だ。
4. 株主還元にも前向き:過去8年間の総還元性向(加重平均)は85.7%
同社は、これまでの安定配当や近年の増配に加え、自社株買いなど積極的な株主還元を実施している。年間配当は、2019年3月期60円、2020年3月期95円(うち特別配当25円)、2021年3月期80円(同10円)の配当を行った。2022年3月期は普通配当70円を予定している。自己株式については、2020年8月に1,000千株の自己株式消却を実施、さらに2020年10月末までに1,000千株の自己株式を取得済みだ。この結果、2021年3月期を含めた過去8年間の総還元性向(加重平均)は85.7%となった。このような同社の積極的な株主還元策は大いに評価すべきだろう。
■Key Points
・三井系の国内トップクラスの建築設備会社。利益率改善策を実行中
・2022年3月期は前期比26.7%の営業増益予想。中期経営計画も順調に進行中
・株主還元に前向き。2022年3月期は年間配当70円予定。過去8年間の総還元性向は85.7%
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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