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淺沼組のニュース
―株価上昇求め合理化や利益還元の要求も、建設業界などに再編思惑も浮上―
東京株式市場で、日経平均株価は2万8000円台を意識しながらも上値が重い展開が続く。全体相場は依然として先行き不透明感が残り、買いエネルギーは膨らんではいない。とりわけ、全体相場の牽引役が不在であり、方向感に欠ける状態にある。そんななか、存在感を高めているのが「物言う株主(アクティビスト)」だ。物言う株主は、日本株に積極的な投資を続けており相場の活性化役としても注目度を高めている。
●東京市場は積極的に上値を買う主体が不在に
今年2月に一時3万円台に乗せた後、日経平均株価は上値の重い展開が続いている。この要因のひとつには、上値を買い上がる主体の不在がある。株価上昇の牽引役を果たしてきた外国人投資家は、2020年は3兆円強の売り越しだった。21年に入ってからは、9000億円強の買い越しとなっているが、これは米株式市場が最高値を更新し運用資金が膨らむなか、運用比率維持で日本株への投資資金も増えた要因が大きいとみられ、積極買いには至っていない。日本の機関投資家も、依然として上値追いに慎重だ。その一方、日銀はETF買いに慎重姿勢となったことも、買い手不在感を一層強めさせている。このため「相場の戻り局面ではすかさず利益確定売りが出てくる」(市場関係者)状況だ。
●物言う株主の投資スタイルは全体相場に左右されにくい
そんななか、東京市場で注目を集めているのが、物言う株主だ。アクティビストと呼ばれる物言う株主は、株主として株価上昇に向けて企業経営に改善を求めたり、増配や自社株買いを要求したりすることが特徴だが、株価が割安な局面で、積極的な投資をすることが多く、バリュー投資家的な側面も持つ。このため、物言う株主の投資スタイルは、全体相場の動向に左右されにくい特長を持っている。
東京市場での存在感を高める物言う株主だが、直近では東芝 <6502> の株主総会で永山取締役会議長の再任が否決されたことなどで大きな役割を果たしたことでも話題を集めた。足もとでは株式の政策保有株(持ち合い株)解消が進んでいることに加え、コーポレートガバナンス(企業統治)の浸透とともに、以前に比べ株主にとって合理的な投資判断が求められる状況は強まっている。こうしたなか、今後も物言う株主の存在感は一段と高まることが予想されている。
●エフィッシモは川崎汽やタムロン、デクセリなどに積極投資
物言う株主と呼ばれる個別の投資ファンドの状況をみてみよう。旧村上ファンド出身者が設立したシンガポールを拠点とする「エフィッシモ・キャピタル・マネージメント」は、前出の東芝の9.91%の株式を保有する筆頭株主として知られ、積極的な活動を続けている。同ファンドは、足もとで株価が急伸している海運株の川崎汽船 <9107> に投資しているほか、タムロン <7740> やデクセリアルズ <4980> 、関東電化工業 <4047> 、日産車体 <7222> などのほか、リコー <7752> や第一生命ホールディングス <8750> などの大株主となっている。リコーは3月に20%相当の自社株買いの実施を発表したことも話題となった。
●西松建や大豊建、東洋建など建設株の動向を注視
日本の物言う株主の草分けと呼ばれる村上世彰氏が関与するファンドの活動も旺盛だ。そのひとつであるシティインデックスイレブンスは、直近では、日本アジアグループ <3751> にTOBを仕掛け、成立させている。また、サカイオーベックス <3408> や中国塗料 <4617> 、セントラル硝子 <4044> 、三信電気 <8150> 、富士石油 <5017> などに投資している。同じく村上氏が関与するオフィスサポートやレノといったファンドも含めて積極投資していることで注目を集めているのが 建設株だ。村上氏系のファンドは西松建設 <1820> や大豊建設 <1822> 、東洋建設 <1890> 、東亜建設工業 <1885> といった銘柄の大株主となっている。このなか、西松建は5月に今期配当を前期比80円増の年185円に大幅増配することを発表し、注目を集めた。同じく旧村上ファンド出身者が設立したストラテジックキャピタルは淺沼組 <1852> などに投資している。市場には、物言う株主の投資に伴う、建設業界の市場再編に向けた思惑も浮上している。
●シルチェスターはフジHD、オアシスは片倉などに投資
海外ファンドでは、英国のシルチェスター・インターナショナル・インベスターズがスズケン <9987> やアルフレッサ ホールディングス <2784> 、ダイセル <4202> 、フジ・メディア・ホールディングス <4676> 、上組 <9364> などに投資している。香港のオアシス・マネジメントはココカラファイン <3098> や片倉工業 <3001> 、北越コーポレーション <3865> 、安藤・間 <1719> などの大株主となっている。6月の株主総会では東洋製罐グループホールディングス <5901> に対して、株主提案を行ったことも注目を集めた。米国のダルトン・インベストメンツは、あい ホールディングス <3076> やステラ ケミファ <4109> 、ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングス <3657> 、イワキ <6237> などに投資している。
株探ニュース
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