803円
明豊ファシリティワークスのニュース
■今後の見通し
2. 今後の事業戦略について
(1) CMマーケットの現状と公共分野への取り組み
国内の2018年度における建設総需要は約70兆円で、このうち、CMの対象となるマーケットは民間及び公共の新規建設投資及びリニューアル投資(住宅除く)にかかる部分で、合計で約22.6兆円(重複するデータ分除く)になると明豊ファシリティワークス<1717>はみている。このうち、CMの普及率がどの程度か正確な統計がないため不明だが、同社の試算によれば約3兆円程度と全体の約13%程度になっていると見ている。2016年度は約10%だったので徐々に普及が進んでいることになる。今後もCMの認知度向上により普及率は上昇傾向が続くものと予想され、東京オリンピック後に全体の建設投資が後退局面に入っても、普及率の上昇によりCM市場は安定成長が続く可能性が高いと弊社では見ている。
特に公共分野では地方自治体が財政難と人材不足に苦しむなかで、コストの最適化とプロジェクト管理を行うCM事業者の活用がさらに増加していくものと予想される。このため、同社は公共分野を注力市場と位置付け、2019年3月期で約20%であった社内で管理する受注粗利益の構成比を中期的に30%まで引き上げていくことを目標に掲げている。CM業界における同社のシェアは約20%※1だが、公共分野では5割前後と高シェアを占めているものと推計される※2。これは同社がCM業界のパイオニアとして、国交省が2014年度から取り組んでいる多様な入札方式のモデル事業に当初から参画し、多くの実績を積み重ねてきたことが大きい。2019年3月期末で同社が抱えるプロジェクトの総工費は合計で7千億だが、このうち公共分野は1千億以上になっており、今後も新規受注を獲得していくことで拡大していくものと予想される。
※1 (一社)日本CM協会が販売しているCM保険のシェアによる同社推計値。
※2 公共分野の建設投資は2.1兆円で、CMの普及率が全体と同水準の13%だったと仮定すれば、CMを利用したプロジェクトは約2,700億円となる。同社の公共分野の総工費は1,000億円以上となっていること、公共分野のCM普及率は民間よりもまだ低い水準であることから、同社のシェアは5割前後と推計される。
なお、公共分野での課題は、同社の事業拠点が東京と大阪しかなく、出張ベースでの対応をしなければならず、生産性が低下する懸念があったことだが、2018年頃からはパソコンを使ったテレビ会議システムを活用し始めたことで、担当者が直接現地に赴く回数が減少するなど、距離というハードルが従来よりも大きく下がっており、受注活動を行いやすい環境になってきたことも、公共分野を積極的に開拓していく一因となっている。
また、今後はCM市場が拡大するなかで新規事業者の参入により、受注競争が激化するリスクはあるものの、CM業務にとって最も重要となる「サービス品質」や「顧客からの信頼」は一朝一夕で構築できるものではなく、今後もサービス品質の維持向上が続く限り、同社の優位性は揺るがないものと弊社では見ている。実際、既存顧客からの受注比率が毎期、6割以上で推移していることや、公共分野で高い落札率を維持していることからも、同社の競争力の高さがうかがえる。
(2) デジタル経営基盤の確立
同社は業界に先駆けて、各種建設資材のデータベース構築やマンアワーコスト管理システムを導入するなど、ITを積極的に活用した経営を推進してきたが、今後もその取り組みを一層強化していく方針となっている。具体的には、AI技術を活用して、過去に同社が手掛けてきたすべてのプロジェクトデータを収集し、ヒヤリハット対応※や成功事例、反省等の抽出と解析を通じて、更なるCMサービスの品質と生産性向上、リスク管理や組織力の強化につなげていくほか、RPAツールの活用による業務効率の向上に取り組んでいく。既に、一部については2019年3月期より取り組みを開始しているが、2021年3月期には自社開発による戦略的AIによる新プロジェクト管理システムを稼働させる計画となっている。また、将来的にはCM事業基盤とITデータ活用の推進により、新たな事業価値創造につなげていくビジョンを描いている。
※重大な事故には至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前の事例についての対応。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<YM>
2. 今後の事業戦略について
(1) CMマーケットの現状と公共分野への取り組み
国内の2018年度における建設総需要は約70兆円で、このうち、CMの対象となるマーケットは民間及び公共の新規建設投資及びリニューアル投資(住宅除く)にかかる部分で、合計で約22.6兆円(重複するデータ分除く)になると明豊ファシリティワークス<1717>はみている。このうち、CMの普及率がどの程度か正確な統計がないため不明だが、同社の試算によれば約3兆円程度と全体の約13%程度になっていると見ている。2016年度は約10%だったので徐々に普及が進んでいることになる。今後もCMの認知度向上により普及率は上昇傾向が続くものと予想され、東京オリンピック後に全体の建設投資が後退局面に入っても、普及率の上昇によりCM市場は安定成長が続く可能性が高いと弊社では見ている。
特に公共分野では地方自治体が財政難と人材不足に苦しむなかで、コストの最適化とプロジェクト管理を行うCM事業者の活用がさらに増加していくものと予想される。このため、同社は公共分野を注力市場と位置付け、2019年3月期で約20%であった社内で管理する受注粗利益の構成比を中期的に30%まで引き上げていくことを目標に掲げている。CM業界における同社のシェアは約20%※1だが、公共分野では5割前後と高シェアを占めているものと推計される※2。これは同社がCM業界のパイオニアとして、国交省が2014年度から取り組んでいる多様な入札方式のモデル事業に当初から参画し、多くの実績を積み重ねてきたことが大きい。2019年3月期末で同社が抱えるプロジェクトの総工費は合計で7千億だが、このうち公共分野は1千億以上になっており、今後も新規受注を獲得していくことで拡大していくものと予想される。
※1 (一社)日本CM協会が販売しているCM保険のシェアによる同社推計値。
※2 公共分野の建設投資は2.1兆円で、CMの普及率が全体と同水準の13%だったと仮定すれば、CMを利用したプロジェクトは約2,700億円となる。同社の公共分野の総工費は1,000億円以上となっていること、公共分野のCM普及率は民間よりもまだ低い水準であることから、同社のシェアは5割前後と推計される。
なお、公共分野での課題は、同社の事業拠点が東京と大阪しかなく、出張ベースでの対応をしなければならず、生産性が低下する懸念があったことだが、2018年頃からはパソコンを使ったテレビ会議システムを活用し始めたことで、担当者が直接現地に赴く回数が減少するなど、距離というハードルが従来よりも大きく下がっており、受注活動を行いやすい環境になってきたことも、公共分野を積極的に開拓していく一因となっている。
また、今後はCM市場が拡大するなかで新規事業者の参入により、受注競争が激化するリスクはあるものの、CM業務にとって最も重要となる「サービス品質」や「顧客からの信頼」は一朝一夕で構築できるものではなく、今後もサービス品質の維持向上が続く限り、同社の優位性は揺るがないものと弊社では見ている。実際、既存顧客からの受注比率が毎期、6割以上で推移していることや、公共分野で高い落札率を維持していることからも、同社の競争力の高さがうかがえる。
(2) デジタル経営基盤の確立
同社は業界に先駆けて、各種建設資材のデータベース構築やマンアワーコスト管理システムを導入するなど、ITを積極的に活用した経営を推進してきたが、今後もその取り組みを一層強化していく方針となっている。具体的には、AI技術を活用して、過去に同社が手掛けてきたすべてのプロジェクトデータを収集し、ヒヤリハット対応※や成功事例、反省等の抽出と解析を通じて、更なるCMサービスの品質と生産性向上、リスク管理や組織力の強化につなげていくほか、RPAツールの活用による業務効率の向上に取り組んでいく。既に、一部については2019年3月期より取り組みを開始しているが、2021年3月期には自社開発による戦略的AIによる新プロジェクト管理システムを稼働させる計画となっている。また、将来的にはCM事業基盤とITデータ活用の推進により、新たな事業価値創造につなげていくビジョンを描いている。
※重大な事故には至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前の事例についての対応。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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