~ 小野山功が振り返る「2015年の株価材料」総集編 ~
★2016年を勝ち抜くために、振り返っておきたい「今年の株価材料5選」
早いもので、2015年も残すところあと14営業日ほどになりました。今年1年の株式市場を振り返り、来年の相場を勝ち抜く手がかりとしてお役立て下さい。
■1月:「スイス・フラン暴騰」で日経が一時500円安に
1月15日のロンドン外国為替市場で、スイスフランが対ユーロで40%高と歴史的な暴騰を演じました。
スイスは自国の輸出産業を守るため、ユーロ/スイスフランのレートを「1フラン=1.2ユーロ」と上限を設け、フラン高にならないように為替介入を行っていました。
しかし、ユーロを発行する欧州中央銀行が大規模な追加緩和を実施する見方が強まり、これ以上フラン売り介入を続けるのが無理だとして、突如上限レート撤廃を決定したのです。
一夜にしてスイスフランのレートが40%も変動したため、外国為替市場は大混乱です。為替取引で投資家が多額の損失を出したのではないかとの疑心暗鬼が広がり、翌16日の日経平均は一時500円安と急落しました。
株式や為替など金融市場はインターネットの普及により、市場間の垣根がますます低くなっています。為替市場が変調をきたすようであれば、株式市場にも悪影響は免れないのです。
■4月:日経平均“2万円回復”は「●●年ぶり」の快挙
4月10日の東京株式市場、9時7分に日経平均株価は20,000円の大台に乗せました。
日経平均株価が2万円を超えるのは、2000年4月17日以来、およそ15年ぶりの快挙です。
6月1日には日経平均は20,569円まで上昇し、東証1部の時価総額(政府保有株を除く)は、初めて節目の600兆円を上回りました。
これまでの最高記録は、バブル期の1989年12月末に付けた590兆円が最高でしたが、25年ぶりに過去最高を更新することになりました。
当時の日経平均株価は「38,957円」と現在の倍近い水準ですが、上場企業の数が増えたことで、時価総額は当時を上回りました。
統計が残る1990年末の東証1部の上場数が1191社でしたが、1部上場企業は増え、現在では当時から6割増の1929社となっています。
■8月:中国ショックで「7.8兆円」分の年金が消えた
15年ぶりに日経平均株価は2万円台を回復しましたが、中国の景気減速懸念に発端とした世界的な株安の連鎖が起こり、8月半ばから相場は大きく崩れました。
8月18日~25日までの6営業日で、日経平均は2814円(13.6%)も急落。同日には東証1部の4割強にあたる833銘柄が年初来安値を更新しました。
株安が始まる前日に、日経平均株価は年初来高値まであと200円ほどに迫りましたが、18日から一度も反発しないままに3000円近くも一気に急落しました。
信用取引を利用する個人投資家の損益が悪化し、信用評価損益率は8月25日に△18.87%(松井証券)と過去最悪の水準まで悪化。9月に入っても反発力は鈍く、7~9月の3ヶ月間で日経平均株価は14%下落しました。
その結果、公的年金を運用するGPIFの7~9月期の運用損益は、7.8兆円の赤字と6四半期ぶりに大幅な赤字に転落しました。株価は年金運用にも大きな影響を与えます。
■11月:NTT以来の大型上場で「含み益5000億円」
年後半に話題をさらったのは日本郵政の上場です。日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社が11月4日に東証1部に同時上場し、売り出し規模は計1.4兆円程度と1987年のNTT以来の大型上場となりました。
かんぽ生命が、上場当日にストップ高水準まで上昇するほど人気化し、公募価格で買った投資家の含み益は一時5000億円に拡大しました。
郵政上場を期に、株を始めた投資家も多いとみられ、フレッシュマネーの流入が11月相場を押し上げる原動力となりました。
郵政グループ3社に関しては、12月29日(火)の終値で東証株価指数(TOPIX)へ組み入れられるため、投信組み入れに伴う買い需要の発生が見込まれています。
郵政3社の時価総額は19兆円と巨額のため、指数連動型投信などが5000億円程度、郵政株を買わなければならないとの試算もあります。
■12月:「米利上げ」となれば、2016年は上昇相場に?
来週の12月15日、16日に米連邦準備制度理事会(FOMC)が開催されます。FOMCでは、事実上のゼロ金利政策を解除し、9年半ぶりの利上げに踏み切るかが焦点になっています。
米国が金融引き締めに舵を切れば、新興国から資金が引き上げられ、新興国の経済が打撃を受ける可能性があります。
また、保有しても金利がつかない金などの実物資産からドルに資金を戻す動きが見られており、金は約6年ぶり、原油はおよそ7年ぶりの安値を12月に付けています。
ただ、歴史を振り返ってみれば、利上げ前後には大きく株価が変動するものの、利上げ後1年間の株価は上昇する傾向にあります。
1982年以降の7回の金融引き締めについて、利上げ後の1年間の株価(S&P500)の騰落率をみると、7回すべて上昇しています。
12月16日に米国が利上げに動くようであれば、2016年相場の上昇は確約されたようなものになるかもしれません。
小野山 功
早いもので、2015年も残すところあと14営業日ほどになりました。今年1年の株式市場を振り返り、来年の相場を勝ち抜く手がかりとしてお役立て下さい。
■1月:「スイス・フラン暴騰」で日経が一時500円安に
1月15日のロンドン外国為替市場で、スイスフランが対ユーロで40%高と歴史的な暴騰を演じました。
スイスは自国の輸出産業を守るため、ユーロ/スイスフランのレートを「1フラン=1.2ユーロ」と上限を設け、フラン高にならないように為替介入を行っていました。
しかし、ユーロを発行する欧州中央銀行が大規模な追加緩和を実施する見方が強まり、これ以上フラン売り介入を続けるのが無理だとして、突如上限レート撤廃を決定したのです。
一夜にしてスイスフランのレートが40%も変動したため、外国為替市場は大混乱です。為替取引で投資家が多額の損失を出したのではないかとの疑心暗鬼が広がり、翌16日の日経平均は一時500円安と急落しました。
株式や為替など金融市場はインターネットの普及により、市場間の垣根がますます低くなっています。為替市場が変調をきたすようであれば、株式市場にも悪影響は免れないのです。
■4月:日経平均“2万円回復”は「●●年ぶり」の快挙
4月10日の東京株式市場、9時7分に日経平均株価は20,000円の大台に乗せました。
日経平均株価が2万円を超えるのは、2000年4月17日以来、およそ15年ぶりの快挙です。
6月1日には日経平均は20,569円まで上昇し、東証1部の時価総額(政府保有株を除く)は、初めて節目の600兆円を上回りました。
これまでの最高記録は、バブル期の1989年12月末に付けた590兆円が最高でしたが、25年ぶりに過去最高を更新することになりました。
当時の日経平均株価は「38,957円」と現在の倍近い水準ですが、上場企業の数が増えたことで、時価総額は当時を上回りました。
統計が残る1990年末の東証1部の上場数が1191社でしたが、1部上場企業は増え、現在では当時から6割増の1929社となっています。
■8月:中国ショックで「7.8兆円」分の年金が消えた
15年ぶりに日経平均株価は2万円台を回復しましたが、中国の景気減速懸念に発端とした世界的な株安の連鎖が起こり、8月半ばから相場は大きく崩れました。
8月18日~25日までの6営業日で、日経平均は2814円(13.6%)も急落。同日には東証1部の4割強にあたる833銘柄が年初来安値を更新しました。
株安が始まる前日に、日経平均株価は年初来高値まであと200円ほどに迫りましたが、18日から一度も反発しないままに3000円近くも一気に急落しました。
信用取引を利用する個人投資家の損益が悪化し、信用評価損益率は8月25日に△18.87%(松井証券)と過去最悪の水準まで悪化。9月に入っても反発力は鈍く、7~9月の3ヶ月間で日経平均株価は14%下落しました。
その結果、公的年金を運用するGPIFの7~9月期の運用損益は、7.8兆円の赤字と6四半期ぶりに大幅な赤字に転落しました。株価は年金運用にも大きな影響を与えます。
■11月:NTT以来の大型上場で「含み益5000億円」
年後半に話題をさらったのは日本郵政の上場です。日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社が11月4日に東証1部に同時上場し、売り出し規模は計1.4兆円程度と1987年のNTT以来の大型上場となりました。
かんぽ生命が、上場当日にストップ高水準まで上昇するほど人気化し、公募価格で買った投資家の含み益は一時5000億円に拡大しました。
郵政上場を期に、株を始めた投資家も多いとみられ、フレッシュマネーの流入が11月相場を押し上げる原動力となりました。
郵政グループ3社に関しては、12月29日(火)の終値で東証株価指数(TOPIX)へ組み入れられるため、投信組み入れに伴う買い需要の発生が見込まれています。
郵政3社の時価総額は19兆円と巨額のため、指数連動型投信などが5000億円程度、郵政株を買わなければならないとの試算もあります。
■12月:「米利上げ」となれば、2016年は上昇相場に?
来週の12月15日、16日に米連邦準備制度理事会(FOMC)が開催されます。FOMCでは、事実上のゼロ金利政策を解除し、9年半ぶりの利上げに踏み切るかが焦点になっています。
米国が金融引き締めに舵を切れば、新興国から資金が引き上げられ、新興国の経済が打撃を受ける可能性があります。
また、保有しても金利がつかない金などの実物資産からドルに資金を戻す動きが見られており、金は約6年ぶり、原油はおよそ7年ぶりの安値を12月に付けています。
ただ、歴史を振り返ってみれば、利上げ前後には大きく株価が変動するものの、利上げ後1年間の株価は上昇する傾向にあります。
1982年以降の7回の金融引き締めについて、利上げ後の1年間の株価(S&P500)の騰落率をみると、7回すべて上昇しています。
12月16日に米国が利上げに動くようであれば、2016年相場の上昇は確約されたようなものになるかもしれません。
小野山 功