ランチ戦線異状アリ、お値打ちランチを500円で

著者:冨田康夫
投稿:2015/11/12 17:23

<話題の焦点>

 新生銀行の「2015年サラリーマンのお小遣い調査」によると、男性会社員のランチ代は前年比60円増の601円であることがわかった。一見すると好景気による企業の賃金上昇が反映されているように見えるが、実際のところひと月のお小遣いは前年比1930円減の3万7642円と苦しい状況が続いている。飲食業界も原材料の高騰によるランチ代の値上げは至るところで行われており、サラリーマンの財布のひもはきつくなるばかりだ。

 そんな厳しいお財布事情の救世主ともいえる事業を拡大しているのが、四国を中心に印刷業を展開するセキ<7857>だ。同社は、全国の書店やコンビニなどでその地域の飲食店を掲載し「Lunch Passport」=写真=というハンドブックとして販売。掲載店にそれを提示すると、通常700円以上のランチメニューが500円(税込み、税別あり)で食べられるお得なランチブックだ。15年度版は10月時点で累計発行部数220万部を突破し、今後は台湾への進出を視野に入れている。

 カカクコム<2371>の運営サイト「食べログ」での個人向け月額制有料サービスにも注目。月額540円で地域に制限なく掲載店すべてで500円ランチ(税別)が食べられる「ワンコインランチ」と月額324円で20%~最大100%までの割引率の高いプレミアムクーポンが使用できる「食べログ プレミアムサービス」を15年3月から開始し、このサービスの加入者数が10月3日時点で115万人を突破した。同社独自のランキングやユーザーのレビューで事前に掲載店の評判を調べられるため、ワンコインといえども充実したランチが楽しめそうだ。

 従来の外食産業も負けてはいない。日本マクドナルドホールディングス<2702>は、平日限定の昼マックを廃止し、200円のバーガーメニューを加えた「おてごろマック」を10月26日から導入し、セット価格を500円とした新たな商品を打ち出した。9つある商圏エリアの価格区分の見直しによって25%の商品が実質的な値上げとなるが、メニューの刷新と料金体系の一本化で顧客の呼び戻しを図る。

 モスフードサービス<8153>も5月に商品価格を大幅改定し、10円から最大70円の値上げを行ったが、地域特産の食材や高級感を意識したメニューを期間限定で販売。また、4月からチャージ式プリペイドカード「MOS CARD」を導入し、キャンペーン期間に入金するとポイントが付与される仕組みを作り値上げ分に対応する。

 吉野家ホールディングス<9861>は、冬季の人気商品「牛すき鍋膳」、「牛チゲ鍋膳」の投入を開始した。肉2倍盛やねぎ増しのメニューを追加し、1人当たりの単価の上昇が期待される。

◆ランチ事情に関連する主な銘柄

 銘柄<コード>    株価    PBR    配当利回り

カカクコム<2371>  2,132  16.16  0.93
マクドナルド<2702> 2,845   3.32  1.05
セキ<7857>     1,465   0.46  1.63
モスフード<8153>  2,994   2.15  0.73
吉野家HD<9861>  1,529   1.66  1.31

※株価は12日終値(単位:%、倍、円)
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想