インバウンド銘柄の買戻しは?

著者:堀篤
投稿:2015/09/28 12:39

■次々に現れる「インバウンド関連銘柄」

先日、ワンピース(ONE PIECE)の箱の菓子を土産にもらうまで、3月に東京タワーで「東京ワンピースタワー」というテーマパークが出来たことをすっかり忘れていた。
この東京ワンピースタワーは、今でもとんでもない混雑らしく、よほど時間が無いと、回り切れないらしい。

このテーマパークを運営しているのが、サザンオールスターズを擁する芸能プロダクション、「アミューズ(4301)」だ。
アミューズは、Perfume や Baby Metal という、国内外で非常に人気が高い女性グループを世に出しているプロダクションだ。

Baby Metal の快進撃には、正直、意表を突かれた関係者は多い。
投資家には、案外知らない人は多いが、たかだか16歳~18歳の少女が、「アイドルとメタルの融合」というコンセプトでユニットを組み、いまやクールジャパンの代表的存在となり、世界中を回って、大変な支持を集めているのだ。
アミューズは、サザンの蓄積された安定収益の上に、Baby Metalのような急成長コンテンツを保有した、理想的なポートフォリオを持っている。

そしてさらに、海外で人気を博しているワンピースをテーマパークにしたことで、アミューズはインバウンド銘柄の上位に一気にランクインしてきた。


■国慶節で来日客急増

インバウンドの元となる、来日観光客数は好調だ。
日本政府観光局(JNTO)によると、1月~7月で1100万人を超え、特に7月単月は、191万8000人と、単月の数値としての過去最高を更新している。


こういった背景から、企業には訪日観光客目当ての事業・商品・サービスを新たに始める企業もまだまだ出てくる。
こうして、インバウンド関連銘柄は、徐々にその数を増やしつつある。

そして、10月月初から、中国は「国慶節」の休みに入る。この間、またしても日本の観光地や商業施設には、中国からの観光客が、大挙して来ることが想定される。
この数値などが発表されるようになる頃までに、インバウンド銘柄は反発に入るのではないだろうか。

中国経済の不安定さを懸念する個人投資家もいるが、実際のところ、来日するような富裕層にまで明らかな影響が出るのは、まだまだ先の話になりそうだ、というのが、コンセンサスになっている。


■下落率が高いインバウンド銘柄

先週まで、インバウンド関連とされる銘柄の下落率は高い状態にある。
相場全体が調整したことにもよるが、それまでに買われていた反動が大きかったこと、そもそも相場調整の原因が中国経済にあることなどから、大きく下落したものと思われる。

そこでこれらの銘柄を使って逆張り的な投資を検討してみる。

まず下記に記載した、インバウンド関連銘柄と言われる銘柄群の一部のデータを見てみよう。


<4922>コーセー 化粧品

9月25日 終値10,760円
PER 37.89
PBR 4.29
高値 8月10日 13,670円
下落率21.3%


<3048>ビックカメラ 家電量販店

9月25日 終値1039円
PER 17.53
PBR 1.93
高値 7月7日 1641円
下落率36.7%


<9616>共立メンテナンス ビジネスホテル

9月25日 終値7290円
PER 29.37
PBR 2.63
高値 8月5日 9260円
下落率21.3%


<4301>アミューズ プロダクション

9月25日 終値5290円
PER 16.19
PBR 2.20
高値 9月17日 5400円
下落率2.0%


<4218>ニチバン 消炎剤、絆創膏

9月25日 終値589円
PER 17.44
PBR 0.90
高値 8月20日 711円
下落率17.2%


日経平均

9月25日 終値17,880円
高値 8月11日 
下落率14.6%


最近の高値からの下落率を見てみよう。
日経平均の下落率が14.6%であるのに対し、ビックカメラではその倍以上の下落、コーセー、共立メンテナンスも20%以上の下落をしている。
もちろん、個別の理由もあるので、一概には言えないが、短期的に、調整幅は十分な水準に来ている感じはある。

次に、高値の「日にち」に注目してもらいたいが、それぞれの高値が「バラバラ」なのだ。そこで、高値をつけた日にち順に、逆張り投資を検討する順番を決めよう。

アミューズは、現在、上昇トレンドにあるので、順張りの対象であり別とする。それ以外の銘柄で逆張りを順番に考えると、まずはビックカメラ、そして次に共立メンテナンス、コーセー、という順で、反発に入るのが、シンプルな考え方だろう。
相場全体が、10月半ばまである程度の強さを発揮するとなれば、これらの銘柄を監視し、順に仕込んでいくのも一つの楽しみになるだろう。

ただし、今般の市場においてはボラティリティが非常に大きく、順張りにしても逆張りにしても、ロスカットについて徹底するよう、お勧めしておきたい。
堀篤
日本マネジコ、東京スコットマネジメント代表取締役
配信元: 達人の予想