ETC2.0普及へ前進、経路別の料金優遇策が後押し

著者:冨田康夫
投稿:2015/09/25 17:12

<話題の焦点>

 国土交通省は11日、首都圏の新たな高速道路料金に関する具体案のとりまとめを発表した。都心の渋滞緩和を目的に圏央道経由の料金水準を引き下げることなどが柱となっているが、この恩恵を享受するために必要となるのがETCの次世代規格「ETC2.0」だ。

 「ETC2.0」は従来の通行料金自動決済機能に加えて、ITSスポットと呼ばれる道路側に設置されたアンテナと高速・大容量・双方向で通信を行うことで、さまざまな運転支援サービスを受けることができるシステム。従来に比べて広範囲の渋滞・規制情報を得られることで効果的な回避ルートを選択することができるほか、積雪や霧などの状況を画像で確認することも可能になる。また、国交省ではITSスポットを活用した経路別料金制度を16年度に導入する計画で、交通量の少ない道路の料金を優遇するなどして渋滞の早期緩和・交通量分散につなげる意向だ。

 こうしたサービスを受けるためにはETC2.0対応車載器が必要となるが、このセットアップ(ナンバープレートなどの車両情報を暗号化して書き込む)が8月からスタートした。これをきっかけに普及が進むことが予想され、ETCメーカーの追い風となりそうだ。

 また、ETC2.0では空きのある駐車場情報を得られ、料金支払いも同システムで行うことが可能となることから、駐車場を運営する企業にもメリットがありそうだ。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想