日本株は「原油安」が追い風。売られれば押し目買いの好機!

著者:小野山功
投稿:2015/08/10 20:35

~ 小野山功が見通す「今週の株価材料」 ~

★【明暗を分ける日本株と米国株】日本株は「原油安」が追い風。売られれば押し目買いの好機!

7日の日銀の金融政策決定会合後の会見で、黒田総裁は、2016年度前半としている2%の物価目標達成時期が、原油価格次第で後ずれする可能性があると明言しました。

日本のみならず、世界経済に強い影響を与えている原油安ですが、現在も原油や金など国際商品価格の下落が続いています。

国際商品指数の総合的な値動きを示すCRB指数は8月3日に200ポイントを割り込み、およそ12年ぶりの安値を付けました。金価格は1100ドル割れと5年5か月ぶりの安値圏に突入しています。

原油価格も一時45ドル台前半と4ヶ月半ぶりの安値。原油安を受けて、(1963)日揮や(6269)三井海洋開発など、エネルギー関連株が連日で安値を更新しています。

■米国株は「迫る利上げ」と「原油安」で下落傾向に

米FRBによる約10年ぶりの利上げが年内に迫る中、保有しても金利がつかないコモディティを手放す動きが見られています。

コモディティは株式と並ぶ代表的なリスク資産です。リスク許容度をはかるバロメーターとされるため、コモディティ価格が下落するようであれば、株式にも売りバイアスが働くことになります。

また、米国の代表的な株価指数:ダウ工業株30種平均は、エクソンモービルやシェブロンなど石油メジャーの影響を受けやすいため、原油安に連れ安する傾向にあります。

ダウ平均が下がれば、日本株も下がりやすいため、間接的に原油安が日本株の売り圧力になります。

■日本株は「原油安」が追い風。売られれば押し目買いの好機。

ただ、資源を輸入に頼る日本にとっては、一部の銘柄を除き、原油安は追い風です。7月末までに決算を発表した3月期企業(金融など除く)596社の7割が経常増益になったと、8月3日付の日本経済新聞が報じています。

中でも、原油安に伴う燃料費下落で空運業は約3.8倍。電力10社のうち、沖縄を除く9社が経常黒字。10社合計の燃料費は1.1兆円円強と、前年同期比で約6,000億円も減少しました。

製造業にとって原油などエネルギー価格の下落は、業績を押し上げる要因になります。原油安がきっかけで日本株が売られるようであれば、押し目買いの好機になるかもしれません。


小野山 功
小野山功
株式会社SQIジャパン 金融コンサルタント
配信元: 達人の予想