変化が起こりやすい4-5月

著者:菊川弘之
投稿:2015/04/03 12:31

不穏な動きを予感してきた金(GOLD)

 今晩は雇用統計。ADP雇用統計が弱気だった事もあり、事前予想はやや低めがコンセンサス。特に今回は、米国市場がグッドフライデーで休場、英国もイースターで週明け休場と、欧米勢が不在の中での発表で、薄商いが予想される中、雇用統計の結果如何では東京市場で薄商いの中、値が飛ぶリスクには警戒したい。

 数値にサプライズがなければ薄商いから様子見・休場モードとなりそうだが、投資家として用心すべきは乱高下の方だ。

 メリマンの重要変化日が4月3-6日。4日は満月。一目均衡表の月足では、4-5月にかけて雲のねじれが位置する。ドル円のアニバーサリーデイが多く重なるのも日本のGWとも重なる4-5月。例年、大きな相場の節目が出やすい時間帯に入る点には注意したい。

 アベノミクスと同時に円安ドル高トレンドがスタートして3年目。上げ相場も3年目に入ってくると複雑な動きを取るものだ。120円~127円水準は複数のテクニカルポイントが重なる抵抗帯で高値追いに関しても警戒感が出てくる。

 ギリシャが来週9日にも資金が枯渇すると報じられている中、欧州リスクが燻りを続けており、米国の金融引き締めが悪影響を及ぼす可能性は否定できず、仮に出口政策に移行しても小幅で継続的なものにはなり難いと言うコンセンサスが時間経過と共にでてきそうだ。米大統領選挙に向けて年後半には政治ファクターも高まっていく。

 これまで円安の一因でもあった年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の外貨建て資産投資増額も、将来的には弾切れの方に市場の関心が向かえば、強材料から弱材料に切り替わる事もあるだろう。足もとでは、円安ドル高の負の側面も表面化しており、統一地方選挙への配慮や、米議会・産業界からのクレーム、米財務省半期為替報告書への警戒感 も材料視されそうだ。通貨政策にも一定程度の影響を与えると言われるピーターソン国際経済研究所のバーグステン所長は、GPIF改革による米株・米債券買いについて為替操作だと批判している。

 オバマ米大統領は2日、現在のドル高は欧州とアジア経済が低迷していることが要因との見解を明らかにした。「ドルが上昇しているのは多くの人が米国に資金をシフトしたいと考えているからだ。これにより米企業の輸出価格が上昇している」と珍しくドル高に関して発言している。最近、ルー財務官も「強いドルは国益」とあまり述べなくなっている。

 4日は満月で月食。

 過去の歴史を振り返ると、ユダヤ大祭の日に合わせて月食と日食が連続して起こる時、歴史的に大きな動きが見られる。1948年にはイスラエル国家の再建の時期を中心に、2年半の間に7回の月食と日食が起こった。1967年には、イスラエルがエルサレムを奪還した六日戦争(第三次中東戦争)の際に、2年半で9回の月食と日食が発生した。
 2014年4月~2015年9月まで、連続して6回の月食と日食が発生する。イランの核開発に関して、6ヶ国とイランの協議は、6月末の包括合意にいたる前段階での大筋合意であり、単独攻撃も辞さないとしているイスラエルの動向は中期的には波乱要因だ。さらに、中長期的にはイランが核爆弾を保有した場合、対抗措置としてサウジがパキスタンから核爆弾を購入・保有する確率は高く、王政に揺るぎが出ているサウジから核が中東各国から世界へ拡散していく恐れを高めよう。

 この数年、ドル高を背景に売られていたNY金が、1150ドル割れで底打ち感を見せて1200ドルを回復して保合いながら日柄を稼いでいる。将来の不穏な動きを予感し始めているのではないだろうか?
菊川弘之
日産証券調査部 主席アナリスト
配信元: 達人の予想