「3月危機」が噂される中、ユーロの買いエントリーは当面避けた方が無難・・・?

著者:津田隆光
投稿:2015/02/05 19:46

世界規模の金融緩和競争が激化

現在、まさに世界規模の金融緩和競争(通貨安競争)が繰り広げられていることはご存知の通り。
昨日、中国人民銀行(中央銀行)がすべての商業銀行を対象に預金準備率を0.50%引き下げたことにより事実上の利下げを実施。
常にバブル崩壊懸念が噂される中国ですが、ここ最近の中国国内の電力消費量が減少傾向にあるにも関わらず政府の発表する鉱工業生産(付加価値ベース)が上昇しているのを見るにつけ、中国の発表する経済指標の信憑性に対する疑念が深まってしまいますが、いずれにせよ世界的な金融緩和シフトが起こっていることは確か。

また、昨今の原油動向に代表される資源価格の下落傾向が顕著な中、鉄鉱石価格が2011年初頭に比べて昨年末時点で6割近く下落していることもあり、その鉄鉱石が最大の輸出品目である豪州も今週3日のRBA理事会において2013年8月以来18ヶ月ぶりの利下げ(0.25%引き下げ)を実施。
当面の為替相場は、原油や鉄鉱石、または銅といった一次産品・資源価格の値動きにシンクロし、各国中央銀行の金融政策(概ね「利下げ」や「量的緩和」)に一喜一憂する展開となりそうです。

欧州はまさに「前門の虎、後門の狼」の状態に

そんな中、あらゆるマーケットの震源地となりそうな材料が揃う欧州からはしばらく目が離せない状況。
本日東京時間朝方に、ECBがギリシャ国債の担保価値を認めないといった決定を受け、ユーロの下落要因に。
先月のギリシャ総選挙で、反緊縮財政を掲げる急進左派連合が勝利したことで、いわばEUから借りた金を反故にし、ユーロ離脱姿勢がより鮮明になったことは周知の通り。
血の滲むような財政再建を実行し、西独時代も含めて46年ぶりの「無借金経営」(=財政黒字)となる見通しのドイツ国民にとっては腸が煮えくり返るような心情であることは想像に難くありませんが、そのギリシャの金融支援を協議するトロイカ(EU、ECB、IMF)との協議期限が2月末。「3月20日以降、国庫が払底する可能性がある」(ギリシャ高官)との見方もある中、欧州はギリシャ問題とともに昨今蔓延するデフレ懸念と合わせて『3月危機』の見通しも現実的に。
デフレ懸念の拡大とともに、ギリシャ問題期限が迫る欧州は、いわば「前門の虎、後門の狼」と言ったところ。これら見通しの下、安易なユーロの買いエントリーだけは避けるべきと結論付けますが・・・。いかがでしょうか?

10:13 文章修正
津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想