リスク回避の流れでドル円下押し・・・・・

著者:柳澤浩
投稿:2015/01/14 15:51

商品市況と米国債利回り急低下で・・・・・

 原油相場の下落が切っ掛けとなり、商品市況が全般的に下落基調を強め、今日は、銅が急落しています。こんな状況下では、リスク回避の流れが強まる事はあっても弱まる事は無く、日経平均続落と共に、円を買う動きも継続。ドル円は11月3日安値112.571円起点、12月16日安値115.564円とを結んだサポートラインを割り込むと、売り圧力が強まり、今や117円割れとなっています。

 一方、リスク回避の流れなのですから、勿論、米国債は買われており、現在、10年債利回りは1.86%台まで下落。30年債利回りは2.46%台まで下落し、2012年7月に記録した過去最低水準・2.44%に迫っています。更に、2年債も0.51%台まで下げていて、0.50%割れとなれば、利上げ開始は今年の年末と云う事になってしまいます。こうなると、ドル円は売り材料に包囲されている形であり、なかなか反発の切っ掛けがつかめない状況なのかもしれません。

 今夜は米小売売上高が発表となります。もし、この数字が予想よりも強ければ、多少はドルの反発も見られるでしょうが、その一方で、同時に発表される輸入物価が大幅低下となっていれば、インフレ期待が一段と後退し、長期債利回りを更に押し下げる事になり、結局ドル売りが強まるかもしれません。ちなみに、小売売上高の予想は前月比-0.1%、輸入物価は前月比-2.7%となっています。

 それにしても、米FRBの引き締め観測が商品相場の急落を招き、それが、リスク回避の流れを強めた結果、米国債をはじめ、世界的な債券相場高騰、債券利回り急低下につながっています。そして、結果的に、米引き締め開始が後ずれする可能性につながっている訳ですから、何とも皮肉なものですが、このスパイラル的な動きは何時止まるのか、それ次第では、ドル円にも、まだまだ下げ余地が残っているのかもしれません。
柳澤浩
(株)FXプライム byGMOチーフアナリスト
配信元: 達人の予想