小野山功が見通す「今週の株価材料」 ~【原油安で日本株の行方は?】メリットのはずの原油安で「株」が売られる2つの要因~
昨年夏ごろまで100ドル/1バレル台で安定していた原油価格が、足元では50ドル割れと急落しています。
日本は資源を輸入に頼っていますので、原油価格の下落は幅広い業種でメリットになりますが、株式市場では、今のところ原油安を好感する動きにはなっていません。
■マーケット全体の「リスク許容度」が低下
原油の急落が嫌気され、1月6日(火)に米国のS&P500は5日続落、日本株も売られ、7日(水)に東証株価指数(TOPIX)が5日続落しました。
日本企業にとって、大手商社など海外の油田権益を持つ一部企業を除けば、原油価格の下落は利益を押し上げる要素になります。
例えば、東京電力の場合、原油価格が1ドル下落すれば、年間で約240億円利益を押し上げる要因になります。
原油を代表とするコモディティは、株価などの金融商品に比べて、リスク性の高いものとされています。原油価格が下がり、マーケット全体のリスク許容度が低下したことで、株が売られたのです。
■「オイルマネー」政府系ファンドが株式を手放した?
また、原油価格下落で、オイルマネー動きを警戒する向きもあったようです。
オイルマネーと呼ばれる政府系ファンド(アブダビ投資庁、ノルウェー政府年金基金など)が株式市場から資金を引き上げる動きを警戒し、株式を手放す動きがみられたのではないかと考えます。
とはいえ、前述のとおり、原油価格の下落は日本企業の業績を押し上げる効果があります。急激な価格の変動は、好ましくありませんが、1ドル50ドル前後の現在の原油価格が続くようであれば、円安で燃料高に苦しんでいた日本企業にとって朗報になりそうです。
来週は米国で主要企業の決算発表シーズンを迎えるほか、国内でも今月下旬から3月期企業の決算発表が始まります。
円安と原油安の追い風を受け、業績拡大期待が高まる展開が想定されます。
小野山 功