出尽くし感から売り先行、1万7000円巡る攻防に

著者:冨田康夫
投稿:2014/12/15 19:37

明日の東京株式市場見通し

 16日の東京株式市場は、総選挙、日銀短観12月調査などのイベント通過による出尽くし感から、売りが継続する展開となりそうだ。さらに、一度に5社がそろって新規上場することから、需給面での圧迫に加え、市場の関心もIPOに集中する可能性もある。15日は、心理的なフシ目とされる1万7000円台を辛うじて防衛したものの、再びこのラインの攻防となる可能性がある。

 市場からは「原油価格の下落は、原燃料コストの低減など国内企業に当然多くのメリットをもたらす面もあるが、短期間での急速な下落により、ロシアなど原油の採掘・販売に大きく依存する国の経済環境の悪化や、各国の資源開発・採掘企業の採算割れなどが、日本経済を揺さぶる懸念もある」との声が出ている。

 なお新規公開株は以下の通り。
【東証2部】
SFPダイニング<3198>
【ジャスダック】
マークラインズ<3901>
【マザーズ】
メディカル・データ・ビジョン<3902>
アトラ<6029>
U-NEXT<9418>

15日の動意株

 エイチ・アイ・エス<9603>=上昇加速。
アベノミクスが掲げる観光立国に向けた政策支援や最近の為替の円安進行も訪日外国人観光客の増加を促しており、同社が子会社で展開するハウステンボスやラグーナテンボスなどテーマパーク事業が好調だ。また、原油市況安に伴う燃油サーチャージの下落も旅行者の需要拡大に結び付く材料。海外ではタイやインドネシアなどアジア新興国市場の開拓に注力しており、中期的な成長に結実させていく構えだ。

 比較.com<2477>=後場一時ストップ高。
同社は15日正午に米ナスダックに上場するSabre社の宿泊施設向けソリューション部門であるSabre Hospitality Solutions社と業務提携を締結したことを発表した。今回の業務提携で、同社の手間いらず事業部において、Sabre Hospitality Solutions社が運営するCRS(集中予約管理システム)「SynXis(シナキシス)」に、同社開発の「JPswitcher(ジェイピースイッチャー)」が搭載されることになった。

 ミクシィ<2121>=大幅高。
11日に中国テンセント社が提供を開始した中国版「モンスターストライク」が13日以降、iPhone向け無料ゲーム総合ランキングでトップとなっており、これを好感した買いが入っている。中国版の提供は北米、韓国、台湾に続くもので、11月29日には「モンスト」の世界累計での利用者数は1700万人を突破しているが、中国版の滑り出し好調で、業績へのさらなる貢献が期待されている。

 モルフォ<3653>=ストップ高。
前週末12日の取引終了後に発表した連結本決算で、15年10月期業績予想が売上高16億円(前期比13.8%増)、営業利益3億5000万円(同18.5%増)、純利益2億2000万円(同28.9%減)と2ケタ営業増益を見込んでいることが好感されている。主力の画像処理ソフトのミドル・ローエンドのスマートフォン搭載加速でロイヤルティー収入の増加が見込まれ、業績を牽引する見通し。

 コメ兵<2780>=新値追い。
同社は12日、来年3月下旬に「KOMEHYO 買取センター有楽町(仮)」店をオープンさせる予定を公表。業績への寄与などが期待されているようだ。なお、8日には11月度の全社売上高(速報ベース)が31億4600万円(前年同月比18.6%増)になったと発表。6カ月連続で前年実績を上回り、堅調に推移していることも買い安心感につながっている。

 エンビプロ・ホールディングス<5698>=反発。
同社は12日取引終了後に、リサイクルや廃棄物処理などを手掛けるスズトクホールディングス(東京都千代田区)と包括業務提携すると発表。これが買い手掛かりとなっているようだ。両社は、相互に協力して現在の事業を成長させるとともに、独自性のある技術および新たなビジネスモデルを確立し、国内での競争優位の組織をつくりだすことを目指す。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想