ストップ万引き!被害防止関連に関心

著者:冨田康夫
投稿:2014/08/21 19:17

万引き被害に対する防止策に注目

 マンガ専門古書店の最大手で、ビンテージ玩具販売なども手掛けるまんだらけ<2652>が、25万円のブリキの玩具を万引きされ、犯人への対抗手段として「期間内に盗品を返さなければ犯人の顔写真を公開する」と警告したことから、さまざまな小売店での万引き被害の多さが改めてクローズアップされた。犯人は逮捕されたが、万引き被害に対する防止策に注目が集まっている。

 警察庁の推計によると、全国の小売業事業所での万引き被害総額は年間4600億円に達しているものとみられている。また、多くの小売店は、毎回必ずは警察に報告しないことが容易に想像できる。仮に報告しても積極的な捜査がなされることはほとんどないようだ。現行法で万引きは、現行犯でなければほぼ検挙に至らず、また検挙されても罰則が極めて軽微なのが実態。

 しかし、書店のように、書籍や雑誌の利益率が低いケースでは、万引きによる利益損失が重大で、実際に廃業に追い込まれるケースも珍しくないという。

 万引き防止策としては、私服警備員の配備、監視カメラ設置、さらには商品に専用のタグを付け、防犯ゲートで感知する商品監視システムなどがある。

 このシステムで国内トップシェアを占めるのが高千穂交易<2676>だ。店舗の出入り口に設置したゲートセンサーと、商品に取り付けた特殊なタグで構成され、会計を済ませずに商品を持ち出すと、アラーム音が発報し、商品の不正持ち出しを防ぐものだ。

 高千穂交易は、この分野で国内シェア49%を占めている。同社では「14年3月期の商品監視システムの売上高は31億円。前期比10%超の伸びを示しており、今後も成長分野として期待している」(セキュリティ事業部)としている。

 大日本印刷<7912>は、ICタグと顔認識装置を組み合わせて万引きを防止するシステムを開発している。これは、ICタグを商品に貼付し、未精算の商品を持ち出した場合、店舗出口のタグ検出用アンテナがICタグを検知して、その人物の顔を監視カメラで撮影するもの。その人物が再び来店した時に、顔認識装置で照合した結果を店員などに通知し、警戒を強化するというものだ。このほか、リンテック<7966>も商品監視システム用のICタグを手掛けている。

 犯人検挙への証拠確保の有力な手段として、監視カメラの増設が続いている。商業施設や集合住宅などさまざまな場所に自主的に取り付ける動きが加速。さらに、助成金を出す自治体や、犯罪捜査に役立てたいとする警察の後押しもあり、今後も拡大を続けることになりそうだ。

 監視カメラの国内市場は、2012年の350億円規模から、16年には440億円規模に拡大すると見込まれている。設置場所が企業や商店などから、一般家庭へと広がってきたことが市場の拡大に拍車をかける見通しだ。

 防犯カメラの関連銘柄としては、TOA<6809>池上通信機<6771>、兼松日産農林<7961>などに注目したい。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想