相場とは極めてシンプルなロジックで動く生き物!!

著者:津田隆光
投稿:2014/07/10 18:09

ドル/円相場は滑走路を進む飛行機と同じ!?

 歴史的な凪相場が継続するドル/円相場。9日に公表された米FOMC議事録要旨において、金融緩和の解除、つまりは利上げ開始時期について検討を始めたことが明らかになったとのニュースが。ただし、総じて大きなサプライズもなく、以前から踏襲される“ハト派”的な政策の継続が確認されたとのことから、特段動意ともならず仕舞い。

 ここで改めて確認したいことは、「ドル/円相場が膠着状態=円高トレンドの再来間近」といった早合点をするべきではないということ。この理論には中間説明も環境要因の解釈もなく、いたずらに不安を煽る思惑が見え隠れしてしまいます。

 そもそも「出口戦略」とは何かをシンプルに捉えてみると、それは「(適切な)利上げ開始時期」のこと。つまり、マーケット参加者はその利上げの開始時期や具体的なFOMCの見解を求めているだけであって、言うなれば利上げすること自体は既成事実。それは離陸するために滑走路を進む飛行機と例えることもでき、あとは管制官(=FRB)の判断を待つだけの状態とも言えます。

 マーケット参加者はドルを買うタイミングを見計らって留保しているに過ぎず、決して「売るべきか、買うべきか」を迷っている訳ではないことをしっかりと認識する必要があると考えます。

極めてシンプルなロジックに従うと、行きつく先はNZドル/円とポンド/円!

 そんな中、マーケットの焦点は「金融政策」に。「相場は極めてシンプルなロジックに従って動く」という金科玉条をベースに考えると、金融引き締め、つまりは利上げや量的緩和縮小を行っている(またはその方向性を進める)国・地域の通貨は買われやすく、その逆で金融緩和、つまりは利下げや量的緩和の拡大を行っている(またはその方向性を進める)国・地域の通貨は売られやすいというのが一般的な考え方。これらを総合すると、やはり相対的にその金融政策がシンプルなのがNZドル。対円・対ドルともに“2014年最強通貨”の称号は変わりなく、チャートの重要指標からもさらなる上昇が見込まれます。

 その次にシンプルなのが英ポンド。この通貨は比較的好き・嫌いがはっきり分かれる特徴があるものの、G7諸国の中では米国よりも早期に利上げする可能性が取り沙汰されていること、また日足・週足・月足チャート全般でかなり強力な買いシグナルが示現していることに括目する必要があります。

 各国「出口戦略」の時間軸(=「利上げ」が早く到来するのか、まだ先なのか)を投資戦略のベースに置きつつ、NZドル/円やポンド/円といった“アングロサクソン通貨”に引き続き狙いを定めて行きたいところです。
津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想