酵素入り健康食品、肥満改善効果などで脚光

著者:冨田康夫
投稿:2014/06/16 14:41

新たな診断法や治療薬の開発に期待

東京都医学総合研究所は6日、脂質を分解する酵素ファミリーの生理的役割の研究で、肥満の新しい調節機構として、脂肪細胞から分泌される2種の脂質分解酵素がそれぞれ肥満を改善または促進することを見出したと発表した。この研究成果には、肥満や糖尿病などのメタボリックシンドロームの新たな診断法や治療薬の開発につながることが期待されるという。

 酵素は、生物の細胞内で合成され、消化・呼吸など生体内で行われるほとんどすべての化学反応の触媒となる高分子化合物の総称。消費者の健康意識が高まるなか、さまざまな業種から酵素関連商品への参入が相次いでいる。

 カルナバイオサイエンス<4572>は、キナーゼ酵素販売や検査受託が主力事業。キナーゼは血栓を溶かす働きがある。オエノンホールディングス<2533>の酵素医薬品事業は、酒類事業を通じて培ってきた技術をコアテクノロジーとして、酵素・原薬・診断薬・健康食品素材を手掛けている。名糖産業<2207>の化成品部門は、微生物から発酵技術を用いて多糖類や酵素などを製造している。典型的な酵素の1つであるリパーゼは、油脂分解酵素として世界市場で評価されている。

 エーザイ<4523>の主力製品は「チョコラBB」などの健康サプリ。「チョコラBBローヤルT」という疲労対策サプリには、ニコチン酸アミドと呼ばれる補酵素が入っている。小林製薬<4967>の「野菜と酵素」は、発酵により酵素のパワーが高まる17種類の野菜と7種類の穀物を配合。

◆主な酵素関連銘柄

銘柄<コード>   今期営業増益率    株価     PER

名糖産<2207>    5億円の赤字   1,098円      ―
オエノンHD<2533>    2.5    241円   12.6
エーザイ<4523>    ▼20.2   4,116円   33.6
カルナバイオ<4572>    未公表    725円      ―
小林製薬<4967>      1.5   6,370円   20.8

※株価は12日終値(単位:%、円、倍)

ロボット関連が軒並み高、「ロボット戦略」の全容わかると報じられる

サイバーダイン<7779>菊池製作所<3444>ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>、ヒーハイスト精工<6433>などロボット関連銘柄が軒並み高となっている。16日付の読売新聞で、価格が低くて使いやすいロボットを世界に先駆けて普及させることを目指した政府の「ロボット戦略」の全容がわかったと報じられており、これを材料視した買いがロボット関連銘柄に入っている。
記事によると、ロボットを人手不足や高齢化の問題を解決する切り札と位置づけて、介護や農業、インフラ点検・災害、工場を重点4分野として集中的に支援するとしている。また、補助金を出すなどして、世界的に競争が激化する同分野で主導権を握るとして、国内の市場規模を12年の約7000億円から、20年には3倍超の約2.4兆円に拡大させるとしており、市場拡大による関連銘柄の業績拡大に期待した買いが入っている。

銘柄名証                  16日終値 前日比 
サイバーダイン<7779>           9,590円 +990 (+11.51%)
菊池製作所<3444>             9,300円 +440  (+4.96%)
ヒーハイスト精工<6433>           383円  +74 (+23.94%)
ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324> 4,565円 +700 (+18.11%)
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想