「キプロス銀行再開を警戒、中国株下落も重し」~黒岩の眼(夕刊)

著者:黒岩泰
投稿:2013/03/28 16:54

「キプロス銀行再開を警戒、中国株下落も重し」

 本日の日経平均は157.83円安の12335.96円で取引を終了した。朝方から軟調な値動きとなり、時間を追うごとに売りが優勢。一時200円を超える下落幅となった。株価が下落した要因は、寄り付き前に発表された先週の対内株式投資で、海外投資家が19週ぶりに売り越しになったこと。「外国人投資家が売りに転じたのではないか」との見方が強まり、売りに拍車が掛かった。また、キプロス問題が不透明であり、銀行再開に警戒感が広がる展開。中国の銀行資産運用の規制強化も上海総合指数の2%以上の下落につながっており、これも日本株の足を引っ張った。

 ただ、前場段階でTOPIXの下落率が1%を超えたため、日銀ETF買いの観測が高まる展開。引けにかけてはやや下げ渋っている。

 日経平均の日足チャートでは、大陰線が出現。売り圧力が強かったことを示唆しており、弱気形状は継続している。ローソク足では短い下ひげが出現したが、これは底入れのシグナルにはならないだろう。まだまだ下落余地がありそうな感じであり、予定通り、下方の窓(11933.82円―11946.01円、11779.42円―11803.09円)に向けて、動き出しそうな雰囲気だ。

 もちろんリスク要因として意識されているのは、地中海の島国・キプロスの問題だ。日本時間の午後7時に、銀行が2週間ぶりに営業を再開。すでにキプロスの中央銀行には多額の現金が用意されており、預金者による現金引き出しに備えている。一部で取り付け騒ぎになるとの観測もあり、警戒感が強まっている。

 そして投資家が警戒しなければならないのが、イタリア・スペインへの波及である。特にイタリアは人気コメディアン率いる「五つ星運動」が、中道左派連合への協力を拒否。連立協議は暗礁に乗り上げている。このままだと「再選挙確実」の情勢であり、イタリアの政治的混乱がもうしばらく続くことになる。新政権によっては「放漫財政」へと舵を切る可能性もあり、イタリアの長期金利上昇(債券売り)が懸念されるのだ。したがって、しばらくはイタリアの国債利回りの動向を注視する必要がある。

 そして今晩は注目するテレビ番組がある。NHKが午後10時から放送する「NHKスペシャル」だ。「次の巨大地震」と題して、特番が組まれている。もちろん、NHKといえば国民洗脳番組の急先鋒だが、とりあえず観ておく必要があるだろう。次に株式相場が激変するとき、巨大地震がきっかけになる可能性があるからだ。専門家の間でも「富士山噴火は近い」と言われており、株式市場にとってのリスク要因を十分に認識しておく必要があるだろう。今晩はキプロスの取り付け騒ぎを横目に見ながら、再び巨大地震へのイメージを膨らますことになる。(黒岩の眼の無料公開は3/29夕刊までです)
黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想