共栄セキュリティーサービス:人的警備の専門企業グループ、PBR0.9倍付近かつ配当利回り4%前後

配信元:フィスコ
投稿:2026/10/20 08:41
*08:41JST 共栄セキュリティーサービス:人的警備の専門企業グループ、PBR0.9倍付近かつ配当利回り4%前後 共栄セキュリティーサービス<7058>は、創業41年を迎える人的警備の専門企業グループ(KSSグループ)である。施設警備関連(オフィスビル・商業施設等の常駐警備、レセプション・コンシェルジュ、駐車場警備、空港消防業務)と交通誘導警備関連(工事・建築現場、イベント警備)を2本柱とし、国の重要施設警備までこなすノウハウの蓄積を持つ。セコム<9735>やALSOK<2331>など機械警備中心の大手とは棲み分け、人的警備ではRSC<4664>やトスネット<4754>などが比較対象となる。同社は法人向けの人的警備に特化しており、常駐契約85%と安定したストック型収益基盤を構築している。警備業界は保安職業従事者の有効求人倍率が6.2倍、警備員の70歳以上比率が21.6%と深刻な人手不足・高齢化に直面しており、人員をいかに確保するかが業界共通の経営課題となるなか、同社はM&Aによって全国29都道府県に拠点とグループ人員を確保し、KSSグループ全体として顧客に安定供給できる体制を構築している。

同社の強みは、第一に、M&A を起点としたスケーラー戦略である。人手不足で人の取り合いとなる業界において、M&Aは売上とともに警備員という最重要資源を獲得する手段であり、2026年にはアコードセキュリティに続き、6月末に福島県郡山市の太陽興産を子会社化した。2026年1月の子会社合併による株式会社KSSの発足、孫会社の吸収合併などグループ再編も並行して進め、管理コストの削減と統合効果の最大化を図っている。第二に、41年で培った案件対応力の幅広さである。交通誘導から始まり、施設警備、国の重要施設警備や空港消防業務へと領域を広げてきた実績は、参入ハードルの高い高付加価値案件を受託できる信頼と単価面の差別化につながっている。第三に、ストック型の契約基盤である。施設警備は余程のことがなければ契約が継続し、交通誘導も1年以上の契約が見込まれる案件が中心で、安定した収益基盤の上に料金改定を計画的に進めることで、人件費上昇下でも売上総利益率23%台の維持を図っている。

直近の業績を確認すると、変則決算前の2025年3月期は売上高10,151百万円(前期比8.1%増)、営業利益508百万円(営業利益率5.0%)(同53.9%増)と本業は好調だった。決算期を3月から7月へ変更したことに伴い、2026年7月期は16カ月の変則決算となり、売上高15,346百万円、営業利益1,163百万円(営業利益率7.6%)で着地した。期中には、継続的なM&A効果、契約料金の改定、契約数の増加、採用活動の成功に大阪・関西万博関連業務が加わり、2026年2月に通期営業利益を10億円から13億円へ引き上げ、配当も90円から120円へ増額した経緯がある。グループ統合の集約効果と料金改定の浸透が収益性を一段引き上げた。続く2027年7月期(12カ月決算)は、売上高13,000百万円、営業利益1,170百万円(営業利益率9.0%)を計画する。万博関連需要の剥落を、アコードセキュリティ・太陽興産の通期寄与と既存事業の伸びで吸収し、単純比較はできないものの利益率は一段と高まる見通しであり、会社側も達成への意欲を示している。

将来戦略の中心は引き続きM&Aである。競合他社が買収される側に回るケースもあるなか、同社は定期的に案件を発掘し、業容拡大とグループシナジーの獲得を続ける。対応エリアは広範に及び、従業員数は約 3,200 名以上に拡大してきたが、エリアでは未進出の九州は機会を見ながら、全国展開を進める方針である。また、太陽興産の子会社化により建物設備管理などビルメンテナンス周辺領域が加わったことは大きなチャンスと捉えており、警備とビルメンテナンス、マンション管理を一括で受託するクロスセル展開をこれを機に広げていく方針である。人材面では雇用の維持を基本に、料金改定を計画的に行いながら処遇改善と収益性を両立させる。

株主還元については、「安定的かつ継続的に累進性をもって」配当を行う方針を掲げ、2026年7月期は120円(配当性向25.0%)、2027年7月期も120円(同24.8%)を予定する。減配しない累進配当の枠組みの下、利益成長が進めば増配余地も意識される。なお、株主数は818名(2026年7月末)と少なく、株式の流動性向上が課題となる。IR動画の配信など情報発信にも取り組んでおり、個人株主層の拡大が進めば需給面の評価余地も広がりそうで、予想PER6倍台、PBR0.9倍付近、配当利回りは4%近辺と、バリュエーション面の割安感も残る。

総じて、共栄セキュリティーサービスは、人手不足という業界の構造課題を逆手に取り、M&Aで人員と商圏を獲得しながら拡大する独自の成長モデルを確立しつつある。変則決算で前期比較は難しいものの、料金改定と統合効果により利益率9%の警備会社へと収益体質は着実に強化されており、ビルメンテナンスなど周辺領域へのクロスセルが次の成長余地となる。累進配当と割安なバリュエーションを下支えに、M&Aによる拡大の継続性と流動性向上策の進展に注目していきたい。

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配信元: フィスコ

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