マネーフォワード、連結売上高は前期比+66%増の高成長を維持 AIサービスの展開が加速

投稿:2026/10/16 13:00

2026年11月期 第3四半期ハイライト

辻庸介氏(以下、辻):みなさま、本日はお忙しいところお集まりいただき、誠にありがとうございます。マネーフォワード代表取締役社長、グループCEOの辻です。それでは、第3四半期のハイライトについてご説明します。

第3四半期の連結売上高は179億2,000万円で、スマートキャンプ社のグループアウト影響を除くと前年同期比66パーセントと非常に高い成長を維持しています。

特に、ベンチャーキャピタル事業であるMoney Forward Financeセグメントで大きな売却収入があり、押し上げ要因となっています。同影響を除く、つまりMoney Forward Businessセグメント、Xセグメント、Homeセグメントの合計売上高は、前年同期比47パーセント増の成長を見せています。

全社のSaaS ARRは486億5,000万円となり、前年同期比30パーセント増で引き続き堅調な成長が続いています。

また、Money Forward Businessセグメントの売上高は前年同期比52パーセント増で、課金顧客数が50万事業者を突破しました。さらに、法人課金顧客の純増数は1万822社と前年同期を上回る獲得となっています。

加えて、個人事業主・SMBの法人向け領域で価格改定を発表しました。詳細はホームページや今回の決算資料をご覧いただければと思いますが、ARRで25億円以上のインパクトが見込まれると考えています。また、カード事業の「マネーフォワード ビジネスカード」も順調に成長しています。

次に、調整後EBITDAは48億円で、調整後EBITDAマージンは26.8パーセントと、過去最高を更新しました。また、Money Forward Financeセグメントで売上高が21億4,000万円となったことを背景に営業利益は19億円と、こちらも過去最高を更新しました。

さらに、HIRAC FUNDを除いた調整後EBITDAも30億円、マージンは19パーセントとなり、前年同期比で7.3ポイント改善しました。そして、FY2026の第1四半期から第3四半期までの累計調整後EBITDAは99億円となり、昨年同期比で約3倍となっています。

また、現在非常に力を入れているAIの取り組みについては、「No.1バックオフィスAIカンパニーを目指す」ということで、人事労務やリース契約管理業務を包括的に支援するAI-BPOサービスの提供を開始しました。

さらに、AIエージェントでは「工数自動入力エージェント」や「連結決算レビューエージェント」などもリリースしています。また、「カスタム帳票作成エージェント」も有償化を開始しました。

そして、以前からアナウンスしていた「マネーフォワード AI Cowork」については、一部の士業事務所向けに先行提供を開始しました。内容については、後ほどデモをご覧いただければと思います。その他の具体的な詳細は、この後のトピックでご説明します。それでは、詳細について長尾がご説明します。

Q3連結売上高は前年同期比+66%(除く、グループアウト影響)

長尾祐美子氏(以下、長尾):執行役員、グループCFOの長尾からご説明します。まず、第3四半期の連結売上高は179億1,600万円となり、前年に実施したスマートキャンプ社のグループアウトの影響を除くと、前年同期比66パーセント増と非常に高い成長率を記録しています。

セグメント別については、Money Forward Businessセグメントが前年同期比52パーセント増、Money Forward Homeセグメントが前年同期比23パーセント増と、主力のMoney Forward BusinessセグメントとMoney Forward Homeセグメントの成長が加速しています。

また、先ほど辻よりお伝えしたとおり、Money Forward Financeセグメントでは売却収入があり、売上として21億円を計上しました。

SaaS ARR推移

全社のSaaS ARRは前年同期比30パーセント増、中核であるBusiness法人ARRは前年同期比31パーセント増と、高成長を続けています。

Businessセグメント 四半期 売上高推移

Money Forward Businessセグメントの四半期売上高推移です。四半期の売上高は133億1,200万円で、前年同期比52パーセント増と成長が加速しています。内訳としては、法人のストック売上が前年同期比34パーセント増、個人事業主のストック売上が前年同期比18パーセント増となり、ストック売上が安定して高い成長を続けています。

また、トランザクション/フロー売上が30億3,400万円と大きく伸びました。これは主に「マネーフォワード ビジネスカード」の決済手数料売上が牽引したものであり、今四半期から連結した米国会計事務所の効果として約6億円も含まれています。

2026年11月期 Businessセグメント 第3四半期ハイライト

Money Forward Businessセグメントのハイライトです。売上高は前年同期比52パーセント増で、今四半期に連結が開始されたGerstle Rosen & Goldenberg, P.A.社(GRG社)の影響を除いても、前年同期比45パーセント増と非常に高い成長を維持しています。

法人のARRは前年同期比31パーセント増となり、特に中堅企業のARRは195億4,000万円という規模に成長しながらも、前年同期比35パーセント増と非常に高い成長を続けています。

法人ARPAは前年同期比8.4パーセント増で、前四半期から影響が開始した「AKASHI」のグループジョインの影響を除いた中堅ARPAは前年同期比7.6パーセント増と、前四半期からARPAの拡大速度が加速しています。

法人の課金顧客数は、今四半期に1万社以上の純増となり、前年同期の9,675社を大幅に上回りました。最後に、今月、個人事業主とSMB向けの価格改定を発表しました。この価格改定の効果が一巡する2028年5月時点で、ARRに25億円以上のインパクトを想定しています。詳細は後ほどご説明します。

Businessセグメントの法人ARRは、前年同期比+31%

法人ARRです。法人ARR全体で前年同期比31パーセント増、そのうちSMBで28パーセント増、中堅企業以上で35パーセント増と、いずれも高成長を記録しています。

課金顧客数とARPAの成長が継続

課金顧客数とARPAについてです。課金顧客数は個人・法人合わせて50万事業者を突破し、前年同期比18.6パーセント増となっています。ARPAも拡大を続けています。価格改定効果が前四半期まであり、今四半期から一巡していますが、引き続きARPAの拡大は継続しています。

なお、前四半期比で法人ARPAを見ると少し下がっているように見えますが、その点についてはSMBのところでご説明します。

法人顧客純増数と士業チャネルの継続的な強化

法人顧客純増数の推移です。1万社以上と、前四半期の9,675社を大きく上回り、新規獲得が好調に推移しています。

SMB企業向けARRは、前年同期比+28%

SMB企業向けARRです。SMB企業向けARRは前年同期比で28パーセント増加し、顧客純増数は1万345社と非常に好調でした。「STREAMED」のARRを除くと、前四半期と比較して5億2,000万円の純増です。「STREAMED」を除くARPAは前年同期比で10.5パーセント拡大し、引き続き成長を維持しています。

前四半期比でSMB ARPAがわずかに低下した要因は2つ挙げられます。1つ目は、ARPAの高い「STREAMED」が例年どおり閑散期に入りARRが減少したことです。この点はスライド左側のグラフからも確認できます。

もう1つは、ARPAの比較的低い「記帳代行プラン」の新規獲得が非常に好調だったため、全体のARPAが押し下げられるかたちになったことです。ただし、冒頭でもお伝えしたようにARRの成長率は前年同期比28パーセント増と引き続き高い水準で推移しています。

『マネーフォワード クラウド』におけるSMB・個人事業主向けプランの料金プランをアップデート予定

個人事業主およびSMBの両方に対する価格改定についてです。背景としては、法令改正への対応、新機能の開発、物価上昇に伴う開発費の上昇などが挙げられます。実施開始のタイミングはスライドに記載されているとおり、個人事業主向けプランが今年12月から、SMB企業向けプランが2027年6月からとなります。

前回の価格改定のタイミングは、個人事業主向けプランが2023年12月、SMB企業向けプランが2025年6月でした。そのため、前回の改定からの間隔に差があり、今回の価格改定の幅も2つのプラン間で異なります。

特にSMB企業向けプランは、前回の価格改定と比較して小幅な改定となっており、対象のお客さまへの単価影響は平均で前年同期比12パーセント程度になると見込んでいます。個人事業主向けプラン・SMB企業向けプラン合わせて、先ほどご説明したとおり、25億円ARRインパクトを想定しており、内訳としては個人事業主向けとSMB企業向けでほぼ半々と考えています。

AI機能を含む継続的なサービスの付加価値向上を通じて、価格改定を実現

前回の価格改定以降、さまざまな機能の充実を進めてきました。これにはAI機能も含まれています。一例として、会計MCPサーバーの提供や会計APIの公開、AIチャットボットのリニューアル、請求書のAIアップロード機能などがあります。

このようにユーザーさまにとっての付加価値を拡大し、それを価格にしっかり反映するという方針を今後も継続していきたいと思います。

国内最大級の士業業界イベント「士業サミット2026」を10月2日に開催

当社が非常に重要視している、士業事務所のみなさまに関するトピックです。先ほどお伝えした純増数は1万社以上でしたが、士業事務所経由の新規獲得は今四半期も好調でした。

10月初旬には「士業サミット2026」を開催し、過去最大の4,000名超のお申し込みをいただき、非常に盛況に終えることができました。現地参加者の満足度は約99パーセントと非常に高評価をいただき、大変ありがたく思っています。

こちらの「士業サミット2026」で、「マネーフォワード AI Cowork」のローンチおよび提供開始を発表しました。後ほど辻よりデモをご紹介します。

中堅企業向けARRもYoY+35%と力強い成長が続く

中堅企業の領域についてです。中堅企業向けARRは195億4,000万円で、前年同期比35パーセント増と力強く成長しています。「AKASHI」を除いたARPAは、スライド右側のグラフに点線で示されており、前年同期比7.6パーセントとARPAが拡大しています。また、「AKASHI」のグループジョインの影響を除くと、平均課金プロダクト数は3.0を超えています。

国内最大級のバックオフィスSaaSプロダクトラインアップに加え、AIによる自律的な業務支援も可能に

中堅領域のプロダクトラインアップについては、後ほど辻がご説明しますが、AIにより機能の提供から業務完了まで対応できるようになりつつあります。その中で、我々の幅広いプロダクトラインアップは一層強みを発揮していくと考えています。

直近では、新たに「マネーフォワード クラウドAIトークン管理」と「マネーフォワード クラウド健康管理」という2つのプロダクトが登場しましたので、簡潔にご紹介します。

『マネーフォワード クラウドAIトークン管理』をリリース

「マネーフォワード クラウドAIトークン管理」についてです。企業のみなさまにとってAIコストの管理は非常に大きな課題となっています。この点をダッシュボードで可視化し、当社の「マネーフォワード ビジネスカード」を活用することでAIガバナンスを支援する仕組みです。我々のカードで、ますます増えるAIコストの決済ニーズを取り込めればと思います。

中堅企業における人事労務領域のプロダクトラインアップを強化

HR領域のプロダクト「マネーフォワード クラウド健康管理」についてです。すでに提供を開始しており、健康診断やストレスチェックなどの管理業務を一元化できる領域となっています。ストレスチェックは義務対象の拡大が決まっており、非常に多くの企業が注目している領域です。

全社売上総利益/バックオフィス向けSaaS事業”Gross Profit Margin”推移

全社売上総利益率は69パーセント、バックオフィス向けSaaS事業のGross Profit Marginは90パーセントと、引き続き高い水準で推移しています。

EBITDA・営業利益(四半期推移)

四半期の利益についてです。調整後EBITDAは48億円、マージンは26.8パーセントで、いずれも過去最高額となりました。営業利益は18億9,500万円で、Money Forward Financeセグメントの売却収入として17億円ほど影響がありますが、その影響を除いても四半期で営業黒字を達成しています。

売上原価・販売費及び一般管理費の構造(対売上高比率、EBITDAベース)

コスト構造についてです。売上高が非常に好調だったことに伴い、コスト比率が大きく低下しました。今後もユニットエコノミクスを重視し、規律ある投資を進めていきたいと考えています。

従業員数の推移

従業員数の推移です。前四半期と比較すると122名増加しましたが、そのうち63名はグループジョインによるもので、それを除いたオーガニックでは59名の増加です。この数値は前四半期の118名から大きく低下しています。今後もAI活用と併せ、厳選した採用を進めていきます。

AIチャットボットのアップデートにより、カスタマーサポートの生産性が飛躍的に向上

当社のAI活用の取り組みの一例です。最近の良い事例として、AIチャットボットによるカスタマーサポートの生産性向上があります。AIチャットボットのリニューアルにより、有人のカスタマーサポートの対応件数を52パーセント削減することができました。

顧客数の増加に伴いサポート需要そのものは増加していますが、こうした取り組みにより、AIを活用して生産性をより一層向上させることを目指していきます。

従業員1人当たり年間売上高(除く、HIRAC FUND)・ARR

従業員1人当たりの年間売上高・ARRについてです。ARRは前年同期比で15.9パーセント改善しています。

バランスシートの状況

バランスシートおよび現預金の状況です。

現預金残高推移分析

現預金の推移についてご説明します。カード事業の影響を除く事業キャッシュフローは9億6,200万円で、第1四半期から第3四半期までの累計では26億1,900万円と、キャッシュフローベースでの収益性拡大が進んでいることがわかります。

契約負債に関しては、前四半期より増加幅が小さくなっていますが、これはスライドに記載のとおり、確定申告シーズン終了に伴う季節性や「マネーフォワード ME」で有効契約期間を延長した影響が含まれています。

Homeセグメント 四半期 売上高推移

最後に、前四半期にインシデント関連で特に「Money Forward Homeセグメントへの影響がある」と説明しましたので、ここでMoney Forward Homeセグメントについて簡単に触れます。Money Forward Homeセグメントは前年同期比で23パーセント増の成長を記録し、売上高も前四半期よりしっかり増収となっています。

『マネーフォワード ME』利用者数 / プレミアム課金ユーザー数推移

プレミアム課金収入は有効期間延長に伴い減収となりましたが、スライドに記載のとおり、課金ユーザー数は順調に伸びており、非常に良い結果だったと考えています。

「Apps in ChatGPT」で利用可能な『マネーフォワード ME』アプリの提供を開始

トピックスを少しご紹介します。「マネーフォワード ME」において、「ChatGPT」との連携アプリをローンチしました。この機能では、「ChatGPT」内で「マネーフォワード ME」のデータを読み込み、「ChatGPT」がそれに基づいてアドバイスを行います。

機能について簡単にご紹介します。まず連携方法は、プラグインというところで「マネーフォワード ME」と入力します。ユーザーがデータ連携を許可することが前提ですが、これにより「ChatGPT」で連携したデータを活用できるようになります。

ユーザーの「マネーフォワード ME」上のデータを使って、例えば「市場環境と照らし合わせてリスク度合いは適切ですか?」といった質問をしてみます。スライドにはサンプルを掲載していますが、その方のポートフォリオを紹介するなど、「このポートフォリオに基づくリスクはこうですよ」「シナリオを分析しますか?」といった提案を行います。

さらに追加で質問すると、「リスクシナリオだとこうなるため、例えばこういう準備をしたほうがいいですよ」など、さらなるリスク分析ができるようになっています。

あくまで一例ですが、このように「マネーフォワード ME」のデータを使用することで、お金の見える化にとどまらず、お金に関する意思決定をサポートする機能拡大が可能となってきました。ぜひご利用いただき、フィードバックをいただけると幸いです。

以上、私のパートでした。それでは辻に戻します。

辻:Money Forward Homeセグメントにおいては、マイナス1億1,000万円のインシデント影響がありましたが、三井住友カードさまの「Olive」との連携が非常にうまく進んでおり、ユーザー獲得が進展している状況です。

1. 中長期の財務ターゲットと進捗状況

それでは、今回のトピックであるAIの活用による新たな成長機会と具体的な取り組みについて、私からご説明します。1つ目は、FY2028に向けた中長期の財務ターゲットについてご説明します。2つ目はAIの詳細について、3つ目は具体的な取り組みについてお話しします。

まず、中長期の財務ターゲットです。2024年に中長期財務ターゲットとして、FY2028に売上高が900億円以上、EBITDAが270億円以上、SaaS ARRが800億円以上、事業キャッシュフローが180億円以上という目標を掲げました。

2025年11月期の売上高は、期初ガイダンスの上限寄りで、調整後EBITDAは期初ガイダンスのレンジを超える結果をおさめることができました。また、2026年11月期も、第2四半期に通期ガイダンスの上方修正を実施するなど、中長期財務ターゲットの達成に向けて順調に進捗していると考えています。

先ほどお伝えしたとおり、この中長期財務ターゲットを発表したのは2024年1月で、そこから2年と9ヶ月が経過しています。当時はAIがこれほど進展するとは想定しておらず、AIによる売上のアップサイドや、AIを活用したコスト効率の向上については織り込んでいませんでした。

今後はAIプロダクト・サービスの提供によるさらなる売上のアップサイドやコスト最適化に取り組み、より高い数値を目指していきたいと考えています。

1-1.中長期財務ターゲット達成に向けたBusinessセグメント利益計画およびFY26の進捗

Money Forward Businessセグメントの利益計画および進捗です。これまで、エンジニア人材の確保や広告宣伝費などにコストを投下し、トップラインの成長を推進してきたMoney Forward Businessセグメントですが、収益性改善も順調に進捗しています。

FY2025のコスト比率は、売上に対して想定レンジとして92パーセントから97パーセントを目標としていましたが、それを下回るかたちでより高い収益改善を実現しています。また、FY2025からFY2028の3年間においては、FY2025のEBITDAマージンの8.6パーセントから30パーセント以上に向上させる計画を立てています。これは21ポイントの改善となります。

FY2026の第3四半期では、EBITDAマージンが前年同期比で8.8ポイント改善しています。当初、年7ポイントから8ポイントの改善を想定していましたが、それを上回る速度で収益改善が進んでいると考えています。

また、FY2026のRule of 40およびFY2028のマージン目標達成に向けては順調に進捗していますが、達成まであと2年ほどあります。その間にAIを活用し、さらなるトップラインの成長と生産性の改善を図っていきたいと考えています。

2.AIが当社にもたらす機会 ― クラウドからAIへ

AIを活用した新たな成長機会についてご説明します。現在、AIに関連した取り組みに注力していますが、一度マクロ的な視点で整理したいと思います。「AIが当社にもたらす機会 ― クラウドからAIへ」というタイトルですが、クラウド化に続き、AIというテクノロジーの進化を捉え、さらなる事業成長を目指していきます。

スライド左側には、これまで当社がクラウド化によって生み出してきた価値を整理しています。もともとバックオフィスシステムはオンプレミス型ソフトウェアが主流でした。

しかし、デメリットとして特定のPCや拠点でしか利用できないこと、共有・更新に手間がかかること、保守・バックアップを個社で対応する必要があるといった不便さがあったと考えています。

これが、クラウド型ソフトウェア(SaaS)により、場所や端末にとらわれずに利用できる便利な業務支援ツールとなりました。

複数の拠点から利用できるようになり、最新データを複数のユーザーがリアルタイムで共有できるようになりました。また、データの取得、更新、バックアップも自動化されました。従来のオンプレミス環境と比較して、格段に便利で手軽なクラウドサービスとして進化しています。

さらに、自動取得により、従来は手作業で入力していたデータも自動で連携・仕分けできるようになり、業務効率化が実現しました。

これからは、スライド右側に示しているように、クラウドにAIを組み合わせることで、これまで人が操作していた業務を解消し、完了まで提供することが可能になります。

一方、これまでは「便利な業務支援ツール」を提供してきましたが、今後はAIエージェントやAI-BPOによる業務の自律実行、複数業務の横断的な実行を通じて、業務完了までを提供できる世界へと進化していけるのではないかと考えています。

クラウド化に続き、AIという大きなチャンスを捉え、さらなるお客さまへの付加価値提供に取り組んでいきます。

2-1.提供価値の変化 ― 「業務の完了」まで提供

「業務の完了」についてもう少し具体的にご説明します。これまではスライド上段に示しているように、請求発行、債務支払、経費承認、仕訳・月次決算といった業務の各ステップを、人がクラウドシステムを操作して行ってきました。

これからは、例えば「今月の経理業務まとめて処理して」とAIに伝えるだけで、AIエージェントやAI-BPOが請求発行から支払、月次決算まで、月末処理を一気通貫で自律的に実行する世界ができることを想定しています。

また、当社はフィンテックサービスも展開しているため、送金や借入なども一気通貫で行える未来を目指しています。その中で、人は最終的に承認や確認を行うだけで業務が完了するという世界観を構築していきたいと考えています。

このようにAIを活用することで、業務の完了までを横断的にカバーするサービス提供へと進化していきたいと考えています。

2-2.AIの実行基盤となる、幅広いバックオフィスSaaSのラインアップ

ただし、これを実行する上で非常に重要だと思うのは、やはり基盤です。当社が優れたポジションにあると自負している点は、自社開発やM&Aを通じて国内トップクラスのプロダクトラインアップとして、30以上のバックオフィスSaaSを提供していることです。

各プロダクトが業界でNo.1水準であると考えており、業務データの正確な記録などを保持しています。この幅広いプロダクトラインアップを通じて、AIが活用可能な多様な領域のお客さまのデータを蓄積しています。

2番目は、決済・資金繰りを扱っていることです。企業活動においては当然お金の動きが発生しますが、それを支えるフィンテックサービスを提供しています。

3番目は、権限管理、承認フロー、監査ログといったガバナンスおよびセキュリティの仕組みも備えていることです。昨今、AIによる攻撃で情報漏えいが日に日に発生しており、セキュリティやガバナンスの重要性がますます高まっていると感じています。

当社はAIが業務を実行するためのプロダクトやデータ、ガバナンスセキュリティを備えた実行基盤を有しています。そのため、AIの進化は非常に大きな成長機会となると考えており、わくわくしています。

2-3.AIプロダクトとAI-BPOにより、ARR150億円を実現

進め方は、大きく2つに分けられます。当社のAI戦略は、主に2つの柱を掲げています。1つ目は業務を自律実行するAIエージェント、もう1つは業務を丸ごと当社にお任せいただくAI-BPOです。これらを通じて、AIによる業務の自動化や代行領域を広げ、新たな成長機会の獲得を目指します。

まず、AIエージェントについては、SMBや中堅領域において「マネーフォワード AI Cowork」や各種AIエージェントの提供を進めています。

SMBに関しては、AIによるユーザー提供価値の向上を通じて、ARPAの向上を図ろうとしています。現在、SMBのARPAは約7万2,000円ですが、AI機能のアップデートに伴う価格改定を来年6月に予定しています。

さらに中堅企業向けには、個別の業務において比較的大きな業務があり、BPOで切り出されているケースも存在しますが、これを高度に自律化することで、既存サービスのアップセルにつなげていきたいと考えています。

次に、AI-BPOについては、SMB向けに「人手不足の影響もあるため、バックオフィス業務を丸ごと代行します」という「マネーフォワード おまかせ経理」を昨年8月にリリースしました。これは人件費の代替となるもので、足元では「マネーフォワード おまかせ経理」を月額20万から30万円程度で提供しています。

また、中堅領域では「マネーフォワード おまかせ請求回収」「マネーフォワード おまかせリース契約管理」「マネーフォワード おまかせ給与計算」等をリリースしており、業務量に応じた人件費代替の高単価サービスを提供しています。

これらの取り組みを通じて顧客数と単価の両方の拡大を目指し、FY2030までにAI関連ARR150億円以上を目標として取り組んでいます。

2-4.デジタルツールの提供からデジタルワーカーの提供へ進化することで、TAMを約5倍に拡大

こうしたAIによる業務代行のニーズは、日本における少子高齢化や人手不足といった社会構造の変化により、さらに高まってくると考えています。それに伴い、BPOニーズも拡大し、デジタルワーカー市場も大きく成長すると想定されています。

試算では、デジタルワーカー市場は、SMB領域で4兆3,000億円、中堅領域で9兆8,000億円まで拡大すると当社では見込んでおり、当社のTAMも現在の約5倍に拡大する見込みです。こうした市場の拡大に向け、すでにリリースしているAIエージェントやAI-BPOなど、お客さまへの提供価値が高いソリューションの展開を進めています。

『マネーフォワード AI Cowork』を一部士業事務所向けに提供開始

AIプロダクトやAI-BPOの取り組みについて具体的にご説明します。以前からアナウンスしていますが、リリースが遅れていた「マネーフォワード AI Cowork」は、一部の士業事務所へご提案することができました。

ここで、デモをご覧いただきたいと思います。こちらは「月次仕訳登録エージェント」です。会計事務所にご利用いただくことを想定しています。AIエージェントが入力ルールを基に、1ヶ月分の仕訳を自動で登録します。

操作としては、まずプリセットされているメニューが表示されます。例えば、「月次仕訳登録」は税理士事務所が月次仕訳登録を行うためのものです。事業者ごとのルールを参照し、ルールに記載されていない判断が難しい仕訳に関しての説明が記載されていますが、こちらをクリックするとプロンプトが自動設定されています。

こちらで証憑や銀行明細などが含まれたファイルをアップロードし、例えば「4月分の仕訳登録をして」と指示を出します。すると、エージェントが個社の入力ルールを把握した上で、「マネーフォワード クラウド会計」に仕訳登録を行います。登録済みの仕訳を一覧で確認することもできます。

取引の中には判断に迷うものもあります。これをAIが独断で処理してしまうと問題が生じるため、判断に迷う取引はAIがピックアップし、迷いのポイントと推奨案を提示した上で、人間の判断を仰ぐかたちを取っています。

例えば、「以下のAからDの4点について教えてください」と、担当者や会計事務所の職員に確認する形式です。対話形式で進めていくことで、「Aは1、Bは2」のように自然言語で簡単な指示を出して仕訳登録ができる仕組みとなっています。

最終確認も対話形式でスムーズに進め、判断を行った箇所についても、どのような処理を行ったかを求められるかたちです。来月以降の対応事項や未確認のアラートも、申し送り事項として自動で整理されます。

すべての登録作業が完了すると、処理件数や金額をまとめた作業レポートが自動生成され、結果が可視化されます。また、「こんな処理を実行した」という内容を後から確認できるように確認リストも出てきます。

また、今月の申し送り事項として、他の担当者が対応しても問題がないように、来月以降の対応事項などが表示されます。そして、AIが今回のやりとりで決定した新しいルールを次月用の仕分けマニュアルとして自動的に文章化・更新していくため、会社ごとにより賢くなり、自動化が進みます。

これにより、AIによる作業が事務所の資産として蓄積されていき、使用すればするほど自動化が進む世界が実現します。この機能はまだ第一段階ですので、今後さらにさまざまな業務において「マネーフォワード AI Cowork」を拡大していきたいと考えています。

新たにAIエージェントをリリース、一部プロダクトで有償化も開始

AIエージェントについてです。「マネーフォワード AI Cowork」の他にも、当社は幅広いAIエージェントをリリースしており、この第3四半期でも新たなAIエージェントをリリースしました。

経理財務領域におけるAIエージェントを続々とリリース

「連結決算レビューエージェント」は、連結決算の数値を確認し、修正箇所の提案や推定原因などをレポートにまとめます。AIによるレポート化を活用することで、ミスのリスクを軽減し、ガバナンスの強化に貢献します。

次に「工数自動入力エージェント」は、AIが「Googleカレンダー」の予定情報を参照し、稼働したプロジェクトを自動的に提案して、工数入力をサポートします。人間が手動で入力する手間を軽減できます。フィードバックを基に稼働傾向を継続的に学習することで、提案内容を確認するだけで入力が完了します。

3つ目は、有償化を開始した「カスタム帳票作成エージェント」です。こちらは、必要な帳票の条件を指示するだけで帳票を作成するサービスです。具体的には、部門別や年度横断の実績比較帳票など、従来15分から20分かかっていた帳票の作成が約10秒に短縮されます。

すでに「部門別や年度横断の実績を比較したい」「会計データを管理会計に活用したい」といったところからの受注が進んでおり、グループ会社など複数社での利用を決定した企業もあります。徐々にプロダクトの提供価値が高まり、有償化も進んでいる状況についてご紹介しました。

【事例】MCPサーバー×マネーフォワード クラウドの活用により、士業事務所の生産性が向上

MCPサーバーと「マネーフォワード クラウド」を活用することで士業事務所の生産性が向上した事例です。具体的には、鯵坂税理士事務所さまにおいて、汎用のAIツールとMCPを連携させることで、日常業務における決算書申告データと仕訳データをAIで照合し、チェック業務を効率化しています。

さらに、システムの移行や乗り換え作業、データ移行時においても、過去の仕訳データをAIで分析することで、業務フローの把握から初期設定・移行作業まで効率化を実現しています。このように、かなり進んだ取り組みを行っている事務所もあります。

鯵坂税理士事務所さまでは、もともとスタッフ16名で業務を行っていましたが、AIの活用により4名減の12名体制で、受け入れ顧問先数や品質を維持しながら業務を継続しています。

また、「欠員補充を急ぐ必要性がなくなり、厳選した採用が可能になった」「生まれたリソースを顧問先のDX支援やシステム導入支援といった付加価値提供に振り向けられている」といううれしいお言葉をいただいています。

このような自社内で高度なAI活用を進めている士業事務所もあり、一定の進展が見込まれます。一方で、セキュリティやガバナンス面を考慮すると、汎用AIツールの利用が主流となることは難しいだろうと考えています。

そのため当社としては、そのようなお客さまに対してはMCPサーバーを提供し、「セキュリティやガバナンスは怖い」という方には「マネーフォワード AI Cowork」での提供と、双方のオプションを用意することで、幅広いお客さまに向けたAI機能の提供拡大を目指していきます。

AI-BPOサービスの提供により、高収益化とARPA向上を実現

AI-BPOサービスの提供についてです。当社のAI-BPOサービスは、請求・支払代行、クラウド導入支援、記帳代行、給与計算など、バックオフィス業務を幅広くカバーしています。これまで人が担っていた業務をAIで自動化し、最終チェックのみを専門スタッフが行うかたちで提供しています。

現在、業務プロセスの見直しとエージェント化を徹底的に進めており、生産性が確実に向上しています。例えば、振込業務では自動化により工数が従来の半分で済むようになるなどの成果を上げています。プロセスや組織体制の見直しとAIによる自動化を進めており、年内には入力業務の約50パーセントの工程が自動化される見込みです。

人事労務・リース契約管理業務を包括的に支援するAI-BPOサービスを提供開始

こちらもAI-BPOの取り組みですが、中堅企業向けのBPOサービスを新たに2つリリースしました。1つ目は「マネーフォワード おまかせ給与計算」で、給与計算関連業務をAIと専門スタッフが一気通貫で行うサービスです。

もう1つは「マネーフォワード おまかせリース契約管理」です。リース契約は判断が難しい部分もありますが、契約書をチャットで送付するだけで、契約書や証憑の電子化、リース識別、契約台帳の作成など、業務設計から実務運用までを包括的に代行する仕組みとなっています。

また、2027年度の新リース会計基準の適用に向けて、今後さらに需要が高まると見込んでおり、しっかりと取り組んでいきます。今後も、このようなAIエージェントとAI-BPOの両輪で、「No.1バックオフィスAIカンパニー」の実現を目指していきます。

以上をもちまして説明を終了します。

配信元: ログミーファイナンス

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