明日の株式相場に向けて=中東有事で加速したリスクオフの先を読む
週明け9日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比2892円安の5万2728円と急反落。一時は4000円を超える下げで5万5000円台割れはもちろんのこと、5万4000円、5万3000円、5万2000円と一気に4段階のフシを踏み抜く、文字通りの暴落に見舞われた。令和のブラックマンデーと称された2024年8月5日の4451円安が下げ幅の最高記録であり、この時はザラ場に4700円あまりのパニック売りに晒される場面があったが、その時を彷彿とさせる暴風雨に遭遇した格好である。当時は日経平均が3万円台後半に位置していたため、下落率という点で今より遥かに強烈ではあったが、今回は2月27日に史上最高値を形成した直後の急降下で、その分下値リスクの大きさも意識されるのは避けられないところ。また、毎年のように暴落に見舞われると、同じように安易に買い向かっていいのか、投資家も疑心暗鬼に陥りやすい。ちなみに5万4000円ラインは滞留出来高が突出しており、ここを完全に下抜けたことでネガティブな思惑を助長する。テクニカル的にも強力な下限ラインとして意識された75日移動平均線を、きょうは朝方早々に一気に下方ブレークしたことで、リスク回避ムードの増幅につながった。大引けにかけては目先筋のショートカバーで下げ渋ったのだが、長い下ヒゲを形成して75日線近辺を土俵際でキープしたのは逆に出来過ぎともいえ、ここを買い場と見るのは時期尚早、蛮勇のそしりを免れない可能性がある。
個別株も全体指数売買も“落ちてくるナイフはつかむな”という。短期的にリバウンド局面はあるが、戻りにつくとまたふるい落とされるの繰り返しで、今回はトランプ米大統領がこれまでの「TACO」を返上する豹変ぶりでイランへの軍事攻撃に重心を乗せていることから、見切り発車でナイフを拾いに行くのは、結局リスクに見合わないケースが想定される。しかしながら、ノーベル平和賞を渇望して、それが叶わないとなった途端にネタニヤフになびいて大義なき戦争を仕掛けるあたり、戦略的かつ確信犯的なこれまでの俗物演出とは違い、トランプ米大統領の焦りが色濃く投影されているように見える。それが何に対する焦りなのかは置くとして、株式市場と対峙する投資家は今しばらくキャッシュポジションを高め、ナイフが地面に刺さるまで待ちの姿勢が求められる。
ともあれ米国とイスラエルによるイラン攻撃は、早期終結の思惑から外れ長期化の様相を呈していることは事実だ。これとともにホルムズ海峡の事実上封鎖という机上のリスクシナリオが現実に走り出し、同時に原油市況高騰という必然の連鎖が起こった。地政学リスクだけでは相場のトレンドは崩壊しないというのは過去の歴史が証明してきたことだが、今回はちょっと様相が異なる。そもそも世界同時進行の株高は典型的なモメンタム相場で、バリュエーション面の割高感が棚上げされてきたのだが、そのツケをどこかで払わなければならないということも暗黙のコンセンサスとしてあった。
また、AIインフラへの巨額資金投下は現時点で過剰投資と決め打ちはできない。だが、AIデータセンター建設などの資金調達における急先鋒となっていた米ブルー・アウル・キャピタル<OWL>が、一部解約制限の動きを余儀なくされたことは、少なくとも投資家心理が弱気に傾き始めたことを示唆している。そうしたなかで、2月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数が5~6万人の増加を見込んでいた市場予想に反して、9万2000人の減少となったことはリスクオフに点火する起爆剤となった。今、米国は利下げ期待よりも経済悪化への恐怖感の方が強い。再びメディアに「スタグフレーション」の文字が踊るようになってきたが、AIの影の部分、すなわちソフトウェア関連株の淘汰と人員削減の流れがクローズアップされるなか、コストプッシュによるインフレ進行はこれまでとは痛みが違う。
そして、このスタグフレーションに対する恐怖心は米国よりも日本の方が強いということも認識しておかなければならない。米国はサウジアラビアを凌ぐ世界最大の産油国であり、それに対してエネルギー資源を持たない日本は構造的に深刻の度合いが異なる。ここ韓国KOSPIの急落も話題を集めたが、日本との共通点は株価が高値圏にあったという高所恐怖症リスクと、もう一つはエネルギー構造が日本と酷似しているという背景があった。これが今回の中東リスクで浮き彫りになったという事情もありそうだ。全体相場が落ち着きを取り戻したところで、信用買い残が積み上がったAI・半導体関連株はリバウンド一巡後の上値が重そうだ。他方、レアアース問題でスポットライトが当たった海洋資源関連などエネルギー周辺に物色の矛先が向かう可能性がある。
あすのスケジュールでは、1月の家計調査が朝方取引開始前に開示されるほか、これに少し遅れて10~12月期の国内総生産(GDP)の2次速報(=確定値)、2月のマネーストックも発表される。また、午後3時以降に開示される2月の工作機械受注額(速報値)に注目度が高い。個別には、遅れていたアサヒグループホールディングス<2502.T>の1~9月期決算が発表される。海外では1~2月の中国貿易統計、2月の米中古住宅販売件数、2月の全米自営業者連盟(NFIB)中小企業楽観度指数が発表される。このほか、米3年物国債の入札も予定されている。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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