「選挙は買い」は本当か? 高市首相の解散表明と過去の衆議院選挙から見る日本株の行方

投稿:2026/01/30 08:00

2026年1月19日、高市首相が衆議院解散と2月8日投開票の選挙実施を表明しました。これを受け日経平均株価は5万4,000円を超える高値を更新。本記事では衆議院選挙が株式市場に与える影響と今後の見通し、注目すべき投資先について、過去の選挙時の株価動向や業種別の分析を交えながら解説します。(※2026年1月20日収録のマネックス証券YouTube動画に基づく内容です)

衆議院解散表明と株式市場の動向

山口慧太氏(以下、山口):マネックス証券のぐっち~こと山口慧太です。本日は日本市場を沸かせている衆議院解散と選挙について、株価の動向を確認していきたいと思います。

高市政権の衆議院解散と選挙の報道が出て、株価は好調に推移しています。この動画の収録日前日である2026年1月19日に高市首相が会見を開き、1月23日に解散し、2月8日に投開票を行うと表明しています。この間の株価の動きを確認し、見通しを立てていきたいと思います。

解散のタイミングと予算審議への影響

ーー具体的にどのタイミングで衆議院解散の影響が出るのでしょうか?

山口:株価への影響はすでに出ていると思います。2026年の1月中旬には日経平均が5万4,000円を超える局面も見られ、期待が先行して織り込まれているような状況です。解散のタイミング自体はあまり重要ではないと思います。

ーー衆議院解散のタイミングについて、予算案の国会審議が3月末に成立しないという懸念はありませんか?

山口:高市首相は2026年1月19日の演説の中で、「物価対策などについてある程度の対応を行った上で(衆議院解散に)踏み切った」と説明していました。2026年2月8日の選挙なら来年度予算もまだ間に合うタイミングかと思います。少しギリギリになるとは思いますが、それほど不安材料ではないというのが今の印象です。

高市政権下で注目された業種と株価動向

ーー「高市ラリー」によって株高への方向に進んでいましたが、具体的にどのような業種が株高になっていましたか?

山口:こちらのグラフの横軸が東証33業種の直近3ヶ月の騰落率、縦軸が2026年1月からの年初以来の騰落率です。直近3ヶ月というのは10月半ばくらいから、つまり高市首相が就任された以降です。

パッと見てわかるのが、銀行業と機械業が大きく上昇しているところです。高市首相が掲げている戦略分野のセクターが物色されている状況は3ヶ月前から今まで変わっていません。年初からの株高は「衆議院での過半数を自民党が取る」という市場の見方が織り込まれていると思われるので、高市首相が重点的に取り組んでいくセクターが引き続き健全だと言えそうです。

ーー反対にグラフ左下の情報通信業は、今後もあまり株高は見込めないのでしょうか?

山口:そのようなことはないと思います。情報通信業の中に入っている大手のソフトバンクグループは、少し前まで高値更新していました。ソフトバンクグループはAI関連でボラティリティが高い銘柄だと思うので、AI関連の好材料が出てくるとすぐにでも反転してくるイメージがあります。

AI関連は今年もメインテーマになりそうなので、ポジティブな情報が出てくると情報通信業もプラスの位置になってくると思います。

衆議院選挙と株価の歴史的な関係

ーー日経平均株価が最高値を更新したのは、高市政権による衆議院解散表明などの影響もあるかと思います。このような選挙局面での株高傾向は今回に限ったものでしょうか?

山口:過去を振り返ってみましょう。こちらの表は、衆議院の解散を発表してから実際に選挙の投開票が行われるまでの期間の日経平均の値動きをまとめたものです。1969年以降のだいたい20回弱のサンプルでは、最後に行われた2024年10月を除くと、日経平均株価はプラスになっています。

ーー2024年10月に日経平均がけっこう下がったのは覚えています。

山口:当時、自民党は成長戦略が描き切れておらず、株式市場もあまり評価できるポイントがなかったということで軟調な推移となりました。これはみなさまの記憶にも新しいと思います。

ーー今回は政権への期待も高いため、株高傾向が見込めるということでしょうか?

山口:そうした市場の見方を背景に、日経平均株価は年初に5万円弱でスタートしましたが、衆議院解散の発表から選挙までの期間にかけては比較的株高傾向で推移しました。一方で、選挙後の株価の動きについては、こちらのグラフを見る限り必ずしも一方向ではなく、まちまちだと言えると思います。

ーー黄色の線で示されている第46回は、選挙後に相対的に大きな株価上昇が見られますが、どのような要因があったのでしょうか?

山口:2012年に行われた第46回選挙の前の状況を振り返ると、黄色の点線で示されている2009年の第45回衆議院選挙で自民党が大敗して民主党に政権交代があったタイミングでした。その後、日経平均は横ばいで推移していました。

第45回衆議院選挙後の民主党政権も、増税などで日本経済があまりポジティブとは言いにくい状況だったと思います。その次の第46回は2012年12月で、民主党の当時の党首が現在の立憲民主党の野田氏だった時に衆議院選挙を実施しましたが、あまり評価されていなかったことから自民党が過半数を獲得しました。

その時の自民党総裁が安倍首相だったことから、選挙後に自民党は安倍政権となり、「アベノミクス」と呼ばれる大胆な金融緩和や機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略といった「三本の矢」を打ち出しました。その結果、株高につながっていった局面が第46回にあたります。

先ほどは過去10回の選挙をピックアップしていましたが、こちらのグラフではそのうち与党が過半数を獲得できなかった3回のケースをピックアップしています。直近では、2024年10月の選挙で自民党が単独で過半数を取れなかった局面がありました。そうした流れを受けて、今回2026年2月に第51回の衆議院選挙が行われるという位置づけになります。

今回は2月8日の投開票日をターゲット(基準日)として見ています。このグラフでは投開票日を0としており、逆算すると、現在の位置が緑色の網掛け部分にあたります。日経平均株価は、2025年末の5万339円から2026年1月中旬には一時5万4,000円を超える水準まで上昇しており、この半月ほどで比較的急ピッチで上がっている点が意識されています。

過去を振り返ると、2012年に安倍政権が誕生した選挙局面では、解散前から投開票日までの期間に日経平均が約10パーセント上昇したケースがありました。現在は、5万339円から5万4,000円弱までの上昇で、およそ8パーセント弱の上昇となっています。この上昇率を踏まえると、過去にも同程度の上昇が見られた局面があったという点は、一つの参考として押さえておいてよいと思います。

ーー2024年10月の選挙と今回の選挙、そして2012年の選挙で同じようなシナリオが描かれる可能性があるということでしょうか?

山口:おっしゃるとおりです。高市首相はアベノミクスの路線を引き継ぐとして、市場では「サナエノミクス」と呼ばれることもあります。財政拡張については金利上昇への懸念もありますが、経済を下支えする政策として、株式市場ではおおむね前向きに受け止められているというのが、現時点でのメインシナリオだと思います。

グラフを見ると、2012年は選挙後に株価指数が基準値の100から160まで上昇しています。当時、9,000円台半ばだった日経平均株価は、その後100営業日ほどで1万5,000円を超え、およそ6割上昇しました。

今振り返るとやや上昇が行き過ぎたと感じられる面もありますが、過去にはそれほど大きく上昇した局面があったという点は、今回の相場を見る上でも一つの参考になるのではないかと思います。

ーー2025年に日経平均株価は大きく上昇し、2026年の年明け以降も最高値を更新するなど、堅調に推移していますが、今後もさらに上昇することが期待できるということでしょうか?

山口:おっしゃるとおりです。ただし、そこはやはり選挙の結果次第というところになってしまいます。野党では立憲民主党と共産党が連携し、対抗馬となって自民党を圧勝させない構図を作ろうとしています。

また、高市首相は、仮に過半数を獲得できなかった場合には辞任する考えを示しています。そのため、選挙結果によっては、これまで株価に織り込まれてきた期待が一気に剥落する可能性もあり、その点では身構えておいたほうがよいと思います。ただ現時点では自民党が一定の議席を獲得するという予想が濃厚であり、それが市場のメインシナリオになっていると思います。

ーーこの株高が進むとした場合、そのトレンドはどのくらいの期間続くと考えれば良いでしょうか?

山口:過去を見ると、選挙の年は3ヶ月から6ヶ月程度の期間は株高になりやすいというアノマリー(※)があり、そのような傾向が見られます。そのため、2026年の選挙で自民党が過半数を獲得するというシナリオであれば、向こう半年程度は堅調だと思います。

※金融市場において、通常の理論や予測では説明できないが、経験的に観測されるマーケットの規則性のこと

注目銘柄とスクリーニング手法

ーー先ほど高市ラリーで機械産業が伸びているとおっしゃっていましたが、実際に機械産業の中で、今後も期待できそうな銘柄について、「マネックス銘柄スカウター」を使って確認していきたいと思います。

ーー今回は「マイスクリーニング」の基礎条件で業種を「機械」に設定し、詳細条件として「売上高10パーセント以上」「営業利益10パーセント以上」「10年間の最高更新と実績ROEが12パーセント以上」「PBR1倍以上」といった条件でスクリーニングを行いました。その結果、15銘柄が抽出されています。半導体銘柄なども含まれていますが、機械産業として注目する銘柄はありますか?

山口:今回のスクリーニング条件を見ると、利益が安定して成長しており資本構成も良い銘柄が多く、いわゆる「クオリティ銘柄」に分類されるものが中心だと思います。PBRも1倍を超えており、市場から一定の評価を受けている点から見ても、現在の機械産業の株高を牽引している銘柄群だと言えると思います。

投資を考える上では、この流れが今後も続くかどうかがポイントになります。そのため、ここからさらに、今期の業績の着地や、来期も今期以上に業績を伸ばせるかといった点を確認することが、この15銘柄からもう一歩踏み込んだ次のスクリーニングのポイントになると思います。

例えばIHIは防衛関連、ディスコは半導体関連と、それぞれテーマ性の強い銘柄です。こうした銘柄は株価水準が高く、警戒される場面もありますが、受注動向などを確認し、引き続き堅調な業績が見込めると判断できれば、投資を検討する余地はあるのではないかという印象です。

ーー「マネックス銘柄スカウター」では、業績予想チャートをクリックすると、同じスクリーニングで抽出された銘柄について、来期の業績予想のコンセンサス(市場の予想)もグラフで確認することができます。

山口:こちらのグラフのオレンジ色の線ですね。この画面では、クオリティの高い銘柄群の中でも、来期も業績が伸びていきそうな銘柄が見えてきます。例えば「荏原製作所(6361)」は右上に位置しており、注目できる銘柄の一つだと思います。

逆に、来期の業績が伸び悩みそうな銘柄については、現時点では投資を控えるという判断もできます。例えばセガサミーについては、アナリストによる来期の業績予想のコンセンサスがやや下がっているように見受けられます。投資判断の参考にしていただければと思います。

まとめ:選挙は買い? 今後の展望

山口:本日は、高市政権の衆議院解散報道を受けた株価の動きを確認してきました。市場では「選挙は買い」といった言い回しがあり、選挙期間中の株高は、過去の経験則として語られることが多いと認識しています。

選挙が始まるまでの期間は、相場が比較的堅調に推移しやすい面がある一方で、足元ではすでに日経平均株価が最高値を更新しており、判断が難しい局面でもあります。今後については、選挙の動向など最新の情報を随時アップデートしながら投資判断を行っていただければと思います。

配信元: ログミーファイナンス

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