*12:03JST デリカフHD Research Memo(3):2026年3月期中間期は売上原価率の改善効果で過去最高業績を大幅更新
■デリカフーズホールディングス<3392>の業績動向
1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高で前年同期比9.8%増の30,810百万円、営業利益で1,228百万円(前年同期は111百万円の損失)、経常利益で1,258百万円(同73百万円の損失)、親会社株主に帰属する中間純利益で842百万円(同66百万円の損失)と増収増益となり、中間期として過去最高業績を更新した。特に、経常利益は過去最高だった2024年3月期中間期の379百万円を大幅に更新するなど、利益面での躍進が際立つ格好となった。売上高はインバウンド需要等を追い風に主力の外食業界向けを中心に拡大が続いたこと、利益面では2026年3月期より実施した原価改善施策により売上原価率が2025年3月期中間期の76.5%から73.4%と大きく改善したことや、物流子会社の収益が拡大したことも寄与した。
経常利益は、ボリューム効果で646百万円、仕入率の改善で801百万円、カット野菜等の製造原価率改善で166百万円などの要因により1,613百万円増加し、販管費の増加272百万円や営業外損益の悪化8百万円を吸収、前年同期比1,332百万円の増益となった。仕入率の改善要因は、前年同期と比較して野菜市況が落ち着いて推移していたことに加えて、2025年6月より取扱量の多い主要4品目(レタス、キャベツ、トマト、白菜)について本部集中購買を実施し、適切な価格での仕入れや在庫管理に取り組んだこと、さらには入荷の検品業務を従来よりも厳格化し基準を満たさない商品については仕入先に返品するなどしたことで廃棄ロスを削減できたことなどが主因だ。購買については従来、各事業拠点の担当者に委ねられていたが、担当者のスキルによって仕入・在庫管理に差があり、市況高騰時などは対応が上手くいかず廃棄ロスの増加も含めて仕入率の悪化につながっていた。各事業拠点の購買担当者は、他商材の仕入れや在庫管理などをより精緻に行うことで仕入率の改善につなげている。また、検品業務を厳格化したことでカット野菜工場の廃棄ロスも減少し、製造原価率の改善につながった。販管費については、人件費で135百万円、運賃で80百万円、租税公課で45百万円それぞれ増加した。人件費増のうち約1億円は業績向上に伴う特別賞与分となっており、第2四半期に計上した。
四半期ベースの経常利益の推移を見ると、第1四半期に955百万円、第2四半期に303百万円となっており、第1四半期に大きく利益を稼ぎ出している。これは第1四半期の野菜市況が全般的に落ち着いて推移し、仕入率が改善したことに加えて、一部の主要顧客において2025年3月期の夏から秋にかけて発生した市況高騰分の転嫁値上げのタイミングが当第1四半期にずれ込んだことも影響したようだ。この影響により第1四半期の売上原価率は71.4%と、ここ数年でも最も低い水準まで低下した。第2四半期はこうした特殊要因がなく、猛暑の影響で一部の野菜で市況が高騰したこともあり売上原価率は75.4%まで上昇したが、同社ではほぼ実質的な収益力を反映した利益水準になったと見ている。
(1) 商品別売上動向
部門別売上高を見ると、カット野菜は前年同期比11.6%増の13,304百万円、ホール野菜は同9.6%増の12,274百万円、その他は同5.9%増の5,231百万円とすべての部門で増収となり、過去最高を更新した。(一社)日本フードサービス協会が集計している外食業界の2025年4月~9月の売上高は前年同期比7%強の成長となっており、カット野菜、ホール野菜ともに同水準を上回る成長となった。特にカット野菜については、外食業界における慢性的な人手不足を背景に需要拡大が続いており、高い成長率につながっている。小売業界や中食業界、給食業界などその他市場向けについても、それぞれ順調な増収が続いたようだ。その他に含まれるBtoC事業については、ミールキットの主要OEM先の販売低迷をその他OEM先や「楽彩」によるEC売上の拡大でカバーし、7~8%の増収となった。
(2) 事業セグメント別業績
青果物事業の売上高は前年同期比9.3%増の30,230百万円、セグメント利益(経常利益)は1,140百万円(前年同期は112百万円の損失)と過去最高を更新した。インバウンドを中心とした外食需要の拡大や人手不足を背景とするカット野菜の需要の高まりに加え、取引業種バランスの最適化を図りながら新規顧客の開拓も積極的に取り組んだことが増収要因となった。利益面では、既述のとおり野菜市況が落ち着いたことに加えて、売上原価率の改善施策が奏功し大幅増益となった。
物流事業の売上高は前年同期比11.5%増の2,641百万円、セグメント利益は同26.8%増の82百万円と過去最高を更新した。売上高はグループ内取引の拡大に加え、外部顧客の獲得が進んだことにより大幅増収となった。外部顧客向けの売上高は同52.0%増の554百万円となり、同事業に占める外部顧客売上比率も前年同期の15.4%から21.0%に上昇した。既存顧客との取引拡大に加えて、食品スーパーなどの新規顧客開拓が進んだ。同社は物流業界の人手不足を背景とした運賃の上昇リスクに対応すべく、2014年に物流子会社であるエフエスロジスティクスを設立し、自社物流の強化に取り組んできた。そのなかで車両費や人件費等の投資コストを賄うべく自社トラックの空いたスペースや時間を活用した受託物流サービスを強化している。昨今の運賃上昇もあって同サービスを利用する顧客が増えており、同戦略が十分に機能しているものと評価される。
研究開発・分析事業の売上高は前年同期比10.2%減の37百万円、セグメント損失6百万円(前年同期は3百万円の利益)を計上した。売上高は大手企業からの受託分析事業が伸び悩んだことで減収となり、利益面では減収による売上総利益の減少に加えて、人件費の増加が減益要因となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高で前年同期比9.8%増の30,810百万円、営業利益で1,228百万円(前年同期は111百万円の損失)、経常利益で1,258百万円(同73百万円の損失)、親会社株主に帰属する中間純利益で842百万円(同66百万円の損失)と増収増益となり、中間期として過去最高業績を更新した。特に、経常利益は過去最高だった2024年3月期中間期の379百万円を大幅に更新するなど、利益面での躍進が際立つ格好となった。売上高はインバウンド需要等を追い風に主力の外食業界向けを中心に拡大が続いたこと、利益面では2026年3月期より実施した原価改善施策により売上原価率が2025年3月期中間期の76.5%から73.4%と大きく改善したことや、物流子会社の収益が拡大したことも寄与した。
経常利益は、ボリューム効果で646百万円、仕入率の改善で801百万円、カット野菜等の製造原価率改善で166百万円などの要因により1,613百万円増加し、販管費の増加272百万円や営業外損益の悪化8百万円を吸収、前年同期比1,332百万円の増益となった。仕入率の改善要因は、前年同期と比較して野菜市況が落ち着いて推移していたことに加えて、2025年6月より取扱量の多い主要4品目(レタス、キャベツ、トマト、白菜)について本部集中購買を実施し、適切な価格での仕入れや在庫管理に取り組んだこと、さらには入荷の検品業務を従来よりも厳格化し基準を満たさない商品については仕入先に返品するなどしたことで廃棄ロスを削減できたことなどが主因だ。購買については従来、各事業拠点の担当者に委ねられていたが、担当者のスキルによって仕入・在庫管理に差があり、市況高騰時などは対応が上手くいかず廃棄ロスの増加も含めて仕入率の悪化につながっていた。各事業拠点の購買担当者は、他商材の仕入れや在庫管理などをより精緻に行うことで仕入率の改善につなげている。また、検品業務を厳格化したことでカット野菜工場の廃棄ロスも減少し、製造原価率の改善につながった。販管費については、人件費で135百万円、運賃で80百万円、租税公課で45百万円それぞれ増加した。人件費増のうち約1億円は業績向上に伴う特別賞与分となっており、第2四半期に計上した。
四半期ベースの経常利益の推移を見ると、第1四半期に955百万円、第2四半期に303百万円となっており、第1四半期に大きく利益を稼ぎ出している。これは第1四半期の野菜市況が全般的に落ち着いて推移し、仕入率が改善したことに加えて、一部の主要顧客において2025年3月期の夏から秋にかけて発生した市況高騰分の転嫁値上げのタイミングが当第1四半期にずれ込んだことも影響したようだ。この影響により第1四半期の売上原価率は71.4%と、ここ数年でも最も低い水準まで低下した。第2四半期はこうした特殊要因がなく、猛暑の影響で一部の野菜で市況が高騰したこともあり売上原価率は75.4%まで上昇したが、同社ではほぼ実質的な収益力を反映した利益水準になったと見ている。
(1) 商品別売上動向
部門別売上高を見ると、カット野菜は前年同期比11.6%増の13,304百万円、ホール野菜は同9.6%増の12,274百万円、その他は同5.9%増の5,231百万円とすべての部門で増収となり、過去最高を更新した。(一社)日本フードサービス協会が集計している外食業界の2025年4月~9月の売上高は前年同期比7%強の成長となっており、カット野菜、ホール野菜ともに同水準を上回る成長となった。特にカット野菜については、外食業界における慢性的な人手不足を背景に需要拡大が続いており、高い成長率につながっている。小売業界や中食業界、給食業界などその他市場向けについても、それぞれ順調な増収が続いたようだ。その他に含まれるBtoC事業については、ミールキットの主要OEM先の販売低迷をその他OEM先や「楽彩」によるEC売上の拡大でカバーし、7~8%の増収となった。
(2) 事業セグメント別業績
青果物事業の売上高は前年同期比9.3%増の30,230百万円、セグメント利益(経常利益)は1,140百万円(前年同期は112百万円の損失)と過去最高を更新した。インバウンドを中心とした外食需要の拡大や人手不足を背景とするカット野菜の需要の高まりに加え、取引業種バランスの最適化を図りながら新規顧客の開拓も積極的に取り組んだことが増収要因となった。利益面では、既述のとおり野菜市況が落ち着いたことに加えて、売上原価率の改善施策が奏功し大幅増益となった。
物流事業の売上高は前年同期比11.5%増の2,641百万円、セグメント利益は同26.8%増の82百万円と過去最高を更新した。売上高はグループ内取引の拡大に加え、外部顧客の獲得が進んだことにより大幅増収となった。外部顧客向けの売上高は同52.0%増の554百万円となり、同事業に占める外部顧客売上比率も前年同期の15.4%から21.0%に上昇した。既存顧客との取引拡大に加えて、食品スーパーなどの新規顧客開拓が進んだ。同社は物流業界の人手不足を背景とした運賃の上昇リスクに対応すべく、2014年に物流子会社であるエフエスロジスティクスを設立し、自社物流の強化に取り組んできた。そのなかで車両費や人件費等の投資コストを賄うべく自社トラックの空いたスペースや時間を活用した受託物流サービスを強化している。昨今の運賃上昇もあって同サービスを利用する顧客が増えており、同戦略が十分に機能しているものと評価される。
研究開発・分析事業の売上高は前年同期比10.2%減の37百万円、セグメント損失6百万円(前年同期は3百万円の利益)を計上した。売上高は大手企業からの受託分析事業が伸び悩んだことで減収となり、利益面では減収による売上総利益の減少に加えて、人件費の増加が減益要因となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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