*12:52JST アドバンテスト:AI半導体テスト需要が牽引する業績拡大、グローバルNo.1のポジション強化へ
アドバンテスト<6857>は半導体テストシステムの世界的リーダーであり、複雑化する半導体の品質保証を担うソリューションを提供する。同社の事業は「テストシステム」「サービス他」の2セグメントからなり、主力の「テストシステム」が売上の約9割を占める。SoC・メモリテスタから周辺機器やサービスまで包括的な製品群を展開し、海外売上比率は98%を超える。特にTSMCなど先端企業を擁する台湾・韓国・中国市場での存在感が大きい。
競争優位性は三点に集約される。第一に高い技術力と信頼性であり、代表製品「V93000」はモジュール構成により、一つのプラットフォームでHPCやAI、モバイル、RF、車載、産業機器向けなど広範囲のデバイス・ポートフォリオをカバーする。第二に、テスタ本体に加えハンドラやインターフェース、システムレベルテストまで網羅するワンストップソリューション力であり、AI半導体やチップレットの最終テストにも強みを発揮する。第三にグローバルなサービス体制で、顧客の製品開発段階から関与し、設計段階での半導体評価を通じて長期的信頼を獲得している。
2026年3月期1Qは売上2,638億円(前年同期比90.1%増)、営業利益1,240億円(同295.7%増)と大幅な増収増益となり、営業利益率は47%と極めて高い水準を記録。SocテスタをはじめとするAI・データセンター関連需要が業績を大きく押し上げた。通期予想は売上が7,550億円から8,350億円へ、営業利益は2,420億円から3,000億円へ上方修正された。1Qが大きく上振れたため2Q・3Qはある程度の調整が想定されるが、4Q以降の回復で予算達成は保守的と見てよいだろう。
市場環境として、世界の半導体市場は2030年に1兆ドル規模に拡大見通しとなっている。AI・データセンター需要が牽引する一方、自動車・産業向けは一時的に軟調だが回復期待がある。半導体の高性能化でテスト工程の回数と複雑性は一層高まり、テスタ需要は構造的に拡大。AI関連参入企業の増加も需要創出につながる。地政学リスクや政策不確実性はあるものの、同社は顧客基盤の広さによりリスク分散はされている。
第3期中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)では年間売上5,600~7,000億円・営業利益率22~28%を目標としている。今後の成長ドライバーとして、次世代テスタ開発、ACSによるデータ分析・最適化サービスやシステムレベルテストビジネスの拡大を進める。国内市場におけるTSMC熊本工場やラピダスなどの枠組みも追い風となろう。
株主還元は3年間で総還元性向50%以上を方針とし、成長投資と研究開発を優先しながら配当と自社株買いを組み合わせる。2025年3月期の年間配当は39円で、今期には取得価額の総額700億円を上限とする自社株買いを実施している。
株価は業績拡大を背景に上昇基調だが、AI半導体テスト需要の構造的成長と技術優位性から中長期的な拡大余地は大きい。米競合に対してもミドル・ハイエンドで優位を保ち、中韓メーカーとの差別化も鮮明。不可逆的な半導体複雑化の潮流の中で柔軟な供給体制を整え、世界No.1のポジションをさらに強固にしていくと期待される。
<HM>
競争優位性は三点に集約される。第一に高い技術力と信頼性であり、代表製品「V93000」はモジュール構成により、一つのプラットフォームでHPCやAI、モバイル、RF、車載、産業機器向けなど広範囲のデバイス・ポートフォリオをカバーする。第二に、テスタ本体に加えハンドラやインターフェース、システムレベルテストまで網羅するワンストップソリューション力であり、AI半導体やチップレットの最終テストにも強みを発揮する。第三にグローバルなサービス体制で、顧客の製品開発段階から関与し、設計段階での半導体評価を通じて長期的信頼を獲得している。
2026年3月期1Qは売上2,638億円(前年同期比90.1%増)、営業利益1,240億円(同295.7%増)と大幅な増収増益となり、営業利益率は47%と極めて高い水準を記録。SocテスタをはじめとするAI・データセンター関連需要が業績を大きく押し上げた。通期予想は売上が7,550億円から8,350億円へ、営業利益は2,420億円から3,000億円へ上方修正された。1Qが大きく上振れたため2Q・3Qはある程度の調整が想定されるが、4Q以降の回復で予算達成は保守的と見てよいだろう。
市場環境として、世界の半導体市場は2030年に1兆ドル規模に拡大見通しとなっている。AI・データセンター需要が牽引する一方、自動車・産業向けは一時的に軟調だが回復期待がある。半導体の高性能化でテスト工程の回数と複雑性は一層高まり、テスタ需要は構造的に拡大。AI関連参入企業の増加も需要創出につながる。地政学リスクや政策不確実性はあるものの、同社は顧客基盤の広さによりリスク分散はされている。
第3期中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)では年間売上5,600~7,000億円・営業利益率22~28%を目標としている。今後の成長ドライバーとして、次世代テスタ開発、ACSによるデータ分析・最適化サービスやシステムレベルテストビジネスの拡大を進める。国内市場におけるTSMC熊本工場やラピダスなどの枠組みも追い風となろう。
株主還元は3年間で総還元性向50%以上を方針とし、成長投資と研究開発を優先しながら配当と自社株買いを組み合わせる。2025年3月期の年間配当は39円で、今期には取得価額の総額700億円を上限とする自社株買いを実施している。
株価は業績拡大を背景に上昇基調だが、AI半導体テスト需要の構造的成長と技術優位性から中長期的な拡大余地は大きい。米競合に対してもミドル・ハイエンドで優位を保ち、中韓メーカーとの差別化も鮮明。不可逆的な半導体複雑化の潮流の中で柔軟な供給体制を整え、世界No.1のポジションをさらに強固にしていくと期待される。
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