*11:03JST ジーデップアドバンス Research Memo(3):グローバルプロセッサメーカーが認める技術力が強みの源泉(1)
■ジーデップ・アドバンス<5885>の事業概要
1. 市場動向、ベンチマーク
AI(生成AIを含む)の国内市場は2024年に1兆4,735億円であり、2028年までに2兆7,780億円に成長すると予測されており、年平均成長率は17.2%である(富士キメラ総研「2025 生成AI/LLMで飛躍するAI市場総調査」より)。そのうち生成AI市場は6割程度を占める。特定分野のみに利用されていたAIは、中期的には、エージェントAIやフィジカルAI(ロボット等)に活用され、今後急激に領域を拡大する見込みである。
同社の提供するソリューションの多くはAI用途である。AIモデルを構築する先進的な企業・団体は、独自の生成AIモデル構築のための大規模な実証実験や本番運用に向けた投資を加速させている。また、AIの限定的な利用に留まっていた企業・団体においても、簡易なモデルの作成や生成AIの組み込みアプリケーションの導入が加速し、AIシステムの需要がさらに高まることが見込まれている。
AI向けシステムの性能を決定付けるコア技術はGPUであり、世界市場の8~9割の圧倒的なシェアを獲得しているのが米国NVIDIAである。NVIDIAでは製品・技術のロードマップを公開しており、GPUに関しては、Blackwell(2024年)、Blackwell Ultra(2025年)、Rubin(2026年)、Rubin Ultra(2027年)と今後2027年まで毎年新製品が投入される計画である。技術の継続的な進化と用途の開発によりAI市場が活性化することが見込まれる。
■類似企業とのベンチマーク
国内上場企業には、厳密な意味での類似企業は存在しないものの、AI開発の先進ユーザー向けハード、ソフト、ソリューションを提供する類似企業としては、VRAIN Solution<135A>、HPCシステムズ<6597>などがある。特にVRAIN Solutionが増収率、極めて高いROEなどで参考にされ、VRAIN SolutionのPER(株価収益率)は50.2倍で評価されている。
その他、同社の主要顧客がAI関連企業ということも鑑みれば、AI企業と同様に規模拡大が進むであろうことが想定でき、同関連企業と比較されることも十分に考え得る。実際、増収率は遜色ない。ブレインパッド<3655>、PKSHA Technology<3993>、Appier Group<4180>、HEROZ<4382>、エクサウィザーズ<4259>、Ridge-i<5572>、ABEJA<5574>などをピックアップしてみたが、特に利益面で規模感の近いHEROZのPERが107.1倍、Ridge-iで68.8倍、ABEJAで82.0倍となっており、50倍を超え100倍に迫る例も多い。
2. 顧客構成
同社の顧客は、従来は大学や研究機関の構成比が高かった。これは、祖業である電子部品商社時代から大学や研究機関向けの取引が主体だったことが一因である。近年では、AIが様々なシーンで活用される時代を迎え、事業会社の比率が高まる傾向にある。自動車産業やその他の製造業、AI関連のスタートアップ、創薬などでAIを活用する医療業界、情報通信業界、メディア&エンターテインメント業界(M&E)など多様な業界の企業・団体が同社の顧客となっている。特に、自動車業界や医療業界は、ビッグデータを保有していることからAIソリューションとの親和性が高く、今後の伸びが期待される。直近の2025年5月期では、クラウドベンダー向けの大型案件の売上高が計上された関係で売上構成比に変化が見られたが、各業界の売上高(金額)は順調に推移している。
3. リピート率の高さ
同社の取引はリピート率が高い点が特徴である。2025年5月期のリピート率(過去3期に取引のあった顧客からの比率)は82.8%であり、前期(75.7%)からさらに向上した。これは、同社が業種特化型で専門性の高いサービスを展開していることが一因である。また、やりたいことを実現する環境をPoC(Proof of Concept:新しいアイデアや技術・手法の実現可能性を検証)から実運用まで支援できることも、取引が継続する要因と考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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1. 市場動向、ベンチマーク
AI(生成AIを含む)の国内市場は2024年に1兆4,735億円であり、2028年までに2兆7,780億円に成長すると予測されており、年平均成長率は17.2%である(富士キメラ総研「2025 生成AI/LLMで飛躍するAI市場総調査」より)。そのうち生成AI市場は6割程度を占める。特定分野のみに利用されていたAIは、中期的には、エージェントAIやフィジカルAI(ロボット等)に活用され、今後急激に領域を拡大する見込みである。
同社の提供するソリューションの多くはAI用途である。AIモデルを構築する先進的な企業・団体は、独自の生成AIモデル構築のための大規模な実証実験や本番運用に向けた投資を加速させている。また、AIの限定的な利用に留まっていた企業・団体においても、簡易なモデルの作成や生成AIの組み込みアプリケーションの導入が加速し、AIシステムの需要がさらに高まることが見込まれている。
AI向けシステムの性能を決定付けるコア技術はGPUであり、世界市場の8~9割の圧倒的なシェアを獲得しているのが米国NVIDIAである。NVIDIAでは製品・技術のロードマップを公開しており、GPUに関しては、Blackwell(2024年)、Blackwell Ultra(2025年)、Rubin(2026年)、Rubin Ultra(2027年)と今後2027年まで毎年新製品が投入される計画である。技術の継続的な進化と用途の開発によりAI市場が活性化することが見込まれる。
■類似企業とのベンチマーク
国内上場企業には、厳密な意味での類似企業は存在しないものの、AI開発の先進ユーザー向けハード、ソフト、ソリューションを提供する類似企業としては、VRAIN Solution<135A>、HPCシステムズ<6597>などがある。特にVRAIN Solutionが増収率、極めて高いROEなどで参考にされ、VRAIN SolutionのPER(株価収益率)は50.2倍で評価されている。
その他、同社の主要顧客がAI関連企業ということも鑑みれば、AI企業と同様に規模拡大が進むであろうことが想定でき、同関連企業と比較されることも十分に考え得る。実際、増収率は遜色ない。ブレインパッド<3655>、PKSHA Technology<3993>、Appier Group<4180>、HEROZ<4382>、エクサウィザーズ<4259>、Ridge-i<5572>、ABEJA<5574>などをピックアップしてみたが、特に利益面で規模感の近いHEROZのPERが107.1倍、Ridge-iで68.8倍、ABEJAで82.0倍となっており、50倍を超え100倍に迫る例も多い。
2. 顧客構成
同社の顧客は、従来は大学や研究機関の構成比が高かった。これは、祖業である電子部品商社時代から大学や研究機関向けの取引が主体だったことが一因である。近年では、AIが様々なシーンで活用される時代を迎え、事業会社の比率が高まる傾向にある。自動車産業やその他の製造業、AI関連のスタートアップ、創薬などでAIを活用する医療業界、情報通信業界、メディア&エンターテインメント業界(M&E)など多様な業界の企業・団体が同社の顧客となっている。特に、自動車業界や医療業界は、ビッグデータを保有していることからAIソリューションとの親和性が高く、今後の伸びが期待される。直近の2025年5月期では、クラウドベンダー向けの大型案件の売上高が計上された関係で売上構成比に変化が見られたが、各業界の売上高(金額)は順調に推移している。
3. リピート率の高さ
同社の取引はリピート率が高い点が特徴である。2025年5月期のリピート率(過去3期に取引のあった顧客からの比率)は82.8%であり、前期(75.7%)からさらに向上した。これは、同社が業種特化型で専門性の高いサービスを展開していることが一因である。また、やりたいことを実現する環境をPoC(Proof of Concept:新しいアイデアや技術・手法の実現可能性を検証)から実運用まで支援できることも、取引が継続する要因と考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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