復活する中小型株市場、最高値邁進のスタンダード市場と7月IPOの行方 <株探トップ特集>

配信元:株探
投稿:2025/07/01 19:30

―見落とされた割安株への再評価機運続く、6月新規上場銘柄の初値は堅調推移-

 日経平均株価は一時4万円台を回復し市場には上昇期待が膨らんでいる。サマーラリー(夏場の株高)に向けて一段の盛り上がりも期待され相場全般の底上げ機運も台頭している。そんななか、中小型株市場への期待も膨らんでおり、なかでもスタンダード市場は最高値圏で上昇基調を強めている。 7月IPOを含め中小型株の行方を探った。

日経平均上昇もグロース250指数は一服状態に

 日経平均株価は先週末の6月27日に4万円台を回復し、週明けの30日には一時4万852円まで上昇した。きょう7月1日は6日ぶりに反落し4万円台を割り込んだものの、物色意欲は旺盛で昨年7月 につけた最高値(4万2224円)も視野に入りつつある。全体相場の底上げ期待が強まるなか、半導体関連などハイテク株が復活するとともに、バリュー株からグロース株への物色シフトの動きもみられる。TOPIXの6月月間の上昇率は約2%だったのに対し、半導体関連株などの影響を受けやすい日経平均株価は約7%の上昇を記録した。中小型株市場では、今春以降いち早く上昇に転じた東証グロース市場250指数は高値圏での一服状態となっている。ただ、一方で東証スタンダード市場指数は昨年末から8%強上昇し最高値圏を邁進(まいしん)している。

●スタンダード市場では「隠れた有望株」への物色続く

 スタンダード市場では、防衛関連株の人気とともに上昇基調を強める名村造船所 <7014> [東証S]や仮想通貨(暗号資産)関連の人気銘柄となったメタプラネット <3350> [東証S]、ミネベアミツミ <6479> [東証P]と台湾の国巨(ヤゲオ)によるTOB合戦が関心を集めている芝浦電子 <6957> [東証S]などが中心となり相場をけん引している。同市場は、主に旧東証2部市場・旧ジャスダック市場に上場していた企業で構成され、更にプライム市場やグロース市場からの移籍組、それに新規上場企業が加わっている。今後は、グロース市場の改革で上場維持基準が厳しくなるなか、「IPOでスタンダード市場を選択する銘柄も多くなりそう」(アナリスト)との見方も少なくなく、同市場に対する注目度は高まっている。

 これまでスタンダード市場に上場する銘柄はプライム市場とグロース市場の間でやや埋没しがちだったが、その分、「隠れた有望銘柄」も多く、割安株を見直す動きが強まっている。IT関連の日本オラクル <4716> [東証S]、通信の沖縄セルラー電話 <9436> [東証S]、作業服のワークマン <7564> [東証S]、金融のアコム <8572> [東証S]、スポーツ用品のヨネックス <7906> [東証S]、AIシステム開発のジーデップ・アドバンス <5885> [東証S]などの銘柄が上昇基調を強めており、スタンダード銘柄への再評価機運は今後も高まりそうだ。

●6月はエータイや北里コーポレーション、レントなど堅調

 そんななか7月IPOが始まる。今月は4社の新規上場が予定されている。内訳はグロース市場に2社、スタンダード市場に1社、名証メイン市場に1社といった内訳だ。昨年7月からは3社の減少となる。6月の新規上場では7社が登場したが全体的には底堅く、初値が公開価格を下回ったのは1社のみだった。永代供養墓の企画・建立・販売代行などを手掛けるエータイ <369A> [東証G]の初値は公開価格を60%強上回ってスタートしたほか、北里コーポレーション <368A> [東証P]やウェルネス・コミュニケーションズ <366A> [東証G]、レント <372A> [東証S]の初値は対公開価格比で30%超の上昇と堅調だった。

●ヒット、みのや、フラー、山忠の4社が新規上場

 7月IPOは4日にグロース市場に新規上場するヒット <378A> [東証G]が第1号となる。同社は屋外広告媒体の開発から設置運営、広告枠の販売までをワンストップで行っている。特に、肉眼で立体的に見える「肉眼3D広告」映像の企画制作に注力している。公開価格から弾いた資金吸収額は約28億円、上場時の時価総額は約93億円となる。18日にはスタンダード市場にみのや <386A> [東証S]が登場する。同社は菓子専門店「おかしのまちおか」をチェーン展開。5月末時点で関東・中京・関西圏に207店舗を出店している。仮条件から弾いた資金吸収額は10億円台、時価総額は50億円台の見込み。

 24日にはグロース市場にフラー <387A> [東証G]が上場する。同社はスマートフォンアプリを中心としたデジタル領域全般における事業開発コンサルティングやアプリ利用データ分析などを手掛けている。23年7月にIPOを延期しており、2年ぶりの再挑戦となる。想定公開価格から弾いた資金吸収額は3億円台、時価総額は20億円弱と小型IPOとなりそうだ。29日には名証メイン市場に山忠 <391A> [名証M]が登場する。同社は不動産の企画・開発や賃借・管理、ビジネスホテルの運営などを行っている。資金吸収額は5億円程度、時価総額は30億円台の見込みだ。


■7月IPO一覧
     コード
上場日 ・上場市場 企業名  主幹事
7月4日 378A・東G ヒット  SBI
 18日 386A・東S みのや  みずほ
 24日 387A・東G フラー  SBI
 29日 391A・名M 山忠   アイザワ
(注)東Sは東証スタンダード、東Gは東証グロース、名Mは名証メイン

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