[資源・新興国通貨3/17~21のポイント&注目通貨] 市場のRBAやRBNZの金融政策見通しが変化するか
今週のポイント
米FOMCによってFRBの追加利下げ観測が高まる場合、米ドル/カナダドルは軟調に推移し、一方で豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルは堅調に推移しそうです。
日銀会合後に行われる植田総裁の会見によって市場の追加利上げ観測が後退する場合、豪ドル/円やNZドル/円などのクロス円は上値を試す展開になるかもしれません。
トランプ米政権による関税をめぐる報道に引き続き要注意です。関税について新たな報道が出てくれば、市場が反応しそう。その場合、関税が課される対象国の通貨には下落圧力が加わると考えられます。
20日にSARB(南アフリカ中銀)の政策会合が開かれます。南アフリカランドはこの結果に反応する可能性があります。
南アフリカの1月CPI(消費者物価指数)は前年比3.2%と、SARBのインフレ目標(3~6%)に収まったものの、上昇率は3カ月連続で高まりました。また、世界的な貿易戦争が激化するおそれがあり、南アフリカのVAT(付加価値税)の引き上げがどうなるのかはっきりしていません(※)。そのため、SARBは政策金利を現行の7.50%に据え置くとみられます。
※南アフリカのゴドングワナ財務相は12日に、25/26年度予算案を発表。予算案にはVATを25年5月1日に0.5%引き上げ、26年4月1日にさらに0.5%引き上げることが盛り込まれましたが、連立相手であり第2党の民主同盟はVAT増税に反対しており予算が成立するメドは立っていません。
20日の会合で政策金利が据え置かれて、さらにSARBの声明や会合後に行われるクガニャゴ総裁の会見がタカ派的な内容になれば、南アフリカランドにとってプラスになりそうです。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.09300NZドル~1.11000NZドル>
20日に豪州の2月雇用統計とNZの24年10-12月期GDP(国内総生産)が発表されます。これらの結果が材料になりそうです。
RBA(豪中銀)は前回2月17-18日の政策会合で0.25%の利下げを実施。RBAが利下げしたのは20年11月以来4年3カ月ぶりです。市場ではRBAは5月19-20日の会合で0.25%の追加利下げを行うとの見方が有力です(次回3月31日-4月1日の会合については政策金利の据え置きを予想)。
RBNZ(NZ中銀)は前回2月19日の会合で0.50%の利下げを実施。RBNZの利下げは4会合連続、0.50%の利下げは3会合連続です。RBNZは次回4月9日と次々回5月28日の会合でいずれも0.25%の追加利下げを行うとの見方が市場では有力です。
豪州の雇用統計とNZのGDPの結果を受け、市場のRBAとRBNZの金融政策見通しがどのように変化するか注目です。仮にRBAの追加利下げ観測が高まり、RBNZの追加利下げ観測が後退すれば、豪ドル/NZドルは24年12月9日安値の1.09350NZドルに向かって下落する可能性があります。
今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.40000カナダドル~1.45500カナダドル>
今週の米ドル/カナダドルは、18-19日のFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果に影響を受けそうです。FOMCによってFRBの追加利下げ観測が市場で高まる場合、米ドルが全般的に売られて、米ドル/カナダドルは堅調に推移する可能性があります。
トランプ米政権による関税をめぐる報道に引き続き注意が必要です。トランプ政権は4月2日に貿易相手国と同率の関税を課す「相互関税」を発動する考えです。また、同日にはUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)準拠品の適用除外措置も解消する予定です。
トランプ大統領は3月7日に「カナダが乳製品と木材に課す関税は極めて高い」、「関税を下げなければ、カナダは同じ税率の関税が課されることになる。相互関税だ」と述べました。
対カナダ関税について新たな報道が出てくれば、カナダドルが反応しそうです。高率の対カナダ関税が課される可能性が高まる場合、カナダドル安圧力が生じると考えられます。
1月に辞意を表明していたカナダのトルドー首相が14日にサイモン総督に辞表を提出し、正式に辞任。BOC(カナダ中銀)とBOE(英中銀)の総裁を務めた経験があるカーニー氏が首相に就任しました。カーニー新首相が関税で圧力を強めるトランプ政権にどう対応するのか注目されます。
カナダでは10月20日までに総選挙が実施されます。与党・自由党の支持率回復を受け、カーニー首相は早期に議会下院を解散して総選挙に踏み切るとの報道があります。下院が解散された場合、カナダの政局も材料になるかもしれません。
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