SANEI、販売価格改定の浸透、高機能・高付加価値製品の販売拡大が奏功し増収 2Qまでの進捗率遅れを大幅に挽回
1 2025年3月期 第3四半期 業績ハイライト
新田裕二氏:SANEI株式会社2025年3月期第3四半期決算説明資料をご覧いただき、誠にありがとうございます。常務取締役執行役員コーポレート本部長の新田です。当社の決算内容ならびに当社について、よりご理解を深めていただきたく書き起こしとしてまとめました。
2025年3月期第3四半期は、前年同期比で増収・減益となりました。売上高は、販売価格改定の浸透や高機能・高付加価値製品の拡販に伴って増収となりました。その一方で、利益については売上増で申し上げた理由によって収益性の改善があったものの、原材料・仕入価格が想定以上に高騰したことや、創業70周年記念に関連して販売管理費が一時的に増加したことにより、減益となりました。
通期業績予想に対しては、第3四半期が好調であったことによって、第2四半期までの進捗率遅れを大幅に取り戻すことができました。
2 損益の概要(前年同期比較)
こちらでは、前年同期と比較した損益のサマリー情報を記載しています。業績ハイライトで申し上げました事由以外では、特別損失として岐阜工場の建替えに伴う旧建屋の解体費用等を5,100万円計上しました。
利益面の増減明細については、「5 営業利益の増減要因(前期同期比較)」で後述します。
3 四半期業績の推移
業績ハイライトでも申し上げました、四半期ごとの業績の推移と進捗率について説明します。当期の第3四半期は売上高・利益ともに好調で、第3四半期のみの営業利益は6億7,800万円となりました。この結果、第2四半期の時点で32.5パーセントであった進捗率は第3四半期の時点で65.8パーセントと、進捗率の遅れを大幅に取り戻しました。
4 販売ルートの概況
販売ルート別の売上構成は、前期と比較してリテールルートおよびメーカールートの構成比率が伸びています。リテールルートでは、「ウルトラファインバブル」をはじめとした高機能・高付加価値製品の販売増やインバウンド需要の増加により、売上は好調でした。
メーカールートでは、前期に引き続き住宅設備機器メーカー向けの標準採用品を中心に堅調に推移し、さらに新規の標準採用も増加したことから、売上は好調でした。
「管工機材ルート」でも、ウルトラファインバブル関連の製品が好調であった一方、住宅市場の落ち込みによる需要減少の影響があり、前年から微増にとどまりました。
5 営業利益の増減要因(前期同期比較)
営業利益は、前年同期と比較して1億3,200万円の減益となりました。減益となった理由は、大きく分けて2つあります。1つは、原材料である銅の相場が高止まりしていることや、仕入価格の上昇などによって調達・製造コストが増加したことによるものです。
もう1つは、当期の第2四半期から第3四半期にかけて、創業70周年記念に関連する費用がありました。こちらは一時的な費用であり、この臨時費用を除けば営業利益も前年同期より増益となっています。
6 連結BS(資産・負債・純資産)
連結BSの説明です。総資産は前期末(2024年3月)より3億6,300万円減少し、238億5,400万円となりました。資産は、第3四半期の売上が好調であったことから、棚卸資産が減少しました。岐阜工場の新工場棟が完成したことから固定資産が増加しました。また、負債は調達コストの上昇がありましたが、生産調整等により仕入債務が減少しています。これらの結果、自己資本比率は前期末の54.2パーセントから57.7パーセントとなりました。
7 TOPICS
こちらでは第3四半期中のTOPICSを3つご紹介します。1つ目は、「水をデザインする」SANEIブランドの更なる向上の一環として、「ジャパンホームショー&ビルディングショー」や「管工機材・設備総合展」といった展示会に出展しました。これらの展示会では、アイデンティティとデザイン性の高い「予洗い水栓 ”PrePashu+”」「SUTTOシリーズのキッチン用シングル混合栓」を体感できる展示でご好評をいただきました。
2つ目に、当社は12月20日に「パートナーシップ構築宣言」を公表しました。当社は、サプライチェーンの取引先のみなさまや価値創造を図る事業者のみなさまとの連携・共存共栄と取引の健全化を一層強化し、継続的に取り組むことで新たなパートナーシップを構築し、これからも事業を通じて、持続可能な社会へのさらなる貢献に努めていきます。
3つ目は、人的資本経営の推進と従業員エンゲージメント向上の取り組みとして、従業員持株会への加入を推進しました結果、当社社員の持株会加入率が55パーセントへ大幅に向上したことです。当社社員の経営への参加意識を高め、株主・投資家のみなさまと同じ価値を共有することにより、更なる企業価値向上を図ってまいります。
8 企業価値向上への取り組み
当社の今後の企業価値向上への取り組みについて説明します。企業価値向上については「売上高・収益性の向上(事業領域の拡大)」と「継続的な株主価値の向上」を2本の柱にしています。「継続的な株主価値の向上」については「9 株主還元(継続的な株主価値の向上)」にて後述したいと思いますので、ここでは、「売上高・収益性の向上(事業領域の拡大)」を中心に説明します。
事業領域の拡大では主に3つの方針があります。1つ目は「『水をデザインする』SANEIブランドの更なる向上」です。水の音、流れる姿、手に伝わる感覚に至るまで、どこまでも美しい体験を追い求め、意匠、仕上げ精度、使用感、すべてにおいて最上級に相応しいものづくりへの挑戦を続けています。
2つ目は「水まわりにおける住空間をインスタレーション提案できる事業展開」です。当社は2018年に株式会社三栄水栓製作所から現在のSANEI株式会社へと社名変更を行いました。これは、生活空間における水栓という「点」から、水の通り道すべての「線」、そして水まわり空間全体の「面」への事業展開の広がりを意味しています。
キッチン、バス、洗面と定型化されている従来の住まいに、新たなカルチャーを持ち込む試みでもあります。このような取り組みの一環として、ショールーム&ショップ「WAILEA」を東京の表参道と大阪の御堂筋に展開しています。
3つ目は「宿泊施設・飲食店・介護医療・公共施設など非住宅市場におけるシェア拡大」です。当社はこれまで住宅市場を中心に事業を拡大してきました。今後、国内人口の減少に伴い、住宅着工戸数も減少することが予測されています。非住宅市場向けの商材を拡充することにより、事業領域の拡大を進めていきます。
これらの取り組みの結果、PBRは12月末時点で0.60倍となりました。引き続き、PBR1.0倍超を目指して企業価値向上への取り組みを続けていきます。
9 株主還元(継続的な株主価値の向上)
当社は、「累進配当」の導入を決定し、2024年6月25日に公表しました。前期まで8年連続で増配をしてきて、当期も9年連続となる増配を予定していますが、今後もその方向性を継続していくことを明確にするために累進配当を導入しました。
また、2024年10月1日付で1株につき2株の株式分割を実施しました。下段の表は、累進配当を続けている過去9年間の配当実績を、株式分割後を基準に換算したものになります。
当期の中間配当については、創業70周年記念配当を含めて1株当たり30円の配当を実施しました。期末の配当予想についても、当初の配当予想(普通配当:1株当たり27.5円)から2.5円増配して、1株当たり30円の期末配当を実施します。
10 企業価値の現状分析(各指標の推移)
こちらでは、企業価値に関連する各指標の推移を5年間にわたって掲載しています。表中の株価及び1株当たりの数値は全て分割後を基準に換算しています。
11 PBR改善に向けた取り組み
当社は先ほど申し上げたような取り組みを行ってきましたが、現状では割安となっているPERを向上させ、PBR1倍以上の株価水準を目指す取り組みを続けていきたいと思います。
ROEについても、現状の10パーセント以上の水準を維持しつつ、さらなる事業領域の拡大や収益性の向上を目指していきます。
Ⅰ 企業情報
ここからは、当社の企業情報などの補足資料です。
当社の企業概要です。1954年に創業し、本年2024年9月に創業70周年を迎えました。またグループ会社として、水道設備工事・メンテナンス業務を行う「株式会社アクアエンジニアリング」、中国にて水栓部品製造を行う「大連三栄水栓有限公司」、岐阜県にて水栓部品製造販売を行う「株式会社水生活製作所」、水栓部品鋳造を行う「美山鋳造株式会社」があります。
Ⅱ 企業理念
当社は1954年の創業以来「人類ある限り水は必要である」を理念とし、地球に生きる一員としての自覚を持ち、企業活動に取り組んできました。独自の技術と柔軟な感性で、数々の画期的な商品を提供することはもちろん、水まわりから快適な暮らしを追求し、空間全体をコーディネートするなど、自然環境やニーズの変化を見つめながら、今なお進化を続けています。
「水とともに生きる時間が、いつも“歓び”で溢れるように…。」これからも、人々にとっての心地よさを常に考えながら、SANEI視点で水と暮らしの理想の姿をご提案していきます。
Ⅲ 当社のあゆみ
当社の創業以来のあゆみと事業の展開について、簡単にご説明したいと思います。1954年の創業からしばらくは、水栓金具やシャワーヘッドなどを単体で販売していました。この時代を、我々は製品単体を売っていた「点」展開の時代と考えています。
1980年頃から、家の水道メーターから蛇口まで、家の水道インフラ全体をカバーするものづくりを推進してきました。水栓金具単体でなく、配管部材も合わせて販売していくという体制を整えてきたこの時期を、我々は「線」展開の時代と考えています。
2018年頃からは、水まわりに対して機能性・安全性だけでなく、リラックスしたい・ゆとりを感じたいといったことに応えることを目指しています。そのために、水栓金具を使う空間全体をトータル的にカバーする「面」の展開を提案しています。
Ⅳ 当社の売上高推移
当社のあゆみと成長性を説明する補足資料として、15年間の売上高推移をグラフにしています。当社は、新設住宅着工戸数が減少傾向にある状況下においても、順調に売上高を伸ばし続けています。
今後も少子高齢化などの状況から新築住宅着工戸数は伸び悩むものと想定されますが、新たな水まわり空間の研究と開発、インスタレーション提案に取り組み、事業領域の拡大を進めることで継続的な成長を達成します。
Ⅴ 取扱製品
当社の取扱製品についてご説明します。当社が近年力を入れている水回りの「面」展開に対応した製品として、デザイン水栓シリーズがあります。従来から販売している「線」展開としては、継手や配管部材があります。
また、創業当初より取り扱っている「点」展開の製品として給水栓や給排水金具がありますが、これらも非接触で給水できるセンサー式水栓や、ウルトラファインバブルのシャワーヘッドなど、より高機能な製品も取り扱っています。
Ⅵ SANEI DESIGN COLLECTION
デザイン水栓シリーズのご紹介をします。国内外で活躍するデザイナーのみなさまとのコラボレーションから生まれた製品、人と水のよりよい関係を現代空間の中で追求するSANEIインハウスデザインによる製品など、さまざまなシーンに合わせられる製品を開発しています。
当社ホームページにも、「DESIGN PRODUCT」ページがありますので、是非ご覧ください。
Ⅶ 販売ルート
本資料の「4 販売ルートの概況」で説明している販売ルートの概要を紹介しています。水まわり資材を扱う管材店向けの管工機材ルート、ホームセンターや家電量販店・ネット通販向けのリテールルート、住宅設備機器メーカー向けのメーカールートの計3ルートがあり、バランスよく展開しているのが当社の特徴になります。
このほか、構成比はまだまだ低くはありますが、海外ルートも含めて全社的には4つのルートで展開しています。
Ⅷ 営業拠点
管工機材ルートは、地域に密着した販売ルートになります。日本全国、北海道から沖縄まで、支社・支店・営業所・出張所を合わせて27拠点を展開しています。
リテールルートとメーカールートについては、大都市圏にある支社・支店を中心に展開しています。 (営業拠点の一覧はこちら)
Ⅸ ショールーム
東京・大阪・名古屋・福岡の各支社・支店にあるほか、東京の表参道と大阪の御堂筋にWAILEAが1店舗ずつ、東京の青山にFLUSSOが1店舗あります。
Ⅹ Think Life. Make Act. 行動しよう。未来のために
当社は、1954年の創業以来、「人類ある限り水は必要である」を理念とし、地球に生きる一員としての自覚を持ち、企業活動に取り組んできました。
当社のSDGsへの取り組みはこちらにまとめていますので、ご覧いただければ幸いです。
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