【QAあり】ニーズウェル、生保・公共・AI等が堅調に推移し増収増益 長崎大学との生成AI共同研究等ソリューション開発に注力
会社概要
松岡元氏(以下、松岡):みなさま、こんにちは。株式会社ニーズウェル取締役専務執行役員の松岡です。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。
当社2024年9月期通期の決算概況、中期経営方針、現状の取り組み状況などについてご説明します。これを機会に、ぜひ当社のことを知っていただければと思いますので、よろしくお願いします。
まずは、会社概要をご説明します。社名は株式会社ニーズウェル、資本金は9億800万円です。この後ご説明しますが、直近の売上が95億4,900万円と、順調に売上を伸ばすことができているかと思います。
本社は東京の赤坂にありますが、永田町と長崎県に設けている開発センターで主なシステム開発を行い、事業を推進しています。
直近では、スライドで示した零壱製作社、ビー・オー・スタジオ社、コムソフト社の3社がグループインしており、それぞれに特徴を持つ会社と協力しながら事業を推進しています。
1.1 決算ハイライト業績サマリー
新井千波氏(以下、新井):取締役執行役員および経営企画担当の新井です。2024年9月期の通期決算概況についてご説明します。
まずは、決算ハイライトと業績のサマリーです。2024年9月期は、生保・社会インフラ・公共・AI関連などが堅調に推移しました。売上高は前年同期比9.0パーセント増の95億4,900万円、経常利益は前年同期比6.4パーセント増の12億800万円の着地となっています。
2024年9月期には、将来の成長に向けた必須の投資として、いくつか独自ソリューションの開発に積極的に取り組みました。
1.2 売上高・経常利益年度別・四半期別推移
新井:四半期別の売上高と経常利益の推移です。2023年9月期には先ほど挙げたグループ子会社3社を連結したため、大きく成長しているように見えます。
2024年9月期もM&Aについて探索しておりましたが、残念ながら現時点で新たなグループインにはつながっていません。引き続き、探索を続けています。
先ほどご説明したとおり、売上高は95億4,900万円で着地していますが、こちらは既存事業とM&Aによるグループ拡大によって伸ばしていく考えです。中期経営計画が終わる2026年には売上高130億円、経常利益17億円を目指しています。
kenmo氏(以下、kenmo):季節性による影響について質問です。4月から6月の経常利益がへこむのは、人材採用による影響かと思います。
一方で、御社のような業態では1月から3月に売上が大きく乗る会社も多い中、利益が比較的平準しているように見えます。御社では季節による影響がそれほど見られない理由について、教えてください。
松岡:確かに、1月から3月は年度末を迎える時期となるため、例えば飛び込みの受注による引き合いなどの数が増えることは事実です。グラフからも、第2四半期の売上が少し伸びていることがわかります。
ただし、当社の場合、ストックのほかに受注の割合が比較的大きな保守開発、運用業務で定常的に売上を上げていく体制をある程度整えているため、季節的な影響はそこまで受けずに事業を推進できている点が特徴だと考えています。
1.3 サービスライン別売上高
新井:サービスライン別の売上高です。当社は業務系システム開発、IT基盤、ソリューションと、3つのサービスラインを設けています。前年比で見ると、2024年9月期に一番伸びが高いのはソリューションです。
ソリューションは、業務系システム開発やその他よりも高い粗利を期待できる分野です。2024年9月期は将来に向けての種を蒔いた期となるため、進行年度ではこの部分をもう少し増やしていけるかと思っています。
業務系システム開発とIT基盤にも、注力していきたい分野があります。こちらについては、次のパートでご説明したいと思います。
1.4 経常利益増減要因分析
新井:経常利益の増減要因分析です。2023年9月期の経常利益11億3,500万円に、売上総利益増による増加分の8,000万円が加わっています。賃上げや株式報酬制度などの費用がかさみましたが、その他の支出の見直しなどを進め、最終的な2024年9月期の経常利益は12億800万円となりました。
1.5 高収益体質への改革
新井:過去にも何度か説明している内容となりますが、高収益体質への改革についてです。5年前と比較すると、収益力の違いが出てきており、CAGR(年平均成長率)は19.1パーセントでした。
ソリューションに力を入れているというお話は先ほどお伝えしましたが、スライドのエンドユーザー比率をご覧ください。
他のサービスと比べて、ソリューションはエンドユーザーに提供するウエートが高い分野であることから、エンドユーザー比率の維持・拡大にもつながっています。また、サブスクで提供するという点は、ストック売上比率の拡大にもつながっているかと思います。
1.6 株主還元
新井:株主還元についてご説明します。2024年9月期の1株当たり配当金は9.00円で、現在は12月の株主総会に向けて諮っている段階です。配当性向は42.6パーセントでした。
私どもは、現時点では配当性向35パーセントを一つの目安としており、2025年9月期は配当金9.00円、配当性向36.2パーセントを予定しています。
また、2024年9月期の6月には自社株買いを行いました。こちらを含めた総還元性向は66.8パーセントとなり、高い水準に達したと考えています。
2.1 経営理念・中期方針
松岡:ここからは、中期経営計画と取り組みの状況について私からご説明します。まずは、あらためて当社の経営理念と中期方針についてご説明します。
「広く経済社会に貢献し続ける」という経営理念は創業当時から変えておらず、この目標を掲げ続けてきました。直近の中期経営指針では、「生産性向上による高収益化」を掲げています。
高収益化や生産性を上げるため、残業低減や業務効率化などを目指しながら生まれた利益を社員または株主へ還元していくとともに、働く社員のワークライフバランスをしっかりと保ち、企業価値全体を上げていくという目標を掲げ、経営を進めています。
2.2 中期経営計画(連結)
松岡:中期経営方針のKPIについてご説明します。まずは、売上目標です。
現在、2026年には売上高130億円、経常利益17億円を目指すという計画を立て、推進している状況です。2025年9月期は、既存事業の連結売上高106億円を目指しています。
また、新規M&Aの目標は1件で、一緒になって協力してもらえる企業を検討しながら進めています。売上の伸長に伴って利益もしっかり確保していこうと、スライドに記載した目標を立てて取り組んでいる状況です。
2.3 EPS・ROE(計画)
松岡:KPIのうち、EPS・ROEについては企業価値向上委員会も設置して掲げています。スライドで示したとおり、EPS30円およびROE20パーセントに向けてしっかりと利益を確保するとともに生産性や効率を高め、必要な投資などを行いながら、現在、事業を推進しています。
2.4 重点施策
松岡:事業推進の状況です。重点施策として、中期経営方針に大きく7つのテーマを掲げています。今期上期には、特に注力している分野が大きく3つあり、AIビジネス、マイグレーション開発、ITアウトソーシングです。現在は、全社でこれらに特に注力して取り組んでいます。
2.4 事業価値の向上 ②売上拡大
松岡:先ほど掲げた130億円の売上に向けて、AI、マイグレーション開発、ITアウトソーシングのそれぞれに増額目標値を掲げていますが、これらはあくまで目標値です。現在は目標以上の売上を目指し、全社で取り組んでいる状況です。それぞれについては、この後ご説明します。
2.4 事業価値の向上 ②売上拡大 –【AI】
松岡:まず、AIについてです。当社は数年前からAIへの取り組みを進めており、スライド左上に記載した「Work AI」というサービスをお客さまに提供しています。
今年は特に「生成AI」がバズワードになったことであらためてAIが注目されるようになり、当社へのお問い合わせも多くなってきました。
当社はもともとデータ分析の技術でお客さまにサービス提供してきたため、現状はデータ分析と業務効率化を図るRPA、AI-OCRなどを組み合わせ、さまざまなかたちでお客さまにサービスを提供し、受注を増やしています。
スライド左上に示している実績のとおり、例えば分析結果をレポート化して業務改善を提案するなど、業種を問わず多数のお客さまからデータ分析のお話をいただいています。
この後ご紹介しますが、モバイル会社が提供するIoT機器と当社が展開しているデータ分析の技術を組み合わせた、新規ソリューションも立ち上げています。
トレンドをおさえた課題解決を推進するとともに、スライド右側に示している産学共同研究によるさまざまな成果も少しずつ出てきているため、これらを中心にAI事業を推進していきたいと考えています。
現在、産学共同開発では、開発センターを設けている長崎県で生成AIソリューションに取り組んでおり、長崎大学とAIに関する共同研究を進めています。1年をかけて主に生成AIの活用について研究してきましたが、これをどうにかソリューション化していこうと、大きく3つのソリューションを立ち上げました。
「QualiBot」は、10月に提供を開始しています。「FSGen」「PRGen」は、いずれも来年1月頃を目処に展開していこうと動いているところです。
先ほど少しお話ししたデータ分析と専用モデルについては、スライド左下に示しています。
クレンジングしたお客さまデータの分析結果をモデル化することでお客さま専用アプリを作り、業務効率化などをご提案する「Prophetter」シリーズのほか、ソリューション製品群には「Chat Document」「社内FAQ」「株主QA」など、業務効率化のツールをいくつか用意しています。
現在、AI事業は、これらを組み合わせた提案で全体的に事業の幅を広げながら、お客さまからの引き合いを多くいただいている状況です。
kenmo:「長崎大学と共同開発した生成AIの現状と今後の展開について、詳しく教えてください」というご質問がありました。ご回答をお願いします。
松岡:長崎大学とは、昨年からAIに関する共同研究を始めています。生成AIは聞き方によって回答などがまったく異なるため、得意なことや苦手なことの有無も含め、生成AIをどのように使うのが効率的なのかということについて、研究を進めています。
今回、研究を進める中で作ったこのソリューションは、どちらかと言えば当社内で効率化したかった業務に対し、生成AIを活用することで効率化していこうという発想から着手したものです。社内でも効果が認められたため、今回、対外的に発表していく流れになりました。
現在は2025年に向けても新たなテーマを決め、本格的な研究に取り組んでいく準備を進めています。テーマが確定してソリューションが完成すれば、新たに公開していけるかと考えています。
Kenmo:九州エリアには、生成AIに関する産学連携が比較的進んでいるという印象があります。長崎大学と連携することになった背景を教えてください。
松岡:4年から5年前に長崎開発センターを開設したご縁や、盛んな企業誘致を背景に、長崎大学との接点も増えてきました。
長崎開発センターを開設するにあたり、現地での採用のために地域の学生との接点を増やそうといくつかの大学を訪問し、採用活動を進める中、一緒にできることはないか、ということから連携がスタートしました。
2.4 事業価値の向上 ②売上拡大 –【マイグレーション開発】
松岡:マイグレーション開発についてです。「マイグレーション」という言葉はあまり聞き慣れないものだと思いますが、実は、マイグレーション市場はかなり拡大してきています。
例えば、大手メーカーの汎用機からの撤退や、2025年の壁でもある主に金融系のレガシーシステムのオープン化などがここ数年のトレンドでした。市場を見ても、2024年度のマイグレーション市場は1兆円に近づくという予想も出ています。当社でもいろいろと調べた結果、そのような見通があると考えています。
マイグレーションとは、簡単に言えばCOBOLからJavaに変えるプログラム言語の変換やシステムを動かす環境の変更など、古いものから新しいものに変える取り組みが語源となっています。当社はもともとCOBOLやJavaの技術を持っているため、この分野で貢献できるのではないかということから事業を推進しています。
マイグレーションと一言で言っても、実際は幅広いものです。
マイグレーションするだけでなく、基本的には変換前後で同じ動きをするかどうかが1つのゴールであることから、正しく動くかどうかの試験のご提案をしたり、お客さまが使っている古いシステムのローコード開発ツールを使ったシステムの刷新を行うなども、マイグレーションというスコープに入れて事業を展開しています。
実績として、1つは生命保険会社向けに、レガシーシステムからのマイグレーションとして、言語変換、単体試験、結合試験などを実施しました。主に長崎開発センターでリソースやファシリティを有効活用し、かなり大きな規模で行った結果、お客さまから感謝状をいただくなど、当社にとって大きな実績となりました。
また、短資会社向けのローコードを活用したマイグレーション開発もあります。こちらは、お客さまがもともと使っていたVBのマクロも含めた古いツール群を、ローコードツールを活用して刷新する開発です。
これによって属人化の排除やメンテナンス性の向上など、システムを新しくすることで、ツールをより長く使っていただける実績ができました。この実績をご評価いただき、引き続き開発を進めている状況です。
当社が持っている長崎開発センターのリソースやファシリティを有効活用することで、長期で大規模な体制が必要な場合にも対応できる準備を整えています。今後も、さまざまな実績を作っていけると考えています。
コロナ禍もあり、持ち帰り業務やWeb会議など、場所を問わない働き方が浸透してきました。そのような意味でも、長崎開発センターの活用は1つの実績になってきていると考えています。
2.4 事業価値の向上 ②売上拡大–【ITアウトソーシング】
松岡:ITアウトソーシングについてです。企業のDX人材不足解消、業務効率化支援・運用サポートに関して、各企業がシステムの運用や業務を行う中で、リソース不足が課題になっているかと思います。
そこで、当社のリソースや体制、ファシリティなどを使っていただき、当社メンバーもお客さまに長期的に寄り添い、業務を理解しながらお客さまの業務改善に貢献するサービスを提供しています。
サービスとしては、運用設計・運用監視、オペレーション代行、マネージドサービスなどいくつかありますが、当社社員とパートナーにも協力いただき、体制を作りながらこの事業を推進してきた結果、けっこうな評価をいただいています。
Kenmo:ITアウトソーシング事業は、御社の社員を相手先企業にアサインするイメージですか? それとも、フリーランスのエンジニアや外注を御社経由でマッチングするのでしょうか? どちらのイメージが強いですか?
松岡:お客さまのところに常駐する場合やお客さまの業務自体を持ち帰る場合など、いろいろなパターンがあります。
多いパターンは、業務を持ち帰って遠隔でサポートするかたちです。その場合、当社社員だけでなくビジネスパートナーが相手先企業に入ってしっかりと体制を組み、システムの運用監視を立ち上げることが多いです。
現場に常駐する場合は当社社員が最初に入り、業務内容の理解や改善点を検討してから体制を構築する流れが多くなっています。体制構築にはパートナーにも入っていただきますが、最初のとっかかりには社員をアサインすることが多いです。
Kenmo:前者は業務請負のようなイメージで、後者は人材派遣のようなイメージですか?
松岡:確かに、最初は派遣契約で入らせていただき、お客さま先の要員として動きますが、ある程度業務を理解し、切り出し可能になった後は、人材派遣というよりも業務委託のようなかたちになります。
Kenmo:途中から業務委託に切り換えるということでしょうか?
松岡:そのとおりです。割合としては、切り替えるパターンが多いと思います。
2.4 事業価値の向上 ②売上拡大 –【ソリューションビジネス】
松岡:ここまで大きく3つの取り組みについてご説明してきましたが、当社はソリューションビジネスにかなり注力しており、SIの一括請負の事業だけでなく、ここで培った技術力やノウハウをブランド化して展開しています。
現在はラインアップを増やしているところですが、直近では特に、スライドに記載した4つの取り組みを開発し、展開し始めています。
その1つが、「11MGN」です。こちらは、まさに今対応しなくてはならない「Windows10」から「Windows11」への切り替えをサポートするソリューションです。
また、IoTとAIを掛け合わせたソリューションとして「BearAI」を展開しています。当社のデータ分析技術はかなり高く、これまでも実績を作ってきたものの、肝心のデータ取得は苦手としていました。
お客さまがデータを持っている場合は、それをお借りして分析することはできますが、それを収集する術がありませんでした。そこで、収集できる機器を持っている会社と組み、当社のAI技術を掛け合わせて、データ収集から分析、業務改善のご提案を一気通貫で手掛けるソリューションとして展開しています。
スライド下部の2つは、当社内での業務改善をベースにしたソリューションとして、交通費・承認レスソリューション「Nチェッカ」「Nチェッカ-Pro」を展開しています。当社では交通費精算にクラウド型の経費精算システムを導入していますが、このソリューションはその入力レスシステムとなっています。
例えば、自動改札を通過すると経費精算システムと連動し、さらに社員の勤怠状況と合わせて仕事の交通費であるかどうかを自動でチェックするツールです。毎月月末に承認していますが、この部分を承認レスや入力レスにすることで生産性を上げようとしています。
スライド右下は、予想損益ソリューション「ManaSupport」です。私の立場では特にそうですが、SI事業を展開すると、今期の見通しについてはリアルタイムでチェックしたいという気持ちがあります。
そこで、社内では現場のマネージャーがプロジェクト状況を登録することで瞬時に全社の状況がわかり、現場のメンバーが入れた情報を一元管理できるツールを作りました。こちらを外部にも展開し、大きくソリューション展開していこうと考えています。
Kenmo:「Windows11」への移行サービスは、来年のトレンドになりそうな気がします。足元では、実際に引き合いがありますか?
松岡:今まさにトレンドであるため、多くのお問い合わせをいただいています。ただし、Windowsのアップデート自体、昔のようにCDを入れて再インストールするのではなくWeb上で可能な運用になっているため、現在動いているアプリケーションが新OS上でも動くのかということがより重要になってきます。
その検証のほか、例えば動かない場合は改修したり、検証タイミングで新たにローコードを使ったマイグレーションをしたりすることも考えられます。
「Windows11」へのアップデートから少し派生して、お客さまからはさまざまなパターンでのご相談やお問い合わせ、引き合いが増えており、それぞれに最適なご提案をしているところです。かなりの数の引き合いがありますが、着手までには少し時間がかかっています。
2.4 事業価値の向上 ③収益拡大と目標
松岡:事業価値の向上については、大きく3つテーマで推進しています。1つは、エンドユーザー取引の拡大です。売上高の65パーセント以上を、エンドユーザーとのお取引で確保していきたいと考えています。
なぜこちらを進めたいかと言うと、エンドユーザーとの取引では、商流が深くなれば収益性の面で不利になるため、取引数を増やすことで自社の収益性を上げていきたいという理由があります。
エンドユーザーとの取引に伴い、例えば開発の難易度が高く、要望の理解に時間はかかりますが、そこも含めて社員のスキルアップだと考えています。また、ナレッジの蓄積にもなるかと思っているため、エンドユーザーとの取引は今後も拡大していきたいと考えています。
ストック売上の拡大については、冒頭に季節性の話がありました。事業を推進する中で、安定した売上を確保するために非常に重要だと考えています。したがって、現状はストック売上を70パーセントまで引き上げられるよう、保守サポートも含めて継続してご契約いただくようなかたちでさまざまなご提案を行っています。
オンライン営業の促進については、技術のトレンドが変わりやすいIT業界ということもあり、特定のお客さまに営業しているだけでは営業効率があまりよくないという特徴があるかと思います。
そこで、当社のホームページを充実させたり、オンライン営業を促進したりと、お問い合わせなどの機会を大切にし、お客さまとの接点を増やす取り組みをしています。
特に当社は頻繁にプレスリリースを出しており、可能な限り、当社事業の推進状況を株主にも知っていただいています。それを機に「そのようなことができるなら、このようなこともできるのではないか?」というお問い合わせにつながるほか、認知度の向上にもつながっていると考えています。
このような取り組みを推進しながら、引き合いや受注の機会を増やしたいと考えています。
2.4 事業価値の向上 ④投資
松岡:投資では、採用・育成、研究開発・製品開発、M&Aという大きく3つのテーマを掲げています。
採用については、当社は新卒採用をメインとし、その新卒社員がなるべく早く立ち上がるよう用意している育成カリキュラムを充実させるなど、SEの育成にも注力しています。
研究開発については、大学との産学共同や社内の業務改善のための開発などにも投資して業務を効率化するとともに、それを外販するための仕組みを整えています。
M&Aについても、先ほどご説明した中期経営計画にもありましたが、シナジーを生むことのできる企業とのM&A促進もテーマの1つとしています。協業する企業を見つけることはなかなか難しいのですが、この取り組みは継続していきたいと考えています。
2.4 事業価値の向上 ⑤人員計画
松岡:人員計画です。スライドには、社員とパートナー企業の割合を記載しています。先ほどご説明したとおり、当社は今後も全体社員数の約1割を目処に新卒採用を継続し、育成していきたいと考えています。
パートナー企業とも連携を強化し、SE不足の解消を目指していきます。おかげさまでたくさんの引き合いがあり、社員だけでそれらを推進することは難しいため、ビジネスパートナーにもご協力いただく機会をかなり増やしています。
kenmo:人材について、いくつか質問させてください。社員数は2023年9月期に587名と、6年前の530名からそこまで増えていない一方、売上は約6年で倍増しています。1人当たりの生産性が上がっている印象があるのですが、このあたりの補足説明をいただけますでしょうか?
松岡:売上が上がる大きな要因の1つは、パートナーの割合が増えていることがあると思います。現状、社員とパートナーの割合は、全体の稼働工数で見ると約6割が社員、約4割がパートナーとなっています。
当社としては、社員とパートナーの割合は1対1が最大だと思っているため、まずはそこに向けてパートナーとの協業体制を構築していくことで今後も売上を伸ばしていけると思っています。
また、当社はもともとSI事業を進める中で現場常駐が多かったのですが、コロナ禍の後押しもあり、この数年で業務の持ち帰りが特に推進されたと思っています。
現場に張り付いていた社員が各現場でしかできなかった業務を持ち帰ることで、それらを一部共有するなどして生産性を上げられたことも大きなポイントの1つであり、売上にも大きく寄与していると考えています。
さらに、特にこの1年から2年でソリューションを展開し、サービス利用料の月額定額制を設けることで一定の売上が上がるようになってきました。こちらも、生産性向上に寄与していると思っています。
Kenmo:ありがとうございます。もう1点おうかがいしたいのですが、これからさらにパートナーを活用していくとなると、人材マネジメントやプロジェクトマネジメントができる中間層の人材が必要になってくると思います。
さまざまな会社で中間層が不足しているという課題をお聞きしますが、御社の課題感についてお聞かせいただけますでしょうか?
2.4 事業価値の向上 ⑤人員計画 – 研修制度
松岡:確かに、新卒採用に切り替えることで中間層が薄くなるという課題はありますが、現在は教育体系をかなり充実させています。
新卒社員は技術研修を受けるところから始まり、その後もオーナーシップ研修や次期リーダー研修など、SEとしてステップアップするための研修をしっかりと設けているため、SEとしての立ち上がりを早期化できると考えています。
中間層の人材不足については、先ほどご説明したビジネスパートナーにご協力いただき、パートナーと組んでプロジェクト体制を強化することが1つの特徴かと思います。このようなかたちで、育成やプロジェクト体制の強化を図れていると考えています。
Kenmo:わかりました、ありがとうございます。
松岡:今ご説明したとおり、当社は教育体系を万全に整えています。技術者も、ある程度のスキルが身につくとお客さまとの接点が増え、プロジェクトのチームメンバーを含めてマネジメントできるスキルが必要となるため、技術研修だけでなくマネジメントについても幅広い体系を設けています。
経営層も含めてカリキュラムを用意しているため、全体的に社員のベースアップが実現できてきていると考えています。
当社についての説明は以上です。ありがとうございました。
質疑応答:昨年8月の下方修正について
Kenmo:昨年3月に上方修正した後、8月に下方修正がありました。なぜ、上方修正の後に下方修正が発生してしまったのでしょうか? 要因と対策について教えてください。
松岡:上期の中でも、1月から3月期は特に引き合いをいただく機会が例年以上に多く、受注がかなり進んだため、そこで上方修正を行いました。
一方で、下期に入ると問題が起きてしまったプロジェクトが大きく2つあり、当社の多くのリソースをその対策に割きました。
本来は別のプロジェクトに着手する予定だったSEやPMがそちらに取られてしまったため、それに伴う機会損失や着手の遅れが発生し、残念ながら下方修正を余儀なくされたというのが実態です。
ただし、当該プロジェクトはすでに終息に向かっていますし、なぜその問題が起きたのかについて、社内で細かな分析を行っています。教育体系の研修カリキュラムの中にもそのような問題を起こさないための対策を盛り込んでいるため、今後は対策を強化していけると思っています。
質疑応答:今期の業績予想について
Kenmo:先ほどの回答を踏まえ、今期の業績予想はそのようなリスクをさらに織り込んでいるのか、それとも昨年並みのリスクの織り込みなのか、今期の業績予想の考え方について教えてください。
松岡:ある程度の根拠を持ち、見通しを出しています。基本的には達成できることを前提に公表していますが、この業界は大きいものから小さいものまでさまざまな不測の事態が起きるため、考え方としては、リスクも織り込んでいます。
質疑応答:時価総額を上げるための施策等について
Kenmo:プライム市場残留に向け、流通時価総額の基準が気になってくる時期かと思います。これから時価総額を上げていくための施策と、万が一、時価総額を達成しなかった場合、株主を保護する、つまりそれ以降もきちんと売買できるスタンダード市場への移行を考えているのか、MBOを検討しているのか、可能な範囲で教えてください。
松岡:ご質問いただいたとおり、当社はプライム市場の基準を一部達成していません。流通時価総額を達成するための目標として、まずは業績をしっかり上げていくことが大前提になるかと考えています。
社内に社長と直轄の企業価値向上委員会を設けており、そこでIRやPR、業績をどのように上げていくか、引き合いをどのように増やしていくかという対策は随時取っているため、まずはしっかりと業績を上げ、それに伴って株価も上げていくことを目指して行動しています。
質疑応答:M&AへのAI活用について
荒井沙織氏(以下、荒井):「M&Aがうまいという印象ですが、この部分にもAIを活用されているのでしょうか?」というご質問です。
松岡:M&Aには、まだそこまでAIを活用できていないというのが実情です。ただ、今後はAI活用も1つの選択肢に入ってくると思っています。M&Aで最初に考えなければならないことは、事業シナジーをしっかり出せるかどうかという観点です。そのため、じっくり考える時間と人間の力が必要ではないかと思います。
質疑応答:M&Aのコンサル事業立ち上げについて
荒井:「M&Aがうまくいけばいくほど、M&Aのコンサル事業の立ち上げもできてしまうのではないかと思いますが、いかがでしょうか?」というご質問です。
松岡:IT業界でのM&Aは珍しくはなく、事業のシナジーを出しながら特徴を併せ持ち、掛ける2ではなくさらに指数的に上がるような施策を考えることが1つのポイントだと思います。まずはどうにか、当社のナレッジとして溜めていくことを目標として動いています。
質疑応答:今後の産学協同開発の予定について
荒井:「長崎大学との産学協同開発によるソリューション提供について、今後も別の拠点を設置するなど、他大学でも同様の開発を進める予定はありますか?」というご質問です。
松岡:まずは長崎開発センターならびに長崎大学との実績をしっかりと出していくことに注力しているため、現時点では別の拠点について明確に考えているわけではありません。
ただ、開発センターを設けることで地場の優秀な人材やファシリティの確保ができると思っているため、今後の選択肢としては入ってくると考えています。
質疑応答:社員のリモートワークについて
荒井:「社員の方の出勤と在宅ワークの比率はどの程度でしょうか? また、御社はフルリモートワークは可能なのでしょうか?」というご質問です。
松岡:技術部門となる事業部のエンジニアや社員は、テレワークと出勤のバランスをうまくとりながら業務を行っています。開発センターは長崎県と永田町にありますが、全社員分の座席を確保できているわけではないため、シフトを組みながらうまく対応しています。
バックオフィス部門や営業部門については、コミュニケーションもある程度必要だと思いますので、業務上フルリモートは難しく、基本的に出社しています。今後、必要であれば検討はできるかと考えています。
質疑応答:DX支援事業の市場成長について
荒井:「最近、企業などのDX支援事業についてよく耳にしますが、この市場成長が飽和に達するのは何年後頃だと見込んでいますか?」というご質問です。
松岡:ゴールの設定の仕方にもよると考えていますが、市場の状況については、2030年頃までに、現在の1兆円規模から6兆円規模になるのではないかという見通しもあり、今後も続いていくのではないかと考えています。
今後、特に自治体などのペーパーレスやDX化はさらに続いていくと思っているため、まだまだ伸びるだろうと考えています。
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