【QAあり】ANYCOLOR、四半期売上高は過去最高を更新 「にじさんじ」7周年施策等の通期業績見通し達成に向けた取組を継続
2025年4月期 第2四半期決算
田角陸氏(以下、田角):みなさま、本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。ANYCOLOR株式会社代表取締役CEOの田角です。それでは、2025年4月期第2四半期の業績について、CFOの釣井よりご報告します。
釣井慎也氏(以下、釣井):CFOの釣井です。私より、第2四半期の決算ハイライトについてご説明します。
第2四半期の業績は、売上高99億600万円、営業利益40億4,300万円、当期純利益28億200万円の着地となりました。
領域別に見ていくと、ライブストリーミング領域は、引き続きメンバーシップを中心とした収益構造となっており、当初の予想どおり、安定した推移となっています。
コマース領域の第2四半期実績は66億5,200万円で、期初に予想していた72億円から75億円に対し、若干割り込むかたちでの着地となりました。
四半期ベースでコマース領域の売上高は過去最高であり、お客さまからの受注ベースでは、しっかりと予想を上回る着地となっています。一方で、この第2四半期において、グッズ発送遅延の解消を見込んでいたものの、実際には見込みどおりの解消とはならず、結果として若干ビハインドで着地しています。
イベント領域は、第2四半期に2件のイベントを開催しています。現地のチケット販売は非常に好評で完売となりましたが、オンラインチケットの売上が見込みを若干下回る販売となりました。
企業案件を中心とするプロモーション領域は、当初の予想より良い結果となっています。第2四半期はスタジオの移転などで稼働が落ち込むと予想し、13億円から14億円を見込んでいましたが、10月の追加IPコラボ案件の実施が一因となり、結果としては非常に良い結果で着地しています。
このような売上高の結果を踏まえて、営業利益、当期純利益については、利益率ベースで予想どおりの着地となりました。
業績サマリー
業績サマリーです。上半期全体で振り返ると、売上高173億4,100万円、営業利益67億6,100万円と、上期業績予想の売上高180億円、営業利益71億円に対し、5パーセント弱下回る結果となっています。
主な要因としては、グッズ発送の遅延を主な理由としたコマース領域における下振れが発生したこと、第1四半期に発生したイベントの中止や延期したことがあり、それらが売上高および利益に影響しました。
下半期に向けては、未発送残高の解消およびグッズ販売やイベントにおいて延期・中止分を補填する追加施策を実施することで、通期予想をしっかりと達成していきたいと考えています。
売上高および営業利益推移(四半期)
売上高および営業利益の四半期推移です。売上高としては過去最高となっています。
コスト内訳推移(四半期)
コスト内訳推移です。直接変動費は44.4パーセントで着地しています。第2四半期の直接変動費の中には、第1四半期のイベント中止に関する損失を計上しています。イベント中止に至った意思決定が第1四半期末付近で行われたことから、金額確定が第2四半期にずれ込んでいます。イベント中止損失の計上を行ってもなお、直接変動費全体では44.4パーセントと、おおむね影響のない水準で着地することができました。
その他原価・販管費項目では、人員採用を継続的に実施した結果、人件費を中心にコストは増加傾向にありますが、売上高の成長により売上高対比での経費の比率は15パーセントを下回るかたちで着地しています。このようなことが営業利益率40パーセント超という着地につながっています。
VTuber数およびANYCOLOR IDの推移
VTuber数およびANYCOLOR IDの推移です。VTuberにおいては、8月に「にじさんじ」から5名がデビューしています。一方で、「にじさんじ」から2名、「NIJISANJI EN」から2名の計4名が卒業となり、会社全体では1名純増となっています。
ANYCOLOR IDの推移を見ると、引き続き、新規ファンの流入が見てとれると思います。
従業員数の推移
従業員数の推移です。全社的に見ると、人員の拡大傾向が続いています。ビジネス領域においては、300名を超えていますが、これはIPコンテンツの販売、イベントの実施、営業案件などの実施施策の増加に伴い増員しています。
また、2024年10月より新スタジオをオープンしていますが、新スタジオの稼働に伴い、スタジオエンジニアを中心に、全社として採用を強化しています。
第2四半期における主要施策
スライドは第2四半期に実施した主な施策の一例です。コマースにおいては、ユニットを中心とした施策や、ファンの方々に喜んでいただけるような企画の施策を中心に展開しています。
スライドのコマースに掲載している「3SKM Half Anniversary」は、デビュー半年を記念したグッズで、デビューして間もないVTuberによる貢献もあり、全体として良かったと思っています。
プロモーションにおいては、従前からゲーム領域が強いですが、スライドに掲載しているのは非ゲームの領域で、「DMM TV」さまと「にじさんじ」の動画を中心としたコラボや、金融領域である三井住友カードさまとのコラボといったかたちで、多種多様なコラボレーションを実現しています。
スライド右側には、第2四半期に実施した2件のイベントを掲載しています。
2025年4月期 第3四半期業績見通し
ここからは、第3四半期の見通しについてご説明します。11月から1月の3ヶ月間となる第3四半期の業績見通しは、売上高は94億円から99億5,000万円、営業利益は34億5,000万円から37億5,000万円、当期純利益は24億1,500万円から26億2,500万円の予想となっています。
領域別に見ると、ライブストリーミング領域は、前四半期からそれほど状況は変わらない見通しです。コマース領域は、引き続きユニット施策や楽曲コンテンツといった、ファンに喜んでいただけるコンテンツを中心に企画を行っていきます。加えて、この第2四半期末までに溜まっている未発送の残高をしっかりと管理していくことで、売上高を伸ばしていきたいと考えています。
イベント領域は、第1四半期、第2四半期と比較して、大きく数字が伸びることを予想しています。
「にじさんじ」全体を挙げて開催する「にじさんじ歌謡祭2024」に加えて、VTuberのソロライブやユニットライブを複数企画しており、このイベントによる収益貢献が大きくなると予想しています。
企業案件のプロモーション領域は、引き続き好調な結果となる見通しです。営業利益率では、前四半期対比で低く見えるところもありますが、イベント領域の比率が大きくなる中で、利益率は第2四半期より若干落ちる着地になると予想しています。
VTuber・ユニットのプロデュース体制
田角:現在、取り組んでいる中期的な成長に向けた事業進捗についてご説明します。
まずは、VTuberやユニットのプロデュース体制を下半期から変更しました。従来はマネージャーの部署と、ユニットのプロデュースといった進行管理やディレクションを行う部署は別々の部署として機能していました。今回、それを一体化し、プロデュース本部の中にプロダクション部門を作りました。これにより、ユニットのプロデューサーやマネージャー、進行管理をする方々が1つのチームとして行える体制としました。
1つのチームとして行っていくことで、迅速な意思決定を可能とする、効率的な体制を構築することができます。また、これまではマネージャー主導や、他のビジネス部門で主導していた個々のVTuberの活動やユニット活動を、今後は連携して強化していくことにより、個人の活動とユニット活動のさらなる相乗効果に取り組んでいきます。
加えて、新人マネジメント部もここに所属しています。ここは、新人をプロデュースしていく中で、最初の数年間を担当する部門で、デビューして間もなく起こりうるトラブルへの対応や、悩み事への対応といった分野を専門的に取り扱うことができます。VTuberとして中長期に活躍できる人材の輩出を目指し、デビュー後もしっかりと取り組んでいくような体制への変更となっています。
デビュー年度別の収益貢献度とVTuberあたり収益
このスライドでは、上半期のデビュー年度別の収益貢献度とVTuberあたりの収益をまとめています。左側のグラフは、デビュー年度別の収益貢献度を示しています。長年所属しているVTuberだけでなく、直近デビューしたVTuberにおいても、収益に幅広く貢献していることが見てとれます。
全体のVTuber平均と比較しても、特に2023年4月期デビューのVTuberの収益貢献度が高いことが右側のグラフから見えてきています。新人プロデュースの1年目、2年目においてもしっかりと収益貢献しているというところで、新人プロデュースやユニットプロデュースにおいて、少しずつ成果が出せている結果と考えています。
ユニットプロデュースと直近の活動例
ユニットプロデュースの直近の事例をご紹介します。ユニットプロデュースでは、複数のVTuberを1つのユニットとして、音楽活動や番組活動、グッズ展開などを行っています。直近の事例としては、スライド一番左「Speciale(スペシャーレ)」という男性2名・女性3名、計5名のユニットがデビューしています。スライド中央「ROF-MAO(ロフマオ)」の『Bring it on』のMVは、公開2ヶ月で1,000万回再生突破の実績を出すことができました。
加えて、「VΔLZ LIVE TOUR 2024『三華の樂』」を実施しました。ライブツアーを3公演実施し、現地チケットはすべて完売と、非常に好評でした。
最後にグッズコンテンツの販売です。「ChroNoiR(クロノワール)ニューレトロスタイル」というグッズを販売しています。これは既存のユニットイメージとは離れた企画となっており、新しいファン層と既存のファン層のどちらにも喜んでいただけるような取組となっています。
直近オーディション/新規デビューの報告
直近オーディションと新規レビューの報告です。2023年11月、2024年2月、5月、8月と、定期的にオーディションを開催し、それぞれの応募者数は1万名前後で推移しています。直近では、男性アイドルオーディション、女性ゲーマーオーディション、U-21向けカリキュラムのオーディションを開催しました。
男性アイドルや女性ゲーマーのオーディションは、これまでのVTAのカリキュラムや選考とは異なるかたちで、「にじさんじ」のファン層を広げていくための新しい取組と、特別な選考を実施しています。
U-21向けカリキュラムにおいては、長い目線でタレント育成を行っていくことにより、より長く、より幅広く活躍できる人材をプロデュースすることを目的としてオーディションを開催しています。
直近では、2023年11月に、マスコットのVTuberオーディションを開催しました。VTA育成やデビュー前研修を経て、2024年6月に、女性4名とマスコット1匹がVTuberとしてデビューしています。
グッズ販売の体制
グッズ販売の体制についてご説明します。こちらも若干体制を変更しています。コマース事業はIPマーケティング本部という部門がメインで担当していますが、部署を3つに分けています。1つ目がグッズの企画をするMD企画部、2つ目が進行管理やEC対応を行うMD製造販売部、3つ目が品質管理やイラスト管理を行うマーケティング部です。
このような3つの部署に分けることにより、役割を分担し、より効率的な取組を目指して、体制を変更しています。
グッズ販売における発送遅延
グッズ販売における発送遅延についてご説明します。釣井からもあったとおり、発送遅延が引き続き起こっており、未発送残高が増加傾向にあります。
その背景として、大きく3つの要因があります。1つ目は、外部の企業さまとの連携・管理不足、2つ目は、製造会社からの納品スケジュールの遅延、3つ目は、販売開始時期の異なる商品の同時購入です。
特に、2024年4月期期末から2025年4月期第1四半期にかけて、残高は大きくなっています。第2四半期においても解消されず、未発送残高は前期末から比較して約5億円の増加となりました。
未発送残高の解消に向けた対応策として、既存商品においては、出荷計画表を作成した上で、日次で出荷状況を管理するような対応を取っていきたいと考えています。
また、新規施策においては、納品日が確定次第、出荷開始日と完了日を管理していきます。このような対応策によって、未発送残高の解消に向けて取り組んでいきます。
グッズ販売における直近の取組事例
グッズ販売における直近の取組事例です。スライド左側は、企画の部分です。ターゲット層を定め、既存の人気商品や今までにない商品の企画・製造販売を行っています。
例えば、スライド左下に載せている「にじさんじ Christmas Wear~KD Sweater Style~」のような、話題性を生むアパレルグッズを販売しています。
右側は、プロモーション・マーケティングの施策という観点で掲載しています。SNSプロモーションや、動画エンドロールでの起用などを行っています。
先ほどお話しした「にじさんじ Christmas Wear~KD Sweater Style~」についても、例えば、動画内・生放送の中で、VTuberが実際に実装して配信を行います。このように、より相乗効果のあるようなプロモーションを実施しています。
新スタジオ開設に伴う効果と今後への影響
最後に、新スタジオ開設に伴う効果と今後への影響です。従前よりご説明していた新スタジオ開設ですが、引っ越しが完了しました。スタジオの面積規模を、これまでの約3倍まで拡張しています。
すでに、新しいスタジオの運用は開始しています。スライド左下に掲載していますが、新スタジオ設立記念として、総勢50名のVTuberがスタジオに集まり、「にじさんじ大感謝祭」という大型特番を実施しました。
引っ越し前と比較しても、足元でのスタジオ稼働量は大きくなってきています。このような背景から、プロモーション配信のコンテンツから新規のお客さまを獲得する施策まで、さまざまなコンテンツの量・質ともに向上させられるような取組になっていると考えています。
質疑応答:海外のテコ入れ等の状況と回復時期の見通しについて
釣井:「米国を中心とする海外のテコ入れ等の状況と、回復時期の見通しについて教えてください」というご質問です。
田角:従前からご説明しているように、タレントとの信頼関係、ファンとの信頼関係の回復というところに努めています。コンテンツという観点では、3Dお披露目や楽曲コンテンツなどに取り組んでいます。
ここからさらに、お客さまに楽しんでもらえるようなコンテンツを増やすという観点でもそうですし、タレントおよびお客さまとの信頼関係の回復という意味においても、足元でしっかりと対応していくことが求められていると考えます。
したがって、回復時期という観点では見通しを示すことができるタイミングではないのですが、そのような対応を着実に行っているような状況です。
質疑応答:第2四半期の売上高増加の要因分析について
釣井:「第2四半期の売上高の増加を客数と客単価に分けた場合の、それぞれの貢献度について教えてください。また、増収の要因を、推し活の需要拡大、施策の実施効果、新スタジオの開設効果に分けると、それぞれの貢献度はどのようになりますか?」というご質問です。
田角:具体的に定量的にお話しするというのは、なかなか難しい部分ではありますが、客単価および客数はそれぞれ増加傾向にあると思っています。
増収の要因という観点では、もちろん外部の環境の要因もありますが、我々が計画をしてきた施策が積み上がったことによる要因が大きいと思っています。
質疑応答:プロモーションの売上好調の背景について
釣井:「プロモーションの売上高が好調ですが、主に貢献した業種を教えてください。また、件数と1件あたり売上高に分けた場合の、それぞれの貢献度について教えてください」というご質問です。
田角:業種においては、強いのはやはりゲーム領域です。また、件数と件数あたりという観点とは少しずれるかもしれませんが、数千万円から1億円ほどの規模感の大型案件がプロモーションの好調要因に大きく関わります。
質疑応答:プロデュース体制、サポート要員数の変化について
釣井:「プロデュース体制についての質問です。1チームあたりのサポート要員数は、従来と今回とでどのように変わったのでしょうか?」というご質問です。
田角:もともとマネージャーとして担当していた方、また、もともと進行管理やディレクションを担当していた方がそのチームに所属するため、1チームあたりのサポート要員数が大幅に増加したということではありません。
質疑応答:オーディション応募者数や属性の変化について
釣井:「オーディション1回あたりの応募者数の変化や、応募者の属性の変化などがあれば教えてください」というご質問です。
田角:オーディション1回あたりの応募者数という観点では、1万名前後が応募してきている状況です。属性という観点では、例えば、ゲーマーの募集、アイドルの募集、あるいはマスコットのVTuberの募集では、かなりターゲット層が違います。
性別や年齢で分けているオーディションもありますし、そのような観点では、非常に多様な属性からオーディションにご応募いただいていると思っています。
質疑応答:第3四半期に期ずれするコマースの売上について
釣井:「第3四半期に期ずれするコマースの売上はどのくらいでしょうか? また、コマースの受注ベースでは第2四半期の計画を上回ったとのことですが、どの程度上回ったのでしょうか? 加えて、計画を上回ったグッズにはどのようなものがあるのかも教えてください」というご質問です。
まず、第3四半期にずれているコマースの売上高ですが、未発送の残高になります。スライドには増加分のみの記載ですが、コマースの期ずれ分の売上高は相当量溜まっています。
未発送残高がすべて第3四半期に解消する、ないしは発送されるというわけではないですが、着実に発送していきたいと考えています。
また、受注ベースでの上回りですが、もともとの第2四半期の計画から少し上回ったという着地でした。
よく売れたグッズとしては、「第2四半期における主要施策」のスライドで掲げているものが一例として挙げられます。
デビュー間もない新規VTuberのグッズや、ファンの方々に魅力的に感じてもらえるような企画などが、売上高としてもしっかりついてきた印象です。
質疑応答:未発送残高の解消について
釣井:「未発送残高のキャッチアップはできるのでしょうか? 結局、期ずれは解消できないのではないでしょうか?」というご質問です。
期ずれをしている未発送残高がゼロになるということは、当然ないと思っています。過去にも、このような未発送残高はありました。
スライドにあるような、管理や製造会社との連携、および販売開始時期の異なる商品の同時購入のような要因には、解消できるものとできないものがあります。それぞれ取り組んでいく中で、ゼロにはならないと思っています。
一方で、2023年4月期から2024年4月期の1年間を見ると、未発送残高の大きな変化はありませんが、今期に入ってから急激に角度が上がっていることも事実です。スライドに記載した各種対応を行うことで、生じすぎている期ずれの部分は解消していきたいと考えています。
質疑応答:トレーディングカード発売の可能性について
釣井:「今後、トレーディングカードを販売する可能性はありますか?」というご質問です。
田角:具体的な話には触れられないのですが、カード商材および特典としてのカードやチェキのような商材は、よく取り扱う部分でもあります。可能性という観点では、あり得ると思っています。
質疑応答:セグメント別でのQoQの売上増減の背景について
釣井:「第3四半期の会社計画について、セグメント別でのQoQの売上増減の背景、特にコマースについてお聞かせください。達成確度についても言及いただきたいです」というご質問です。
我々のビジネスの特徴の1つですが、特にコマースの前四半期対比となると、その時々ごとに企画をしたグッズを期間限定で販売するというものが、売上の大部分を占めています。
また、その内容も、季節性だけというわけではなく、どのようなVTuberやユニットを起用した、どのようなコンセプトのグッズかによって、大きく増減してきます。
そのため、第2四半期・第3四半期の比較でいえば、企画したグッズの内容であったり、量であったり、そのようなものが影響してきます。
達成確度についても、あまり踏み込んだことは言えませんが、明確に開示している数字です。達成に向けて、各種の取組を行っていきたいと考えています。
質疑応答:コマースの売上増加の背景について
釣井:「コマースの売上が伸びている要因について、施策の数や質が改善しているということが要因なのでしょうか? もしくは、各タレント・ユニットの人気が高まっているという効果があるのでしょうか?」というご質問です。
田角:もちろん両方だと思っています。考え方としては、やはりVTuberの人気があります。分解すると、お客さまの数という部分、それぞれの熱量、1人あたりの単価などの部分が高まることによって、コマースの収益は増加し得るものだと思っています。
そこから、コマースの事業を取り扱っている部門の中で、例えば、グッズの企画についての工夫を行っています。先ほどご説明したような工夫をはじめ、マーケティングの工夫、製造における工夫などを組み合わせて進めています。
それこそ、もちろん流行のぬいぐるみ系商材の起用であったり、マーケティングにおいては、例えばSNSでのプロモーションの実施であったり、そのような工夫が、このコマース事業の増収にひもづいてくる要因だと思っています。ここは両面で取り組んでいく必要があると考えています。
質疑応答:今後のイベント戦略について
釣井:「周央サンゴさんの志摩スペイン村でのイベントは非常に効果があり、波及効果が大きかったと聞いています。今後のイベント戦略について教えてください」とのご質問です。
田角:志摩スペイン村でのイベントのような、オフラインの場所でのコラボレーションは、やはり波及効果が大きいと思っています。
それこそ「ROF-MAO」というユニットで、着ぐるみの行脚、ショッピングモールで着ぐるみを使ったステージを開催するなど、さまざまなイベントを行っています。
このようにオフラインの場所でお客さまの目に触れるようなイベントを行っていくことは、お客さまの数を増やし、認知度を増やしていき、VTuberの地位向上に効果があるものだと思っています。そのため、オフラインにおけるそのような取組は増やしていく方針です。
質疑応答:第4四半期の売上高が強含みになる背景について
釣井:「通期計画の考え方について、通期計画から上期の実績と第3四半期の見通しを差し引くと、第4四半期で売上高が大きくなる予想かと思います。第4四半期に売上高で強含む要素をどのように見込まれているのでしょうか?」というご質問です。
売上高の通期計画は390億円で、第2四半期までの売上高累計実績は173億4,100万円、第3四半期の見込みは94億円から100億円弱となっているため、逆算すると、第4四半期は110億円から120億円ぐらいで見ていることになります。
第4四半期に売上高が強含む背景ですが、各領域別に言いますと、まずコマース領域では、ここは「にじさんじ」がこの2月に7周年を迎えることになるため、その7周年に関連する各種グッズの販売を計画しています。それ以外にも、さまざまなVTuberを活用し、ファンの方々に喜んでいただけるような施策を、第4四半期に準備しています。
イベント領域で見ても、我々にとって年間でおそらく一番大きいイベントである「にじさんじフェス2025」を、第4四半期の2月に企画しています。その施策が、第4四半期の業績に貢献してくるものと計画しています。
このように第4四半期にさまざまな施策が集中している状況は、もともと業績予想を策定した期初から変化していません。足元で、第4四半期に向けた準備を順調に進めてきている認識です。
質疑応答:計画が下振れた場合の配当水準について
釣井:「還元方針に関して、仮に計画が下振れる進捗であっても、配当水準は維持するのでしょうか?」というご質問です。
現時点において、この計画が下振れるということは特段想定していません。この上期の進捗と、もうすでに始まっている11月からの下期、第3四半期の進捗を踏まえても、しっかりとこの計画を達成していきたいと考えています。
その上で、配当の水準に関しても、本日、中間配当を当初の配当予想どおりで決議していますが、従前開示している配当予想に変更はありません。
質疑応答:世界のVTuber市場の成長性について
釣井:「世界のVTuber市場の成長性について、従来は年間成長率を20パーセントから30パーセントと見ていたと思いますが、現時点での見方を教えてください」とのご質問です。
田角:基本的には考え方は変わっていません。もちろん、足元、課題感はある部分だと思いますが、やはりこのVTuberの領域は、グローバルで見ても、非常に魅力的な市場だと引き続き思っています。その意味では、世界のVTuber市場は一定の規模感を維持し、あるいは拡大を目指していけるものと考えています。
質疑応答:IPビジネスにおけるトレンドとそれを踏まえた成長戦略について
釣井:「IPビジネスという観点から、当社の今後の成長戦略として見えているトレンドはありますか?」というご質問です。
田角:IPビジネスにおけるトレンドについては、最近でいいますと、ぬいぐるみ系商材の流行が大きなトレンドの1つとしてあると思っています。
これを踏まえて、成長戦略という観点では、まずIPビジネスには、VTuberにはそれぞれ、キャラクター性とタレント性があると思っています。その意味で、キャラクターとしての展開に向けては、アニメーションやゲームでの施策に取り組んでいきたいと思っています。
タレントとしての展開に向けては、音楽、バラエティー番組などに取り組んでいくことによって、お客さまの裾野を増やして広げていきたいと考えています。
質疑応答:グッズの配送遅延を第2四半期に解消できなかった理由と今後の対策について
釣井:「グッズの配送遅延について、なぜ第2四半期に解消できなかったのでしょうか? 解消できなかった中で、今後どのようにグッズの遅延を解消していくのでしょうか?」とのご質問です。
この発送遅延が起きている要因は、主に3つあります。1つは、配送を委託している外部の会社と我々の間での連携、管理不足です。2つ目は、製造会社からの納品スケジュールの遅延です。3つ目が、販売開始時期の異なる商品の同時購入です。それぞれの要因、特に2つ目と3つ目が結びついている側面があります。
2つ目の製造会社の納品スケジュールの遅延については、先ほど一例に出たぬいぐるみ系商材など、多くのニーズをいただいているような商品は、ありがたいお話ではありますが、なかなか十分な製造先の確保ができておらず、納品までのスケジュールが長期化していました。
その中で、3つ目の販売開始時期の異なる商品の同時購入が起きました。これは、納品までのスケジュールが長期化している商品と、足元ですでに販売している商品を同時に購入した場合に、現状では、お客さまが配送時期において「同時配送」を選択すると、納品が遅いものに合わせて商品が発送されるようになります。そうすると、納品までのスケジュールが長期化しているものがあると、それに引っ張られて全体での発送スケジュールが遅延してくるという事態になります。
さらに、1つ目の外部企業さまとの連携管理の不足により、発送のスケジューリングが十分にできていなかった側面も加わり、それぞれが複合的に影響して、今期に入ってからの半年間で、それ以前と比較して、かなり早いペースで未発送残高が積み上がってきています。
解消に向けては、ある日突然、解消ができるというよりも、この3つの要因をそれぞれ丁寧に解消していくことが対応策だと思っています。外部企業さまとの連携を十分に確保しながら、さまざまな製造会社との連携も深めていきます。
そのような連携を通じて、同時購入という事態が起きたとしても、遅延が長期化しないような体制を構築していくことに、丁寧に取り組んでいきたいと思っています。
質疑応答:新規事業の方向性について
釣井:「新規事業はどのような方向性を目指していますか?」というご質問です。
田角:先ほどもご説明したとおり、キャラクター性とタレント性の両軸で、VTuber市場、VTuber業界を広げていくような新規事業に取り組んでいきたいと考えています。
質疑応答:新規デビュー数における今期と来期以降の見込みについて
釣井:「新規デビュー数における、今期と来期以降のペースの見込みについて教えてください。プロデュース体制の強化は、デビュー数の増加にどのような影響がありますか?」というご質問です。
田角:新規デビュー数については、中期経営計画でお示ししている内容から大幅にずれることはないように計画しています。
ユニットプロデュース体制の強化は、デビュー数の増加のためというよりは、各施策のクオリティをより上げて、お客さまに広くアプローチしていくためのものと捉えています。認知拡大に効果が出るような取組として、進めていきたいと思っています。
質疑応答:グッズ販売における発送遅延の実態とリスクの計画への織り込み状況について
釣井:「第2四半期時点での発送遅延はどの程度あって、第3四半期に売上計上を見込んでいるのでしょうか? 第3四半期には新たな遅延リスクをレンジに織り込んでいるのでしょうか?」とのご質問です。
未発送残高全体の金額は開示していませんが、増加推移のイメージは、スライドの19ページで掲載しています。
金額は出していないですが、2023年4月末時点から2024年4月末時点の1年間では、それほど増加していません。それがこの半年、大きく増加してきており、上期の増加額は約5億円となります。
未発送残高の第3四半期での計上を見込んでいるのかについては、基本的には見込んでいます。この第3四半期、第4四半期にかけては、一定程度減少させていくことを見込んでいます。
未発送残高の減少は、もともと第2四半期計画で見込んでいました。第1四半期に大きく膨らんだ未発送残高を、第2四半期に十分解消できると見ていたのですが、先ほど述べたような要因から十分に解消することができず、未発送残高は第2四半期も増加することとなりました。それが結果として、当初の第2四半期の業績予想対比で下振れた、1つの大きな要因となっています。
第3四半期における遅延リスクをレンジ計画に織り込んでいるかとの点については、織り込んでいます。これも、現在のレンジ計画の要因の1つです。当然、この今大きくなってきている未発送残高をしっかりと減らしていくべく、先ほどのスライドでお伝えしたような各種の取組を実施していきます。
第3四半期がはじまって1ヶ月半経過したところですが、うまく進んでいる部分も見えてきています。ただし、まだ不透明な部分もあるため、一定のレンジを計画上は織り込んでいる状況です。
質疑応答:今後の配当方針について
釣井:「配当は今後も継続し、同水準の配当性向を維持していくのでしょうか?」というご質問です。
我々は配当方針について、基本的には継続的かつ安定的な配当、株主還元を実施していくと定めています。この方針に沿って、配当は継続していきたいと思っています。
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