トランプ圧勝の反騰相場で最高値を更新 (2) 【シルバーブラットの「S&P500」月例レポート】

配信元:株探
投稿:2024/12/16 13:40

●主なポイント

 ○11月の株式市場では、選挙結果がすぐに確定したことで、リリーフラリーと力強い資金流入が生じました。S&P500指数 は終値での最高値を6回更新し、11月に5.73%上昇しました(配当込みのトータルリターンはプラス5.87%)。10月は0.99%下落(同マイナス0.91%)、9月は2.02%上昇(同プラス2.14%)、8月は2.28%上昇(同プラス2.43%)、7月は辛うじて1.13%上昇(同プラス1.22%)、6月と5月はそれぞれ3.47%上昇(同プラス3.59%)、4.80%上昇(同プラス4.96%)と、力強い上昇を見せていました。これにより、過去3ヵ月間では6.80%上昇(同プラス7.15%)、年初来では26.47%上昇(同プラス28.07%)となり、年率換算すると29.08%上昇(同プラス30.86%)に相当します。過去1年間では32.06%上昇(同プラス33.89%)となっています。

  ⇒マグニフィセント・セブンがS&P500指数に対する影響力は低下し、年初来リターンに占める割合は、10月末時点の47%から11月末は44%に低下しました。指数の11月リターンに占める割合は32%で、時価総額に占める割合も32%となっています。11月5日の大統領選以降の指数のリターンに占める割合は28%です。

 ○11月の主なデータ

  ⇒S&P500指数は11月も終値での最高値を更新し続け(11月に6回更新)、5.73%上昇して月を終えました。10月は0.99%下落しましたが、その前は5ヵ月連続で上昇しており、9月は2.02%上昇、8月は2.28%上昇、7月は1.13%上昇、6月は3.47%上昇、5月は4.80%上昇でした。11月は20営業日のうち15営業日で上昇しました(10月は23営業日のうち11営業日で上昇)。11月は値上がり銘柄数が増加して、値下がり銘柄数を大幅に上回り、値上がり銘柄数が385銘柄だったのに対して値下がり銘柄数は118銘柄でした。10月は値上がり銘柄数が199銘柄、値下がり銘柄数が304銘柄でした。11月の出来高は前月比17%増、前年同月比では9%増となりました。

   →11月は11セクターすべてが上昇しました。10月は3セクターが上昇、9月は8セクターが上昇しました。11月のパフォーマンスが最高となったのは一般消費財で、13.24%上昇しました(年初来では26.19%上昇、2021年末比では11.09%上昇)。パフォーマンスが最低だったのはヘルスケアで、0.13%上昇でした(同7.76%上昇、同4.25%上昇)。

  ⇒S&P500指数は11月に5.73%上昇(配当込みのトータルリターンはプラス5.87%)して、6032.38で月を終えました。10月は0.99%下落(同マイナス0.91%)して5705.45、9月は2.02%上昇(同プラス2.14%)して5762.48でした。過去3ヵ月では6.80%上昇(同プラス7.15%)、年初来では26.47%上昇(同プラス28.07%)、過去1年間では32.06%上昇(同プラス33.89%)となりました。2023年通年は24.23%上昇(同プラス26.29%)、2022年通年は19.44%下落(同マイナス18.11%)でした。

   →S&P500指数は11月に初めて終値で5900を超え、さらに6000も突破し、終値での過去最高値を6回更新しました(取引時間中の最高値は6044.17、終値での最高値は6032.38)。10月は4回、9月は5回、8月は0回、7月は7回、6月も7回過去最高値を更新しました(4月は0回、3月は8回、2月は8回、1月は6回)。年初来での最高値更新回数は53回となりました。2023年は0回、2022年は1回、2021年は70回でした(過去最高は1995年の77回)。

   →コロナ危機前に付けた2020年2月19日の高値からは78.15%上昇(同プラス92.07%)となっています。

 ○米国10年国債利回りは10月末の4.29%から4.18%に低下して月を終えました(2023年末は3.88%、2022年末も3.88%、2021年末は1.51%、2020年末は0.92%、2019年末は1.92%、2018年末は 2.69%、2017年末は2.41%)。30年国債利回りは10月末の4.48%から4.36%に低下して取引を終えました(同4.04%、同3.97%、同1.91%、同1.65%、同2.30%、同3.02%、同3.05%)。

 ○英ポンドは10月末の1ポンド=1.2898ドルから1.2731ドルに下落し(同1.2742ドル、同1.2099ドル、同1.3525ドル、同1.3673ドル、同1.3253ドル、同1.2754ドル、同1.3498ドル)、ユーロは10月末の1ユーロ=1.0883ドルから1.0574ドルに下落しました(同1.0838ドル、同1.0703ドル、同1.1379ドル、同1.2182ドル、同1.1172ドル、同1.1461ドル、同1.2000ドル)。円(対米ドル)は10月末の1ドル=152.08円から149.66円に上昇し(同141.02円、同132.21円、同115.08円、同103.24円、同108.76円、同109.58円、同112.68円)、人民元は10月末の1ドル=7.1183元から7.2428元に下落しました(同7.1132元、同6.9683元、同6.3599元、同6.6994元、同6.9633元、同6.8785元、同6.5030元)。

 ○11月末の原油価格は2.8%下落し、10月末の1バレル=70.57ドルから同68.61ドルとなりました(2023年末は同71.31ドル、2022年末は同80.45ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は11月に1.7%下落し、1ガロン=3.166ドルとなりました(10月末は3.220ドル、2023年末は同3.238ドル、2022年末は同3.203ドル、2021年末は同3.375ドル)。2020年末から原油価格は41.7%上昇し(2020年末は1バレル=48.42ドル)、ガソリン価格は35.9%上昇しました(2020年末は1ガロン=2.330ドル)。

  ⇒2024年10月時点のEIAの報告によると、ガソリン価格の内訳は、55%が原油、18%が販売・マーケティング費、11%が精製コスト、16%が税金となっています。

 ○金価格は10月末の1トロイオンス=2757.80ドルから下落し、2682.70ドルで11月の取引を終えました(2023年末は2073.60ドル、2022年末は1829.80ドル、2021年末は1901.60ドル、2020年末は1520.00ドル、2019年末は1284.70ドル、2018年末は1305.00ドル)。

 ○VIX恐怖指数は10月末の23.16から13.51に低下して11月を終えました。月中の最高は23.09、最低は13.49でした(2022年末は21.67、2021年末は17.22、2020年末は22.75、2019年末は13.78、2018年末は16.12)。

  ⇒同指数の2023年の最高は30.81、最低は11.81でした。

  ⇒同指数の2022年の最高は38.89、最低は16.34でした。

  ⇒同指数の2021年の最高は37.51、最低は14.10でした。

  ⇒同指数の2020年の最高は85.47、最低は11.75でした。

 ○目標株価は引き続き上昇しています。S&P500指数に対する市場関係者の1年後の目標株価は2023年11月末時点から12ヵ月連続で上昇し、現在値から9.0%上昇の6576となっています(10月末時点では12.1%上昇の6394、9月末時点では6265)。それ以前の目標値は、9ヵ月連続の低下から11ヵ月連続の上昇を経て、2023年11月まで2ヵ月連続で低下していました。ダウ平均の目標株価も3ヵ月連続の上昇から2ヵ月連続の低下を経て、11月まで12ヵ月連続して上昇し、現在値から5.0%上昇の4万7165ドルとなっています(10月末時点では9.4%上昇の4万5704ドル、9月末時点では4万4468ドル)。

●米国経済

 ○10月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は48.5となり、9月の47.3から上昇しました。

 ○10月のISM製造業景気指数は46.5となり、9月の47.2から低下しました。事前予想は47.6でした。

 ○10月のISM非製造業景気指数は56.0となり、9月の54.9から上昇しました。前月を下回る53.5が予想されていました。

 ○10月のサービス業PMIは55.0となり、9月の55.2から低下しました。速報値の55.3から下方修正されました。

 ○11月のPMI速報値は、製造業は48.8となり(予想通り)、10月の48.5から上昇しました。サービス業は57.0となり(予想は55.1)、10月の55.0から上昇しました。

 ○10月の消費者物価指数(CPI)は予想通りの前月比0.2%上昇(9月は同0.2%上昇)、前年同月比では2.6%上昇(9月は同2.4%上昇)となりました。食品とエネルギーを除いたコアCPIは、前月比では0.3%上昇(9月は同0.3%上昇)、前年同月比では9月と同じ3.3%上昇となりました。

 ○10月の生産者物価指数(PPI)は予想通りの前月比0.2%上昇(9月は当初発表の同横ばいから同0.1%上昇に上方修正されました)、前年同月比では2.4%上昇(9月は同1.8%上昇)となりました。食品、エネルギー、貿易サービス部門を除いたコアPPIは前月比0.3%上昇(9月は当初発表の同0.2%上昇から同0.1%上昇に下方修正されました)、前年同月比では3.5%上昇と、9月の同3.2%上昇から加速しました。

 ○10月の個人所得は前月比0.6%増(事前予想は同0.3%増、9月は同0.3%増)、個人消費は同0.4%増(事前予想通り、9月は同0.5%増)となりました。個人消費支出(PCE)価格指数は前月比0.2%上昇(9月は同0.2%上昇)、前年同月比では2.3%上昇と9月の同2.1%上昇から加速しました。

 ○10月の住宅販売仮契約指数は前月比2.0%上昇の77.4となりました(9月は75.9)。9月の同7.5%上昇の後で、10月は同1.8%低下が予想されていました。

 ○2024年第3四半期のGDP成長率改定値は前期比年率2.8%となり、速報値から変わりませんでした。個人消費は3.5%増(事前予想は速報値と同じ3.7%増)、企業利益は14.2%増でした。

 ○2024年第3四半期の労働生産性改定値は前期比2.2%上昇(年率換算)となり、第2四半期の2.1%上昇から上昇しました。単位労働コストは同1.9%上昇し、第2四半期の2.4%上昇から低下しました。

 ○10月の鉱工業生産指数は前月比0.3%低下しました。9月は当初発表の同0.3%低下から同0.5%低下に下方修正されました。設備稼働率は77.1%となり、9月の77.4%から低下しました。

 ○10月の自動車販売台数(年率換算)は1600万台となり、9月の1580万台を上回りました。このうち、北米で生産された自動車の販売台数は1240万台で、9月の1220万台から増加しました。

 ○9月の建設支出は前月比0.1%増(予想通り)となり、8月は当初発表の同0.1%減から同0.1%増に上方修正されました。前年同月比では9月は4.8%増となり、8月は当初発表の同4.1%増から同4.8%増に上方修正されました。

 ○10月の小売売上高は前月比0.4%増となりました。事前予想は同0.3%増でした。9月は当初発表の同0.4%増から同0.8%増に上方修正されました。自動車を除いた小売売上高は同0.1%増でした。

 ○2024年第3四半期のEコマース小売売上高は、前期比2.6%増となりました。2024年第2四半期は、当初発表の同1.3%増から同1.6%増に上方修正されました。

 ○9月の製造業受注は市場予想通り、前月比0.5%減となりました。8月は当初発表の同0.2%減から同0.8%減に下方修正されました。

 ○10月の耐久財受注は事前予想の前月比0.5%増に対し、同0.2%増となりました。9月は当初発表の同0.8%減から同0.4%減に修正されました。

 ○9月の卸売在庫は前月比0.2%減となり、速報値の同0.1%減から下方修正されました。8月は当初発表の同0.1%増から同0.2%増に上方修正されました。

  ⇒10月の卸売在庫は市場予想の前月比横ばいに対し、同0.2%増となりました。9月は当初発表の同0.1%減から同0.2%減に下方修正されました。

 ○10月の小売在庫は前月比0.1%増となりました。9月は当初発表の同0.8%増から同0.6%増に下方修正されました。

 ○9月の企業在庫の速報値は、8月の前月比0.3%増に続き、同0.1%増となりました。製造業在庫は同0.2%減(8月は同0.1%増)、小売在庫は同0.9%増(8月は同0.8%増)、卸売在庫は同0.2%減(8月は同0.2%増)でした。

 ○9月の貿易収支の赤字額は8月の708億ドルから844億ドルに拡大しました。

 ○10月の財の貿易収支の速報値は991億ドルの赤字となりました。輸入は前月比5.4%減(9月は同4.0%増)、輸出は同3.2%減(9月は同2.0%減)でした。

 ○10月の輸入物価指数は前月比0.1%低下の予想に対し、同0.3%上昇となりました(9月は同0.4%低下)。前年同月比では0.8%上昇で、9月は同0.1%低下でした。 10月の輸出物価指数は市場予想の前月比0.1%低下に対し、同0.8%上昇となりました(9月は同0.7%低下)。前年同月比では0.1%低下で、9月は同2.1%低下でした。

 ○11月のミシガン大学消費者信頼感指数の速報値は市場予想の70.8を上回る73.0となり、前月の70.5から上昇しました。1年先のインフレ期待は2.6%と、前月の2.7%から低下しました。

  ⇒11月のミシガン大学消費者信頼感指数の確報値は71.8、1年先のインフレ期待は2.6%となりました。

 ○民間調査機関コンファレンスボードが発表した11月の消費者信頼感指数は事前予想の112.3を下回る111.7となりました。10月は当初発表の108.7から109.6に上方修正されました。

 ○10月の景気先行指数は市場予想の前月比0.3%低下に対して、同0.4%の低下となりました。9月は当初発表の同0.5%低下から同0.3%低下に上方修正されました。

※「トランプ圧勝の反騰相場で最高値を更新 (3)」へ続く

株探ニュース
配信元: 株探