中外炉工業、受注高・売上高・営業利益が前年実績を上回る 脱炭素や電池分野への積極的な営業活動が奏功
目次
尾崎彰氏:中外炉工業株式会社社長の尾崎です。株主さま、お客さま、協力会社さまをはじめ、ステークホルダーのみなさまには、常日頃、大変お世話になっており、この場をお借りして感謝申し上げます。
まず、目次の内容についてです。当社グループ2024年度中間期決算概要に加え、2026年度までの5ヶ年の中期経営計画の重要戦略の状況、そして、PBR1倍早期達成に向けた取り組みをご説明します。
1-(1)2024年度 上期業績と通期予想の概要
はじめに、2024年度上期の連結業績と通期業績予想の概要です。2024年度上期の連結業績は、引き続き脱炭素や電池といった分野への積極的な営業活動を展開し、純利益以外は前年度実績を上回ることができました。受注高は、前年同期比101パーセントの171億円、売上高は前年同期比117パーセントの147億円となりました。
利益面については、営業利益が7,700万円で、前年同期より3億2,700万円改善、経常利益は2億3,200万円となりました。また、保有する株式の売却利益等により、親会社株主に帰属する中間純利益は5億1,800万円となりました。2024年度の通期業績予想には変更ありません。
1-(2)受注残高・売上高・営業利益の推移
受注残高・売上高・営業利益の推移です。2024年度上期末の受注残高は370億円と、前年同期比で79億円増加しました。
下期は受注残案件の海外鉄鋼向けプロセスラインや機械部品・半導体部材熱処理炉等の工事が進捗し、売上高は229億円程度を確保する見通しです。
また、下期営業利益は24億9,000万円を確保し、通期業績予想を達成できる見込みです。
1-(3)2024 年度上期営業利益の変動要因
営業利益の変動要因の分析結果についてです。2024年度の上期売上高は、前年同期比で21億円増加し、営業利益は3億2,700万円の損益改善となりました。
売上総利益率は0.5ポイント改善し、4億1,000万円の増益となりました。販管費率は2ポイント改善しましたが、売上高増加に伴い、販管費は8,300万円増えました。営業利益率は2.5ポイント改善し、営業損益は前年同期比で3億2,700万円改善しました。
1-(4)資産・負債・純資産の状況
バランスシートの状況をご説明します。資産合計は、前期末より36億円減少の451億円となりました。負債合計および純資産合計はそれぞれ減少し、負債合計は187億円、純資産合計は263億円となり、財務健全性の基準としている自己資本比率50パーセント以上を、引き続き維持しています。
1-(5)セグメント情報
セグメント情報です。「熱処理事業」では売上高が、前期大きく積み増した受注残高の消化により大きく伸び、加えてコスト削減などにも努めた結果、営業利益が中間期で黒字となりました。
「プラント事業」では売上高が減少となりましたが、現在、受注高は前年度を上回っており、今後、挽回する見込みです。
「開発事業」では、売上高が前年度のグリーンイノベーション基金事業の受注消化などにより、前年同期比で大幅にプラスとなりました。
主に子会社化関連の「その他」は、昨年、海外事業での受注が好調だったことにより、売上高、営業利益ともに前年同期を上回っています。
2.経営理念と中期経営計画:重要戦略の状況
ここからは、2022年5月13日に発表した5ヶ年の中期経営計画「経営ビジョン2026」の重要戦略の状況について、ご説明します。
当社の経営理念は、「熱技術を核として新しい価値を創造し、これを通じて社会に貢献するとともに企業の繁栄と社員の幸福を実現する。」です。
この「新しい価値の創造」に着目し、当社を取り巻く環境の変化、それぞれの課題に対応する「3つの重要戦略」にて、計画を推進しています。
1つ目は「カーボンニュートラルを中心に新市場の創出」、2つ目は「既存商品のニーズ適合ブラッシュアップで拡販と利益向上」、そして3つ目は「働きがいのある職場作り」です。この3つの重要戦略について、現在の状況をご説明します。
2 - (1)カーボンニュートラルを中心に新市場の創出
まずは、「カーボンニュートラルを中心に新市場の創出」についてです。ここで、当社の「脱炭素目標」について、あらためてご説明します。
スライドのグラフの縦軸は、当社の稼働中の製品から排出されるCO2の量を示しています。パリ協定の目標基準となる2013年では約1,200万トンであり、日本全体の排出量のおおよそ1パーセントに相当します。これを2050年までに、実質ゼロにする目標を設定しています。
2024年9月末時点の国内における製造工業の能力指数・稼働率指数を加味した、2013年度からの累計削減量は215万トンとなりました。
削減割合は18パーセントとなり、2026年度目標17パーセント削減達成に向け、順調に推移しています。
2 - (1)カーボンニュートラルを中心に新市場の創出
このテーマの具体的な事例をご説明します。1つ目は、日本初の実生産用としての工業炉用アンモニアバーナの受注についてです。昨年11月に開設した熱技術創造研究所にて、開発を加速させていたアンモニア燃焼技術が、日本で実機採用されました。これを弾みにラインナップを増やし、普及に貢献していきます。
2つ目は、水素バーナ搭載設備の納入です。水素バーナは、2018年より販売を開始して以来、テスト用などで受注を増やしてきました。最近では、実際の生産設備に採用されるケースも増えてきており、着実に実績を積み重ねています。
3つ目は、大阪大学発のスタートアップ企業であり、経済産業省主催の「日本スタートアップ大賞2023」で文部科学大臣賞を受賞した、マイクロ波化学株式会社との戦略的提携です。当社の実績豊富な回転炉床炉の技術を活かした、新たな事業展開が期待できます。
2 -(2)既存商品のニーズ適合ブラッシュアップで拡販と利益向上
「既存商品のニーズ適合ブラッシュアップで拡販と利益向上」の具体的な事例をご説明します。
まずは、電炉付帯設備の受注増加についてです。鉄鋼業界はカーボンニュートラル実現に向け、電炉新設・増強のニーズが高まっています。当社においても関連技術の積極的な提案を進めており、着実に成果に結びつけています。今後も電炉関連事業の拡大を図っていきます。
次に、好調な電池関連事業についてです。全固体電池や従来のリチウムイオン電池といった二次電池、さらに太陽電池と、国内を中心に電池関係の開発はますます盛んになっています。
開発・量産に欠かせない熱処理プロセスにおいて、お客さまそれぞれの特殊なご要望に応えることのできる当社の炉は、この分野においても高い評価をいただいています。
2 -(3)働きがいのある職場作り
「働きがいのある職場作り」の具体的な事例をご説明します。生産性を大幅に向上させ、1人当たりの営業利益の増加と労働時間短縮の両立を目標としています。
このような生産性向上には、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が欠かせませんが、その要となる設計・調達支援システムは、スケジュールに沿って、現在一部で運用段階に入っています。今後、徐々に成果が表れてくるものと期待しています。
3. PBR1倍早期達成に向けた施策について
最後に、「PBR1倍早期達成に向けた施策」についてご説明します。当社は、2022年5月に発表した5ヶ年中期経営計画に基づき、各種施策を推進していますが、直近のPBRは依然として1倍を下回っており、十分な評価をいただけていない状況が続いています。
3. PBR1倍早期達成に向けた施策について
そのため、当社としては状況の改善に向け、今後も、スライドに記載の6項目を実行していきます。
具体的には、業績計画の達成、株主還元方針の見直し、政策保有株式縮減の前倒し達成、有利子負債を含む資産の圧縮、取締役会(ガバナンス)体制改革、サステナビリティ経営の推進の実行です。
特に、2つ目の「株主還元方針の見直し」については、税引後営業利益(NOPAT)に基づく配当性向を60パーセント以上の水準で維持することで、株主のみなさまの期待にお応えします。
3. PBR1倍早期達成に向けた施策について(予想配当額の修正)
スライドをご覧のとおり、「税引後営業利益(NOPAT)に基づく配当性向60パーセント以上を目指す」を目標として設定し、今後は営業利益に比例したかたちで配当を行います。
それに伴い、今年度の配当予想を従来の100円から120円へと、上方修正しました。また、総還元性向は、引き続き50パーセント以上の維持に努めていきます。
今後とも、なお一層のご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。ご清聴ありがとうございました。
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