[資源・新興国通貨11/11~15のポイント&注目通貨] 豪経済指標で市場のRBA金融政策見通しに変化は!?

著者:八代和也
投稿:2024/11/11 15:05

今週のポイント

豪ドル/米ドルやNZドル/米ドル、米ドル/カナダドルは米ドル側の材料、例えばトランプ氏の政策をめぐるニュース・米国の経済指標・長期金利(10年物国債利回り)の動向などに反応しやすい地合いになりそうです。米長期金利が上昇するなどして米ドルが全般的に堅調に推移すれば、豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルには下落圧力が、米ドル/カナダドルには上昇圧力が加わると考えられます。

メキシコペソに関しては、トランプ次期大統領の政策をめぐるニュースには特に注意が必要かもしれません。トランプ次期大統領は大統領選挙戦中に、“大統領に返り咲けばメキシコから輸入する自動車すべてに対して高い関税を課す”との考えを示したからです(税率を200%以上とする可能性にも言及しました)。メキシコに対する高率関税への懸念が強まる場合、メキシコペソ安圧力が加わる可能性があります。

メキシコペソは、14日のBOM(メキシコ中銀)の政策会合にも注目です。市場では0.25%の利下げが行われると予想されています。その通りの結果となり、声明で次回12月の会合でも利下げする可能性が示されれば、メキシコペソにとってマイナスになりそうです。

中東情勢には引き続き注意が必要です。中東情勢が一段と緊迫化すれば、リスクオフ(リスク回避)の動きが市場で強まるとともに、豪ドル/円やNZドル/円などのクロス円が下押しするかもしれません。

今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.09500NZドル~1.11500NZドル>

RBA(豪中銀)は4-5日の政策会合で政策金利を4.35%に据え置くことを決定。RBAの声明やブロック総裁の会見では、以下のようにタカ派的な金融政策スタンスに変化がないことが示されました。日銀を除いて主要中銀の多くが利下げを開始するなか、RBAのタカ派的な金融政策スタンスは豪ドルにとってプラスになりそうです。

<声明>
・「コアインフレ率(CPIトリム平均値)は依然として高過ぎる」
・「インフレの上振れリスクに引き続き警戒する必要がある」
・先行きの金融政策について「何も決定しておらず、何も排除していない(利上げの可能性を残す)」、
・「インフレ率が目標レンジに向かって持続的に鈍化しているとの確信が得られるまで、政策は十分に(景気)抑制的である必要がある」

<ブロック総裁>
・「(政策)金利は当面、抑制的であるべきだと確信している」
・「(利下げするには)コアインフレ率が目標レンジ内に戻ると確信する必要がある」

市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、市場ではRBAは25年5月に利下げを行うとの見方が有力です(それまで政策金利は据え置かれると予想)。一方、RBNZ(NZ中銀)は8月に0.25%、10月に0.50%の利下げを実施しました。OISによると、市場では次回11月27日の会合で0.50%の追加利下げが行われるとの見方が有力です。RBAとRBNZの金融政策面からみれば、豪ドル/NZドルには上昇圧力が加わりやすいと考えられます。

今週は、豪州の7-9月期の賃金コスト指数(13日)や10月雇用統計(14日)が発表されます。これらの結果を受けてRBAの利下げ観測が後退する場合、豪ドル/NZドルは1.11432NZドル(7/30高値)に向かって上昇する可能性があります。

今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.38000カナダドル~1.40000カナダドル>

今週はカナダの主要な経済指標の発表はありません。米ドル/カナダドルは米ドル側の材料に反応しやすい地合いになりそうです。米国の長期金利が上昇するなどして米ドルが全般的に堅調に推移すれば、米ドル/カナダドルには上昇圧力が加わりそうです。

原油価格に大きな動きがみられれば、その動向が材料になる可能性もあります。OPEC(石油輸出国機構)加盟国とOPEC非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」は3日、サウジアラビアなど有志国による原油の自主減産の縮小を12月末まで1カ月延期することで合意しました。このことは原油価格の下支え材料になると考えられます。原油価格が堅調に推移する場合、米ドル/カナダドルの上値を抑える要因になるかもしれません。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想

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