・日経平均は今年1月4日の33288円から3月4日には4万円を超えた。その後一進一退のあと、7月11日に42224円の高値をつけた。
・日銀の金融政策決定会合があった7月31日の39101円から3日間ほど急落し、8月5日には31458円をつけた。その後、10月には再び4万円前後に戻している。
・一番連動しているのは円ドルレートである。かつては円高が株高であったが、デフレを経て、今や円安は株高、円高は株安となっている。
・円ドルレートは、今年1月1日は141.8円であったが、2月に150円台に入り、6月26日に160円台に入り、7月3日に161.6円をつけた。その後7月30日の152.7円から8月5日の144.1円に急騰し、現在は150円前後で落ち着ている。
・日銀は物価をみながら金融政策の正常化を目指している。それを一歩進めた。米国のFRBはインフレ抑制の金融政策をいつ変更するのか。景況鈍化を示す指標が出て、マーケットは一時身構えた。
・市場との対話が問われるが、ミスマッチは起こりやすい。現状認識と政策の発動にギャップが生じると、マーケットは過剰に反応する。前回はちょっとした綾であったのか。重要な変極点のシンプトン(予兆)であったのか。
・株価は企業業績に連動する。その前提として、内外の経済情勢を反映する。地政学的リスク、主要国の経済状況、各国の金融政策と為替の動向がそれに先行する。
・米国の景気はソフトランディングが前提であるが、底割れのリスクはあるのだろうか。もし景気後退があるのならば、今後もサプライズが生じることになろう。
・日銀の7月末の追加利上げは、時期尚早であったのだろうか。マーケットとの対話という点では、米国、日本の経済データをさらにみた上で判断すればよかったのか。
・適切に判断するとはどういうことか。データが揃ったところでの変更は遅すぎることになろう。今回の利上げが早すぎたとはいえない。
・FRBは利下げのタイミングを計りながら経済をみている。日銀は慎重ながらも物価の動向次第では次の利上げもありうるという姿勢であるが、マーケットとの対話をより重視するであろう。
・為替の水準を先に予測することは難しい。常に現状からのセンシティビティ(感応度)をみていくしかない。145~150円/ドルは今のところ居心地はよいが、ここで安定するとはいえない。
・米国のリセッションや想定以上の利下げがあれば、130円台の円高に向かおう。日本の物価が+1~2%のゾーンならば、次の利上げには相当慎重になろう。それ以上にインフレが進むならば、利上げの可能性が高まるので、為替はやはり130円台に入っていこう。
・これに対して、企業業績がついてこれるか。インフレに対して企業業績がついてくるならば、マーケットの調整は相対的に軽微なものに留まろう。
・インフレ対応力を強めて、企業業績が年率10%前後で伸ばせるならば日経平均は再び4万円を超えて、数年で5万円を目指すことになろう。
・カギは生産性にある。個々の企業の生産性にまず注目し、生産性を高める企業に投資したい。次にマーケット全体として、日本企業の生産性は本当に上がっていくのか。
・この競争力の強化にはまだ懸念が残る。今のままでは、円安は株安、が持続するには十分ではない。2030年に向けた成長戦略の実行に期待したい。
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