【QAあり】ダイキアクシス、主要3セグメントは売上・利益とも堅調に推移 販売地域拡大や生産能力、競争力の強化へ
決算の概況
大亀裕貴氏:株式会社ダイキアクシス代表取締役社長CEO/CIOの大亀です。本日はお忙しい中、2024年12月期第2四半期決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。また、日頃より弊社の事業経営に対するご理解を賜り、厚く御礼申し上げます。それでは第2四半期の決算説明に移ります。
まず決算の概況です。2024年12月期第2四半期の連結売上高は増収となっています。前年同期比7.3パーセント増の226億1,000万円で着地しました。
増収の背景の1つ目は、外部環境として設備投資・修繕需要の回復がありました。2つ目は、M&Aで取得した子会社、アドアシステム社とメデア社の2社が増収に貢献しています。
売上総利益は前年同期比13.1パーセント増の49億100万円で着地しました。営業利益は前年同期比67.7パーセント増の5億5,400万円と、大幅増益になっています。
大幅増益の背景も2点あります。1つ目が売上の増加、2つ目が原材料・外注費高騰分の販売価格への転嫁が進捗していることです。
また、未来への投資として取り組んでいるのが人的資本への投資です。2023年4月に、定期昇給と合わせて5パーセントの上昇率でベースアップを実施しました。2024年度は実施していないものの、2025年以降は業績も踏まえて検討していきたいと考えています。
また海外事業への投資として、現地ナショナルスタッフの採用およびバングラデシュ法人の設立などを行っています。その他、バイオディーゼル燃料精製プラントの建設や、スタートアップ投資のCVC子会社での出資等を積極的に行いながらも、大幅増益という結果になっています。
セグメント別実績概況
セグメント別実績の概況です。環境機器関連事業は増収増益となり、その中でも海外売上高が大幅に増えています。
住宅機器関連事業は増収、そして大幅な増益となっています。再生可能エネルギー関連事業は増収増益となっています。
セグメント別実績:環境機器関連事業
環境機器関連事業の実績です。売上高は、すべての集計単位において増収となっています。営業利益については価格転嫁の遅れが解消でき始めており、収益性が改善しています。
浄化槽・排水処理システムは前年同期比6,900万円の増収となっています。設備投資需要の回復によって修繕工事、更新工事が増えてきています。また、工事の進捗に伴う売上計上も進んでいます。当社グループへの信頼性の向上や、弊社の技術力向上と技術開発等によって、大型案件の受注率が近年高まっています。
メンテナンス事業も増収となっています。ストックビジネスとしてのメンテナンス契約数、改修・修繕工事は増加傾向です。さらに契約金額の見直し交渉も進めています。これは顧客への長期修繕計画の提案など、メンテナンス事業における提案型の営業へ変更・強化している背景があり、今後ストックビジネスとして数値を伸ばすことに貢献すると見ています。
また、地下水飲料化事業も前年同期比4,100万円の増収となっています。これは営業アプローチを変更したため新規契約が増加していることと、地下水飲料化装置販売後のメンテナンス契約も増加していることによるものです。
セグメント別実績:環境機器関連事業(海外)
環境機器関連事業・海外部門の売上高です。インド、スリランカ、インドネシアは増収、中国は減収となりました。
営業利益は、海外全体では赤字の状況であるものの、赤字幅は着実に縮小傾向で、今後利益を取っていける事業部門になると考えています。
国別の状況です。インドは増収となり、赤字幅が大幅に縮小しています。売上高は前年同期比1億7,700万円のプラス、営業利益は490万円、赤字額が2,000万円となっています。
これは、インド市場における未処理のインフラ需要が高まっているために市場が好調であることと、工場の製造品質の安定化が進んでいるという背景があります。販売先として大型の政府案件の受注・出荷が進んでいるという状況です。
スリランカも増収となり、黒字転換できています。売上高は前年同期比1億400万円のプラス、営業利益は1,900万円、黒字額は900万円となっています。
国の財政破綻による経済活動の停滞は解消されており、政府・民間ともに現地の需要が旺盛になっています。新規の開発計画も動き始めているため、我々の水インフラの引き合いが多くなっています。組み立て工場の稼働もあり、堅調に進捗しています。
セグメント別実績:環境機器関連事業(海外)
インドネシアも増収となり、赤字幅が縮小しています。売上高は前年同期比2,700万円のプラス、営業利益は前年同期比3,100万円のプラスとなっています。大型案件は順調に受注しています。完成が下期に重なるため上期は赤字で着地しましたが、通期では黒字の見込みとなっています。
中国は減収となり、赤字で着地しています。主な顧客である現地日系企業の撤退や、現地の経済状況による設備投資抑制の影響もあり、売上・利益ともに大きく減少しています。
現地の経済状況、政治状況を鑑みて、今後の方向性を決めていく議論を進めているところです。
セグメント別実績:住宅機器関連事業
住宅機器関連事業についてご説明します。売上高は、M&Aによる企業買収の影響だけではなく、既存事業の農業温室工事が好調に推移しています。営業利益は仕入価格、輸送費等の価格上昇において高止まりの兆しが見え始めており、価格転嫁が順調に進んでいます。
M&Aにより子会社化した空調関係の子会社とのシナジーを発揮できていることが、結果に結びついています。
集計単位別に見ると、建設関連業者等への売上高は前年同期比4,600万円の増収となっています。全国的に新設住宅着工数は減少傾向にあるものの、都心部のホテルや病院関係等の非住宅、マンションはコロナ禍が明け、設備投資が回復しています。
関西エリア、主に大阪・広島が堅調に推移しています。また、仕入価格等の原価上昇分の価格転嫁が順調に進捗しています。
ホームセンターリテール商材の売上高は前年同期比1億6,900万円のマイナス、大幅な減収となっています。これは天候不順に加え、物価上昇による必要最低限の消費行動によるホームセンター店舗への一般消費者の来店数の減少によるものです。また家電量販店のリフォーム事業強化による影響もあり、ホームセンターの状況があまり良くないという背景もあります。
住宅機器部門工事の売上高は大幅増収となり、M&Aが大きく寄与しています。農業温室工事および教育関連施設の投資需要が増加し、ホームセンターの空調や照明などの更新工事も数字に寄与しています。
セグメント別実績:再生可能エネルギー関連事業
再生可能エネルギー関連事業です。太陽光発電は前年同期比2億7,700万円の増収となっています。
施設販売は前年同期比2億400万円のプラスとなり、M&Aにより取得した子会社の完成工事売上が大きく寄与しています。FIT制度も前年同期比4,100万円の増収となり、M&Aにより取得した子会社の売上も寄与しています。
PPAモデルにおいては、特定企業向けのオフサイトPPAとオンサイトPPAの現場が少しずつ完成し、売上に寄与しています。昨年まではなかったPPAの売上も積み増してきているということが太陽光発電の増収の背景です。
小形風力発電事業は1,800万円の減収となりました。前期および前々期は施設販売による売上がありましたが、現在、電力会社による再エネ出力制御が実施されているため、風力発電の売電ができていない状況です。
現場としては風力発電施設の完成待ち、完成して連系待ち、契約待ち、既存プラントなどを合わせると、54ヶ所の完成が見込まれています。目標としては、2025年中に70サイトの現場完成を計画しています。
セグメント別実績:再生可能エネルギー関連事業
バイオディーゼル燃料事業は前年同期比500万円の増収となっています。環境意識の高まりにより、バイオディーゼル燃料そのものの需要が引き続き堅調な市況です。
B5軽油ビジネスに関しては、いろいろな競合もあり競争環境は厳しくなってきますが、市場の拡大余地は大きいと捉えています。特に関東エリアでの消費先が大きく、引き合いも多くあります。関東地方での新しいBDF製造プラントの建設が、今年5月に完了しています。
空港内作業車両へのバイオディーゼル燃料供給を、四国4県の空港で実施しています。また栃木県の日光国立公園で東武バス日光と行っていた実証実験は2024年3月に完了しており、次のステップに向けて現在協議中です。
水熱処理事業は前年同期比2,800万円の減収で着地しています。これはプラント関連案件の大幅減によるものです。ただし引き合いや問い合わせ、実験依頼などは増えてきており、現場対応に追われている状況です。
市況としては活況であるものの、製造する高圧ボイラーの納期が非常に長くなっていることもあり、足元では数字に結びついていないという現状があります。
連結貸借対照表
連結貸借対照表はスライドのとおりです。
連結CF計算書
連結キャッシュフローについては、獲得したフリーキャッシュフローをもとに成長投資を行いつつ、株主のみなさまへの還元に充当していく方針です。
業績予想の概況
2024年12月期の通期業績予想についてご説明します。今年度の通期計画は、設備投資需要の回復と価格転嫁の進捗を見越し、連結ベースで売上高445億円、営業利益7億3,000万円を計画しています。
セグメント別業績予想概況
セグメント別業績予想の概況はスライドのとおりです。
セグメント別業績予想増減要因
セグメント別の売上高予想の増減要因についてご説明します。環境機器関連事業は国内で減収、海外で大幅増収を予想しています。国内は大型案件の進捗等により、昨年度に比べ売上高が減少する見込みです。
一方で新たな営業方法の推進による新規顧客の取り込みなどを進めており、利益率の高い事業や大型案件を受注し、今後の数字につなげていけるよう取り組んでいます。海外はインドネシア・インド・スリランカをはじめとした販売拡大が大きく寄与する見込みです。
住宅機器関連事業は、いずれの集計単位も増収を予想しており、公共・民間の非住宅の建設需要の取り込みに注力しています。また、拡大するリフォーム市場への対応を進めながら、卸売事業にメーカー機能を併せた木構造事業、環境配慮商材にも注力しています。
再生可能エネルギー関連事業も増収を予想しています。バイオディーゼル燃料では、東日本エリアでの売上伸長を見込んでいます。太陽光発電については、アセットプラントの販売だけではなく、自社で発電所を持ちながら自家消費PPAモデルでの売電を強化していく方針で取り組んでいます。戦略的に単年度での売上と、長期的で安定的な売上収益の上昇を目指していく方針です。
その他の事業である家庭用飲料水事業は減収予想となっています。従来の商材に加え、当社が企画し他社と共同開発した全自動型ウォーターサーバーの取り扱いを開始しました。まずは四国・中国地方を中心に展開を進めながら、家庭用飲料水事業についても売上・利益を伸ばしていく方針で取り組んでいます。
セグメント別業績予想増減要因
セグメント別の営業利益予想の増減要因です。環境機器関連事業は増益の予想です。国内は案件の大型化や、メンテナンス需要の増加による利益増加が見込まれています。一方でベースアップや2024年問題による運賃の上昇など、販管費増加への対応が必要となります。
海外は事業の拡大、バングラデシュ現地法人設立による経費増加はあるものの、全体としての赤字幅は縮小することを予想しています。
住宅機器関連事業も、全体としては増益を予想しています。原価高騰分の販売価格への転嫁が進んでいること、環境機器関連事業と同様にベースアップや2024年問題による運賃の上昇など販管費増加への対応ができていること、そして空調関連子会社のM&A効果が大きく寄与していることから、増益を予想しています。
再生可能エネルギー関連事業については、減益の予想です。現況として再生可能エネルギーの出力制御や、プラントに使う材料(主にケーブル)の不足、盗難によるコスト上昇によって太陽光発電関連が減少していることが要因です。
株主還元
株主還元についてご説明します。当社は、各期の連結業績と配当性向および内部留保を総合的に勘案した上で配当を行うことを基本方針としています。
なお2023年12月期は、創業65周年の記念配当として中間・期末ともに従来の配当から3円ずつ増配して年間30円としましたが、2024年12月期は中間12円、期末12円の年間24円としています。今後も株主のみなさまに還元できるよう努めていきます。
株主優待については、前年度の内容を継続しています。
中期経営計画「PROTECT×CHANGE」の推進
中期経営計画の進捗状況と企業価値向上に向けた施策についてご説明します。まず我々の理念体系として、私たちが果たす使命(ミッション)に「環境を守る。未来を変える。」を掲げています。地球環境を守りながら、人類の未来をよりよく変えていこう、という使命を持って取り組んでいます。
また、私たちの存在意義(パーパス)として「世界の環境課題を技術とアイデアで解決し、世界の人々の生活を支える」ことが、私たちがこの社会に存在している意義であると捉え、経営活動を進めていきたいと考えています。
中期経営計画 成長戦略の進捗
現在、当社で取り組んでいる中期経営計画の成長戦略の進捗状況について、それぞれのテーマに沿ってご説明します。
まず「海外展開」の進捗として、インドおよびスリランカにおける工場の稼働と、現地での積極採用を継続しながら展開を進めています。またバングラデシュに新たな子会社を設立し、受注活動を開始しています。
ナショナルスタッフの採用や現地工場の工員の育成にまだ時間がかかる見込みで、製品の品質に課題があると認識しています。取り組みは進んでいるものの評価としては「△」というところで、まだ伸びしろがある分野だと捉えています。
「ストックビジネスの拡大」については、地下水飲料化事業において原価管理を再徹底し、エスコ契約に限らず、機器売りにも力を入れたことで受注が増えています。また排水処理事業のメンテナンスにおいて営業体制を変更し、受注環境の改善や計画的な利益の掘り起こしを強化した成果が出てきており、評価は「○」としています。
住宅機器関連事業における「安定から成長への転化」の進捗としては、ホームセンターの商圏拡大が、東日本においてやや苦戦しています。新規店の開拓を継続しながら、新規商材の取り扱い開始も進めています。
集中購買は完了しています。組織再編も実施し、仕入コストの削減を順調に進めながら利益確保に取り組んでいます。人財育成に関しては、社員同士の相互補完の取り組みは順調に進んでおり、組織の若年化を前倒しで実現できています。営業力、業務効率を強化しているところであり、住宅機器関連事業にはまだ伸びしろもありますが、評価は「○」としています。
中期経営計画 成長戦略の進捗
「再生可能エネルギー関連事業」については、B5軽油の製造施設として関東に事業所を設置し、新たな市場として展開しています。また再生可能エネルギー先進企業の動向調査は順調に進んでいます。既存取引先への協力依頼や新興メーカーとの新技術の意見交換など、協業に向けたディスカッションを積極的に展開しており、着実に進捗していると捉えています。評価は「○」です。
環境機器関連事業と再生可能エネルギー関連事業における「技術力・製品開発力の向上」についてですが、環境機器に関しては、製造過程で発生するヒューマンエラーによるクレームが減少しており、大きく改善しています。海外事業においては、窒素規制等に対応した製品の開発が進められています。
再生可能エネルギーについては、風力発電や太陽光発電プラントの継続的な開発を進めており、運用も順調であると捉えています。また、積極的に自社で発電所を保有するビジネスを展開しています。
浄化槽については、海外の寒冷地に対応した新たな製品開発も検討中です。しかしながら課題は未だに多いと認識しており、現状の評価は「△」としています。
「M&Aの推進」については住宅機器関連事業および再生可能エネルギー関連事業において順調に企業買収ができており、進捗と売上に寄与しているため、評価は「○」としています。
「IT推進」に関しては、デジタイゼーションやDXの初期段階と2段階目を進めており、基盤を整備している状況です。ITツールによる高付加価値業務に注力できる体制作り、従業員の心理的安全性のある風土作りのため、コミュニケーションツールの導入を進めています。
しかしながら、まだITそのものを事業に組み込むことができていないため、さらなる活性化が必要であると考えており、評価は「△」としています。
環境機器関連事業 海外関係会社状況
環境機器関連事業における海外関係会社の状況です。直近で工場の稼働や会社の設立といった動きがあった国に絞り、あらためてご説明します。
スライド左側のグラフは、インドにおける2021年12月期からの受注台数と出荷台数を示しています。受注台数は順調に伸びており、インドにおける分散型の汚水処理・排水処理の需要の高さと、弊社のプレゼンスの高さを表しています。
一方で、堅調な受注台数と比較して出荷台数はやや追いつかず、需給の高まりに弊社の生産が追いついていないところが課題であると認識しています。
インドで現在進行している案件として、1つはインド国有鉄道「駅リニューアルプロジェクト」があります。デリー周辺10駅分のうち、初回ロットの浄化槽製造を開始しています。
現時点では、施主であるインド国有鉄道による設置場所の最終調整待ちです。現場への納入はこれからとなりますが、新たに4駅分の浄化槽納入を追加受注し、併せて10年間のメンテナンス契約を行いました。製品販売のみならず、メンテナンスを行うことでより収益を拡大するのが、このプロジェクトの取り組みです。
もう1つは、ガンジス川浄化計画です。2022年と2024年7月にプレスリリースを出していますが、2022年3月に受注したこの計画の支流浄化プロジェクトにおける第1弾の第1工区が完了し、第2工区の施工が進行しています。
2024年6月のインド下院総選挙の影響により、政府関係のプロジェクトの動きが鈍化しており、現在スケジュールの見直しや再構築を行っている状況です。また第2弾のプロジェクトについては土木工事が完了し、製品出荷の準備が行われている状況となっています。
環境機器関連事業 海外関係会社状況
スリランカについては、受注台数・出荷台数ともに、右肩上がりで堅調に推移しています。
その中で、PRIME LANDという現地最大手のデベロッパーから受注していたマンションへの浄化槽納入が、今年6月末に完了しています。さらなる受注につながるよう、引き続きデベロッパーとの関係を構築していきます。
環境機器関連事業 海外関係会社状況
バングラデシュの状況です。今年5月にバングラデシュ現地法人の法人設立記念式典を行いました。バングラデシュにおける持続可能な水環境の構築にあたり、地域の政策との調和が重要と考え、現地政府機関や建設事業者との強固なパートナーシップを築くことを目的として、400人ほど来場いただきました。
また、2024年5月末にバングラデシュ住宅・公共事業省の大臣が日本を訪れ、弊社の松山本社および浄化槽製造工場を見学されました。またバングラデシュにおける水環境の現状や、今後の規制・規格作りについての意見交換などを行いました。引き続き、バングラデシュ政府との連携を密に図り、我々の製品、浄化槽の普及に努めていきたいと考えています。
政府案件としては、初受注となる政府宿舎への浄化槽納入が現在完工し、稼働しています。
また7月にバングラデシュで発生したデモの影響で、現地の経済状況やインターネットの回線の遮断、外出禁止令の発令等により、一時的に現地のビジネスが難しい状況になりました。
ただし、現在は政府の活動も取り組み直しが行われています。そのような中で、デモによって荒れてしまった町の清掃活動を、現地法人の従業員が自発的に取り組み始めました。社会貢献の1つのプロジェクトとしても活動できている状況です。
連結業績推移
連結業績推移についてご説明します。スライドのグラフのとおり、売上高は2020年12月期から堅調に増加しています。しかしながら営業利益率は足元では低下しており、引き続き利益率の改善を一番の課題と認識して取り組んでいきます。
企業価値向上に向けて 課題認識および施策
企業価値向上に向けた課題認識と施策についてご説明します。スライドのグラフは弊社のROE・PBR・ROICの推移を示しています。
ROEについては、先行投資の影響もあり足元で低下しています。コスト管理を強化しつつ、最低でも8パーセントを目指して向上に努めていきたいと思っています。
PBRについては、2022年12月期は1倍を割り、2023年12月期も1倍という状況です。中長期的な成長を実現するための投資は継続しつつ、収益性の改善を進めて企業価値を高めていきたいと考えています。
企業価値向上に向けて 施策詳細
企業価値向上に向けた各施策の状況についてご説明します。
環境機器関連事業については、海外戦略として販売地域の拡大と生産能力の強化を行っています。引き続きインドへの集中投資を進めるとともに、他の諸外国においても地域特性に応じて拠点・製造・販売網を強化しながら、新規開拓を加速させていきたいと考えています。
また先ほどもご紹介したとおり、本年1月にバングラデシュにて子会社を新たに設立しています。
加えて、海外事業統括本部の組織再編も行っています。民間へのアプローチだけではなく、政府と連携した認証の取得や法規制整備についても積極的に展開していきます。その一環として、海外営業統括部をインド事業統括部とアジア統括事業部に分割しています。
企業価値向上に向けて 施策詳細
住宅機器関連事業については、競争力強化のため、現在、木構造事業に注力しています。高付加価値化による競争力強化を目的として、本年度より木構造事業の全工程を自社で対応する体制を構築しています。第2四半期においても受注・引渡しが堅調に推移しており、引き続き実績を積み重ねて数字につなげていきます。
また、M&Aによる「安定から成長への転化」を目指し、新たな商材・商圏の拡大の成長戦略として、2019年と2023年に、空調設備工事を展開する2社を子会社化しています。両社とのシナジーが発揮され、売上にも大きく貢献できている状況です。
再生可能エネルギー関連事業についても、競争力強化を大きなテーマとして取り組んでいます。最適なエネルギーミックスの提供を可能とするサービスを展開していきたいと考えており、再生可能エネルギー・発電所のセットでのビジネスモデル展開を行っていきます。
バイオディーゼル燃料については、関東地方で新たなプラントの建設が完了し、販売地域拡大のステージへと入っています。
またCVCの子会社ファンドから出資している、環境負荷低減を可能にするグリーンデータセンターの開発推進に向けて、取り組みを進めています。
企業価値向上に向けて 施策詳細
各セグメントにおける喫緊の課題は収益性であると認識しています。この課題に対しては、コスト管理とIT推進を中心として進めています。
コスト管理については、いずれの事業においても、原材料・仕入価格などの高騰が続いており、営業力を通して販売価格への転嫁を引き続き行っていきます。併せて各種コストの見直しも行うことで、販売価格・仕入価格の両輪で利益率の改善を進めていきます。
IT推進に関しては、業務面・組織面・人材面、組織の中のあらゆるものに大きな影響を与えると捉えています。さまざまなITツールを利用しながら、会社として重要な資産である情報資産を活用して活動の高度化を図り、心理的安全性の高いチームを作ることで、企業価値を高めていく取り組みを行っていきます。
我々グループ役職員一同は「PROTECT×CHANGE」を企業精神として、「環境を守る。未来を変える。」というミッションを達成するために、今後も新たな取り組みに挑戦し、社会に貢献できる企業でありたいと考えています。
今後ともみなさまのご支援をお願いするとともに、ご期待に応えられる企業であり続けることをお約束します。
ご清聴、誠にありがとうございました。
質疑応答:人材不足への対応施策について
質問者:先日、社長がメディア取材に対して「人材不足が一番の課題だ」と話されていたと記憶しています。
人口動態の現状を見ると、人口減少や少子高齢化が進む中で若い方の働き方への意識が変わるなど、社会環境が大きく変化していると思います。このような環境下で取り組んでいる施策等があれば、教えてください。
大亀:人材不足が一番の課題であると捉えています。国内で人口減少や少子高齢化が加速し働き手がどんどん少なくなる中で、当社グループにおいては、人的資本は重要な経営資本であると考えています。
そのため、新卒採用とキャリア採用のどちらも積極的に取り組んでいます。経営戦略と連動した人材戦略を掲げるべきだと考えており、「働きがい」と「働きやすさ」のバランスを重視した施策を推進しています。
同時に、より市場競争力のある給与水準を目指し、2022年、2023年と2年連続でベースアップを実施しています。
当社は、大亀商事の創業から数えれば65年を超える長い歴史がある企業ですが、働きやすさを大事にし、時代の流れに沿った働き方を進めています。具体的には、テレワークや時短勤務を可能にし、副業制度等の規程の更新もどんどん行っています。
評価制度については、目標管理制度(MBO)を導入しています。毎年、社員自らが3つずつ目標設定を行い、上長と担当者がタッグを組みながら、目標達成に向かって取り組んでいく体制を整えています。
これは目標達成の能力育成に向けたものですが、併せて、ビジネスパーソンとしての能力開発を進めていく評価制度も導入しています。
その他、私自身においても、企業ブランディングを1つの大きな取り組みとして捉え、日々ブランド力の向上に注力しています。具体的には、ホームページ、採用サイトの刷新を精力的に行っています。
ブランドブックやブランドムービーを作成して、社内の従業員のみなさまに理念や経営者の思いを伝え、浸透を図りながら、対外的にも企業ブランド価値を高めていくことで、人材確保を進めていく方針です。
質疑応答:CVCファンド設立の手応えと抱負について
質問者:昨年CVCファンドの運営子会社を設立し、2024年にWaqua社やモルゲンロット社への出資発表がありました。こちらは始まったばかりの取り組みで、成果は大きな数字としてはまだ出ていないかもしれないですが、現状での手応えや社長自身が持っている思い、今後の計画などについて教えてください。
大亀:CVCファンドについては2023年7月に運営子会社を設立し、秋頃から1号ファンドを組成して、ソーシングからスタートアップの発掘および出資実行まで取り組んでいます。
現在当社で取り組んでいる水処理や住宅設備、工事、建設系、再生可能エネルギーなどの既存事業や、事業シナジーがある連携先スタートアップ企業を発掘することです。
また、環境課題やサステイナビリティをテーマとしているスタートアップ企業の経営者や、チームを発掘することです。
当社は愛媛が発祥で本丸の会社のため、現在、地域創生や地域活性につながる事業アイデア の切り口でサービス提供されているスタートアップ企業を探し、出資を進めています。
当社は、今までM&Aを中心にグループ全体を拡大させてきた背景があります。そこに加えて、技術革新や組織変革をテーマにスタートアップ企業と連携したいという戦略があり、昨年CVCファンドを運営する子会社を作りました。
設立目的には、新しい事業アイデアの支援もありますが、特に若い人材やスタートアップの経営者の方々を支援する意味もあります。
もちろん若い方々だけではありません。スタートアップ企業との事業シナジー、組織シナジーを持ちながら、一緒に成長していけるよう、資本提携的なかたちでできるファンドを組成しました。
私自身のより深い思いとしては、「今後の日本、愛媛、四国地方がより盛り上がるために」という志からCVCファンドを作っており、たくさんのスタートアップの方々とお話ししながら出資を進めているところです。
少し中長期的な時間軸にはなりますが、水処理関連であれば、Waqua社とのシナジーで、小型の海水淡水化装置の海外展開を目指します。
モルゲンロット社は、データセンターの計算力を武器としている会社のため、当社が提供できる再生可能エネルギーと合わせて、グリーンデータセンターの開発について連携しています。
このようにスタートアップ企業と連携してさまざまなプロジェクトに携わり、社会に貢献できる新事業をサービス展開したいという思いの中、CVCファンドでの活動に取り組んでいます。
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