*16:07JST SBSHD Research Memo(7):2025年12月期売上目標の達成は物流事業の回復とM&Aが鍵を握る
■中期経営計画
SBSホールディングス<2384>は「ロジスティクス×IT」で成長するメガベンチャーを標榜しており、業界トップティアの地位を確固たるものとし、あらゆる顧客の物流ニーズに応えるとともに、社会と共生し信頼される企業を目指している。2023年12月期からスタートした3ヶ年の中期経営計画「SBS Next Stage 2025」では経営ビジョンとして、1) サービスの提供を通じ顧客の価値創造へ貢献すること、2) 社会インフラとしてESGを重視し、すべてのステークホルダーに貢献すること、3) 継続的かつ業績に応じた利益還元を実施すること、の3点を掲げ、さらなる企業価値の向上と持続的な成長を目指している。
1. 経営数値目標
経営数値目標として最終年度となる2025年12月期に売上高5,000億円、営業利益275億円、営業利益率5.5%を掲げていたが、2023年12月期の業績が海外物流事業の大幅減によって当初計画を下回ったため、現状はややハードルが高くなっている。ただ、2024年内に日本精工の物流子会社であるNSKロジスティクスの株式の66.61%を取得すべく協議を進めており、NSKロジスティクスのグループ化で200億円超の売上が加わると推定されるほか、海外でも3PL企業等のM&Aを検討していることから、M&Aの状況や今後の物流事業の回復ペースによっては売上高で目標達成が射程圏内に入るものと弊社では見ている。なお、NSKロジスティクスについては国内事業のみであり、日本精工の海外事業分については現在、外部の物流会社を活用している。同社はこれまでのM&Aと同様に、将来的にはこの海外事業分についても取り込んでいくことも視野に入れており、そうなれば最大500億円規模まで日本精工グループ向けだけで売上を獲得できる可能性がある。
事業セグメント別業績を見ると、物流事業が既述のとおり下振れしているものの、不動産事業やその他事業はおおむね計画通りの進捗となっている。物流事業については、海外物流事業の回復に加えて、EC物流や3PLなど注力事業の売上高をどの程度伸ばせるかがポイントとなる。また、利益率は2023年12月期の2.8%から2025年12月期は4.1%を目指している。主にはPMI効果が顕在化するSBSリコーロジスティクスやSBS東芝ロジスティクスなどで収益性の向上を見込んでいるが、2021年12月期の利益率が4.1%だったことを考えれば、達成可能な水準と考えられる。今後の料金適正化や積載効率の改善、人員の最適配置による生産性などに取り組むことで収益性向上を図る。積載効率については荷物の効率的な積載方法についてビデオ研修なども行いながら、ドライバーに浸透させていく。
差別化戦略として「LT×IT」の導入も積極的に進めているが、当面はトライアンドエラーを繰り返しながら運用ノウハウを蓄積する先行投資段階と位置付けており、導入効果が顕在化するのは早くても2025年12月期以降となりそうだ。不動産事業は、物流施設の流動化を計画的に進めていくことで安定した収益を確保する。
また、3年間の投資計画は総額980億円(M&A含む)と、2022年12月期までの実績(550億円)から1.8倍に増額する。内訳は経常投資で160億円(2022年12月期までの実績は130億円)、戦略投資で820億円(同420億円)となる。戦略投資には物流施設の開発やLT×IT分野などへの投資が含まれる。2024年12月期第2四半期累計では物流施設の開発で132億円、その他投資で60億円の投資を行い(2023年12月期は物流施設の開発で128億円、その他投資で90億円)、1年半で4割強の予算消化率となっている。今後、M&A投資が加わるためおおむね順調な進捗と言える。足元の市場環境は厳しいものの、これら投資を着実に進めていくことが中長期的な成長を実現するためには必要と考えており、2030年12月期の売上目標7,000億円に向けて今後も投資を継続する方針だ。投資資金としては自己資金や借入金のほか、物流施設の早期流動化で賄っていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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SBSホールディングス<2384>は「ロジスティクス×IT」で成長するメガベンチャーを標榜しており、業界トップティアの地位を確固たるものとし、あらゆる顧客の物流ニーズに応えるとともに、社会と共生し信頼される企業を目指している。2023年12月期からスタートした3ヶ年の中期経営計画「SBS Next Stage 2025」では経営ビジョンとして、1) サービスの提供を通じ顧客の価値創造へ貢献すること、2) 社会インフラとしてESGを重視し、すべてのステークホルダーに貢献すること、3) 継続的かつ業績に応じた利益還元を実施すること、の3点を掲げ、さらなる企業価値の向上と持続的な成長を目指している。
1. 経営数値目標
経営数値目標として最終年度となる2025年12月期に売上高5,000億円、営業利益275億円、営業利益率5.5%を掲げていたが、2023年12月期の業績が海外物流事業の大幅減によって当初計画を下回ったため、現状はややハードルが高くなっている。ただ、2024年内に日本精工の物流子会社であるNSKロジスティクスの株式の66.61%を取得すべく協議を進めており、NSKロジスティクスのグループ化で200億円超の売上が加わると推定されるほか、海外でも3PL企業等のM&Aを検討していることから、M&Aの状況や今後の物流事業の回復ペースによっては売上高で目標達成が射程圏内に入るものと弊社では見ている。なお、NSKロジスティクスについては国内事業のみであり、日本精工の海外事業分については現在、外部の物流会社を活用している。同社はこれまでのM&Aと同様に、将来的にはこの海外事業分についても取り込んでいくことも視野に入れており、そうなれば最大500億円規模まで日本精工グループ向けだけで売上を獲得できる可能性がある。
事業セグメント別業績を見ると、物流事業が既述のとおり下振れしているものの、不動産事業やその他事業はおおむね計画通りの進捗となっている。物流事業については、海外物流事業の回復に加えて、EC物流や3PLなど注力事業の売上高をどの程度伸ばせるかがポイントとなる。また、利益率は2023年12月期の2.8%から2025年12月期は4.1%を目指している。主にはPMI効果が顕在化するSBSリコーロジスティクスやSBS東芝ロジスティクスなどで収益性の向上を見込んでいるが、2021年12月期の利益率が4.1%だったことを考えれば、達成可能な水準と考えられる。今後の料金適正化や積載効率の改善、人員の最適配置による生産性などに取り組むことで収益性向上を図る。積載効率については荷物の効率的な積載方法についてビデオ研修なども行いながら、ドライバーに浸透させていく。
差別化戦略として「LT×IT」の導入も積極的に進めているが、当面はトライアンドエラーを繰り返しながら運用ノウハウを蓄積する先行投資段階と位置付けており、導入効果が顕在化するのは早くても2025年12月期以降となりそうだ。不動産事業は、物流施設の流動化を計画的に進めていくことで安定した収益を確保する。
また、3年間の投資計画は総額980億円(M&A含む)と、2022年12月期までの実績(550億円)から1.8倍に増額する。内訳は経常投資で160億円(2022年12月期までの実績は130億円)、戦略投資で820億円(同420億円)となる。戦略投資には物流施設の開発やLT×IT分野などへの投資が含まれる。2024年12月期第2四半期累計では物流施設の開発で132億円、その他投資で60億円の投資を行い(2023年12月期は物流施設の開発で128億円、その他投資で90億円)、1年半で4割強の予算消化率となっている。今後、M&A投資が加わるためおおむね順調な進捗と言える。足元の市場環境は厳しいものの、これら投資を着実に進めていくことが中長期的な成長を実現するためには必要と考えており、2030年12月期の売上目標7,000億円に向けて今後も投資を継続する方針だ。投資資金としては自己資金や借入金のほか、物流施設の早期流動化で賄っていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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